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電材基礎配線工事法令・資格

アース(接地)工事の種類と施工方法|A種・B種・C種・D種の違いと用途

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

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電気設備の施工現場で「アースを忘れずに」という指示は日常茶飯事だが、なぜA種・D種の区別が必要なのか、接地抵抗値の根拠はどこにあるのかを体系的に説明できる技術者は意外に少ない。電気設備に関する技術基準を定める省令は、第10条で電気設備に接地を施すこと、第11条でその接地の方法を定めており、機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す義務は電技解釈 第29条、種別・抵抗値・施工方法の詳細は電技解釈 第17条以降が規定している。

感電による死亡災害は厚生労働省の統計によれば年間20〜30件前後で推移しているとされ(業界目安として参照)、その相当数が接地不良や接地の省略に起因するとみられる。アース工事の種別と施工要件を正確に把握することは、法令遵守だけでなく現場作業員の安全確保に直結する。

この記事でわかること

  • A種・B種・C種・D種の接地抵抗値と適用対象機器の違い
  • 接地の3つの目的(感電防止・雷害対策・ノイズ対策)の整理
  • 接地棒(銅覆鋼棒)の選び方と施工方法の実務ポイント
  • 接地抵抗の測定方法(電位降下法=コーレン法)の3電極配置
  • アース線の断面積選定と電技解釈 第17条の要件
  • 接地の共用がどこまで認められるか(電技解釈第18条は鉄骨等の共用を明示的に認めている)

接地の3つの目的

接地(アース)は「電位をゼロにする」という単純な行為だが、その目的は大きく3つに分類される。

感電防止

漏電が発生した際、金属外箱に接地がなければ人体が触れた瞬間に人体を通して電流が大地に流れ感電する。接地があれば電流は接地線を通じて大地へ流れ、人体への電流を抑制できる(電技 第11条の趣旨)。漏電遮断器と組み合わせることで回路を遮断する二重の保護が実現する。

雷害対策

雷サージ(落雷時に発生する過渡的な過電圧)は避雷器(LA)を経由して大地に逃がす必要がある。避雷器の動作効果を発揮させるためにはA種接地(10Ω以下)が必須であり、接地抵抗値が高いと逃げ切れなかったエネルギーが機器に流れ込み損傷する。

ノイズ(高周波)対策

インバータ機器・サーバー・医療機器などは高周波ノイズの発生源にも受容体にもなる。適切な接地(シールド接地・機能接地)によって高周波ノイズの伝播を抑制し、機器誤動作や計測誤差を防ぐ。特に電子計測・制御系ではノイズ対策目的の独立接地が施されることも多い(機能上必要な接地は電技解釈 第19条、とくに同条第6項)。

A種〜D種接地工事の違いと抵抗値基準

電技解釈 第17条〜第29条で4種類の接地工事が規定されている。以下の表に要点をまとめる。

種別接地抵抗値主な対象機器
A種10Ω以下高圧・特別高圧機器の金属製外箱、避雷器
B種150/I Ω以下(Iは変圧器高圧側の1線地絡電流〔A〕)変圧器の低圧側中性点または低圧側1端子
C種10Ω以下300Vを超える低圧機器の金属製外箱(漏電遮断器設置時は500Ω以下)
D種100Ω以下300V以下機器の金属製外箱・コンセントのアース端子(漏電遮断器設置時は500Ω以下)

(出典:電気設備技術基準の解釈 第17条・第24条・第29条)

A種接地

高圧電路・高圧機器(受変電設備のキュービクル外箱・断路器・避雷器など)に適用される最も厳格な種別だ。10Ω以下という要求値は、高圧電路の地絡時に人体への感電電圧(接触電圧)を安全限界以内に抑えるための数値とされる。避雷器に接続するアース線は、サージ電流に対応した太さ・低インダクタンス配線が求められる。

B種接地

高圧-低圧変圧器の低圧側中性点(またはV結線の1端子)に施す接地で、高低圧混触時の低圧側電位上昇を抑制する。接地抵抗値の計算式「150÷I(Ω)」のIは高圧側の1線地絡電流(A)であり、電力会社から提供される数値を用いる。ただし150/Igの計算値が5Ωを下回っても、接地抵抗値は5Ω未満であることを要しない(電技解釈 第24条第1項第二号)。境界となるのはIg=30Aで、これを超えると5Ωで頭打ちになる。

C種接地

300Vを超える低圧電路(例:三相400V)に接続される機器外箱に適用される。要求値はA種と同じ10Ω以下だが、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に電路を自動的に遮断する装置を施設したときは500Ω以下に緩和される(電技解釈 第17条第3項第一号)。

D種接地

一般住宅〜中小規模工場の低圧機器(200Vエアコン・コンセントアース端子など)に最もよく用いられる種別だ。100Ω以下という要求値は、比較的低い土壌抵抗率の環境であれば単棒1本の打設で達成できるケースが多い(業界目安)。漏電遮断器設置時は500Ω以下への緩和が適用される。

なおこの4種別と抵抗値は、第二種電気工事士の学科試験でもそのまま出題される。試験で差がつくのは数値そのものより「どんなときに接地を省略してよいか」のほうで、乾燥した場所・二重絶縁構造・低圧用地絡遮断装置の設置といった省略条件が条文単位で問われる。条文番号つきの整理は接地工事の種類(A種〜D種)にまとめてある。

接地棒の選び方と施工方法

材料の種類

接地極として最も広く使われるのは銅覆鋼棒(銅コーティング鋼棒)だ。内部が鋼製で機械的強度を確保しつつ、外周を銅で被覆して耐食性を高めている。JIS A 4312(接地棒)に準拠した製品が一般的に流通している。長さは1,200mm・1,500mm・1,800mm品が主流とされる(業界流通実績より)。銅板・銅管を埋設する方法もあるが、スペース上の制約が少ない棒形が主流だ。

接地端子・アース棒に関連する資材はニチフが接地端子・アース線接続部材の製品ラインアップを持っており、現場での接続信頼性確保に参照されることが多い。

施工のポイント

  • 打込み深さ:棒の全長が地面に入る深さ(地表下)を確保する。岩盤・砂礫層で十分な深さが取れない場合は本数増加か低抵抗充填材(ベントナイト系)の併用が有効とされる。
  • 土壌の影響:土壌抵抗率は地域・地質・含水率で大きく変わる。腐葉土・粘土質は低抵抗(低い接地抵抗を得やすい)、砂礫・岩盤は高抵抗になりやすい(業界一般知見)。
  • 複数棒並列:目標抵抗値を1本で達成できない場合は複数棒を並列接続する。棒間距離は棒長以上(1.5m以上が業界目安)確保しないと低減効果が低下する。
  • 接続部の防食:埋設部の接続点(スリーブ・圧着部)は長期腐食を防ぐため、防食テープ・接地用防食材で保護する。

接地線の引き回し

接地棒のリード線(立上線)は損傷を受けやすい地中〜地表近傍の部分を金属管や合成樹脂管で保護する。地中ではPF管・E管が使われることが多い。

アース線のサイズ選定(電技解釈 第17条)

接地線の断面積は電技解釈 第17条の表で最低値が規定されている。現場でよく参照される目安を以下に示す。

接地種別接地線最小断面積(銅線)代表的な電線サイズ
A種2.6mm(直径換算) 相当以上5.5mm²以上が一般的
B種2.6mm(高圧・第108条の特別高圧架空電線路と低圧を結合する変圧器)/それ以外は4mm相当以上前者は5.5mm²以上、後者は4mm=約12.6mm²相当のため実務上14mm²以上
C種・D種1.6mm(直径換算) 相当以上2.0mm²以上が一般的

(電技解釈 第17条を参考にした施工目安。具体的数値は常に最新の解釈を参照すること)

A種(B種も準用)の接地線は、地下75cmから地表上2mまでの部分を合成樹脂管等で覆うことが求められる(電技解釈 第17条第1項第三号ニ)。接地線はサージ電流・地絡電流に対する熱的強度も考慮した選定が必要だ。

接地抵抗の測定方法:電位降下法(コーレン法)

接地抵抗の正式な測定方法として広く採用されているのが電位降下法(コーレン法・3電極法)だ。

3電極の配置

電極役割
E(被測定接地極)測定対象のアース棒
P(電位補助電極)電位を検出する補助電極。Eから10〜20m程度離して配置
C(電流補助電極)測定電流を流す補助電極。Eから20〜30m程度離して配置(業界目安)

測定器からEとC間に定電流(交流)を流し、E-P間の電圧降下を計測することで接地抵抗を算出する。電位補助電極Pをほぼ一定の位置(C-E間の距離の62%付近)に置く62%法が標準とされる。

測定時の注意点

  • 補助電極間に給水管・ガス管などの金属管埋設物があると測定誤差が生じるため、配置方向の選択が重要だ。
  • 雨天直後は土壌含水率の上昇で見かけ上の抵抗値が低く出ることがある(業界一般知見)。竣工試験は安定した土壌条件下で実施することが望ましい。
  • 接地抵抗計のリード線(補助電極ケーブル)が近くの接地線と接触・交差すると誤差要因になる。

接地工事の施工チェックリスト

接地工事完了時の確認項目を以下にまとめる。

  • 接地種別が設計図書と一致しているか(A/B/C/D種)
  • 接地棒のサイズ・材質(JIS A 4312準拠品)を確認したか
  • 接地棒の打込み深さが全長分確保できているか
  • 接地線の断面積が電技解釈 第17条の要件を満たしているか
  • 地表立上部分の保護管(PF管・E管等)が施工されているか
  • 接続部(スリーブ・圧着端子)の防食処理が完了しているか
  • 接地抵抗の測定値が要求値以下であることを確認したか(測定記録を保存)
  • 異種の接地を共用してよいかを、内線規程・機器メーカーの指定に照らして確認したか(電技解釈には一般的な共用禁止規定はなく、第18条は建物の鉄骨等を共用の接地極として使うことを明示的に認めている)

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よくある質問

A種・B種・C種・D種接地工事の違いは何ですか?

適用対象と要求接地抵抗値が異なります。A種(10Ω以下)は高圧機器の外箱・避雷器、B種(150/I Ω以下)は変圧器低圧側の中性点、C種(10Ω以下)は300Vを超える低圧機器の外箱、D種(100Ω以下)は300V以下機器の外箱・コンセントのアース端子に適用されます(電技解釈 第17条〜第29条)。C種・D種は漏電遮断器(0.5秒以内動作)を設置した場合は500Ω以下に緩和されます。

D種接地工事の接地抵抗はなぜ100Ω以下なのですか?

300V以下の低圧電路で漏電が発生した場合に人体への感電電圧(接触電圧)を安全な範囲に抑えるための数値です。接地抵抗が低いほど地絡電流を大地に逃がしやすく、人体への電圧分担が小さくなります。地絡を生じた場合に0.5秒以内に電路を自動的に遮断する装置を施設したときは、500Ω以下への緩和が認められています(電技解釈 第17条第4項第一号)。条文が求めているのは遮断時間だけで、感度電流の指定はありません。

接地抵抗の測定にはどんな方法がありますか?

最も標準的なのは電位降下法(コーレン法・3電極法)です。被測定電極(E)・電位補助電極(P)・電流補助電極(C)の3電極を用い、E-C間に電流を流してE-P間の電圧降下から抵抗値を算出します。Pを「C-E間距離の62%」の位置に配置する62%法が標準とされます。補助電極のスペースが確保できない場所ではクランプ式接地抵抗計による簡易測定が用いられることもありますが、公式測定は電位降下法が基本です。

アース線のサイズはどう選べばよいですか?

電技解釈 第17条の表で接地線断面積の最低値が規定されています。C種・D種は引張強さ0.39kN以上又は直径1.6mm以上、A種は1.04kN以上又は直径2.6mm以上です(第17条第1項第二号ロ・第3項第二号ロ・第4項第二号)。機械的損傷のおそれがある地表露出部分は、さらに太い線径または金属管・合成樹脂管による保護が必要です。A種は雷サージ電流への熱的強度も考慮した選定が求められます。

土壌抵抗率が高いと接地抵抗が下がりにくいのはなぜですか?

接地棒の接地抵抗は周囲の土壌(大地)が電流を広げる媒体になるため、土壌抵抗率(ρ)が高いほど電流が広がりにくく接地抵抗が高くなります。岩盤・砂礫・乾燥した砂地は抵抗率が高く、湿った粘土・腐葉土は低い傾向があります(業界一般知見)。高抵抗率の環境では接地棒を複数並列に打設する・深打ちする・低抵抗充填材(ベントナイト系)を使用するなどの対策が有効とされます。

漏電遮断器を設置した場合の接地工事の基準は変わりますか?

C種・D種接地工事では基準が緩和されます。低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に電路を自動的に遮断する装置を施設したときは、C種は「10Ω以下」から「500Ω以下」、D種は「100Ω以下」から「500Ω以下」への緩和が認められています(電技解釈 第17条第3項第一号・第4項第一号。感度電流の指定はありません)。ただしA種・B種には漏電遮断器による緩和規定はなく、要求接地抵抗値は変わりません。

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参考文献・出典

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

接地は「施工する側」と「測る側」の両方から出題されます。アーステスタの3電極法と基準値に加えて、そもそも対地電圧という値が「どこを接地したか」で決まることを押さえておくと、住宅の150V制限の意味まで通ります。

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