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一般用電気工作物等の保安に関する法令 ・ 2 / 8

電気設備技術基準 — 感電・火災を防ぐ電圧区分

読み終えると、こうなる

銘板のAC/DCの表示を見て、その数字がどの電圧区分に入るのか、交流と直流で違う基準から指させるようになる

  • 直流750Vのような数字を見て、交流の感覚に引きずられず低圧・高圧のどちらかを判定できる
  • 『電気設備に関する技術基準を定める省令』の話が出てきたら、その根拠が電気工事士法ではなく電気事業法だと指させる
  • パワーコンディショナや蓄電池の銘板を見て、交流600V・直流750Vという別々の上限のどちらで区分すべきか選び直せる
考えてみよう

現場で見た太陽光発電+蓄電池システムの銘板に、「パワーコンディショナ 最大直流750V」と書かれていた。すぐ隣にある別の設備は交流600Vで、これは明らかに低圧だと分かる。

ところが直流750Vの方は、パッと見て判断がつかない。数字だけ見れば「700Vを超えているから高圧では」と思えてしまう。実際のところ、この直流750Vは低圧なのか、高圧なのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、その理由がはっきり説明できるようになっている。

「電気設備に関する技術基準を定める省令」(通称:電気設備技術基準、電技)は、電気設備が満たすべき安全上の基準を定めた省令(平成9年通商産業省令第52号)だ。第4条では「電気設備における感電、火災等の防止」として、電気設備は感電・火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない、という基本原則が定められている。この科目で登場する具体的な規定(絶縁・接地など)は、すべてこの基本原則を具体化したものと考えるとつながりが見えやすい。

「省令」の一言には、親がいる

法律は国会が作るが、省令は大臣が定める。そして省令は単独では生まれず、必ず「どの法律の委任を受けて定めたか」を背負っている。電技の冒頭に置かれた制定文には、電気事業法第39条第1項及び第56条第1項の規定に基づき定める、と明記されている(平成9年通商産業省令第52号)。

構造は2階建てだ。1階の電気事業法が「電気工作物は技術基準に適合するように維持しなければならない」と命じ、2階の電技がその技術基準の中身——第4条の基本原則も、次に見る電圧区分も——を引き受けている。学科試験ではこの親子関係そのものが問われ、「電技は電気工事士法に基づく省令である」といった、親を取り違えさせる選択肢が用意される。電気工事士法が受け持つのは「誰が工事をしてよいか」であって、設備が満たすべき基準ではない。

また、電技第2条では電圧を3つの区分に分類している。この区分は他の科目(配線設計など)とも共通する基礎知識になる。

区分交流(AC)直流(DC)
低圧600V以下750V以下
高圧600V超 7,000V以下750V超 7,000V以下
特別高圧7,000V超7,000V超
電圧区分の境界は、交流と直流で数字が違う。「700Vを超えたら高圧」のような感覚的な判断ではなく、交流なら600V、直流なら750Vという、それぞれの上限を基準に判断する必要がある。

一般家庭の100V・200Vはもちろん「低圧」に分類される。第二種電気工事士が扱う一般用電気工作物は、この低圧の範囲に収まる設備がほとんどだ。太陽光発電システムのように直流を扱う設備が増えてきた今、交流の感覚のまま直流の電圧を判断してしまうと、区分を読み違えることがある。

「電線」と「配線」は、別の言葉として定義されている

省令第1条には用語の定義が並んでいて、試験ではこの定義文を1語だけ入れ替えた選択肢が出る。 とくに紛らわしいのが電線・配線・電気機械器具の3つだ。原文はこうなっている。

用語定義(省令第1条)
電路(第1号)通常の使用状態で電気が通じているところ
電気機械器具(第2号)電路を構成する機械器具
電線(第7号)強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体
配線(第18号)電気使用場所において施設する電線電気機械器具内の電線及び電線路の電線を除く
**「電気使用場所において施設する電線で、機械器具内の電線と電線路の電線を除いたもの」は 「配線」の定義であって、「電線」の定義ではない。**ここが定番の入れ替えどころだ。

電線はもっと広い。導体そのものを指す言葉で、場所も用途も限定していない。 そこから「電気使用場所に施設したぶんだけ」を切り出したのが配線になる。

つまり電線 ⊃ 配線という包含関係だ。「電線とは、電気使用場所において施設する…」で 始まる選択肢を見たら、それは配線の定義を電線にすり替えた誤りだと判断できる。

電気機械器具も同様で、「電路を構成する機械器具」というごく短い定義しかない。 「電気を使用する器具」のような、それらしいが別の説明が付いていたら誤りになる。

条文が、そのまま穴あきで出てくる — 第14条と第15条

この省令からは、条文の一部を空欄にして語句を選ばせる形式が出る。条文そのものを一度読んでおかないと、意味は分かっているのに埋められない、ということが起きる。よく穴が開くのは、電路の保護を命じている次の2条だ。

第14条(過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策) 電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、火災の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。

第15条(地絡に対する保護対策) 電路には、地絡が生じた場合に、電線若しくは電気機械器具の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電気機械器具を乾燥した場所に施設する等地絡による危険のおそれがない場合は、この限りでない。

第14条の空欄は「必要な箇所」だ。選択肢には「すべての分岐回路」「すべての電路」といった、もっともらしく厳しい言い回しが並ぶ。だが省令は、どこに施設するかまでは指定していない。**どこが「必要な箇所」かを決めるのは、この省令ではなく電技解釈のほう**だ。

この書き分けには理由がある。省令は「何を達成すべきか」だけを書き、「どうやるか」は解釈に委ねる、という二段構えになっている。第4条が「感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない」と目的だけを述べているのと同じ構造だ。だから省令の条文に、太さ・距離・秒数といった具体的な数字はほとんど出てこない。省令の穴埋め問題で、数字が入る選択肢が並んでいたら、それは怪しいという読み方ができる。

第15条のただし書きも試験で効いてくる。「乾燥した場所に施設する等地絡による危険のおそれがない場合」——この一文が、D種接地工事の省略条件で「乾燥した場所」が繰り返し出てくることの、上流にある考え方だ。乾いていれば人体の抵抗が高く、感電しても電流が流れにくい。省令が例外を開いているのはそこだけで、水気のある場所には一切の緩和がない。

銘板の「AC」「DC」を読み分けられるかどうか

交流600V・直流750Vという2つの数字は、覚えた翌日から使える。機器の銘板や取扱説明書には必ずAC/DCの別と電圧が書かれていて、その2つを見た瞬間に区分を言えるかどうかで、現場での話の速さが変わる。パワーコンディショナの直流入力、蓄電池の直流側、EV充電設備。直流の数字を読む場面は、住宅まわりでも確実に増えている。

今日試せるのは、家の中の銘板読みだ。ノートPCのACアダプタ、モバイルバッテリー、電動工具の充電器。どれも「INPUT AC100V」「OUTPUT DC○V」といった形で、交流と直流が明確に書き分けられている。同じ「V」でも意味が違うものとして扱われていることに気づくと、電技の区分表が交流と直流の2列に分かれている理由が腹に落ちる。

面白いのは、電気の歴史がいま一周しかけていることだ。19世紀の送電方式をめぐる争いは交流に軍配が上がり、家庭に届く電気は交流になった。ところが太陽電池が生むのは直流、蓄電池に溜まるのも直流、LEDもモーター制御も内部では直流を使っている。交流に変換してまた直流に戻す手間を減らそうという発想が出てくるのは自然なことで、住宅の中で直流を扱う機器は着実に増えている。交流の感覚のまま直流の数字を読んで区分を外す。この注意は、これから効いてくる方向の注意だ。

冒頭の直流750Vは、低圧なのか高圧なのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 「電気設備に関する技術基準を定める省令」の根拠法を、電気工事士法にすり替える

    なぜ引っかかるこの一文はほぼ毎回どこかの選択肢に置かれていて、しかも年によって正しい側にも誤りの側にも回る。「同省令は電気工事士法の規定に基づき定められた経済産業省令である」という誤りの形と、「電気事業法の規定に基づき定められた」という正しい形が、まったく同じ文体で出てくる。文言ごと暗記していると、正誤の向きが入れ替わった年に丸ごと逆を選ぶ。

    見破り方文ではなく役割で押さえる。設備が満たすべき基準を命じているのは電気事業法で、その中身を引き受けるのが技術基準の省令。電気工事士法が受け持つのは「誰が工事をしてよいか」だけだ。選択肢を読むときは、省令の親が電気事業法になっているかだけを見る。

  2. 一般用電気工作物・自家用電気工作物の定義がどの法律にあるかを差し替える

    なぜ引っかかる「電気用品安全法において、一般用電気工作物等と自家用電気工作物を定義している」「一般用電気工作物の定義は、電気設備に関する技術基準を定める省令において定めている」といった形で、すり替え先が2種類用意されている。どちらも実際に電気の安全に関わる法令なので、名前だけでは違和感が出ない。

    見破り方電気工作物の区分を定めているのは電気事業法第38条、と条番号ごと1つだけ覚える。電気用品安全法が定義しているのは「電気用品」であって「電気工作物」ではない、という対比で切り分ける。

  3. 交流と直流で境界が違うのに、同じ数字で電圧区分を判定させる

    なぜ引っかかる低圧の上限は交流600V・直流750Vと別々に定められているが、暗記の途中では2つの数字が混ざる。しかも「700Vを超えているから高圧だろう」という感覚的な判断が働きやすく、直流750Vを高圧に振り分けてしまう。

    見破り方電圧の数字を見たら、まず交流か直流かを確定させてから表を引く。交流は600V/7,000V、直流は750V/7,000Vが境界。同じ750Vでも交流なら高圧、直流なら低圧と、答えが反対になることを一度確認しておくと混ざらない。

参考文献・出典

  • 電気設備に関する技術基準を定める省令(e-Gov法令検索) (制定文(電気事業法第39条第1項及び第56条第1項の規定に基づき制定)・第2条(電圧の種別)・第4条(電気設備における感電、火災等の防止)・第14条(過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策)・第15条(地絡に対する保護対策))

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 電技は電気事業法(昭和39年法律第170号)第39条第1項・第56条第1項の規定に基づいて定められた省令(平成9年通商産業省令第52号)。電気工事士法や電気用品安全法に基づく省令ではない
  2. 電気設備技術基準(電技)第4条は「電気設備は感電・火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない」という基本原則を定める
  3. 電技第2条の電圧区分は交流と直流で境界が異なる。低圧は交流600V以下・直流750V以下
  4. 高圧は交流600V超7,000V以下・直流750V超7,000V以下。特別高圧は交流・直流とも7,000V超
  5. 一般家庭の100V・200Vは低圧。第二種電気工事士が扱う一般用電気工作物は、ほとんどがこの低圧の範囲に収まる
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