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電気工事の施工方法 ・ 4 / 10

コード・キャブタイヤケーブルの取付規定

読み終えると、こうなる

壁に釘で留められた延長コードを、屋内配線として許される使い方かどうか仕分けられるようになる

  • 延長コードが恒久固定されているのを見つけたら、断面積8mm²の基準を確認する前にそもそも原則違反だと指させる
  • ショウウィンドー内の例外に当たる施工を見て、断面積0.75mm²以上・支持点間隔1m以下の両方を満たしているか照合できる
  • 断面積8mm²を境に、支持点間隔60cmと1mのどちらを当てるべきか選び直せる
考えてみよう

小さな店舗で、コンセントの位置が足りず、延長コードを壁に沿わせて釘で固定し、そのまま何年も屋内配線代わりに使っていた。見た目には配線がきれいに壁に沿っているだけで、特に問題があるようには見えなかった。

ある日、壁際から焦げたような臭いがした。確認すると、固定していた釘の周辺でコードの被覆が擦り切れ、発熱した跡があった。火災には至らなかったが、一歩間違えば危なかった。

この延長コードの使い方、どこに問題があったのか。このトピックを読み終えるころには、現場でこの光景を見ただけで指摘できるようになっている。

コードやキャブタイヤケーブルは、電気機器・器具への電源供給に使う「移動用」の電線だ。

コード・キャブタイヤケーブルを、金属管工事やケーブル工事のように造営材へ恒久的に固定して屋内配線として使うことは、原則として認められていない(ショーウィンドー内の装飾用など一部例外を除く)。

つまり冒頭の店舗のように、延長コードを壁に釘で固定して何年も使い続けること自体が、そもそも原則から外れた使い方になる。

それでもやむを得ず造営材の下面・側面に沿わせて取り付ける場合は、被覆を損傷しないように取り付けたうえで、断面積に応じた支持点間隔を守る必要がある。

電線の断面積支持点間隔
8mm² 未満60cm 以下
8mm² 以上1m 以下

コード・キャブタイヤケーブルを他の電線と接続する場合も、電線管工事等と同様に接続部分を保護する処置(差込接続器やジョイントボックスの利用等)が必要で、被覆を損傷したまま使用してはならない。固定間隔が空きすぎたり、恒久固定されたコードが日々のわずかな振動や擦れにさらされ続けたりすれば、被覆はやがて傷み、内部の芯線が露出する危険が高まる。

電球をコードで吊るとき、使えるコードは限られている

天井からコード吊りで白熱電球やペンダントを下げる。この「電球につながるコード」を、電技解釈は電球線と呼んで専用の規定を置いている(第170条)。配線図の問題で「⑨の部分(コード吊り)に使用できるものはどれか」という形で出る。

条件は3つ。
  1. 使用電圧は300V以下であること
  2. 断面積は0.75mm²以上であること
  3. 電線の種類は、屋内なら防湿コード/防湿コード以外のゴムコード/ゴムキャブタイヤコード、およびキャブタイヤケーブル類(1〜4種、クロロプレン・クロロスルホン化ポリエチレン)であること

決め手は3つ目だ。表に並んでいるのはゴム系ばかりで、ビニルコードもビニルキャブタイヤコードも載っていない。つまり電球線にビニルコードは使えない

なぜゴムなのか。相手が白熱電球だからだ。白熱電球は電力の大半を熱にして光る器具で、口金のすぐそばはかなり熱くなる。ビニル(塩化ビニル)は熱に弱く、軟らかくなって垂れ、やがて絶縁が損なわれる。 ゴムは熱に対してビニルより粘り、形を保つ。「熱を出す器具にぶら下がる線」だからゴム——用途と材質が、条文の表の中で1対1に対応している。

0.75mm²という下限も、この用途ならではだ。器具の重さがそのままコードに掛かるうえ、電球の交換で引っ張られたり回されたりする。細すぎれば、電気的にではなく機械的に切れる。

数字が似ているので混同しやすいが、**0.75mm²は用途によって意味が変わる**。
  • 電球線(第170条)— 断面積0.75mm²以上
  • 移動して使用する機器の接地線(第17条)— 多心コードの1心で0.75mm²以上
  • ショウウィンドー内の配線(第172条)— 断面積0.75mm²以上のコード等

いずれも「細くて柔らかい線を使わざるを得ない場面の下限」として同じ数字が置かれている、と捉えると整理しやすい。

「とりあえず」の延長コードを、根拠を持って指摘できる

事務所や店舗でいちばん多い危うい配線は、資格の要る工事ではなく、誰でもできてしまう延長コードの固定だ。60cm・1mという支持点間隔と、そもそも恒久固定が原則できないという前提を知っていると、机の下や棚の裏を覗いた瞬間に、それが配線なのか仮設の使い方なのかを言葉にできる。今日試せるのは、職場で幅木や壁に沿って留められたコードを1本探し、留め具がコードに食い込んでいないか、折れ曲がったまま固定されていないかを見ることだ。

コードは「動かして使う」前提で作られた電線で、屋内配線に求められる保護を最初から持っていない。動かない場所に固定した瞬間、その前提がずれる。このズレが冒頭のような発熱や、プラグ側のトラッキング現象につながっていく。家電やOA機器が増えるほど「コンセントが足りない」場面は増えるが、そこで延長コードを足すのか、専用回路を1つ増やす工事として提案するのか。その線引きを説明できる人が、現場で頼りにされる。

冒頭の延長コードで何が起きていたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. ショウウィンドー内という例外が使える条件の数値を、1つだけ入れ替える

    なぜ引っかかるコードを造営材に取り付けてよい数少ない例外がショウウィンドー・ショウケースの内部だが、そこには断面積0.75mm²以上のコード又はキャブタイヤケーブルを使い、支持点間の距離を1m以下とし、乾燥した場所で外部から見えやすい箇所に施設する、といった条件が束になって付いている。設問はこのうち1つだけを0.5mm²や2mへ差し替えてくる。他の条件が正しく書かれているぶん、差し替えられた1つが目立たない。

    見破り方ショウウィンドーという語を見たら、断面積と支持点間の2つの数字を先に思い出してから本文を読む。0.75と1という覚えやすい組を頭に置き、選択肢の数字と1つずつ突き合わせる。条件が多いときほど、正しく書かれた条件の数に安心しないこと。

  2. キャブタイヤケーブルにも、一般のケーブルの2mを当てはめさせる

    なぜ引っかかるキャブタイヤケーブルをケーブル工事として施設する場合の支持点間は1m以下で、一般のケーブルの2m以下より厳しい。ところが同じケーブル工事という括りで出題されるため、数字も共通だと思い込む。1mと2mの中間の、2mより短くて安全側に見える値を置かれると、なおさら見過ごす。

    見破り方電線の名前を先に読み、名前と数字を対にして判断する。ケーブルなら2m、キャブタイヤケーブルなら1m。1mと2mの中間の値が書かれていたら、キャブタイヤかどうかを疑うサインだと考える。

  3. 支持点間隔さえ守れば、コードを屋内配線として固定してよいかのように読ませる

    なぜ引っかかる支持点間隔の数値を覚えていると、その数字を満たすことが適否の判断基準だと錯覚する。しかしコードとキャブタイヤケーブルは移動して使う電気機器へ電気を送るための電線であり、屋内配線の代わりに造営材へ恒久的に固定すること自体が原則として認められていない。数値を満たしていても、そもそも土俵に乗っていない。

    見破り方コードが出てきたら、支持点間の数字を確かめる前に「これは移動用か、固定配線か」を先に問う。固定配線として使っている記述であれば、ショウウィンドー内などの明示された例外に当たらない限り、数値を見るまでもなく不適切と判断できる。

参考文献・出典

  • 電気設備の技術基準の解釈(経済産業省) (第164条第1項第三号(キャブタイヤケーブルをケーブル工事として施設する場合の支持点間距離1m以下)、第172条第1項(ショウウインドー又はショウケース内の低圧屋内配線:断面積0.75mm²以上のコード又はキャブタイヤケーブル・電線の支持点間の距離1m以下))

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. コード・キャブタイヤケーブルは移動用の電線で、造営材への恒久的な固定は原則認められていない
  2. やむを得ず固定する場合、断面積8mm²未満は支持点間隔60cm以下、8mm²以上は1m以下とする
  3. 他の電線と接続する場合は差込接続器やジョイントボックス等で接続部を保護する
  4. 被覆を損傷したまま使用してはならない
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