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施工管理法 ・ 7 / 12

配管・附属品の施工 — 傾ける・つなぐ・支える・確かめる

読み終えると、こうなる

天井裏や機械室の配管を見たとき、「この管はどちらへ傾き、どこで止まり、どこで動けるのか」を、標準仕様書の言葉で説明できるようになる

  • 蒸気の横走り主管で、固定・ガイド・伸縮管継手・ローラ金物の役割を言い分け、鋼管30 mの熱による伸び量を、10 m当たりの伸び量の表から求められる
  • 呼び径から屋内横走り排水管の最小勾配を言い、水平距離から高低差(mm)を求められる
  • 最高使用圧力から、冷温水配管と蒸気管の水圧試験の圧力を、倍率と下限値(0.75 MPa、0.2 MPa)で求められる
  • 「適当でないもの」を選ぶ設問で、選択肢の数字・向き・役割を標準仕様書の記述に照らして点検できる
考えてみよう

天井裏に、長さ30 mの鋼管の蒸気主管を通す。運転前は20℃。蒸気が入って100℃まで温まったとする(仮の数字)。この管は何mm伸びるだろうか。両端を壁にがっちり固定してしまったら、その伸びはどこへ行くのか。

もう1つ。令和8年度の第一次検定(問題B)には、配管及び配管附属品の施工が2問出た。どちらも「適当でないもの」を選ぶ。四つの文から、適当でない文を、どう見分ければよいのだろうか。

まず一言で

配管の施工は、4つの動詞で整理できる。傾ける(勾配)、つなぐ(接合)、支える・止める・逃がす(吊り・固定・伸縮)、確かめる(試験)。公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(修補版。以下「標準仕様書」)の第2編第2章「配管工事」が、これを管の種類と用途ごとに数字で定めている。

数字は多いが、どの数字にも「何の上限・下限か」という対象が付いている。数字だけを覚えず、対象と組にして覚える。そのうえで、選択肢の誤りを数字・向き・役割の3点で点検すると、見つけやすい(当サイトの勧め方)。

この章は、配管を現場で通し、つなぎ、支え、確かめる側に絞る。配管材料や弁・継手の種類は「配管材料と附属品」、機器の基礎やアンカーは「機器の据付け」、保温と防振は「保温・保冷と防振の施工」、梁の貫通孔は「鉄筋コンクリート造」で扱う。

傾ける — なぜ配管には勾配があるのか

標準仕様書は、給水管・給湯管・消火管(ガス系消火管を除く)・冷却水管・冷温水管・ブライン管(凍らない液体を流す管)・高温水管・油管に、「水抜き及び空気抜きが容易に行えるように適切な勾配を確保する」と定める(2.6.1(1))。勾配をとる目的が、条文に書かれている。水は低い所へ、空気は高い所へ集まる。傾ければ、集まる場所が決まる。空気だまりには、エア抜弁又は吸排気弁を設ける。これは給水配管の項の規定で、消火管も当該事項による(2.4.7(3)、2.4.10(1))。給湯管は、同じく当該事項によるほか、逆勾配や空気だまりなど、循環を阻害するおそれのある配管をしてはならない(2.4.9(1)(ア))。

排水管は、水が自分の重さで流れる。屋内横走り排水管の最小勾配は、呼び径(管の太さの呼び方)ごとに、原則として次のとおり決まっている(2.6.1(2))。右の列は当サイトの試算(後述)。

呼び径最小勾配試算の流速
501/500.59 m/s
651/500.70 m/s
751/1000.54 m/s
1001/1000.66 m/s
1251/1500.62 m/s
1501/2000.61 m/s
呼び径65以下は1/50、150以上は1/200。試算は筆者の仮定による(本文参照)で、標準仕様書の根拠ではない。

太い管ほど勾配が緩い。なぜか。標準仕様書は理由を書いていないので、当サイトで試算した。管を半分だけ水が満たして流れるとし、粗度係数を仮に0.013、呼び径を内径とみなす。流速は、標準的なマニング式で求められる(出典資料にはなく、筆者が適用した)。

v=1nR2/3S1/2v = \frac{1}{n} R^{2/3} S^{1/2}

nn は粗度係数、RR は径深(水の断面積÷水が管壁に触れる長さ。半分満ちた円管では呼び径の1/4)、SS は勾配だ。同じ1/100で比べると、呼び径50は0.41 m/s、100は0.66 m/s、150は0.86 m/sになる。太い管は、同じ傾きでも速く流れる。この仮定のもとでは、太い管ほど緩い勾配で足り、細い管は急にしないと流れが遅くなる計算になる。表の並びは、どの呼び径でも流速が0.54〜0.70 m/sの範囲に収まる。

蒸気管の勾配は別の数字だ。蒸気給気管は、原則として先下り(流れの向きに下る)配管で1/250、先上がり(流れの向きに上る)の場合は1/80。蒸気還管は先下り配管で1/200から1/300(2.6.1(3))。ドレン管の勾配は、原則として1/100以上とする(同(4))。ドレン管は、機器などから出る水を逃がす管の呼び名で、蒸気の凝縮水に限らない(語の定義は条文になく、当サイトの整理)。先上がりが急なのは、蒸気の流れと凝縮水の流れが逆向きになるためと読める(当サイトの読み。標準仕様書は理由を書いていない)。

径が変わる所の段差

横走り順勾配配管(蒸気の流れの向きに下る配管と読める)で径の異なる管をつなぐときは、偏心径違い継手を用いる(2.4.3(2))。偏心とは、中心をずらして、片側の面を平らにそろえる形だ。標準図「蒸気及び冷温水管の配管要領」(e)「継手(蒸気配管)」は、先下りこう配では下面、先上りこう配では上面をそろえる図になっている。(e)には「先上りこう配」「先下りこう配」の表記があるだけで、そろえる面を述べる文はない。

偏心径違い継手:そろえる面は勾配で決まる

先下がり(流れの向きに下る)→ 下面をそろえる 凝縮水 蒸気も凝縮水も、右へ流れる

先上がり(流れの向きに上る)→ 上面をそろえる 凝縮水 蒸気は右へ、凝縮水は左へ流れる 偏心径違い継手の向き(自作の概念図。標準図(e)にもとづく。水平に描いており、勾配は強調していない。凝縮水の流れは当サイトの読み)

標準図(e)の図は、どちらも流れの向きに管が細くなる向きに描かれている。その向きでは、どちらも凝縮水の流れる向きに「上り段」ができない面のそろえ方、と読める(当サイトの読み。標準図は理由を書いていない)。先下がりでは、凝縮水は蒸気と同じ右へ流れるので、下面がそろっていれば底に段がない。先上がりでは、凝縮水は左へ戻る。上面をそろえると、右の細い管の底が左の太い管の底より高くなり、左へ下る段になる。

偏心径違い継手は、「径が変わる所に入れる継手」と覚えるだけでは足りない。「どの面をそろえるか」まで問われる。標準図(e)では、先下がりは下面、先上がりは上面。この組で覚える。
やってみよう①:勾配から高低差を出す

標準仕様書の原則どおりに、最小勾配で敷くとして、高低差を求める。

(1) 呼び径50の屋内横走り排水管、水平距離6 m。

呼び径65以下は1/50。6,000 mm÷50=120 mm。

(2) 蒸気給気管、水平距離25 m。先下りと先上がりで高低差はどれだけ違うか。

先下りは1/250で25,000÷250=100 mm。先上がりは1/80で25,000÷80=312.5 mm。先上がりは先下りの3倍強の高低差が要る。

これで、呼び径と距離から排水管の最低の高低差を出し、蒸気管の径違い継手の向きを言える。

動く — 伸びる管は、止める所と逃がす所を分ける

鋼管は、温まると伸びる。伸び量は、管の長さと温度差に比例する。

Δl=α l Δt\Delta l = \alpha \, l \, \Delta t

Δl\Delta l は伸び、α\alpha は線膨張係数、ll は管長、Δt\Delta t は温度差だ(標準的な式。標準仕様書にはなく、ステンレス協会のステンレス配管マニュアル設計編2.7の式を借りた)。係数を覚えなくても、同マニュアルに表がある。配管用炭素鋼鋼管の10 m当たりの膨張量(0℃を基準)は、20℃で2.3 mm、100℃で11.5 mmだ(表2.7-2。業界団体の資料で、公的な基準ではない)。冒頭の30 m、20℃から100℃なら、(11.5−2.3)×3=27.6 mm。約28 mmだ(温度は仮の数字)。

28 mmは小さく見える。だが、両端を固定して伸びられなくすると、伸びは力に変わる。同マニュアルは、両端を固定した直管には、σ=EαΔt\sigma = E \alpha \Delta t の圧縮応力が生じ、固定点に反力がかかると説明する(EE はヤング率)。この式に管長は入っていない。長い管は、伸び量が大きいので、逃がす量が増える。

標準仕様書は、蒸気管の施工を、温度変化による伸縮を考慮し、膨張時に配管の各部に過大な応力がかからないように、かつ、配管の勾配が確保できるように行うと定める(2.4.3(1))。

では、止める所と逃がす所は、どう分けるのか。伸縮の起点(管が伸び縮みする出発点)を固定で決め、伸びを伸縮管継手で受け止める。標準仕様書と標準図の部品を並べる。

部品役割(当サイトの整理)条文
固定動かない点をつくる。伸びの起点2.4.1(7)
ガイド伸びる向きには動かし、横ずれを抑える2.4.1(7)
伸縮管継手伸びを受け止める2.4.1(7)
ローラ金物下から支える管が、動いても滑らかに支えられる2.6.2.2(7)
座屈防止用形鋼振れ止め支持伸縮管継手と固定点の中間で、管が横に曲がるのを抑える2.6.2.2(8)
伸縮管継手を設ける配管には、伸縮の起点として有効な箇所に、固定及びガイドを設ける。役割の欄は図と用語からの当サイトの整理。

座屈とは、細長い管が縮む力を受けて、横に曲がってしまうことだ。蒸気管の横走り管は、伸縮管継手と固定点との中間に、座屈防止用の形鋼振れ止め支持を設ける(2.6.2.2(8))。標準図は、この支持の例として、ローラー金物とガイドシューを描いている。蒸気管を形鋼振れ止め支持で下方から支持するなら、ローラ金物等を使う(同(7))。

蒸気の横走り主管:止める所と逃がす所 固定点 座屈防止用 振れ止め(ローラ) 伸縮管継手 ガイド 管は固定点から右へ伸びる 蒸気の横走り主管の概念図(自作。2.4.1(7)、2.6.2.2(7)(8)と標準図にもとづく。距離と個数は示さない)
固定・ガイド・振れ止めは別の役目だ。名前に「支持」が付くだけで「固定」とは限らない。ただし仕様書には、立てダクトについて「振れ止め支持(固定)」と書く条もある(第3編2.2.2.1(3))。語ではなく、動きを止めるのか許すのかで読む。
やってみよう②:伸びと応力

(1) 配管用炭素鋼鋼管50 mを、20℃から100℃まで温める。自由に伸びるとして、伸び量は?

10 m当たり9.2 mmなので、50 mは5倍。9.2×5=46.0 mm。

(2) 管の長さを2倍にすると、自由に伸びる量はどうなる? 両端を固定したときの圧縮応力は?

伸び量は管長に比例するので2倍。圧縮応力は σ=EαΔt\sigma = E \alpha \Delta t で、管長が入っていないので変わらない(完全に固定した理想の場合)。

これで、30 mの管の伸びを表から出し、止める所と逃がす所を部品の名前で言い分けられる。

支える — 吊りと振れ止めと固定(配管側の要点)

支えは3つに分けて考える(当サイトの整理)。吊り金物(重さを受ける)、形鋼振れ止め支持(形鋼を組んで横の振れを抑える)、固定(動かさない)。表2.2.20のうち、鋼管及びステンレス鋼管の行を、呼び径でまとめる。

鋼管の呼び径吊り金物形鋼振れ止め支持
40以下2.0 m以下不要
50〜1002.0 m以下8.0 m以下
125以上3.0 m以下12 m以下
間隔の上限。表2.2.20は呼び径15〜300を扱う。塩ビ管・耐火二層管・ポリエチレン管・銅管の吊りは、呼び径80以下で1.0 m以下、100以上で2.0 m以下。形鋼振れ止め支持は、吊り用ボルトの長さが均一で200 mm以下の場合も不要(2.6.2.2(2)(ウ))。

直管部が25 mを超えるときは、25 m以内ごとに直管方向の形鋼振れ止め支持を行う(ただし、表で形鋼振れ止め支持を規定していない呼び径は不要。2.6.2.2(3))。電動弁などの重量物と、可とう性を有する継手(排水鋼管用可とう継手、ハウジング形管継手(可動式)等)を使うときは、表2.2.20に加えて、その直近でも吊る(同(6))。

複数階にわたる立て管は、鋼管・ステンレス鋼管では最下階の床又は最上階の床で固定し(呼び径80以下は不要としてもよい)、形鋼振れ止め支持を各階1箇所に行う(表2.2.21)。床貫通等で振れが防止されている場合は、形鋼振れ止め支持を3階ごとに1箇所としてもよい。なお、排水用可とう継手を使う場合は、最下階の床に1箇所設ける(2.6.2.3(3))。

機器廻りの配管は、地震時等に加わる過大な力、機器の振動、管内流体の脈動等による力を抑えるために、固定又は支持を行う。冷凍機、ポンプ等に接続する呼び径100以上の配管は床より形鋼で固定し、呼び径80以下の配管と、空気調和機・タンク類に接続する配管は形鋼振れ止め支持とする(2.6.2.1(4))。機器の据付けの一般事項(第3編2.1.1(6))は、機器廻り配管を、機器へ荷重がかからないように、この2.6.2.1の固定及び支持で行うと定めている。

ステンレス鋼管と銅管を、鋼製や鋳鉄製の金物で支持・固定するときは、合成樹脂を被覆した金具を使うか、ゴムシート等を介して取り付ける(2.6.2.1(5))。異なる金属が直接触れないようにするため、と読める(当サイトの読み)。

これで、呼び径から吊りと振れ止めの間隔を表で引き、立て管と機器廻りの固定の場所を言える。

つなぐ — 管ごとの接合と、してはいけないこと

鋼管の接合方法は、用途ごとに決まっている(2.5.2.1)。

配管接合条件
水配管(排水・通気を除く)ねじ・フランジ・ハウジング・溶接ねじは呼び径100以下に限る
排水・通気ねじ又は排水鋼管用可とう継手MDジョイント
蒸気給気管・還管フランジ又は溶接呼び径50以下の低圧(0.1 MPa未満)はねじも可
油管・高温水管原則として溶接—
鋼管の場合。ポンプアップ排水管は別の定め。

ほかの主な決まりを挙げる。

  • ねじ接合: 管用テーパねじ(JIS B 0203)とし、ねじ接合材(ペーストシール剤)は、おねじ部のみ適量塗布する(ただし、消火配管で、シール剤が塗布済みの工場加工の継手を使うときは省略できる)。継手接続後のねじ部の鉄面には、さび止めペイントを2回塗る(2.5.2.2(1)(3))。
  • ライニング鋼管等: 塩ビライニング鋼管、耐熱性ライニング鋼管、ポリ粉体鋼管、外面被覆鋼管は、帯のこ盤等で切断し、パイプカッターによる切断は禁止。管端防食管継手の再使用も禁止(2.5.1(2)、2.5.3(2))。標準仕様書は理由を書いていない。管の内面の樹脂を傷めないため、と読める(当サイトの読み)。
  • 溶接: 鋼管・ステンレス鋼管の溶接部の管外面の余盛りの高さは3 mm以下(2.5.15.2、2.5.15.12(2))。
  • 冷媒管: 接合は原則としてろう付け(微燃性冷媒を使う場合は特記)。ろう付け・溶接は、配管内に不活性ガスを通す等の酸化防止措置をとる。配管完了後に気密試験と真空脱気を行い、保温工事は気密試験の完了後に行う(2.4.6(5)(6)(10))。
  • 異種金属: 給水・給湯・開放系の冷温水・冷却水配管で、機器接続部の金属と配管材料のイオン化傾向が大きく異なる(鋼とステンレス、鋼と銅)ときは、絶縁継手で絶縁する。鋼管とステンレス鋼管、銅管と鋼管の接合は絶縁フランジ接合(2.4.1(8)、2.5.16)。腐食の仕組みは「腐食と防食」で扱う。
  • 分岐: クロス継手を使わず、T継手を使う。1つのT継手で相対する2方向への分岐や、2方向からの合流に使ってはならない(通気及びスプリンクラー消火配管を除く。2.4.1(4))。
  • 洗浄と消毒: 配管完了後は管内を十分に洗浄する。飲料水の管は、末端で遊離残留塩素が0.2 mg/L以上検出されるまで消毒する(2.4.1(11))。
「ねじ接合は呼び径100以下に限る」は、排水・通気を除く水配管(鋼管)の条件だ。蒸気給気管・還管(鋼管)はフランジ又は溶接で、ねじも可なのは呼び径50以下の低圧蒸気管だけ。数字と対象を組にする。

これで、配管の種類を見て、使える接合方法と、してはいけない切断・再使用を言える。

附属品 — どこに何を付けるか

弁や継手の種類は「配管材料と附属品」で扱う。ここでは、付ける場所だけを見る。

場所付けるもの条文
冷凍機の冷温水管・ブライン管の入口側ストレーナ2.4.2(2)
冷却塔廻りの冷却水の出入口側と補給水の入口側合成ゴム製フレキシブルジョイント2.4.2(3)
鋼板製タンクの接続管(排水・通気管を除く)ベローズ形フレキシブルジョイント2.4.7(5)
揚水ポンプ等の呼び径50以下の逆止弁呼び径15以上のバイパス管と弁2.4.1(12)
給水配管の空気だまりエア抜弁又は吸排気弁2.4.7(3)
受水タンク・高置タンクの場合。ポンプは揚水・消火・冷却水・冷温水ポンプで、バイパス弁内蔵形を除く。

冷却塔廻り(2.4.2(3))とタンク廻り(2.4.7(5))の配管は、荷重が直接機器本体にかからないように支持する。

排水・通気 — 取り出す向きと連結の高さ

排水と通気は、向きと高さの規則が多い(2.4.8)。

  • 排水横枝管等が合流するときは(ドレン管を除く)、必ず45°以内の鋭角をもって、水平に近く合流させる。
  • 通気管は、排水横枝管等より垂直ないし45°以内の角度で取り出し、水平に取り出してはならない。
  • 各階の通気管を通気立て管に連結するときは、その階の器具のあふれ縁より150 mm以上の所で連結する。
  • 3階以上にわたる排水立て管には、各階ごとに満水試験継手を取り付ける。
  • 通気管は、全ての立て管に向かって上り勾配をとり、逆勾配や凸凹部のないようにする(2.6.1(2))。

これらは、排水が通気管に流れ込んだり、通気管の途中に水がたまったりしない形にする規則と読める(当サイトの読み。標準仕様書は理由を書いていない)。標準図「排水・通気配管の正しいとり方」は、誤りと正しい例を図で並べる。通気設備の仕組みは「通気設備」で扱う。

「垂直ないし45°以内」の角度は、垂直(真上)から測る。水平から45°以内と読むと、ほぼ水平な取出しになる。

確かめる — 試験の圧力と時間

試験は、隠ぺい又は埋戻し、配管完了後の塗装(ねじ部のさび止めペイントを除く)、保温施工のいずれかの前に行う(2.9.1)。覆うと漏れを見つけにくくなるため、と読める(当サイトの読み)。

配管試験圧力と時間
蒸気管・高温水管水圧試験最高使用圧力の2倍(下限0.2 MPa)。30分以上
冷温水・冷却水配管、ブライン管水圧試験最高使用圧力の1.5倍(下限0.75 MPa)。30分以上
油管空気圧試験最大常用圧力の1.5倍。30分以上
冷媒管気密試験JRA-GL14による。後に高真空蒸発脱水処理
排水管満水試験30分以上。器具の取付け後に通水試験
2.9.2、2.9.4。給水・給湯(水道事業者や規格類に規定がない場合。2.9.3)と消火の水配管(2.9.5)は別の定めで、保持時間は最小60分、圧力も別(給水装置に該当する管は1.75 MPa以上など)。
やってみよう③:試験圧力を出す

(1) 最高使用圧力0.3 MPaの冷温水配管(水配管)。

1.5倍は0.45 MPaだが、0.75 MPa未満なので、0.75 MPa。

(2) 最高使用圧力0.05 MPaの蒸気管。

2倍は0.10 MPaだが、0.2 MPa未満なので、0.2 MPa。

(3) 最高使用圧力0.5 MPaの蒸気管。

2倍は1.0 MPaで、0.2 MPa以上なので、1.0 MPa。

これで、配管の種類から試験の方法と圧力を言える。

現場とつなぐ — 電線管の支持間隔との違い

管の支持間隔は、機械設備と電気設備で、別の仕様書が決めている(機械設備工事編は表、電気設備工事編は条文)。電線管の側は、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版を、上の表と並べて確かめた。

管支持間隔出どころ
鋼管(呼び径100以下)の吊り2.0 m以下機械編 表2.2.20
塩ビ管(呼び径80以下)の吊り1.0 m以下機械編 表2.2.20
金属管(電線管)2 m以下電気編 2.2.3(6)
PF管隠ぺい1.5 m以下、露出1 m以下電気編 2.3.3(5)、2.3.4
PF管は合成樹脂製可とう電線管。PF管・CD管のコンクリート埋込みは、1 m以下の間隔で鉄筋に結束する(2.3.3(6))。数字は、仕様書本文で照合した。

確認した範囲では、電線管の側の間隔は、呼び径ではなく管の種類と施設場所(隠ぺいか露出か)で決まっている。機械設備の配管は、材料と呼び径で決まる。同じ「管」でも、決め方が違う。

電気設備工事編は、硬質ビニル管の支持について、温度変化による伸縮性を考慮して締め付けると定める(2.4.3(6))。機械設備の固定・ガイド・伸縮管継手と、熱による伸縮を考える点で通じると読める(当サイトの読み)。

機械設備の標準図には、建築物導入部の変位吸収を、配管の要領と並べて、電気配管の要領(波付硬質合成樹脂管(FEP方式)、地中箱方式の例)でも示す図がある(方式は特記による)。

試験での出方とワナ

出題の型

令和8年度の問題Bには、配管及び配管附属品の施工が2問出た。No.6は全問解答の範囲(No.1〜9)にあり、4つの記述から適当でないもの1つを選ぶ。No.27は応用能力問題(No.22〜29)で、適当でないものを2つ選ぶ。題材は、蒸気管の支持、冷温水管の枝管の取出し、冷媒管のろう付け、固定支持(No.6)、排水管からの通気管の取出し、通気管の末端の位置、蒸気管の径違い継手、溶接の余盛り(No.27)だった。このうち冷温水管の枝管の取出しは、2.4.2(12)の「立上り、立下り分岐配管要領等」(冷温水主管より。標準図による)に当たると読める(当サイトの読み)。図の読みを確認できておらず、本文では扱わない。No.6で適当でないとされたのは固定支持の記述だった。

初見の記述を点検する3点

  1. 数字: 呼び径、mm、m、倍率。対象とセットで確かめる(鋼管の余盛り3 mm、ねじ接合は水配管で100以下、通気管の取出しは45°以内)
  2. 向き: 上面か下面か、先下がりか先上がりか、垂直からか水平からか
  3. 役割: 固定か、ガイドか、ローラか、振れ止めか。金具の名前ではなく、動きを止めるのか、許すのかで読む

固定支持にUボルトを使うか否かを直接述べた文は、標準仕様書にも標準図にも見つからない。確認できたのは次の2点だ。標準図でUボルト又はUバンドと書かれているのは、吊り金物・形鋼振れ止め支持の図で、立て管の床固定や伸縮管継手の固定の図にその表記はない。標準仕様書本文でUボルトが出るのは、医療ガス設備の配管外観検査(ナットの緩みがないこと。第11編)の1箇所だけだ。正答肢PDFは理由を書いておらず、不適当とされた記述のどの語が誤りの原因かも、公表資料からは分からない。Uボルトは管をつかむだけで軸方向に滑りうる金具なので、動かさない点の金物には向かない、と読むこともできる。標準図の表記の有無とは矛盾しないが、表記がないことは、使わない証拠にはならない(以上、当サイトの読み)。

通気管の末端と窓などの開口部との距離は、配管工事の章に数値が見当たらず、確認できていない。通気設備のトピックで、一次資料に当たる。

冒頭の問いの答え合わせ

30 mの鋼管が20℃から100℃になると、表から、(11.5−2.3)×3=27.6 mm伸びる(温度は仮の数字)。両端を固定すると、伸びは圧縮応力と固定点の反力になる。完全に固定した理想の場合、応力は管長によらない。だから、固定で動かさない点をつくり、ガイドと座屈防止用の振れ止めで向きをそろえ、伸縮管継手で伸びを受け止める。

「適当でないもの」は、数字・向き・役割の3点で点検する。答え合わせは、理解度チェックの問1・8(勾配)、問5(径違い継手)、問7(伸び)、問9・10(支持)、問2〜4・11(接合)、問6(試験圧力)、問12(通気管)でしてみよう。

次の問い

水を運ぶ管は、傾けて流し、決まった方法でつなぎ、伸びを逃がして支え、圧力をかけて確かめた。では、空気を運ぶダクトでは、この4つの考え方はどこまで通用し、どこから変わるのか。次のトピック「ダクト・附属品の施工」で、令和8年度に出題されたダクトの施工の記述と合わせて読む。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 金具の名前だけで読み、固定に使う金具の種類を、役割を見ずに決める

    なぜ引っかかる金具の名前も施工の言葉として自然で、役割(動かさない固定か、動きを許して横だけ止める振れ止めか)を考えずに結びつけてしまう

    見破り方金具名ではなく役割で読む。標準図でUボルト又はUバンドの表記があるのは、吊り金物・形鋼振れ止め支持の図。令和8年度問題BのNo.6で適当でないとされたのは固定支持の記述(正答肢PDF)。ただし仕様書も標準図も、固定にUボルトを使ってはならないとは直接書いていない

  2. 偏心径違い継手の「そろえる面」を、勾配の向きを見ずに決める

    なぜ引っかかる継手の名前だけを覚え、先下がりか先上がりかで面が入れ替わることを落とす

    見破り方先下がりは下面(管底)、先上がりは上面(標準図(e)。流れの向きに管が細くなる図)。選択肢の「上面/下面」と「先下がり/先上がり」を必ず組で確かめる

  3. 通気管の取出し角度「垂直ないし45°以内」を、水平から測って読む

    なぜ引っかかる45°という数字だけが目に入り、何から測るかを確かめない。水平から45°以内だと、ほぼ水平な取出しになる

    見破り方垂直(真上)から45°以内で、水平に取り出してはならない(2.4.8(9))。「水平に取り出す」「水平から45°以内」と書いてあれば誤り

  4. 似た数字を、別の対象に付け替える(15 mと25 m、100と50、1.5倍と2倍)

    なぜ引っかかる「何の上限か」を落として数字だけで覚えると、対象が入れ替わった選択肢に気づけない

    見破り方数字は対象とセットで覚える。蒸気主管のフランジ継手は約15 m以内、直管方向の形鋼振れ止めは25 m以内ごと。ねじ接合は水配管で100以下、低圧蒸気管で50以下。試験は、冷温水・冷却水の配管が1.5倍、蒸気管が2倍で、下限値(0.75、0.2 MPa)がある

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用5問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 給水管・冷温水管・油管などには、水抜き及び空気抜きが容易に行えるよう適切な勾配をとる(2.6.1(1))。屋内横走り排水管の最小勾配は、原則として呼び径65以下で1/50、75・100で1/100、125で1/150、150以上で1/200。蒸気給気管は、原則として先下りで1/250、先上がりで1/80、蒸気還管は先下りで1/200から1/300(2.6.1(2)〜(4))
  2. 蒸気管は、温度変化による伸縮を考慮し、膨張時に過大な応力がかからず、かつ勾配が確保できるように施工する(2.4.3(1))。伸縮管継手を設ける配管には、伸縮の起点として有効な箇所に固定及びガイドを設ける(2.4.1(7))。蒸気の横走り管を形鋼振れ止め支持で下方から支持するときはローラ金物等を使う(2.6.2.2(7))。偏心径違い継手は、標準図で先下がりでは下面、先上がりでは上面をそろえる図になっている
  3. 排水・通気を除く水配管(鋼管)のねじ接合は呼び径100以下に限る。蒸気給気管・還管はフランジ又は溶接で、呼び径50以下の低圧(0.1 MPa未満)に限りねじも可。油管・高温水管は原則溶接。鋼管・ステンレス鋼管の溶接部の管外面の余盛りの高さは3 mm以下。冷媒管の接合は原則ろう付け(微燃性冷媒は特記)で、ろう付け・溶接は、配管内に不活性ガスを通す等の酸化防止措置をとる(2.5.2.1、2.5.15.2、2.5.15.12(2)、2.4.6(10))
  4. 鋼管の横走り管の吊り金物の間隔は、呼び径100以下で2.0 m以下、125以上で3.0 m以下。形鋼振れ止め支持は、呼び径40以下で不要、50〜100で8.0 m以下、125以上で12 m以下(表2.2.20)
  5. 試験は、隠ぺい・埋戻し、塗装、保温施工のいずれかの前に行う(2.9.1)。蒸気管・高温水管の水圧試験は最高使用圧力の2倍(0.2 MPa未満なら0.2 MPa)、冷温水・冷却水の配管(条文の語は「水配管」)とブライン管は1.5倍(0.75 MPa未満なら0.75 MPa)で、保持時間は冷媒管を除き30分以上(2.9.2)。給水・給湯(水道事業者や規格類に規定がない場合。2.9.3)と消火の水配管(2.9.5)は別の定めで、保持時間は最小60分
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