水が流れる配管の途中で、管が太い部分から細い部分に変わっている。流れる水の量は変わらない。細い部分で、水の速さはどうなるか。そして、管の壁にかかる圧力は、太い部分より高いか、低いか。
「細い所は押し込まれるから、圧力が高い」と感じる人は多い。ところが、実際は逆になる。しかも、その差は式で数字にできる。ポンプの「揚程」も、ダクトの風量を測るピトー管も、同じ考え方から出てくる。読み終えるころには、管が変わる所で圧力がどれだけ動くかを、自分で計算できるようになっている。
まず一言で
骨格は3つだ。
- 連続の式:途中で出入りがなければ、流れる量(体積流量)は、断面が変わっても同じ。だから細い所ほど速い。円管では、流速は内径の2乗に反比例する(内径が半分なら流速は4倍)
- ベルヌーイの式:摩擦のない理想的な定常の流れでは、流れに沿った線(流線)に沿って、圧力・速度・高さの3つのエネルギーの和が変わらない。だから、同じ高さなら速い所ほど圧力が低く、同じ速さなら高い所ほど圧力が低い
- 水頭:圧力を「水の柱の高さ」[m] に直した値。高さと同じ単位で足し引きでき、ポンプの揚程につながる。ポンプのない区間の実際の配管では、摩擦で和が下流ほど減る。その損失は、次のトピックで扱う
令和8年度の問題Aには、この範囲から2問が出ている。断面積が変わる円管の風速を連続の式で求める問題(No.3)と、流体に関する4つの記述から適当でないものを選ぶ問題(No.4。ベルヌーイの定理の記述を含む)だ。
仕組み① 圧力の「ものさし」をそろえる
ベルヌーイの式は圧力を扱う。式に入る前に、圧力の言い方をそろえておく。
絶対圧とゲージ圧
圧力計は、ふつう大気圧を基準にして測る。この値がゲージ圧で、大気圧より低ければ負圧、高ければ正圧になる。完全真空を基準にした圧力が絶対圧で、負にならない。絶対圧は、ゲージ圧に大気圧を加えたものだ(日本原子力研究開発機構のサイト ATOMICA)。大気圧は約 Pa(約101.3 kPa、1気圧)で、少しずつ変動している。
深いほど圧力が高い — 静水圧
静止した水の中で、水面の圧力が のとき、深さ の圧力は次のとおりだ(北海道大学のノート)。
なぜ深いほど高いのか。その深さより上にある水の重さを、下の水が支えているからだ。水の密度を kg/m³、重力加速度を m/s² とすると、10 m 深くなるごとに kPa、つまりおよそ1気圧ぶん高くなる。同じノートも、10 m ごとに水圧は1気圧高くなる、と書いている。
水頭 — 圧力を「水の柱の高さ」で言う
式 を について解くと、
圧力 を、密度 の流体の柱の高さ [m] で言い換えたものが水頭だ。水なら、1 m の水頭は約9.8 kPa。ゲージ圧 98 kPa は、水頭にすると10 m になる。
水頭にそろえる利点は、高さ も同じ [m] で表せることだ。圧力・速度・高さの3つを、すべてメートルで足し引きできる。圧力を水頭にしたものを圧力水頭、速度を水頭にしたものを速度水頭、摩擦などで失われる分を損失水頭と呼ぶ(名古屋大学の試験問題と、中小企業基盤整備機構の解説に、この呼び名が出ている)。
やってみよう①:圧力計が 0.35 MPa を指している
水の配管の圧力計が、ゲージ圧で 0.35 MPa を指している。圧力水頭は何 m か。また、絶対圧はいくらか。大気圧は 101.3 kPa、水の密度は 1000 kg/m³、 m/s² とする。
水頭は、
絶対圧は、ゲージ圧に大気圧を足して、 kPa、約0.45 MPa だ。同じ圧力が、35.7 m(水頭)とも、0.35 MPa(ゲージ圧)とも、0.45 MPa(絶対圧)とも言える。
これで、圧力の数字を見たら、基準(絶対かゲージか)と単位(Pa か水頭 m か)を言い分けられる。
仕組み② 連続の式 — 細い所は、なぜ速いのか
水は、管の中で勝手に増えも減りもしない。この当たり前が、連続の式の中身だ。流体の質量が保存される(質量保存則)という原理から出る(北海道大学のノート)。
管の断面1と断面2の間を考える。壁で囲まれていて、出入りするのは両端の断面だけだ。流れが定常(時間がたっても変わらない)なら、この区間の中の水の量は増えも減りもしない。だから、断面1から1秒間に入る質量と、断面2から1秒間に出る質量は等しい。断面積を 、平均流速を 、密度を とすると、
密度が一定とみなせるなら、 が消えて、
は体積流量 [m³/s] だ。この管の形の式は、標準的な式で、出典資料にはなく、筆者が質量保存則から導いた。九州工業大学や名古屋大学の試験の解答例も、同じ形の連続の式を使っている。
断面内の流速は実際には一様ではないので、断面全体の平均流速 を使う(令和8年度の問題も、断面内の風速は等しいものとして条件を示していた)。
円管なら なので、
流速は内径の比そのものではなく、内径の比の2乗で変わる。
| 内径が | 断面積は | 流速は |
|---|---|---|
| 1/2 になる | 1/4 になる | 4倍になる |
| 1/3 になる | 1/9 になる | 9倍になる |
| 2倍になる | 4倍になる | 1/4 になる |
ダクトの空気も、同じ式でよいのか
空気は縮む気体だが、NASA Glenn の解説によると、密度の変化率は、速度の変化率にマッハ数の2乗を掛けた大きさになる。海面上の音速は約330 m/s なので、風速10 m/s ならマッハ数は約0.03、その2乗は約0.0009。風速が10%変わっても、密度の変化は約0.01%にとどまる(筆者の見積もり)。空調ダクトの風速程度なら、密度を一定とみなして連続の式を使ってよい。令和8年度の問題も、空気を非圧縮性とする条件を示していた。
これで、断面積や内径が変わる配管・ダクトの、各部の流速が出せる。
仕組み③ ベルヌーイの定理 — 速い所は、なぜ圧力が低いのか
3つのエネルギーの帳簿
流体の小さな塊が、流れに沿って進んでいく。その塊には、3種類のエネルギーがある。運動エネルギー(速さによる)、位置エネルギー(高さによる)、圧力によるエネルギー(周りから押される圧力による)だ。単位質量あたりで書くと、それぞれ 、、 になる。
ベルヌーイの定理は、この3つの和が、流線に沿って一定だと言う。密度が一定の流体なら(北海道大学のノート)、
全体に を掛けると、単位が圧力 [Pa] になる。
全体を で割ると、単位が長さ [m] になり、水頭の形になる。
左から、圧力水頭、速度水頭、高さ(位置)で、和 を全水頭と呼ぶ(保存した資料には出てこない一般的な呼び名。筆者の補足)。式の変形は、 や を掛けたり割ったりしただけだ。
圧力は「力」なので、エネルギー保存からこの式を導くのは少し難しい、と東京大学の鈴木教授は書いている。ここでは、3つの項が帳簿のように足し引きされる、と読めばよい。
なぜ、流速が上がると圧力が下がるのか
見方は2つある。
帳簿の見方。 和が一定なら、速度の項が増えたぶん、ほかの項が減る。水平な管では高さの項が同じなので、圧力の項が減る。
力の見方。 流体の塊が細い所へ進んで速くなる。速くなる(加速する)には、力が要る。流体の塊に力を与えるのは、前後の圧力の差だ。後ろから押す圧力が、前から押し返す圧力より大きくなければ、加速しない。NASA Glenn の解説は、運動量保存の式として を書いている。速度が増える向き()には、圧力が減る()。密度が一定として、水平な流れでこの式を流れに沿って足し合わせると、 一定 が出る(筆者の計算)。
ここで、筋道の順番を整理しておく。
- 管が細くなる(形が原因)
- 連続の式により、流速が上がる
- 流速が上がる(加速する)には、流れの向きに圧力が下がっていなければならない
ベルヌーイの定理は、速さと圧力の関係を表すが、なぜその場所で速くなるかまでは答えない。東京大学の鈴木教授は、翼の上面で流れが速くなる理由を定理は答えてくれない、と書いている。管でも同じ構造で、速くなる理由は、通り道が狭くなったことと連続の式だ(筆者の整理)。北海道大学のノートも、くびれ部では連続性から速度が増し、圧力は減少する、と書いている。
高さの項も同じ帳簿に入る
水平でなければ、高さの項 も動く。内径が一定で、水が下から上へ流れる管を考える。流速は上下で等しいので、速度の項は変わらない。高さの項が 増えるぶん、圧力の項が減る。上の点の静圧は、下の点より だけ低い。水の場合は、1 m 上がるごとに約9.8 kPa 下がる。
動圧・静圧・全圧 — ピトー管の原理
重力の影響を無視した流れで、上の式を書き直すと、
北海道大学のノートは、普通の圧力 を静圧、 を全圧(総圧、よどみ圧)と呼び、動圧は「」と書く(½ が抜けていると見られる。同じ箇所の式(4.17)の第1項は )。ここでは、第1項と同じ を動圧とする。流れの中に物を置くと、その表面に流速が0の点(よどみ点)ができる。そこでは速度の項が0になり、動圧がすべて圧力に変わるので、圧力が全圧になる。
| 名前 | 式 | ひとこと |
|---|---|---|
| 静圧 | p | 流れの中の、ふつうの圧力 |
| 動圧 | ½ρv² | 速さによる分 |
| 全圧 | p₀=p+½ρv² | 流れを止めた点の圧力 |
ピトー管は、この関係を使った流速計だ。先端の穴で流れを受け止めて全圧を、側面の穴で静圧を取り出し、その差(動圧)をマノメータ(圧力差を読む計器)などで読む(辞書の「ピトー管」の説明も、総圧と静圧の差から動圧を測って流速を知る、と書く)。動圧から流速を解くと、
これで、速さと圧力の関係が、3通りの形(水頭・圧力・動圧)で扱えるようになった。
数で追う — 例題と手順
数値は筆者が作った例だ。水の密度は 1000 kg/m³、重力加速度は 9.8 m/s²、空気の密度は仮に 1.2 kg/m³ とする(空気 1 m³ が約1 kg、という鈴木教授の記述と同程度)。
例題① 管径が変わる水平配管
内径 200 mm の水平な配管を水が流れ、途中で内径 125 mm に絞られる。太い部分の平均流速は 1.5 m/s。損失を無視できるとして、細い部分の流速と、2つの部分の静圧の差を求める。手順は2段階だ。①連続の式で流速を出し、②ベルヌーイの式で圧力差を出す。
① 流速
流量は m³/s、約47 L/s だ。
② 圧力差 水平なので高さの項は等しい。
約6.2 kPa。水頭にすると m だ。速度水頭で確かめると、 m、 m で、差は約0.64 m。同じ値になる。
やってみよう②:差圧から流量を逆算する
同じ配管(内径 200 mm から 125 mm に絞られる水平配管、損失は無視)で、2つの部分の静圧の差を測ったら 4.0 kPa だった。流量は何 L/s か。
細い部分の流速を とすると、太い部分の流速は連続の式より 。これを に入れて について解く。
なので、
m³/s、約38 L/s だ。圧力差を測れば流量が分かる。これが、絞りの前後の差圧で流量を測る方法の考え方だ(式は筆者の導出。九州工業大学の解答例も、同じ考え方で導いている)。
例題② 水槽の小孔から出る水(トリチェリの定理)
上面が大気に開放された大きな水槽の側面に、水面から m 下の位置で、小さな孔をあける。孔から出る水の流速を求める。
水面を点1、孔の出口を点2とする。どちらも大気圧なので、圧力の項は両辺で消える。水槽が孔よりずっと大きければ、水面の流速はほぼ0と見なせる(筆者の仮定)。北海道大学のノートは、穴が十分小さければほぼ定常と見なせる、と書く。高さの基準を孔の位置にとると、水面は 、孔は だ。
高さのエネルギーが、そっくり運動エネルギーに変わった形だ。孔が水面の4倍の深さ(8.0 m)なら、流速は2倍の約12.5 m/s になる。
これは理想値だ。実際の噴流は、ふつう理想より遅くなる。名古屋大学の試験問題の解答例は、実際の速度と理論の速度の比を速度係数と呼ぶ(同じ問題は問題文の水深と解答の数値が合わないので、数値は使わない)。配管では、この差が損失水頭の形で入ってくる(筆者の整理)。
例題③ 動圧から風速、風量へ
ダクトの中の1点で、ピトー管とマノメータで動圧を読んだら 60 Pa だった。空気の密度を 1.2 kg/m³ として、その点の風速を求める。
断面が 400 mm × 300 mm(面積 0.12 m²)のダクトで、この風速が断面の平均だと見なせれば、風量は、
実際のダクトでは、風速は断面内で一様ではない。1点の値ではなく、平均風速を求めて断面積を掛ける(後の「現場とつなぐ」)。
例題④ ポンプの全揚程を、ベルヌーイの式から読む
吸込み水槽の水面(点1)から、吐出し口(点2)で大気中へ水を出す。ポンプが水に与える水頭(全揚程)を 、途中で失われる分を (損失水頭)とすると、両点でベルヌーイの式を書いたものは、
この形は、標準的な式で、筆者が書いた。点1と点2はどちらも大気圧で、水槽の水面の流速は約0なので、整理すると、
右辺は、中小企業基盤整備機構の解説にある「全揚程=実揚程+配管損失水頭+吐出し速度水頭」と同じ形だ(実揚程は「吐出し水位 − 吸込み水位」)。名古屋大学の試験問題の解答例にも、同じ形の式がある。大気開放の設備に限った形にしたのは、筆者の導出だ。
数値を入れる。実揚程 m、吐出し管は内径 100 mm、流量は 0.020 m³/s とする。吐出し管の流速は、
損失水頭 は、説明用に仮に 3.0 m とする。どう求めるかは、次のトピックで扱う。
圧力に直すと約180 kPa。中小企業基盤整備機構の解説は、実揚程は流量によらず一定で、損失と速度水頭は流量で変わる、と整理している。
やってみよう③:○か×か
次の記述は、損失がなく定常な水の流れについて、正しいか。
(a) 水平な管が細くなる所では、流速が上がり、静圧は下がる。 → ○。連続の式で流速が上がり、速度の項が増えたぶん、圧力の項が減る。
(b) 管の内径が半分になれば、流速は2倍になる。 → ×。断面積は直径の2乗に比例するので、流速は4倍になる。
(c) ゲージ圧が 0 のとき、絶対圧も 0 である。 → ×。ゲージ圧 0 は、絶対圧が大気圧(約101.3 kPa)に等しい、という意味だ。絶対圧が 0 になるのは完全真空のときだ。
これで、連続の式で流速を出し、ベルヌーイの式で圧力や揚程を出す、という2段階の計算が組み立てられる。
現場とつなぐ
配管の管径は「流速」で選ぶ
配管に流す量 は、設備の負荷から決まる。管径 を選ぶと、 で流速が決まる。管径を小さくすれば流速が上がり、摩擦の損失が増える(次のトピック)。
ステンレス鋼の業界団体であるステンレス協会が掲載している、ステンレス配管マニュアルの設計編(公的な設計基準ではない)は、管径を決める実務の方法を紹介している。単位長さあたりの摩擦損失を一定にして管径を選ぶ方法(等摩擦損失法)では、流量が増えると流速も増す。そこで、流速にも上限を設け、エロージョン(管の内面が削られること)と水撃作用の影響を少なくする方法を併用する、と書く。流速を高めに取る使い方(同資料はステンレス鋼管の例)では、騒音・振動・水撃作用・圧送動力を考慮するよう求めている。国土交通省のウェブサイトに掲載された、給水装置の基準の解説も、水撃圧の発生は流速と密接に関係する、と書く。
流速の上限の数値は、管の材質や用途で違う。このトピックでは、公共建築工事標準仕様書や設計基準の本文で確かめられなかったので、数字は載せない。現場では、設計図書・仕様書の指定に従う。
ダクトの風量を、ピトー管で測る
労働安全衛生総合研究所が公開している、プッシュプル型換気装置の定期自主検査の検査項目(案)は、準備する測定器に「ピトー管及びマノメータ」を挙げている。捕捉面(有害物の発生源を通り、気流に垂直な平面)の風速が判定基準に合わないときは、ファンの入口側または出口側の測定孔で、ピトー管を取り付けた微差圧計(わずかな圧力差を測る計器)などを使い、ダクト内の平均風速を求めて風量を計算する。ダクト内の平均風速が測れない構造のファンは、ファンの開口面の平均風速と開口面積の積から風量を求めてもよい。例題③と同じ流れだ。
これは換気装置の検査項目の案で、空調ダクトの試運転調整の手順(測定点の取り方など)ではない。そちらは、この資料群では確かめられていないので、ここでは扱わない。
圧力差で流量を測る
例題①と「やってみよう②」のとおり、絞りの前後の圧力差から流量が出る。九州工業大学の試験の解答例は、連続の式とベルヌーイの式から、断面積の違う2点の圧力差で流量を求める式を導いている。
試験での出方とワナ
出題の型
令和8年度の問題Aは、このトピックの範囲から2問を出している(No.3、No.4)。
- 連続の式の計算(No.3):断面積(内径)が変わる円管で、一方の風速から他方の風速を求める。内径の比の2乗を使う。空気を非圧縮として扱う条件が、問題文に書かれている
- 流体に関する記述の正誤(No.4):4つの記述から、適当でないものを選ぶ。ベルヌーイの定理の内容を、3種類のエネルギーの和が流線に沿って一定、という趣旨で述べた記述は、正しい側にある
連続の式の問題の解き方は、3手でよい。①断面積の比(円管なら内径の比の2乗)を出す。②流量が同じなので、流速は断面積の逆の比。③太い所から細い所へなら流速は大きく、逆なら小さくなるので、答えの向きを確かめる。
No.4 の隣の用語
No.4 のように用語の説明が並ぶ形では、近い用語の定義を取り違えさせる記述が出ることがある。このトピックに近い2つを整理しておく。
- キャビテーション:速い液体の流れで、圧力がその温度の飽和蒸気圧以下まで下がると、液体中に蒸気の空洞ができる現象(ブリタニカ国際大百科事典の記述に、ベルヌーイの定理が出てくる)。「速い所は圧力が低い」が発生の理由になっている。ポンプでの扱いは、ポンプと送風機のトピックで扱う予定だ
- ウォーターハンマー(水撃作用):給水装置の基準(国土交通省のウェブサイト掲載の資料。旧厚生省の時期の基準の解説)は、止水機構を急に閉止した際に管路内に生じる圧力の急激な変動作用、と定義している。時間とともに圧力が急に変わる現象で、定常を前提にするベルヌーイの式の守備範囲の外にある(筆者の整理)。詳しくは、水の安全のトピックで扱う予定だ
レイノルズ数は、次のトピック(管内流れの圧力損失)で触れる予定だ。
ワナ
- 内径の比をそのまま流速の比にする。 内径が半分で流速は4倍。2乗を忘れない
- 「細い所は圧力が高い」と考える。 損失を無視できる水平の流れでは、速い所ほど静圧が低い
- ゲージ圧と絶対圧、圧力と水頭を取り違える。 設問がどの基準・単位の話かを先に確かめる
- ベルヌーイの式を、損失のある配管にそのまま使う。 ポンプのない区間の実際の配管では、下流ほど全水頭が減る
冒頭の問いの答え合わせ
流量が同じなら、細い部分で水は速くなる。内径が小さいほど断面積が小さいので、同じ量を通すには、速く動くしかない(連続の式。流速は内径の2乗に反比例)。
管の壁にかかる圧力は、細い部分のほうが低い。速く動くには加速が要り、加速には前後の圧力の差が要る。速度が増す向きには、圧力が下がっている。式では、圧力・速度・高さの3つの和が一定(ベルヌーイの式)。例題①では、内径200 mm から125 mm に絞ると、流速が1.5 m/s から3.84 m/s に上がり、静圧は約6.2 kPa(水頭で約0.64 m)下がった。
ポンプの全揚程は、この式に、持ち上げる高さ・損失・出口の速度の分を並べたものだった。ピトー管は、動圧から流速を出すための道具だった。
次の問い
ここまでの計算は、摩擦のない理想の流れだった。ところが実際の配管では、内径が一定で流速も変わらない直管でも、先へ行くほど圧力が足りなくなる。ポンプの全揚程の式にあった「配管損失水頭」が、この失われる分だ。同じ管でも、水が速く流れるほど、なぜ先で圧力が足りなくなるのか。次のトピックで、ダルシー・ワイスバッハの式を読む。