階段の上と下に片切スイッチを1個ずつ付けて、2つをつないでみる。直列にすれば両方を入れたときしか点かず、並列にすれば片方を入れたままだと、もう片方では消せない。2か所から同じ照明を点けたり消したりするには、スイッチそのものの作りを変える必要がある。
では、3路スイッチの中では何が起きているのか。そして、正しく付けたはずの2台が「片方しか効かない」とき、どこを疑えばいいのか。
3路スイッチの中身:0番は、1番か3番のどちらか一方とだけつながる
3路スイッチは、階段の上下のように離れた2か所から、同じ照明を点灯・消灯するためのスイッチだ。パナソニックのTERASU辞書によれば、現場では「3路」のほか「Cスイッチ」とも呼ばれる。裏面の端子は「0」「1」「3」の3つで、中では0番が1番か3番のどちらか一方とだけ導通する。0→1がつながっているときは、0→3はつながっていない。
- 0番(コモン):1台目は電源の電圧側(黒)、2台目は照明器具へ向かう線を、それぞれ1本だけつなぐ。
- 1番・3番:2台の3路スイッチを結ぶ渡り線2本をつなぐ。1番どうし、3番どうしを結ぶ。
2台の位置の組み合わせは4通りある。TERASU辞書の例のとおり、両方が0→1なら点灯し、片方だけが0→3なら消灯する。
| スイッチA | スイッチB | 照明 |
|---|---|---|
| 0→1 | 0→1 | 点灯 |
| 0→1 | 0→3 | 消灯 |
| 0→3 | 0→1 | 消灯 |
| 0→3 | 0→3 | 点灯 |
どの行から始めても、AかBのどちらか1台を倒せば、照明の状態は必ず入れ替わる。これが「どちらからでも点けられて、どちらからでも消せる」の中身だ。
実体配線図と、ケーブルの心数
上の図は電気の通り道を示す模式図だ。ジョイントボックス(電線の接続点、JB)からどうケーブルを引き回すかは、次の実体配線図のようになる。
白(接地側)の線は、JBから照明器具へ直接つなぎ、スイッチを通さない。官庁施設の工事に使う公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)は、単極のスイッチに接続する配線を電圧側としている。片切や3路のように1本の線を切り替えるスイッチは、黒の側に入れる。
ケーブルの心数は、その区間に何本の線を通すかで決まる。
| 区間 | 通る線 | 本数 | 使うケーブルの例 |
|---|---|---|---|
| JB → 3路スイッチ | 0番への線+渡り線2本 | 3本 | VVF 1.6-3C |
| 3路スイッチ ⇔ 3路スイッチ(直接) | 渡り線2本 | 2本 | VVF 1.6-2C |
| JB → 4路スイッチ | 両側の渡り線2本ずつ | 4本 | 3心では足りない |
(本数は回路から数えた値。ケーブルの太さは回路の電流と遮断器で決める)
太さ(1.6mmか2.0mmか)の決め方はVVFケーブルの1.6mm・2.0mmと心数の選び方で扱っている。
一段深い理解:片切スイッチ2個では、原理的に作れない
片切スイッチは「切る・つなぐ」の2状態しか持たない。2個を直列にすると両方がONのときだけ点く(論理でいうAND)。並列にすると、どちらかがONなら点く(OR)。どちらの組み方でも、片方が決まった位置にあるともう片方の操作が効かなくなる。
3路スイッチの回路は、上の表のとおり、2台の位置が「そろっていると点灯、そろっていないと消灯」になっている。論理回路でいう一致回路(XNOR)だ。一致・不一致を作るには、電気の通り道を2系統(1番経由と3番経由)用意して、片方だけを選ぶ切り替えが要る。ON/OFFしかない片切スイッチには、この「2系統のどちらかを選ぶ」機能がない。
3か所以上に増やすときの4路スイッチも、同じ発想の延長にある。TERASU辞書によれば、4路スイッチは1・3と2・4の端子を持ち、3路スイッチの1・3から来た線を片側の端子に、次のスイッチへ向かう線を反対側の端子につなぐ。中では、この2本の渡り線のつながり方が切り替わる(回路から導いた説明)。必ず2台の3路スイッチの間に入れる。
現場で間違いやすい点:「片方しか効かない」は0番の取り違え
代表的な誤りは、0番と1番・3番の取り違えだ。誤結線の一例として、スイッチAで電源線を1番に、渡り線の片方を0番につないだ場合を、正しい結線と並べる。
| スイッチA | スイッチB | 正しい結線 | 誤結線の例 |
|---|---|---|---|
| 0→1 | 0→1 | 点灯 | 点灯 |
| 0→1 | 0→3 | 消灯 | 消灯 |
| 0→3 | 0→1 | 消灯 | 消灯 |
| 0→3 | 0→3 | 点灯 | 消灯 |
(誤結線の例は回路から導いた動作。誤り方によって点く組み合わせは変わる)
誤結線の側では、Aが0→3にあると電源線のつながった1番が浮き、Bをどう倒しても点かない。点くのは4通りのうち1通りだけで、「Bは、Aが特定の位置のときしか効かない」状態になる。施工後は4通りすべてを試し、点灯が2通り・消灯が2通りになるかを確かめる。1通りしか点かなければ、電源を切ってから、0番の刻印の端子に何がつながっているかを見る。
もう一つの誤りは、白と黒の入れ替えだ。第二種電気工事士の技能試験では、施工条件として「電源からの接地側電線は白」「電源から点滅器までの非接地側電線は黒」「ランプレセプタクルの受金ねじ部、コンセントの接地側極(N・W表示)には白」が指定され、色別や極性の誤りは欠陥になる(電気技術者試験センター)。コンセントは、刃受け穴の長い方が接地側極だ(公共建築工事標準仕様書)。
3か所以上から操作する:4路スイッチとの組み合わせ
| 操作する場所 | 必要なスイッチ |
|---|---|
| 2か所 | 3路 ×2 |
| 3か所 | 3路 ×2 + 4路 ×1 |
| 4か所 | 3路 ×2 + 4路 ×2 |
TERASU辞書によれば、4路スイッチの数で操作できる箇所数が決まる。3路スイッチの1・3につないだ線を4路スイッチの1・3又は2・4に接続し、その反対側から次のスイッチへ結線して、終点の3路スイッチまでつなぐ。4路スイッチ単体では回路にならない。
第二種電気工事士の試験ではどう出るか
3路スイッチは学科と技能の両方に出てくる。学科の配線図問題では、スイッチ類の図記号と傍記として、記号のそばの「3」の意味と、そこから何本の電線が要るかを読ませる。技能試験の令和8年度候補問題では、No.6(3路スイッチ2個と露出形コンセント)とNo.7(3路・4路・3路の3か所点滅)で、結線そのものが課題になる。
欠陥の判断基準には「誤接続、誤結線のもの」と「電線の色別、配線器具の極性が施工条件に相違したもの」があり、0番の取り違えも白黒の入れ替えも、どちらもここに当たる。
注文するときに伝えること
例: 「パナソニック コスモシリーズの3路スイッチ を 2個、4路 を 1個」
「(既設の写真から)同じシリーズの3路スイッチとプレートを一式」
- 「3路」「4路」を明記し、既設品は裏の端子(3路は0・1・3)でも確かめる。
- デザイン・色をそろえるなら、既設のスイッチとプレートの写真を添える。
- 屋内配線の工事は電気工事士でなければできない(TERASU辞書)。
電材サーチで品種リストを作って見積もり依頼ができます。 見積フォームから、上の例のように「3路」「4路」と個数、既設のシリーズを書き添えて送ってください。
関連情報
- VVFケーブルの1.6mm・2.0mmと心数の選び方(3路スイッチへ下りる区間は3C)
- ケーブル大百科(電線・ケーブル図鑑)
- 明工社の医用コンセント・コンセントバー・OAタップの体系と選び方(業務用配線器具)
- パナソニック(メーカー情報)
関連する3路スイッチ・階段配線・結線図・第二種電気工事士・動作原理の品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。