在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 24時間受付 / 電話は平日 9:00〜17:00 03-3833-6431
電気工事の施工方法 ・ 5 / 10

接地工事の種類(A種〜D種)

読み終えると、こうなる

コンセント脇のアース端子が、ただの飾りではなく、漏電したときに人体の代わりに電流を引き受ける逃げ道だと見えてくる

  • 対象機器の使用電圧からA種〜D種のどの接地工事が必要か仕分けられる
  • 漏電遮断器の有無で、接地抵抗の基準値が100Ωか500Ωかを判定できる
  • 金属管の長さが4m・8mのどちらの基準に収まるかを対地電圧から選び直し、D種接地の省略可否を判定できる
考えてみよう

新築のキッチンに設置された洗濯機用コンセントには、ちゃんとアース端子が付いていた。それなのに、洗濯機を設置した家庭は「面倒だから」とアース線を接続せずに使い続けていた。

数年後、洗濯機の内部で漏電が発生した。洗い終わった洗濯物を取り出そうとして金属製の外郭に触れた家族が、ビリッとした感電を経験した。

アース線さえつないでいれば、この事故は防げたのか。そもそもアース線は何をしているのか。このトピックを読み終えるころには、接地工事の仕組みから答えられるようになっている。

接地工事は感電・漏電火災を防ぐための最重要ルールの一つで、対象機器の電圧区分に応じてA種〜D種の4種類に分かれる。

種類主な対象接地抵抗値
A種高圧・特別高圧機器の外箱、避雷器など10Ω以下
B種変圧器の低圧側中性点など150/IgΩ以下(高圧側を自動遮断する装置があれば、その遮断時間に応じて300/Ig・600/Igに緩和)
C種300Vを超える低圧機器の外箱等10Ω以下(漏電遮断器0.5秒以内なら500Ω以下)
D種300V以下の機器の外箱、コンセントの接地極等100Ω以下(漏電遮断器0.5秒以内なら500Ω以下)

第二種電気工事士が扱う一般住宅・小規模店舗の配線でもっとも登場するのはD種接地工事で、金属管などの金属製電線管や、コンセントの接地極への接続に用いられる。洗濯機のアース線がつながる先も、このD種接地工事の系統だ。

接地工事は、漏電した電流を「ゼロにする」仕組みではない。人体よりも抵抗の低い逃げ道(大地への経路)を用意することで、人体を流れる電流を減らし、感電の被害を抑える仕組みだ。

アース線がつながっていれば、洗濯機の外郭で漏電が起きても、電流の多くはアース線から大地へと流れる。人体に流れる電流はその分だけ小さくなり、感電しても被害が軽くなる、あるいは漏電遮断器が働いて電源が遮断される可能性が高くなる。アース線がなければ、その逃げ道がないぶん、人体が電流の通り道になりやすい。

ただし「常に接地工事が必要」というわけでもない。D種接地工事には省略できる条件が定められていて、学科試験ではこの省略条件のほうが繰り返し問われる。機械器具の外箱について省略できるのは、次のような場合だ(電技解釈第29条第2項)。

  • 交流の対地電圧150V以下の機械器具を、乾燥した場所に施設する場合
  • 低圧用の機械器具を、乾燥した木製の床などの絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合
  • 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具を施設する場合
  • 電源側に絶縁変圧器(2次側300V以下・容量3kVA以下)を施設し、負荷側の電路を接地しない場合
  • 水気のある場所以外に施設し、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型)を施設する場合

配線側では、金属管工事の管についても「長さ4m以下で乾燥した場所」か「対地電圧150V以下で長さ8m以下、簡易接触防護措置を施すか乾燥した場所」ならD種接地を省略できる(第159条)。

金属可とう電線管工事(第160条)にも、同じ長さの基準がある。 使用電圧300V以下では電線管にD種接地工事を施すが、管の長さが4m以下のものを施設する場合は省略できる(第3項第六号)。2本以上の管を接続して使う場合は、その全長で数える。

出題は「対地電圧200Vで、長さ6mの金属可とう電線管を使ったのでD種接地工事を省略した」という形で、**数字を基準のすぐ外側に置いて**くる。6mは4mを超えているので省略できない——**管の種類が変わっても、まず長さを4mと比べる**という手順は同じだ。

なお300Vを超える場合はC種接地工事になり、接触防護措置を施した場合に限ってD種に緩和できる(第3項第七号)。金属管工事と同じ構造の規定が、可とう管にもそのまま置かれている。

条件はばらばらに見えるが、どれも「漏電しても、人が危険な電流の通り道にならない状況」を別の手段で作っている点で共通する。乾燥・絶縁物の上・二重絶縁・非接地回路・高感度の漏電遮断器——手段は違っても目的は1つだ。だからこそ最後の条件に付いた「水気のある場所以外」という限定が効いてくる。濡れた人体は電気抵抗が大きく下がるため、水気のある場所では漏電遮断器があっても省略は認められない。試験でひっかけの軸になるのは、まさにこの一点だ。

接地は「何Ω以下か」だけでは決まらない — 線の太さにも下限がある

ここまでは抵抗値の話ばかりだった。だが接地工事には、抵抗値とは別に接地線そのものの太さの下限が定められている。ここを知らないと、学科試験で手が止まる問題がある。

出題はこういう形で来る。「三相200Vの電動機の鉄台にD種接地工事を施す。適切なものはどれか」と問われ、選択肢に「接地線の太さ」と「接地抵抗値」の組合せが4つ並ぶ。

判定材料は2つある。 ①接地抵抗値が基準内か(D種は100Ω以下、0.5秒以内に動作する漏電遮断器があれば500Ω以下)、②接地線の太さが基準を満たすか。どちらか一方でも外れれば不適切だ。

年によって、動いているのはどちらか一方になる。4つとも100Ω以下に揃えてある年なら決め手は太さのほうだし、逆に太さが揃っていれば抵抗値で決まる。まず「4つの選択肢のうち、何が違っているか」を見比べるのが先で、そこが判定の軸になる。

電技解釈第17条は、接地線を次のように定めている。

種類接地線(軟銅線の場合)引張強さで規定する場合
A種直径2.6mm以上1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線
C種・D種直径1.6mm以上0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線

覚える数字は2つだけだ。高圧を相手にするA種が2.6mm、低圧のC種・D種が1.6mm。 B種は17-3表が別に定めていて、高圧または第108条の特別高圧架空電線路(使用電圧15,000V以下)と低圧とを結合する変圧器なら2.6mm、それ以外は4mm——変圧器の容量ではなく、結合する相手の電路で決まる。第二種の範囲では出てこない。

選択肢が「◯mm²」という断面積で書かれていることがある。対応させるのは、**単線の直径と、より線の公称断面積の慣用の組合せ**だ。直径1.6mm→**2mm²**、2.0mm→**3.5mm²**、2.6mm→**5.5mm²**。円の面積の式(πD²/4)で出る値(約2.0/約3.1/約5.3mm²)とは一致しないので、電卓で確かめようとして合わずに混乱しないこと。市販の電線サイズとして対で使われている並びを、そのまま覚える。

ただし、この1.6mmには例外がある。 第17条第3項第二号ハは、移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合で、可とう性を必要とする部分について別の基準を置いている。

  • 多心コード又は多心キャブタイヤケーブルの1心であって、断面積が0.75mm²以上のもの
  • 可とう性を有する軟銅より線であって、断面積が1.25mm²以上のもの
つまり「**接地線の断面積0.75mm²**」という選択肢は、**それだけでは不適切と決められない**。据え置きの機器なら1.6mm(約2.0mm²)以上が要るので不適切だが、**移動して使う機器のコードの1心なら、0.75mm²で条文どおり**だ。

設問が「移動して使用する」「可とう性を必要とする」と書いているかどうかを先に読む。書いてあれば0.75mm²は合格、書いていなければ1.6mm以上の基準で見る——同じ数字が、機器の使われ方で正誤を変える。

なぜ細くてよいのか。移動して使う機器のコードは、曲げられ、引きずられ、巻かれる。太い単線を入れれば、そこで折れて断線する——接地線が切れてしまえば、太さの意味そのものが無くなる。細く柔らかいより線を許しているのは、強度を下げているのではなく、使われ方に耐える形を選ばせているからだ。A種で「移動して使用する場合は3種クロロプレンキャブタイヤケーブル等の1心で断面積8mm²以上」と、こちらも別枠で定められているのも同じ考え方による。

なぜ細い線ではいけないのか。接地線は、平常時は電流の流れない「使わない線」だ。だが漏電が起きた瞬間だけ、故障電流の全部を引き受ける。そのとき細すぎれば、接地線自身が溶けて切れてしまう——いちばん必要な瞬間に、逃げ道が消える。第17条が接地線に求める第一の条件が「故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること」と書かれているのは、そのためだ。抵抗値は「どれだけうまく逃がせるか」、太さは「逃がしている間、線が持ちこたえられるか」を見ている。役割が違うから、両方に基準がある。

この機器にどの接地が要るか、自分で言えるようになる

A種からD種という区分は、覚えるための分類ではなく「どれだけ高い電圧が、どれだけ人の近くにあるか」で引かれた線だ。だから住宅の機器はD種で100Ω以下、高圧設備はA種で10Ω以下と要求が変わり、0.5秒以内に動作する漏電遮断器があればD種・C種は500Ω以下まで緩和される。遮断器が速く切ってくれるなら、逃がす経路の性能はそのぶん譲れる——という交換条件が、あの数字には書かれている。

今日確かめられるのは、洗濯機・電子レンジ・エアコンのコンセントだ。アース端子が付いているか、そして実際に線がつながっているか。端子はあるのに使われていない家は珍しくない。この見方ができると、機器を買うときに「置ける場所」まで自分で判断できるようになる。屋外に置かれるEV充電器や蓄電池、太陽光のパワーコンディショナも接地を伴う機器で、後付け設備が増えるほど、どの接地が要るかを問われる場面は増えていく。工事の実務はアース(接地)工事の種類と施工方法が詳しい。

冒頭の洗濯機の事故で、アース線は何を防げたはずだったのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 問題文の但し書きにある遮断装置の条件を読み落とさせ、100Ωと500Ω(10Ωと500Ω)を取り違えさせる

    なぜ引っかかるD種接地工事の接地抵抗値は100Ω以下、C種は10Ω以下が原則だが、地絡を生じたときに0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設した場合はどちらも500Ω以下まで緩和される。この条件は問題文の本体ではなく、配線図の注意書きや設問末尾の但し書きに置かれる。図を読むことに集中していると、緩和の条件を見ないまま原則値を選ばされる。

    見破り方接地抵抗値を問われたら、設問と注意書きの中から「遮断」「0.5秒」という語を先に探す。あれば500Ω、なければ原則値。逆に「地絡遮断装置は設置されていない」と明示されている場合もあり、そのときは原則値に戻る。数字を選ぶ前に、この一語の有無だけを確認する手順を固定する。

  2. 300Vという境界のすぐ両側を出して、C種とD種を入れ替えさせる

    なぜ引っかかる使用電圧300V以下ならD種、300Vを超えればC種、という線引きは覚えていても、設問には200Vや400Vといった境界の近くの値だけが書かれる。しかも接地抵抗値は種別で10Ωと100Ωに分かれるため、種別を1つ間違えると数値も連動して外れる。緩和後の500Ωは両方に共通なので、そこだけが正解に見えてしまうこともある。

    見破り方電圧を見たら、まず300Vより上か下かだけを口に出して決め、種別を確定させてから抵抗値の表に進む。電圧・種別・抵抗値の順に一方向で処理し、抵抗値の選択肢から逆算しないこと。

  3. 接地工事を省略できる場所の条件を、床の材質や水気の有無で1つだけ入れ替える

    なぜ引っかかる省略が認められるのは、乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のものの上で取り扱う場合などで、同じ「乾燥した」場所でもコンクリートの床であれば省略できない。また、漏電遮断器を施設したことによる省略は水気のある場所には及ばない。選択肢は「乾燥した」という語をすべてに付けたうえで、床の材質や水気の有無だけを差し替えてくる。

    見破り方乾燥しているかどうかではなく、人と大地のあいだが絶縁されているかで読む。木の床は人を大地から切り離すが、コンクリートは大地そのものと考える。水気のある場所は、どれだけ高性能な漏電遮断器を付けても省略の対象外だと、例外として先に覚えておく。

  4. 金属管のD種接地を省略できる長さを、4mと8mですり替える

    なぜ引っかかる乾燥した場所であれば管の長さ4m以下、さらに対地電圧150V以下であれば8m以下まで省略できる。設問は対地電圧200Vで長さ6mの管、対地電圧100Vで長さ7mの管というように、どちらの物差しを当てるかで結論が反転する長さを選んで出してくる。長さだけを見ると、どちらも4mと8mの間に収まっている。

    見破り方長さを読む前に対地電圧を確定させ、使う物差しを4mか8mかに決めてしまう。三相200Vなら対地電圧も200Vで4mの物差し、単相3線式100/200Vの100V回路なら対地電圧100Vで8mの物差し、と回路の種類から対地電圧を導く練習をしておく。

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. D種接地工事は300V以下の機器外箱・コンセントの接地極等が対象で、接地抵抗値は100Ω以下
  2. 漏電遮断器(0.5秒以内に動作するもの)を施設した場合、D種・C種は500Ω以下に緩和される
  3. A種は高圧・特別高圧機器の外箱等が対象で10Ω以下、C種は300Vを超える低圧機器の外箱等が対象で10Ω以下
  4. 接地工事は漏電した電流を大地に逃がし、人体を流れる電流を減らして感電の被害を抑える仕組み
  5. D種接地の省略条件:対地電圧150V以下+乾燥した場所、二重絶縁構造、絶縁変圧器(300V以下・3kVA以下)で非接地、金属管4m以下+乾燥(対地電圧150V以下なら8m以下も可)など。水気のある場所では漏電遮断器があっても省略できない
Xでシェア
打ち合わせを予約 見積依頼