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エアコン専用回路を1本増やす見積で、VVFを「1.6」と書くか「2.0」と書くかで手が止まる。ブレーカーは20A、1.6mmの許容電流は19A。1Aしか違わないのに、なぜ太さを変えるのか。そもそも19Aという半端な数字は、どこから来たのか。
答えは、別の電線の許容電流と、ある係数の掛け算にある。もう一つ、法令の表は20Aの配線用遮断器に1.6mmを認めている。
VVFは「平形のVV」:規格と構造
VVFは、JIS C 3342(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル)に規定されるケーブルの平形で、丸形はVVRと呼ばれる。JIS C 3342は1964年に制定され、2012年に改正、2026年6月に確認されている。SFCCの製品一覧は、VVFを「600V以下の主に屋内配線に用いられる電力用ケーブル」としている。呼び方は「VVF 1.6-2C」のように、導体の直径と心数(C)で表す。
SFCCの仕様書(SF-0039B)で中身を見ると、導体は軟銅の単線、絶縁体とシースはビニルで、シースは灰色だ。
| 導体径 | 絶縁体の厚さ | 仕上外径(2心) | 最大導体抵抗(20℃) | 標準条長 |
|---|---|---|---|---|
| 1.6mm | 0.8mm | 6.2×9.4mm | 8.92Ω/km | 100m |
| 2.0mm | 0.8mm | 6.6×10.5mm | 5.65Ω/km | 100m |
| 2.6mm | 1.0mm | 7.6×12.5mm | 3.35Ω/km | 100m |
(出典:SFCC 600V VVF仕様書 SF-0039B 付表。シースはいずれも1.5mm)
官庁施設の工事に使う公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版の電線類の表には、VVFの名前はなく、耐燃性ポリエチレンシースのエコケーブルEM-EEF(600V EEF/F)が載っている。官庁物件の図面でVVFの代わりにEM-EEFと書かれるのはこのためだ。
太さの選び方:1.6mmは19A、2.0mmは24A
内線規程の表(Panasonicの抜粋による)では、VVケーブル3心以下の許容電流は周囲温度30℃で1.6mmが19A、2.0mmが24A、2.6mmが33Aだ。
| 導体径 | VVケーブル3心以下の許容電流 | 主な回路 |
|---|---|---|
| 1.6mm | 19A | 15A以下の照明・コンセント回路 |
| 2.0mm | 24A | 20Aの専用回路(許容電流を遮断器の定格以上にする場合) |
| 2.6mm | 33A | 20Aを超え30A以下の回路(電技解釈 149-1表の太さ) |
(許容電流の出典:内線規程2016 1340-2表〔Panasonic「電線・ケーブルの種類と特性」の抜粋〕)
迷いやすいのは20Aの回路だ。電技解釈の149-1表は、定格電流20A以下の配線用遮断器で守る分岐回路の電線を直径1.6mm以上としている。表の上では、20Aの配線用遮断器に1.6mmをつないでよい。
ただ、経産省の解説によれば、149-1表はつながるコンセントの数や電流の合計に関係なく、短絡などの事故電流から電線を守るための太さだ。エアコンのように20A近い電流が続く専用回路では、19Aの1.6mmは許容電流を超えうる。許容電流が遮断器の定格を下回らないようにするなら2.0mm(24A)になる。配線が長い回路は、太さを電圧降下からも確かめる(電圧降下・サイズ計算)。
分電盤まわりの部材は配電盤・分電盤ソリューション、エアコン回路の組み立てはエアコン設置に必要な電材にまとめている。
一段深い理解:19A・24Aは「27A×0.7」から出てくる
冒頭の19Aは、単独の数字ではない。同じ内線規程の表で、1.6mmのIV電線をがいし引き(空中に張る配線)したときの許容電流は27A、2.0mmは35A、2.6mmは48Aだ。これに、電線を管に収めたときの電流減少係数0.70(3本以下)を掛ける。
| 導体径 | がいし引きの許容電流 | ×0.70 | 7捨8入した値 |
|---|---|---|---|
| 1.6mm | 27A | 18.9A | 19A |
| 2.0mm | 35A | 24.5A | 24A |
| 2.6mm | 48A | 33.6A | 33A |
VVケーブル3心以下の値は、IV電線3本以下を管に収めたときの値と同じになっている。内線規程の表の備考は、計算した値の小数点以下1位を「7捨8入」していると書いている。24.5を四捨五入なら25Aだが、7捨8入なので24Aになる。半端な数字の正体は、この丸め方だ。
前提の条件にも理由がある。経産省の解説によれば、許容電流は周囲温度30℃、ビニルの導体許容温度60℃を前提にしている。30℃を基準にしたのは、日本で気温が30℃を超える期間は限られ、最大電流の時刻と気温の最高時が重なるのは短時間だから、という説明だ。
では、夏の天井裏のように周りが30℃を超えたらどうなるか。電技解釈146-3表は、ビニル絶縁の電線の補正係数を√((60−θ)/30)としている(θは周囲温度)。計算例として周囲温度40℃を当てはめると√(20/30)≒0.82で、19Aは約15.5Aまで下がる。60℃の上限に対して、周囲の温度が上がるほど余裕が削られる、という式の形だ。
心数と色:2心・3心と「200LINE」
SFCCの仕様書が載せている線心の配列は次のとおり。
| 心数 | 線心の色 | シースの印 |
|---|---|---|
| 2心 | 黒・白 | ー |
| 3心 | 黒・白・赤 | ー |
| 3心 | 黒・白・緑、赤・白・緑 | 緑の連続線 |
| 3心(200LINE) | 黒・赤・緑 | 橙の連続線 |
| 4心 | 黒・白・赤・緑 | ー(JIS認証表示の対象外) |
(出典:SFCC 600V VVF仕様書 SF-0039B 識別・配列図・表示)
色の意味は、官庁営繕の標準仕様書の色別の表と重ねると読める。単相3線式は第1相が赤、中性相が白、第2相が黒。単相2線式は、第2相が接地側なら白、非接地なら黒。接地線は緑だ。白は「中性相・接地側」の色になる。
単相3線式から取る単相200Vは、赤と黒の2本で、どちらも接地側ではない。そこに接地線の緑を足すと、黒・赤・緑。白のない200LINEの配列は、200Vの回路で白い線を接地側と取り違えないための組み合わせと読める。
一般の回路では、片切スイッチの照明やコンセントは2心、3路スイッチの回路で渡り線2本に共通線を加えた3本を通す区間は3心を使う。3路スイッチの結線は3路スイッチの配線図で扱っている。
VVFとVVR・CVの違い
| 品種 | 規格 | 導体 | 形・シース | 使う場所 |
|---|---|---|---|---|
| VVF | JIS C 3342 | 単線(1.6・2.0・2.6mm) | 平形・灰色 | 屋内の固定配線 |
| VVR | JIS C 3342 | ー | 丸形 | 固定配線(可動部には使わない) |
| CV | JIS C 3605 | より線(2〜600mm²) | 丸形・黒、導体最高許容温度90℃ | 幹線・動力 |
| VCTなどのキャブタイヤ | ー | より線 | 丸形 | 動かす箇所 |
(出典:SFCC VVF・CV仕様書、フジクラ・ダイヤケーブル600V CVカタログ)
メーカーのカタログはCVの特長を「一般電力用でVVより許容電流大」としている。導体の許容温度がビニルの60℃に対して90℃と高いからだ。幹線・動力の太さはCVケーブルとCVTの違いと太さの決め方で扱っている。
現場で間違いやすい点
電線管にまとめて通して、許容電流を超える
管に収めると熱が逃げにくくなるため、電線の本数に応じて許容電流を下げる(電技解釈 146-4表、解説 第146条)。内線規程の表では、1.6mmのIV電線を同じ管に7〜15本収めると許容電流は13Aになり、15Aの遮断器を下回る。VVFも、屈曲が少ない2m以下の管に通すなら3心以下の欄(19A)を使えるが、長い管にまとめて通すなら本数の扱いを確かめる。管の太さの選び方は電線管の選定ガイドにある。
コンクリートに直接打ち込む
電技解釈第164条第2項は、電線を直接コンクリートに埋め込む配線には、MIケーブル、コンクリート直埋用ケーブル、又は所定のがい装を有するケーブルを使うこととしている。VVFは該当しない。スラブや壁に通すなら、管に収める工事方法をとる。
造営材に沿わせる支持の間隔を空けすぎる
ケーブルを造営材の下面や側面に沿って取り付けるときは、支持点の間隔を2m以下にする。接触防護措置を施した場所で垂直に取り付けるなら6mまでよい(電技解釈 第164条第1項第三号)。
資格のない人が屋内配線をつなぐ
一般用電気工作物等の電気工事は、第一種又は第二種電気工事士でなければ従事できない(電気工事士法 第3条第2項。省令で定める軽微な作業を除く)。
注文するときに伝えること
注文は「品名・太さ・心数・長さ」の順で伝わる。たとえば「VVF 1.6-2C 100m巻を2巻」「VVF 2.0-3C 30m」のように書く。200LINEのような配列の指定、メーカーの指定、エコケーブル(EM-EEF)指定の有無もあれば添える。標準条長は100mだ(SFCC仕様書)。
価格は銅の相場で動く。JX金属の銅建値の月間平均は、2017年以降で最も安かった2020年4月の584,000円/トンから、2023年11月に1,283,100円/トン、2026年9月には2,353,600円/トンになった。底値からおよそ4倍、2019年の12か月の月間平均をならした約70万円/トンと比べても3倍を超える。見積は有効期限と価格の適用日を確かめ、発注の直前に取り直す。見方は銅建値とはにある。
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関連情報
- VVF(Fケーブル)の製品詳細・型番一覧(古河電工メタルケーブル)
- CVケーブルとCVTの違いと太さの決め方(幹線・動力・屋外)
- 配電盤・分電盤の製作・更新に必要な電材一式
- 電線・ケーブルの種類と構造(ケーブル大百科)
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