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一般用電気工作物等の検査方法 ・ 4 / 9

接地抵抗測定の方法と基準値

読み終えると、こうなる

接地抵抗計が示す中途半端な数字を見て、それが合格か不合格か、遮断器の条件まで含めて判定できるようになる

  • 対象機器の使用電圧からC種10Ω・D種100Ωのどちらの基準を当てるべきか選び直せる
  • 遮断器の動作時間が0.5秒以内に収まっているかを確かめ、100Ωと500Ωのどちらの基準を使うか判定できる
  • 補助接地棒がE→P→Cの順に約10m間隔で一直線に並んでいるかを確認し、正しい配置かどうか見分けられる
考えてみよう

エアコンの室外機を新設し、接地工事を終えた。電気工事士は接地抵抗計(アーステスタ)を接地極に接続して測定ボタンを押す。表示された値は120Ωだった。

このエアコンはD種接地工事の対象、つまり基準は100Ω以下のはずだ。120Ωという数字は、基準よりわずかに高いだけに見える。しかし、これは合格なのか不合格なのか。もし不合格だとしたら、何をやり直せばこの数字を下げられるのか。

このトピックを読み終えるころには、この120Ωが何を意味するのか、迷わず判定できるようになっている。

接地抵抗測定は、接地抵抗計(アーステスタ)を使い、接地極(アース)が大地としっかり導通しているか=接地抵抗値が基準値以下になっているかを確認する試験だ。

絶縁抵抗測定との違い(直流 vs 交流)

絶縁抵抗計が直流電圧で測定するのに対し、接地抵抗計は交流の測定電流を使って測定する。直流で測定すると大地との間で電気分解のような分極作用が起き、正確な値が測れなくなるためだ。

「絶縁抵抗=直流」「接地抵抗=交流」。この対比は試験でも繰り返し問われる基本知識だが、「なぜ」まで理解しておくと表現が変わった問題にも迷わない。直流を大地に流し続けると電極表面で分極作用が起きて内部抵抗が変化してしまう。だから接地抵抗測定には交流を使う。

測定の原理と実測手順(電位降下法・3点法)

一般的な接地抵抗計は「電位降下法(3点法)」という原理で測定する。現場での手順は、地面に棒を打つ前の確認から始まる。

  1. 電池容量を確認する — 電池式の計器は、電池が消耗していると正確な値を表示できない
  2. 地電圧を確認する — 大地には、付近の設備からの漏れ電流などで生じた電圧(地電圧)が元々存在することがある。これが大きいと測定値に誤差が出るため、地電圧が許容値以下であることを確かめてから測定に移る
  3. 補助接地棒を打ち込む — 測定対象の接地極(E)を端として、電位用のP、電流用のCの順に、約10m間隔でほぼ一直線上に打ち込む。並び順は必ずE→P→Cになる
  4. 測定する — E-C間に接地抵抗計から交流の測定電流を流し、E-P間に生じる電位差から接地抵抗値(R = V/I)を算出する

学科試験では、この手順のうち「E→P→Cの並び順」「約10m間隔」「ほぼ一直線」「測定前の電池・地電圧の確認」が、記述の正誤を判定させる形で繰り返し問われている。順番を入れ替えた選択肢(P→E→Cなど)が定番のひっかけだ。

接地工事の種類と接地抵抗値の基準

接地工事は電気設備の技術基準の解釈 第17条により、対象機器の使用電圧などに応じてA種〜D種に区分され、それぞれ接地抵抗値の基準が定められている。第二種電気工事士の試験では、一般用電気工作物(600V以下)で主に使われるC種・D種が中心に問われる。

接地工事の種類主な対象接地抵抗値の基準
A種接地工事高圧・特別高圧の機器の金属製外箱など10Ω以下
C種接地工事300Vを超える低圧用機器の金属製外箱など10Ω以下(0.5秒以内に動作する漏電遮断器を施設した場合は500Ω以下に緩和)
D種接地工事300V以下の低圧用機器の金属製外箱など100Ω以下(0.5秒以内に動作する漏電遮断器を施設した場合は500Ω以下に緩和)

一般家庭のエアコン・電気温水器など300V以下の機器はD種、工場の動力機器など300Vを超える低圧機器はC種が対象になる。

アース線の先を、数字で疑えるようになる

接地は「つないである」ことと「効いている」ことが別物だ。端子のねじがきちんと締まっていても、接地極が乾いた砂利層にしか刺さっていなければ抵抗は落ちない。それを見抜けるのが接地抵抗計で、基準を超えていたら打つ手も決まっている。深く打ち直す、複数本を並列に打ち増す、接地抵抗低減剤を使う。原因を推測して悩む仕事ではなく、測って対処する仕事だ。

今日できるのは、家の中でアース線を探すことだ。洗濯機、電子レンジ、エアコン、温水洗浄便座。コンセントにアース端子があるか、そこに線が実際につながっているか。端子はあるのに線が遊んでいる例は珍しくない。それを見つけたら、接地が「ある」のに「効いていない」いちばん単純な形を、自分の目で確認したことになる。

D種の100Ωが、0.5秒以内に動作する漏電遮断器があると500Ωまで緩む。この一見不可解な条件も、並べてみると筋が通っている。接地は地絡した電流を大地へ逃がすための道であり、その目的は感電を防ぐことにある。素早く電源を切る仕組みが別にあるなら、道の細さは同じ意味を持たない。数字だけを覚えると意味不明な緩和規定も、「何を守るための数字か」から見ると素直に読める。土に打ち込んだ1本の棒と最新の遮断器が、同じ目的で役割を分け合っている。

冒頭のエアコンの接地抵抗120Ωが合格なのか不合格なのか、そしてどうすればこの数字を下げられるのか——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 補助接地極の配置を「被測定接地極を中央にして左右一直線上に」と書き換える

    なぜ引っかかるこの問題は同じ選択肢のまま何度も出題されており、崩し方も定まっている。被測定接地極を中央に置く(並びがP-E-Cになる)ものが筆頭で、ほかに間隔を10m程度から1m程度に縮めたもの、一直線をやめて正三角形に配置したものが並ぶ。どれも「一直線」「補助接地極2本」といった正しい語がそのまま残っているため、読み流すと違和感が出ない。

    見破り方被測定接地極(E)が必ず端に来る、と形で覚える。電流を流すのはE-C間、電位差を見るのはE-P間だから、Pが真ん中に来なければ電位降下の途中を拾えない。選択肢を読むときは「Eは端か」「間隔は10m程度か」「一直線か」の3点を順に潰す。

  2. 問題文の遮断時間を0.1秒などにして、条文の0.5秒と数字が違うから緩和されないと錯覚させる

    なぜ引っかかる解釈第17条の緩和条件は「地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するとき」。ところが出題では「0.1秒で遮断する装置が施してある」と書かれる。0.5秒という数字だけを丸暗記していると、0.1秒は条文と違うので緩和は効かないと判断し、100Ω以下で合否を付けてしまう。実際には0.1秒は0.5秒以内に収まるので緩和が効き、基準は500Ω以下になる。

    見破り方条文の数字は上限であって一致を求める値ではない、と読む。「0.5秒以内」という日本語のとおり、遮断時間がそれより短ければ条件を満たす。逆に「ただし、電路に漏電遮断器は施設されていないものとする」と書かれていたら緩和は使えず100Ω以下——この但し書きの1行を必ず先に探す。

  3. 接地抵抗計の出力を直流と書く

    なぜ引っかかる「接地抵抗計に関する記述として誤っているものは」という形式で、ディジタル形と指針形がある・測定前に電池が有効であることを確認する・地電圧が許容値以下であることを確認する、という正しい記述3つの中に「出力端子における電圧は直流電圧である」を1つだけ混ぜてくる。正しい記述が並んでいる安心感で、そのまま読み飛ばしやすい。

    見破り方理由ごと思い出す。直流を大地に流し続けると電極表面で分極作用が起きて正しい値が出ないから、接地抵抗計は交流を使う。「絶縁抵抗計は直流/接地抵抗計は交流」を、理由とセットで一組にしておく。

  4. C種(10Ω以下)とD種(100Ω以下)を、対象機器の使用電圧ごと入れ替える

    なぜ引っかかる300Vという境界と、10Ω/100Ωという2つの数字を別々に覚えていると、組み合わせで聞かれた瞬間にどちらがどちらか分からなくなる。住宅のエアコンにC種10Ωを当てる選択肢が、もっともらしく並ぶ。

    見破り方「300Vを超える=より危険=より厳しい10Ω(C種)」「300V以下=100Ω(D種)」と、電圧の高さと基準の厳しさが同じ向きに動くことで結びつける。住宅の機器はほぼすべて300V以下なのでD種、と現物からも確認できる。

参考文献・出典

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 接地抵抗測定は接地抵抗計(アーステスタ)を使い、交流の測定電流で電位降下法(3点法)により接地抵抗値(Ω)を算出する
  2. 補助接地極はE(被測定接地極)→P(電位用)→C(電流用)の順に、約10m間隔でほぼ一直線上に配置する
  3. 測定前には、接地抵抗計の電池容量が正常であることと、地電圧が許容値以下であることを確認する
  4. 絶縁抵抗測定は直流、接地抵抗測定は交流で測定する。直流だと大地との間で電気分解のような分極作用が起き正確に測れないため
  5. D種接地工事は100Ω以下(高速形漏電遮断器があれば500Ω以下に緩和)、C種接地工事は10Ω以下(同緩和で500Ω以下)が基準
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