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施工管理法 ・ 8 / 12

ダクト・附属品の施工 — 吊る・つなぐ・貫く・付ける、数字の出どころを仕様書で追う

読み終えると、こうなる

ダクトの施工要領を読んだとき、「これは仕様書のどの規定の、何についての数字か」を言い当て、仕様書に書かれた数字のおかしな記述に気づけるようになる

  • 工法ごとの吊り間隔の上限を言い、直線の長さから、上限を守るために必要な区間の数を数えられる
  • ダクトの寸法から周長を求め、形鋼振れ止め支持が要るかどうかを、仕様書の除外条件に照らして判定できる
  • シールの種類(N・A・B・C)と、防火区画・外壁を貫通する部分の処理(充塡する材料、脱落防止、ダンパーの固定先)を、仕様書・標準図の言葉で説明できる
  • フレキシブルダクト、排気フード、排煙ダクト、風量測定口などの附属品ごとの数字(長さ・離隔・個数)を、規定として挙げられる
考えてみよう

仮に、天井裏に長方形ダクトを吊る工事を担当するとする。図面にはアングルフランジ工法とある。吊り金物の間隔は、何mmまで離してよいのか。同じ寸法のダクトが共板フランジ工法なら、その数字は変わるのか。

そのダクトが、防火区画の壁を貫く。壁とダクトのすき間は、何で埋めるのか。ダクトの先は、フレキシブルダクトで吹出口のボックスにつなぐ。何m以下までなら、使ってよいのか。

ダクトの施工には、数字がいくつも出てくる。覚える前に、まず「どの数字が、何についての数字か」を見分けたい。このトピックを読み終えるころには、ダクトの施工要領を読んで、仕様書のどの規定の数字かを言い当て、仕様書に書かれた数字のおかしな記述に気づけるようになっている。

まず一言で

ダクトの施工は、「つなぐ」「吊る」「貫く」「付ける」の4つの仕事に分けると、数字の置き場所が見える。公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編、令和7年版〔修補版〕。以下「仕様書」)は、つなぎ方を工法ごとに、吊り間隔をダクトの種類ごとに、貫通部の処理を区画や外壁ごとに、附属品の取付けを品目ごとに書いている。

たとえば、横走りダクトの吊り間隔の上限は、アングルフランジ工法ダクトが3,640mm、スライドオンフランジ工法ダクトが3,000mm、共板フランジ工法ダクトが2,000mm、スパイラルダクトが4,000mmと、工法で違う(機械室内の特例は後述)。数字は、工法や品目と、何についての数字か(間隔・距離・長さ・個数)をセットで覚える。

ダクトと附属品の種類・材料・板厚は、別のトピック(ダクトと附属品)で扱う。前のトピック(配管の施工)の「傾ける・つなぐ・支える・確かめる」のうち、ダクトには、つなぐ(2.2.1、2.2.3)と吊る・支える(2.2.2)の規定がある。確かめるは、ダクトの漏れ試験の規定が仕様書の第3編に見つからず、試験の項(2.3.5)に書かれているのはダンパーと排煙口の作動の確認だ。

仕事仕様書の置き場所出てくる数字
つなぐ2.2.1、2.2.3、標準図金具の位置、ビスの本数
吊る2.2.2、標準図吊り間隔、振れ止めの間隔
貫く2.2.1、2.3.3、標準図充塡材、固定先
付ける2.2.4、2.2.5、2.3長さ、離隔、個数
番号は仕様書の第3編 第2章 第2節・第3節(空気調和設備工事の施工)の項番号。標準図は公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和7年版。

つなぐ — つなぎ目は、空気の漏れる場所

ダクトは空気を運ぶ管だ。つなぎ目に隙があれば、空気はそこから漏れる。仕様書はダクトの構造に、通風抵抗、漏れ量、騒音及び振動が少ないことを求めている(1.14.1(4))。つなぎ方の規定は、この「漏れ量が少ない」を工法ごとに具体化したものと読める(当サイトの読み。個々の規定は目的を書いていない)。

工法ごとに、使う部品が違う。標準図と仕様書の記述を並べる。

工法接合の要点使う部品
アングルフランジ山形鋼のフランジを、ガスケットを挟んで締めるボルト、ナット、ガスケット
共板フランジダクト本体を成型加工してフランジにするコーナー金具、押さえ金具、ガスケット
スライドオンフランジ鋼板製のフランジを差し込み、スポット溶接するコーナー金具、押さえ金具、ガスケット
スパイラル差込み継手を直管に差し込み、ビスで固定する鋼製ビス、シール材、ダクト用テープ
アングルフランジの行は仕様書 2.2.1(4)・1.14.3.6(1)(ウ)、ほかの行は標準図(フランジ施工例(一)(二))と仕様書 2.2.3.2 による。共板とスライドオンの2つは、あわせて「コーナーボルト工法」と呼ばれる(1.14.3.2)。

アングルフランジ — ガスケットと「片締め」

アングルフランジ工法ダクトの接合は、接合後にフランジ幅と同一となるフランジ用ガスケットを使い、ボルト及びナットで、片締めのないよう気密に締め付ける(2.2.1(4))。

なぜ、片締めを避けるのか。仕様書は「片締めのないよう気密に締付ける」と書くだけで、理由までは書いていない。ガスケット(締め付けるとつぶれて、すき間をふさぐ部材)は、圧縮されてフランジ面のすき間をふさぐ。一方だけが強く、他方が緩ければ、緩い側にすき間が残る。これは当サイトの読みだ。

共板フランジ — 押さえ金具の位置

共板フランジ工法は、ダクト本体を成型加工してフランジにする。フランジがダクトと一体なので、組立て時にコーナー金具を取り付け、4隅のボルト・ナットと専用のフランジ押さえ金具(クリップなど)で接続する(標準図)。

押さえ金具の取付間隔は、標準図に数字がある。ダクト端部から押さえ金具までの距離を150mm以内、押さえ金具と押さえ金具の間の距離を200mm以内とする。仕様書は、押さえ金具の再使用を禁止している(1.14.3.6(2)(オ))。

共板フランジ:押さえ金具の取付間隔 A 150mm以内 B 200mm以内 A:端部から金具 B:金具と金具の間 共板フランジ工法の押さえ金具の取付間隔(自作の概念図。標準図にもとづく。金具の数や寸法の比率は実物と異なり、縮尺は正確でない)

スライドオンフランジ、スパイラルダクト

スライドオンフランジ工法の押さえ金具は、ダクトの長辺及び短辺が450mm以下で0個、450mmを超え750mm以下で1個、750mmを超え1,500mm以下で2個とする。1個のときはフランジ辺の中央に、2個のときは辺に均等に取り付ける(標準図)。

スパイラルダクトの接合は、差込み継手接合又はフランジ継手接合とする(2.2.3.2)。差込み継手とダクトの接合は、継手を直管に差し込み、鋼製ビスで周囲を固定し、継手と直管の継目の全周にシール材を塗布したあと、ダクト用テープで二重巻きにする。ビスは、ダクトの内径が大きいほど増え、片側の最小本数は、内径155mm以下で3本、355mm以下で4本、560mm以下で6本、800mm以下で8本、1,250mm以下で12本だ(表3.2.4。各区分は、前の区分の上限を超えるもの)。

シール — N・A・B・C

ダクトは、通常の運転時のダクト内圧(常用圧力)で、低圧ダクト(正圧は+500Pa以下、負圧は−500Pa以内)、高圧1ダクト、高圧2ダクトに分かれる(表3.1.13)。標準図は、シールする場所を4つに分け、記号を付けている。

記号シールする場所使う場面の例
N接合部の折り返し四隅部長方形の低圧ダクト、排煙ダクト
A縦方向のはぜ部(板をつなぐ折り込みの継目)高圧1ダクトのボタンパンチスナップはぜ(Nに加える)
Bダクト接続部多湿箇所の排気用の長方形ダクト(N+A+B)
Cリベット・ボルトの貫通部円形の高圧2ダクトで、特記があるとき
標準図(シールの施工例(一)(二))と仕様書 2.2.1(3) による。長方形ダクトの低圧ダクトと排煙ダクトは N シール。多湿箇所の排気用は、水抜管を設ける場合は特記による。

なぜ、シールを4つに分けるのか。標準図の図を見ると、Nは接合部の四隅、Aははぜ、Bは接続部、Cはリベットやボルトの穴と、空気が抜けうる場所ごとに名前が付いている。場所を分けておけば、ダクトの圧力区分ごとに「どの場所をシールするか」を、記号の組合せで決められる。これは当サイトの読みだ。仕様書と標準図は、4つに分けた理由を書いていない。

長方形の低圧ダクトはNシールが標準だが、厨房・浴室など多湿箇所の排気用の長方形ダクトは、N+A+Bの3つで、水抜管を設ける場合は特記による(2.2.1(3))。「低圧だからNだけ」と覚えていると、この例外で落とす。

これで、接合の記述を読んで、どの工法の話か、どの部品と数字が関わるかを言い分けられる。

吊る — 吊りと振れ止め

吊り金物は、山形鋼(L形の鋼材)と、棒鋼を転造ねじ加工した吊り用ボルトの組合せだ。吊り金物に用いる山形鋼の長さは、保温も含めたダクトの横幅以上とする(2.2.2.1(1))。アングルフランジ工法ダクトでは、山形鋼の寸法はダクトの長辺が大きいほど大きくなり、吊り用ボルトはM10又は呼び径9だ。ダクトの周長が3,000mmを超える場合の吊り用ボルトの径は、強度を確認の上、選定する(表3.2.2とその注)。スパイラルダクト及び円形ダクトは別の表(表3.2.3)による。

吊り間隔 — 数字は工法で違う

横走りダクトの吊り間隔の上限を、棒の長さで並べる。

横走りダクトの吊り間隔の上限(mm以下) 共板フランジ スライドオン アングルフランジ スパイラル 2,000 3,000 3,640 4,000 01,0002,0003,0004,000 横走りダクトの吊り間隔の上限(自作の図。仕様書 2.2.2.2〜2.2.2.4にもとづく。棒の長さは数値に比例し、点線は1,000mmごと。円形ダクトの上限はアングルフランジと同じ3,640mm。機械室内の特例は含めない)

コーナーボルト工法ダクトには、機械室内の特例もある。長辺が450mm以下の横走りダクトの吊り間隔は、2,000mm以下とする(2.2.2.3(1)のなお書き)。スライドオンの3,000mmが、機械室内の小さなダクトでは2,000mmになる、と読める。

スパイラルダクト及び円形ダクトのうち、呼称寸法750以下の横走りダクトは、厚さ0.8mm以上の亜鉛めっきを施した鋼板を円形に加工した吊りバンドと吊り用ボルトの組合せでもよい。呼称寸法300以下の小口径は、厚さ0.6mmの亜鉛鉄板を帯状に加工したものでもよいが、その場合は要所に振れ止め支持を行う(2.2.2.4(3))。

なぜ、吊り間隔は工法で違うのか。仕様書は、数字の違う理由を書いていないので、理由は確かめられない。数字は、工法ごとに仕様書が定めた値として扱う。

形鋼振れ止め支持 — 吊りとは別の支持

形鋼(山形鋼などの鋼材)を使った振れ止め支持は、吊りとは別に設ける支持だ。横走りダクトには、次の場合を除いて、12m以下ごとに、標準図による形鋼振れ止め支持を行い、横走りダクトの末端部にも行う(2.2.2.1(2))。除くのは、(ア)ダクトの周長が1,000mm以内の場合、(イ)吊り用ボルトの長さが平均200mm以内の場合だ。壁貫通などで、形鋼振れ止め支持と同等に振れを防止できる場合は、貫通部と吊りをもって、振れ止め支持とみなしてよい。

立てダクトには、各階1箇所以上に振れ止め支持(固定)を行う。ダクトの振動伝播を防ぐ必要がある場合は、防振材を介して吊り及び支持を行う(2.2.2.1(3)(4))。防振の考え方は、保温・保冷と防振の施工のトピックで扱う。

なぜ、吊りとは別に振れ止めが要るのか。標準図は、横走りダクトの「吊り金物」と「形鋼振れ止め支持」を、同じ要領図の中で別々に描く。吊りがダクトの重さを上で受ける支持なら、振れ止めは横方向の動きを止める支持だと読める。これは当サイトの読みで、仕様書は目的を書いていない。

除外条件の「周長」は、ダクトの全周だ。長辺ではない。寸法が350mm×150mmなら、周長は2×(350+150)=1,000mmで、「1,000mm以内」に当たる。400mm×200mmなら1,200mmで、当たらない。
やってみよう ①:12.0mの直線ダクトを、2つの工法で吊る

横走りの長方形ダクトを、直線12.0mにわたって吊る。区間(吊り点と吊り点の間)は等しい長さに分け、両端も吊るものとして数える(仕様書は両端の扱いまでは書いていない。上限を守るための最小の数を出す練習のための置き方だ)。

  • アングルフランジ工法(上限3,640mm):12,000÷3,640=3.3。3区間では各4,000mmで超えるので、4区間(各3,000mm)。吊り点は両端を含めて5点
  • 共板フランジ工法(上限2,000mm):12,000÷2,000=6。6区間(各2,000mm)で、ちょうど上限。吊り点は7点

同じ12.0mでも、工法で吊り点が2つ違う。上限と同じ値でも「以下」なので、2,000mmちょうどは許される。

やってみよう ②:振れ止め支持は要るか

保温を考えない長方形ダクトを、横走りで吊る。長辺600mm×短辺400mmで、吊り用ボルトの長さは平均350mmとする。形鋼振れ止め支持は要るか。

周長は2×(600+400)=2,000mmで、「1,000mm以内」に当たらない。吊り用ボルトの長さも平均350mmで、「平均200mm以内」に当たらない。除外の2つのどちらにも当たらないので、12m以下ごとと末端部に、形鋼振れ止め支持を行う。

吊り用ボルトの長さが平均150mmなら、(イ)に当たるので、周長が1,000mmを超えていても除かれる。

これで、ダクトの種類と長さから、吊り間隔の上限と区間の数を数え、周長を求めて振れ止め支持の要否を判定できる。

貫く — 防火区画と外壁

ダクトが壁や床を貫く部分には、区画や外壁に関わる処理が決められている。仕様書は、建築基準法施行令112条21項に規定する準耐火構造の防火区画等をダクトが貫通する場合、貫通部とダクトのすき間にモルタル又はロックウール保温材を充塡する、と書く(2.2.1(1))。保温が必要なダクトの場合、その貫通部の保温は、ロックウール保温材によるものとする。ロックウール保温材を施す場合は、脱落防止の措置を講ずる。

外壁を貫通するダクトとスリーブのすき間は、バックアップ材等を充塡し、シーリング材でシーリングして、水密を確保する(2.2.1(2))。

防火ダンパー、防煙ダンパー等は、火災時に脱落しないように、防火区画の壁又は床に固定する(2.3.3(2))。標準図(ダクトの防火区画貫通部施工要領)は、長方形の防火ダンパーは4本吊り(長辺が300mm以下なら2本吊り)、円形の防火ダンパーは4本吊り(内径が300mm以下なら2本吊り)とする。貫通部周囲の充塡材には、必要に応じて脱落防止措置を施し、不燃材料以外のスリーブ材(壁や床にダクトを通すための筒。紙製仮枠等)を使った場合は、取り除く。

法令と仕様書は、書いている中身が違う。e-Gov(令和8年11月1日施行の版)の施行令112条21項は、換気・暖房・冷房の風道が準耐火構造の防火区画を貫通するとき(国土交通大臣が防火上支障がないと認めて指定する場合を除く)、貫通部又はこれに近接する部分に、特定防火設備を設けることを求める。建築基準法2条9号の2ロに規定する防火設備によって区画すべき準耐火構造の防火区画を貫通する場合は、同号ロに規定する防火設備を設ける、というかっこ書きもある。設ける設備は、どちらも、火災により煙が発生した場合又は温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖すること、閉鎖した場合に防火上支障のない遮煙性能を有することの2つの要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は同大臣の認定を受けたものとし、同大臣が定める方法により設ける。一方、すき間をモルタルその他の不燃材料で埋める施行令の規定は、20項にあり、給水管や配電管などの「管」を名指ししている。風道は21項が別に定める。仕様書 2.2.1(1) は、ダクトの貫通部の充塡材を自分で定めている。標準図の防火区画貫通部の注(ウ)は、防火区画を貫通する場合は建築基準法令に適合する工法とする、と書く。法令側でダクトのすき間にどの規定が及ぶかは、建築基準法のトピックで扱う。

なぜ、貫通部のすき間を埋めるのか。仕様書は理由を書いていないが、防火区画をまたぐ穴が、区画の性能を弱めないようにするためと読める(当サイトの読み)。

これで、貫通部の記述を読んで、すき間の充塡材、保温の材料、ダンパーの固定先が、仕様書どおりかどうかを判定できる。

付ける — 附属品の取付け

附属品ごとに、数字が違う。仕様書の規定を、取付けの視点で並べる。

  • 排煙ダクト 吊り及び支持は、ダクトの吊り及び支持の規定(2.2.2)による。ダクトと排煙機との接続は、フランジ接合とする。排煙ダクトは、木材その他の可燃物から150mm以上離して設置する(2.2.4)
  • チャンバー(ダクトの分岐や機器との接続に使う箱形の部材) 取付けは、アングルフランジ工法ダクトの吊りの規定による(2.2.5.1)
  • 排気フード 吊り及び支持は、アングルフランジ工法ダクトの規定によるが、吊り間隔は1,500mm以下、かつ四隅とする。天井下地の施工後に取り付ける(2.2.5.2)
  • フレキシブルダクト 吹出口及び吸込口ボックスの接続用として、1.5m以下で使用してよい。湾曲部の内側半径はダクト半径以上とし、有効断面を損なわないように取り付ける(2.2.5.3)
  • グラスウール製ダクト(円形ダクト) 板厚は25mm。接合部付近・端部と、ダンパー等の金物部は、全て支持する。厨房等の火気使用室や多湿箇所に使用してはならない(2.2.5.4)
  • 風量測定口 取付け個数は、取付け辺(長辺)が300mm以下で1個、300mmを超え700mm以下で2個、700mmを超えるもので3個。取付け位置は特記による(2.2.5.5)
  • ダンパー 隠ぺい部分に設置するときは、点検口があることを確認する。定風量ユニット・変風量ユニット(風量を一定に保つ、又は調節する機器)は、ダクトに気密に取り付け、風速センサー形はユニットの上流側にダクト径の4倍程度の直管部を設ける(2.3.3、2.3.4)
  • 排煙口 手動開放装置の操作箱は、見やすく、避難の際に操作が容易な位置に、床面から800mm以上1,500mm以下の高さで取り付ける(2.3.2)
  • 外壁ガラリ 建築物の外壁等に堅固に取り付け、その間隙はモルタル等で気密に仕上げる(2.3.1)
本稿が挙げる規定の数字では、「150」は3か所に出てくる。共板フランジの押さえ金具は、端部から150mm以内に取り付ける(標準図)。フランジ押さえ金具の長さは150mm以上(1.14.3.6(2)(カ))。排煙ダクトは、可燃物から150mm以上離す。距離の上限と、長さ・離隔の下限が混ざる。
やってみよう ③:○か×か

次の記述は、仕様書の規定に合うか。

(a) 排気フードは、天井下地の施工前に取り付ける。 → ×。排気フードは、天井下地の施工後に取り付ける(2.2.5.2)。

(b) フレキシブルダクトを、吹出口ボックスの接続用に1.5m以下で使う。 → ○。1.5m以下で使用してよい(2.2.5.3)。

(c) グラスウール製の円形ダクトを、厨房など火気使用室に使う。 → ×。厨房等の火気使用室や多湿箇所には使用してはならない(2.2.5.4)。

これで、附属品の取付けの記述を、品目・数字・向き(以内か以上か)に分けて、仕様書と照らせる。

曲がりと断面の変わり目 — 案内羽根と整流板

ダクトの曲がりや断面の変形にも、施工で効く規定がある(1.14.1(5)(6))。長方形ダクトの湾曲部の内側半径は、半径方向の幅の1/2以上とする。1/2以上とれないときは、必要に応じてダクト内部に案内羽根を設ける。スパイラルダクトの内側半径は、ダクトの半径以上だ。

ダクトの断面を変形させるときの傾斜角度は、拡大部は15°以下、縮小部は30°以下とする。途中にコイルやフィルター等がある場合は、拡大部30°以下、縮小部45°以下とし、やむを得ず傾斜角度を超える場合は、ダクト内部に整流板を設ける。この「傾斜角度」が15°・30°と30°・45°のどちらを指すかは、仕様書に明記がない。

案内羽根も整流板も、設ける目的は書かれていない。曲がりや断面の急変で偏る流れを整える部材と読める(当サイトの読み)。曲がりの局部損失そのものは、管内流れの圧力損失のトピックで、水の配管を例に扱っている。

現場とつなぐ

  • 見えなくなる部分の確認 隠ぺい部分のダンパーは、点検口があることを確認する(2.3.3(1))。厨房の排気ダクトは、ダクト内の点検が可能な措置を講ずる(2.2.1(5))
  • 表示 配管及びダクトには、用途及び流れの方向を表示する(第1編 1.7.4(3))

電気との接点

ダンパーや排煙口は、取り付けて終わりではない。防火ダンパー、防煙ダンパー、防火・防煙ダンパー及びピストンダンパーは、施工後に作動の確認を行う。排煙口は、施工後に、手動開放装置及び連動制御器等を含めて作動の確認を行う(2.3.5)。「含む」と書かれているのは排煙口の側だけで、ダンパーの項は「作動の確認」とだけ書き、感知器や配線まで含むかは、この節からは読み取れない。

防煙ダンパーは、煙感知器と連動して自動的に閉鎖する機構を有するものとし、作動後の復帰は遠隔復帰式(電気式)とする(1.15.8(1))。防火ダンパーは、温度ヒューズと連動して自動的に閉鎖する機構を有するものとし(1.15.7(1))、復帰方式の定めは、防火ダンパーの項にはない。機械設備工事に付随する電気設備工事は、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)による(機械設備工事編 第2編 4.7.1)。

給水管、配電管その他の「管」が準耐火構造の防火区画を貫通するときのすき間の処理は、施行令112条20項に定めがあり、風道の21項とは別になる。電線管の支持は「電線管の支持点間隔」にまとめてある。このガイドは一次資料ではなく、本稿の根拠にはしていない。

試験での出方とワナ

令和8年度の第一次検定では、ダクト及びダクト附属品の施工が2問、問われた。問題Bの No.7(適当でないもの1つ)と、応用能力の No.28(適当でないもの2つ)だ。主題は、共板フランジ工法のフランジと押さえ金具の位置、コーナーボルト工法のガスケットの継目、シーリングディフューザーの配置とボックス接続、長方形ダクトの案内羽根と割込み分岐、消音エルボとダンパーの位置関係だった。

この8つの記述のうち、仕様書と標準図の本文で、記述そのものを確かめられたのは2つだけだった(共板フランジのフランジの成形、押さえ金具の取付け位置)。残りの6つは、本文に記述が見つからず、出典を確認できていないので、本稿では扱わない。案内羽根は、設ける条件までは仕様書に書かれている(1.14.1(5))が、板厚の記述は見つからなかった。

ワナは、次の3点にまとめられる。出題の分析ではなく、仕様書の数字の並びから当サイトが挙げた。

  1. 工法の取り違え 吊り間隔や金具の数が、工法で違う。記述の工法名に先に線を引く
  2. 「以内」と「以上」の向き 距離の上限と、長さ・離隔の下限が混ざる。本稿が挙げる規定の数字では150が3か所にあるのが典型だ
  3. 除外条件の読み違え 振れ止めの除外は、長辺ではなく周長、太さではなく長さ。2つのうち、どちらかに当たればよい

冒頭の問いの答え合わせ

  • アングルフランジ工法の吊り間隔は3,640mm以下。共板フランジ工法なら2,000mm以下で、工法で数字が変わる
  • 建築基準法施行令112条21項に規定する準耐火構造の防火区画等をダクトが貫通するとき、すき間はモルタル又はロックウール保温材で埋める。保温が必要なダクトの貫通部の保温はロックウール保温材で、脱落防止の措置を講ずる
  • フレキシブルダクトは、吹出口・吸込口ボックスの接続用として1.5m以下で使ってよい

答え合わせは、理解度チェックの問1(吊り間隔)・問8(貫通部)・問10(フレキシブルダクト)でしてみよう。

次の問い

ダクトを吊り、つなぎ、貫き、附属品を付けたあと、保温材を巻く。吊り金物の山形鋼の長さは「保温も含めたダクトの横幅以上」だった。保温の厚さは、吊り金物にどう効くのか。防火区画の貫通部の保温は、ほかの部分と何が違うのか。ダクトの振動を建物に伝えない防振は、どこへ入れるのか。次のトピック(保温・保冷と防振の施工)で、仕様書の規定を読む。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 吊り間隔の数字を、工法を確かめずに1つの値で覚えてしまう

    なぜ引っかかるアングルフランジの3,640mm、スライドオンの3,000mm、共板の2,000mm、スパイラルの4,000mmと、似た桁の数字が並ぶ。工法名を入れ替えた記述でも、数字だけ見ると正しそうに見える

    見破り方記述の中の工法名に先に線を引き、その工法の数字と照らす。共板フランジ工法とスライドオンフランジ工法は、どちらも「コーナーボルト工法」に含まれるが、吊り間隔が違う(2,000mmと3,000mm)。コーナーボルト工法ダクトには、機械室内の長辺450mm以下の横走りダクトは2,000mm以下とするなお書きがあり(スライドオンの3,000mmが2,000mmになると読める)、数字が変わる場面もある

  2. 振れ止め支持の除外条件を、「長辺」や「ボルトの太さ」と取り違える

    なぜ引っかかるダクトの大きさを見るとき、つい長辺で判断してしまう。吊り用ボルトも、太さ(M10)の印象が強く、長さの条件を見落としやすい

    見破り方除外は2つで、どちらかに当たればよい。ダクトの周長(2×(長辺+短辺))が1,000mm以内。または、吊り用ボルトの長さが平均200mm以内。長辺ではなく周長、太さではなく長さを読む。「以内」なので、ちょうど1,000mm、ちょうど200mmも含まれる

  3. 本稿が挙げる規定の数字で3か所に出てくる150mmを、向き(以内・以上)ごと混ぜてしまう

    なぜ引っかかる共板フランジの押さえ金具は、端部から金具までを150mm以内に取り付け、金具の長さは150mm以上とし、排煙ダクトは可燃物から150mm以上離す。同じ数字で、距離の上限と、長さや離隔の下限が混在する

    見破り方数字の前に、何についての数字か(距離・長さ・離隔)を言う。「以内」は上限、「以上」は下限。150mm以内と150mm以上は、別の規定の数字だと分けて覚える

  4. 仕様書で確かめられない記述を、うろ覚えの理屈で正誤判定してしまう

    なぜ引っかかる令和8年度の第一次検定でダクトの施工が問われた2問(8つの記述)のうち、仕様書と標準図の本文で記述そのものを確認できたのは2つだけだった。残りの6つは、本文に記述が見つからず、出典を確認できていない

    見破り方仕様書で数字を確かめられる肢(吊り間隔、押さえ金具の位置、貫通部の充塡材など)から先に判定する。確かめられない肢は、確かめられた肢を先に判定したうえで、残りの肢を絞る

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用6問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 横走りダクトの吊り間隔の上限は工法で違う。アングルフランジ工法ダクトは3,640mm以下、スライドオンフランジ工法ダクトは3,000mm以下、共板フランジ工法ダクトは2,000mm以下、スパイラルダクトは4,000mm以下、円形ダクトは3,640mm以下。コーナーボルト工法ダクトには、機械室内の長辺450mm以下の横走りダクトは2,000mm以下とするなお書きもある(機械設備工事編 令和7年版〔修補版〕第3編 2.2.2.2〜2.2.2.4)
  2. 横走りダクトは12m以下ごとと末端部に形鋼振れ止め支持を行う。ただし、ダクトの周長が1,000mm以内の場合と、吊り用ボルトの長さが平均200mm以内の場合は除く。立てダクトは各階1箇所以上に振れ止め支持(固定)を行う(2.2.2.1)
  3. アングルフランジの接合は、接合後にフランジ幅と同一となるフランジ用ガスケットを使い、片締めのないよう気密に締め付ける(2.2.1(4))。共板フランジ工法のフランジ押さえ金具は、標準図で、ダクト端部から押さえ金具までを150mm以内、押さえ金具の間を200mm以内に取り付ける
  4. 建築基準法施行令112条21項に規定する準耐火構造の防火区画等をダクトが貫通するときは、貫通部とダクトのすき間にモルタル又はロックウール保温材を充塡し、保温が必要なダクトの貫通部の保温はロックウール保温材とする。ロックウール保温材には脱落防止の措置を講ずる(2.2.1(1))。防火ダンパー・防煙ダンパー等は、火災時に脱落しないよう防火区画の壁又は床に固定する(2.3.3(2))
  5. 附属品の数字。フレキシブルダクトは吹出口・吸込口ボックスの接続用として1.5m以下。排気フードは吊り間隔1,500mm以下かつ四隅で、天井下地の施工後。排煙ダクトは可燃物から150mm以上離す。風量測定口は、取付け辺(長辺)が300mm以下で1個、700mm以下で2個、700mmを超えると3個(2.2.4、2.2.5)
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