在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 写真の添付もOK / 24時間受付
施工管理法 ・ 6 / 12

機器の据付け — 重い機械を、運転中も地震のときも動かさない

読み終えると、こうなる

機械室や屋上の機器を見たとき、機器の重さが何を通って地面まで伝わり、地震のときは何で止められているのかを、目で追えるようになる

  • 標準基礎はコンクリート打設後10日間荷重をかけられないこと、基礎は機器運転時の全体荷重を受けることを、仕様書の条文で説明できる
  • 設置階と防振の有無から設計用水平震度を表で引き、機器の重量(kN)を掛けて設計用水平地震力を、水平震度の1/2の鉛直震度から鉛直地震力を計算できる
  • 標準図の適用表を読み、屋上や上層階の機器に使ってよい基礎とアンカーボルトの組合せを選べる
  • 移動式クレーンで機器を吊る前に、クレーン等安全規則が定める事項と、リスク低減措置の優先順位に沿って、何を確かめるかを順に挙げられる
考えてみよう

たとえば、ビルの屋上にポンプを据える日が来た。基礎のコンクリートは5日前に打ったばかりで、機器を積んだトラックはもう着いている。クレーンで吊り上げて載せる前に、少なくとも3つのことを確かめたい。

  • コンクリートの基礎には、何日たてば機器の荷重をかけてよいのか。
  • 地震のとき、この機器はどれだけの力を受けるものとして固定するのか。地下に置く場合と同じか。
  • 吊り上げる前に、何を、どの順で見るのか。前のトピック(安全管理)の末尾で立てた問いだ。

読み終えるころには、3つとも、条文と数字で答えられる。

まず一言で

機器の据付けは、基礎、位置と水平、固定、まわりとの取り合い、の順に見る。公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(修補版)は、第3編の一般事項(2.1.1)で、機器の据付けについて、主に次の3つを求める。

  • 荷重を受ける基礎: 基礎は、機器運転時の全体荷重に耐えられる床又は地盤上に築く。標準基礎なら、コンクリート打設後10日間以内は荷重をかけない。
  • 地震で動かさない固定: 機器は水平に、かつ地震力で転倒・横滑りしないよう固定する。地震力は「設計用震度 × 機器の重量(kN)」で、重心に作用させる。特記がなければ、鉛直の震度は水平の1/2だ。
  • スペースと配管: 維持管理に必要なスペースを確保する。機器廻り配管は、機器へ荷重がかからないように固定及び支持する。

位置と水平の確認、周囲の影響の確認は、機器ごとの記述だ。ボイラーと冷凍機は、図面に従って位置を出し、水平と芯出し(回転軸などの中心線を合わせること)を測る。ポンプは、共通ベース(ポンプと電動機をのせる台)を水平にしてから、軸心を調整する。冷凍機・冷却塔・空気調和機の屋外機は、ショートサーキット(吹き出した空気や水が、吸込み側へ回り込むこと)や騒音の影響がないことを確かめる。

吊って運び込む作業は、クレーン等安全規則と、前のトピックのリスク低減の順序で見る。配管・ダクト・保温と防振・貫通部の施工は、別のトピックで扱う。

据付けの流れ

据付けの流れ ① 基礎を築く 運転時の全体荷重に耐える床・地盤上に築く ② 搬入・保管 搬入を報告(承諾で例外)。破損・変質を防ぐ ③ 仮置き・位置決め サドル・ジャッキ等で仮受台に置く ④ 水平・芯出し 水準器・水糸・下げ振りで測る ⑤ 固定 転倒・横滑りしないよう基礎等に固定 ⑥ 取り合いの確認 配管の荷重を受けない。保守空間。試験 据付けの流れ(当サイトの整理。ボイラー・冷凍機の記述にあるやり方・仮置き・位置決めと、ポンプの記述を一般化した。章立てと、基礎と搬入の前後は仕様書にない)

基礎 — 何を載せる台か

仕様書は、基礎を「機器運転時の全体荷重に耐えられる床又は地盤上に築造する」とし、標準基礎か防振基礎のどちらかにして、適用は特記で決めるとする(第3編2.1.1(2)(3))。鋼製架台は、機器の静荷重と動荷重を基礎に完全に伝えるものとされる。静荷重は動かないときの重さ、動荷重は運転する機器が加える力、という意味で使う。仕様書に定義はない。

なぜ「運転時の全体荷重」なのか。仕様書は理由を書いていない。タンクは水を満たすと重さが変わり、回転機は動くと力を出す。据え付けるときではなく、働いているときの重さを受けるのだ、と読める(当サイトの読み)。

ボイラーと冷凍機の基礎は、構造計算で強度が確認された基盤上に築く。冷却塔も、構造計算で強度が確認されたコンクリート基礎か鋼製架台に据える(2.1.2.1・2.1.7・2.1.10)。

項目標準基礎防振基礎
基礎の構成コンクリート基礎標準基礎にストッパーを設ける
機器の固定基礎・鋼製架台等に固定防振架台を、ストッパーを介して間接的に固定
運転中―ストッパーと防振架台は接触しない間隙
地震時固定部が転倒・横滑りを防ぐストッパーが水平・鉛直の力に耐え、当たる面に緩衝材

10日間と、その数え方

標準基礎はコンクリート基礎で、「コンクリート打設後10日間以内に荷重をかけてはならない」。表面は、金ごて押さえ又はモルタル塗りとし、据付け面を水平に仕上げる。

10日の理由は、仕様書に書かれていない。打ったばかりのコンクリートに機器の重さをかけないための待ち時間、と読める(当サイトの読み)。打設日を何日目と数えるかも書かれていない。迷うときは、翌日を1日目として数え、監督職員に確認する(当サイトの勧めで、仕様書の定めではない)。

固定 — 地震の力を見込む

機器は「水平に、かつ、地震力により転倒、横滑りを起こさないように基礎、鋼製架台等に固定する」。仕様書は、鋼製架台について、建築基準法施行令129条の2の3と令90条・92条によると書く。

地震力の見込み方は、次のとおりだ。

FH=KH×W,FV=KV×W=12KH×WF_H = K_H \times W,\qquad F_V = K_V \times W = \tfrac{1}{2}K_H \times W

WW は機器の重量(kN)、KHK_H は設計用水平震度、KVK_V は設計用鉛直震度。FHF_H と FVF_V は、どちらも機器の重心に作用するものとする。設計用震度は特記による。特記がなければ、設計用水平震度は表3.2.1、鉛直震度は水平の1/2だ。

設置場所タンク以外の機器タンク
上層階・屋上及び塔屋1.0(防振支持 1.5)1.0
中間階0.6(防振支持 1.0)0.6
1階及び地下階0.4(防振支持 0.6)0.6
表3.2.1の設計用水平震度。タンクの欄に防振支持の括弧書きはない。

階の決め方には、注がある。設置場所は、機器を支持している床で決める。上層階は、2〜6階建なら最上階、7〜9階建なら上層2階、10〜12階建なら上層3階、13階以上なら上層4階。中間階は、1階と地下階を除いて、上層階に当たらない階。天井から(上階の床から)支持される機器は、支持材を取り付ける床の階、つまり当該階の上階を使う。タンク以外の機器では、階が下がるほど値が小さく、防振支持のほうが大きい。仕様書は、その理由を書いていない。

例題A — 同じポンプを、1階と屋上に置く

重量10 kNのポンプ(タンク以外)がある。特記はない。

  1. 1階に、防振なしで置く。KH=0.4K_H=0.4、KV=0.4÷2=0.2K_V=0.4\div2=0.2。FH=0.4×10=4.0F_H=0.4\times10=4.0 kN、FV=0.2×10=2.0F_V=0.2\times10=2.0 kN
  2. 屋上に、防振支持で置く。KH=1.5K_H=1.5、KV=0.75K_V=0.75。FH=1.5×10=15F_H=1.5\times10=15 kN、FV=0.75×10=7.5F_V=0.75\times10=7.5 kN

同じポンプでも、見込む水平力は 15÷4.0=3.75倍になる。

例題B — なぜ、鉛直の力まで見るのか

自重は、機器が倒れるのを止める。鉛直地震力が上向きに働くと、その効き目が減る。仕様書は、鉛直地震力まで見込む理由も、その向きも書いていない。次の簡単なモデルで、減り方を確かめる。標準的な力のつり合いで、出典資料にはなく、筆者が説明のために当てはめた。実際の設計は、ボルトの位置や本数、設計の指針の式による。

重心 水平力 自重 鉛直力 支点 ボルトの引抜力 h b(ボルトの間隔) 水平力で倒れかけるとき、右下の角を支点に左下が浮こうとし、左のボルトが引き抜かれる(自作の概念図。矢印の長さは大きさに比例しない。hは重心の高さ、bはボルトの間隔。鉛直力は上向きの場合を点線で示した)

重量 W=10W=10 kN、重心の高さ h=0.8h=0.8 m、ボルトの間隔 b=1.0b=1.0 m(重心は中央)、特記はなく、タンク以外で防振なしとする。右下の角を支点に倒れようとし、反対側のボルトが引き抜かれる。つり合いから、ボルト側の引抜き力は次のようになる。

T=FH h−(W−FV) b/2bT=\frac{F_H\,h-(W-F_V)\,b/2}{b}

倒そうとする力は FH hF_H\,h、止める力は自重の (W−FV) b/2(W-F_V)\,b/2 だ。鉛直地震力が上向きに働くと、自重のうち FVF_V が打ち消される。

設置倒す力 対 止める力(kN・m)引抜き力
屋上8.0 対 2.55.5 kN
1階3.2 対 4.00 kN

屋上は、KH=1.0K_H=1.0、FH=10F_H=10 kN、FV=5F_V=5 kN。倒す力は 10×0.8=8.0 kN・m。自重だけなら止める力は 10×0.5=5.0 kN・m で足りず(引抜き力 3.0 kN)、鉛直力の分を引くと 5×0.5=2.5 kN・m に減って、引抜き力は 5.5 kN になる。鉛直を無視した場合の約1.8倍だ。1階は、KH=0.4K_H=0.4、FH=4F_H=4 kN、FV=2F_V=2 kN。倒す力 3.2 kN・m に対して、止める力は 8×0.5=4.0 kN・m で足り、ボルトは引き抜かれない。

やってみよう①:重心が低いと、どうなるか

例題Bの屋上で、重心の高さだけを h=0.5h=0.5 m に変える。引抜き力は、鉛直力を無視したとき、上向きに考えたとき、それぞれいくつか。

倒す力は 10×0.5=5.0 kN・m。自重だけなら止める力は 5.0 kN・m で釣り合い、引抜き力は0 kN。しかし鉛直力を上向きに考えると、止める力は 2.5 kN・m に減り、(5.0−2.5)÷1.0=2.5 kN。重心が低くても、鉛直力を無視すると、ボルトにかかる力を見落とす。

基礎とアンカーボルト — 階が上がると、組合せが絞られる

アンカーボルトの取付け方は、標準図の基礎施工要領(一)に、3種類ある。

  • ア 埋込アンカー: コンクリートの中にボルトを埋め込む
  • イ 箱抜きアンカー(つなぎ筋に緊結する場合): 箱抜きの穴にボルトを入れ、つなぎ筋(ボルトと同径以上の補助の筋)に緊結する
  • ウ 箱抜きアンカー(鉄筋と緊結しない場合)

基礎は、(1) コンクリート床に独立して設置する場合(ダボ鉄筋又は接着系アンカーで床と結ぶ)と、(2) 床スラブと一体に配筋する場合、の2つに分かれる。標準図の適用表では、(2)のアとイは全機器で◎で、注は◎印について「適用してよい」とだけ書き、階の制限は付いていない。(1)のアとイは、ボイラー・温水発生機・冷凍機、受水タンク・高置タンク、タンク類では×(独立基礎は使えない)で、これらは(2)のア・イだけが使える。ほかの機器の(1)のアとイは○(1階以下及び中間階まで)。ウは機器で分かれ、ポンプ・送風機・パッケージ形空気調和機の(1)(2)と冷却塔の(2)は△(1階以下まで)、空気調和機の(1)(2)と冷却塔の(1)は×。

屋上や上層階は、表3.2.1で見込む震度が最も大きい。そこで使える組合せが(2)のア・イに絞られるのは、例題Bの引抜き力が大きくなる階だからではないか、と読める(当サイトの読み。標準図は理由を書いていない)。

やってみよう②:この組合せは使えるか

標準図の適用表で、次の組合せは適用してよいか。

(a) 屋上の冷却塔を、コンクリート床に独立して置く基礎に、埋込アンカーで固定する。 → 使えない。冷却塔の(1)のアは○で、1階以下及び中間階まで。屋上は含まれない。

(b) 4階建ての2階(中間階)の送風機を、独立基礎に、箱抜きアンカー(つなぎ筋に緊結)で固定する。 → 使える。送風機の(1)のイは○で、中間階に適用してよい。

(c) 1階のボイラーを、独立基礎に、埋込アンカーで固定する。 → 使えない。ボイラーの(1)は×で、(2)のア・イ(◎)だけが使える。

あと施工アンカーと材質

床や天井に後から固定するときは、あと施工アンカーを使う。標準図の「形鋼振れ止め支持部材選定表(二)」には、コンクリート圧縮強度18 N/mm²のときの、おねじ形メカニカルアンカー(機械的に広がって固定する金属系のアンカー。この分類は当サイトの整理)と接着系アンカーの許容引抜荷重(長期)がある。この表の見出しの文は「インサート金物」(吊りボルトなどを受ける、コンクリート側の金物)と「接着系アンカーを使用する場合」と書く。注は、既存基礎を再使用して重要な機器等を取付ける場合の試験施工に触れ、機器の固定にどこまで使えるかは、標準図からは言い切れない。

呼び径おねじ形メカニカル接着系
M1045 mm・2,500 N80 mm・5,000 N
M1260 mm・4,500 N90 mm・6,100 N
M1670 mm・6,100 N110 mm・8,000 N
各欄は「埋込み深さ・許容引抜荷重(長期)」。形鋼振れ止め支持部材選定表(二)の値。

同じ呼び径では、この表の値は接着系のほうが大きい。しかし、埋込み深さも接着系のほうが深い。この表だけから、金属系と接着系の優劣を一般に言うことはできない。長期の値なので、地震時の扱いも、この表からは言えない。

建築工事編には、近い規定を2つ挙げる。14.1.3は、金属工事の受材をやむを得ずあと付けとする場合に、あと施工アンカーの類に十分な耐力を持たせ、施工後は引張試験で確認する(1ロット3本。軽易な場合は監督職員の承諾で省略できる)。7.10.3は、鉄骨のアンカーボルトに二重ナットと座金を使い、ねじをナットの外に3山以上出す。ただし、コンクリートに埋め込まれる場合は、二重ナットとしなくてもよい。どちらも機器の据付けを直接の対象とした規定ではない。

材質の規定は、2か所にある。鋼製架台や支持金物に使うボルト・ナット・座金には、屋外部分は溶融亜鉛めっき(HDZT49)を施したもの又はステンレス鋼製(SUS304)とする、というただし書がある(鋼材工事4.6.2(2))。HDZT49は、溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の種類を表す記号だ。電気亜鉛めっきは屋内の鋼材に使う(3.2.2.5)。タンクの附属品のアンカーボルトも、ステンレス鋼製又は鋼製(HDZT49)と定められている(第5編1.4.2)。

据える — 水平、芯出し、まわりとの取り合い

ボイラーと冷凍機は、図面に従って所定の位置と四隅に「やり方」(据付け位置の基準にする目印)を施し、芯出し、水平、垂直、適正勾配を、水準器、水糸、下げ振り等で計測する。据付けは、サドル、ジャッキ等で仮受台に缶体(本体の胴)を仮置きし、正確な据付位置を定めた後に行う。ポンプは、共通ベースが基礎上に水平になるように据え付け、その後に軸心の調整を行う。順序が決まっているのは、台が水平でなければ軸心の調整が定まらないからだ、と読める(当サイトの読み)。

機器ごとに、基礎の高さと据付けの要点を並べる。基礎の大きさは特記による。高さと配筋の要領は、標準図の基礎施工要領(一)による。

機器基礎の高さ据付けの要点
ポンプ標準300・防振150 mm水平を出してから軸心。結露・パッキン軸封は排水溝と排水管
送風機150 mm特記がなければ標準基礎。ダクトとはたわみ継手
ボイラー・冷凍機150 mmやり方・芯出し。冷凍機は周囲の影響を確認
冷却塔150 mmショートサーキット・水滴の飛散・騒音の確認
受水・高置タンク500 mm鋼製架台で水平に(架台組込みの一体形を除く)

ポンプ本体が結露する場合と、軸封がグランドパッキン(軸の漏れを抑える詰め物)の場合は、ポンプの周囲に排水溝と排水目皿を設け、呼び径25以上の排水管で最寄りの排水系統へ排水する(温水ポンプと冷却水ポンプでパッキンの場合は間接排水)。冷却塔を屋上に据える場合は、令129条の2の6(地階を除く階数が11以上の建築物の屋上に設ける冷房のための冷却塔設備)と、同令に基づく告示による。

ファンコイルユニットの天井吊形等は、吊り用ボルト等で吊り、振れ止めを施す(2.1.12(2))。

機器廻り配管は、機器へ荷重がかからないよう、固定と支持をする(2.1.1(6))。(6)自体は、機器へ荷重をかけない理由を書かないが、参照先の第2編2.6.2.1(4)が、機器廻りの配管の固定又は支持を、地震時等に加わる過大な力、機器の振動、管内流体の脈動等による力を抑えるために行う、と書く。第5編2.2.4のタンクは、消火用充水タンクを除き、据付け後に清掃と水洗を行い、飲料用は消毒する。還水タンクと開放形膨張タンクなどは、据付け後に満水試験で、漏れがないことを確かめる。

保守のスペースは、「維持管理に必要なスペースを確保する」(2.1.1(1))とあるだけで、寸法は書かれていない。

電気設備との取り合いは、機械設備工事編の4.7.1が、電気設備工事は標準仕様書(電気設備工事編)と標準図(電気設備工事編)による、と定める。地震感知器は、機械室の柱、壁等の主要構造部に取り付ける(第3編2.1.4)。電気設備工事編は確認していない。

吊って運び込む — 安全管理の問いに答える

前のトピックの問い(何を、どの順で見るか)に戻る。

搬入は、仕様書の第1編が、機材を搬入するごとに監督職員へ報告し、搬入した機材は種別ごとに監督職員の検査を受け、使うまで破損や変質がないよう保管すると定める(1.4.3〜1.4.6)。報告と検査には、あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は除く、というただし書がある。主要機器を設置するときは、監督職員の立会いを受ける。ただし、これによることが困難な場合は、別に指示を受ける(1.5.8)。

移動式クレーンで吊る作業については、クレーン等安全規則が、事業者に次を求める。

  • あらかじめ、場所の広さ、地形と地質の状態、運ぶ荷の重量、移動式クレーンの種類と能力を考慮して、作業の方法、転倒を防止するための方法、労働者の配置と指揮の系統を定める。定めたら、作業の開始前に、関係労働者に周知する(66条の2)
  • 定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない(69条)。定格荷重は、ブームの傾斜角や長さに応じた最大の荷重から、フック等のつり具の重量を控除した荷重だ(1条)。運転者と玉掛け(荷にワイヤロープ等をかける作業)をする者が、定格荷重を常時知ることができるよう、表示その他の措置を講じる(70条の2)
  • 運転の合図を定め、合図を行う者を指名する(運転者が単独で作業するときを除く。71条)
  • 上部旋回体と接触する危険のある箇所への立入りを禁止する(74条)。つり上げた荷の下への立入りの禁止は、条文が場合を列挙している(つりクランプ1個での玉掛け、結束されていない複数の荷、動力下降以外の方法で下ろすときなど。74条の2)
  • 玉掛け用ワイヤロープは、安全係数が6以上でなければ使用してはならない。安全係数は、切断荷重を、かかる荷重の最大値で割った値だ(213条)。玉掛け用具は、その日の作業の開始前に点検する(220条)

これを、前のトピックのリスク低減の順に当てはめる。指針は、法令に定められた事項を必ず実施したうえで、次の順に検討するとする(10(1))。

  1. 危険な作業の廃止・変更等、設計や計画の段階での除去・低減: そもそも吊らずに済むか。吊る高さや距離を短くできるか。鋳鉄製ボイラーは、据付けの記述にセクションの組立て(2.1.2.2)が含まれ、1つの塊を吊らずに済む例になりうる。ただし、そのために分割する、とは書かれていない
  2. 工学的対策: 指針はインターロック、局所排気装置等の設置等を挙げる(10(1)イ)。クレーン作業の例は、ここでは挙げない
  3. 管理的対策: 作業計画、周知、合図、定格荷重の確認、立入禁止の表示、玉掛け用具の点検
  4. 個人用保護具: 最後の手

クレーン等安全規則の条文が求める事項の多くは、3の管理的対策に当たると読める。つまり、「吊る前に確かめること」は、その法令事項と、1の「そもそも吊らずに済むか」の両方だ。この当てはめは当サイトの整理で、条文が優先順位を書いているわけではない。

試験での出方とワナ

令和8年度の第一次検定で、このトピックに当たるのは問題Bの No.5 と No.26 だ。

No.5 は必須問題(No.1〜9は全問解答)で、4つの記述から適当でないものを1つ選ぶ。基礎コンクリートの養生と据付け時期、アンカーボルト・ナットの材質、ポンプの据付けに使うあと施工アンカーの種類による許容引抜力の比較、局部震度法(確認した仕様書にこの語はない。当サイトの説明では、震度に重量を掛けた力を重心に作用させる設計法で、仕様書2.1.1(5)の力の形と同じ)の鉛直震度の4つが並んだ。正答肢の表から、あと施工アンカーの比較の記述が「適当でない」とされたと読める。標準図の表で接着系の許容値のほうが大きいのと向きは合うが、公式の語は金属拡張アンカー、標準図の語はおねじ形メカニカルアンカーで、同じ種類か確認できていない。表は形鋼振れ止め支持部材選定表(二)の値で、公式の根拠も公表されていない。ほかの3つは、仕様書の10日、屋外の材質(「湿潤」の語は仕様書にない)、鉛直震度の1/2と合う。

No.26 は応用能力問題(No.22〜29は全問解答)で、「適当でないものは二つ」を選ぶ。真空又は窒素加圧の状態で据え付けられた冷凍機の配管接続、バーナーを備えた機器の地震感知器、天井スラブ下面の上向きのあと施工アンカー、インサートの識別の4つが並んだ。公表後に正答肢が訂正され、(2)を「適当でないもの」としないこととして、(1)を選んだ回答を正解とした(理由は書かれていない)。

確認した仕様書と標準図で根拠を取れたのは、2点だ。1つは、地震感知器の取付け位置で、機械室の柱、壁等の主要構造部に取り付ける(2.1.4)。もう1つは、鋼製ボイラーのバーナーの安全装置に、対震自動消火装置と地震感知器があり、感知器の作動により、対震自動消火装置が燃料供給と電源又は操作回路を遮断し、燃焼を停止、消火させること(第3編1.1.1.2(2)(ウ)、表3.1.1・表3.1.2の注3。感知器の性能は1.1.4)。公式は、機器本体に取り付ける旨の記述を、結局「適当でないもの」から外している。取付け先が1つ目と食い違うように読めるが、理由が公表されていないので、仕様書の記述と公式の扱いの関係は判断できない。冷凍機の機内の状態、上向きのアンカーの種類、インサートの識別は、確認した資料に記述が見つからなかった。

初見の記述は、荷重が基礎と架台へ伝わるか、転倒と横滑りを防ぐ固定か、日数・震度・材質の数字が仕様書と合うか、機器の中の状態(真空、満水)に反しないか、配管や周囲との取り合いに無理がないか、で当たる。数字は覚え、状態や手順は「なぜ」から考える。

冒頭の問いの答え合わせ

  • 何日たてば荷重をかけてよいか: 標準基礎は、打設後10日間以内は荷重をかけない。5日前に打った基礎には、まだ載せられない
  • 地震のとき、どれだけの力か: 設計用震度に機器の重量(kN)を掛けた力を、重心に見込む。特記がなければ、屋上は上層階の区分で、タンク以外なら1.0、防振支持なら1.5。地下や1階は0.4(防振支持0.6)。鉛直は水平の1/2。また、標準図の適用表で屋上に使えるのは、床と一体の基礎に、埋込アンカーか、つなぎ筋に緊結した箱抜きアンカーを使う組合せだけだ(◎)
  • 吊る前に何を見るか: 吊らずに済むかを考え、そのうえで、作業の方法・転倒防止・配置と指揮の系統を定めて周知し、荷の重量と定格荷重、玉掛け用具、合図、立入禁止を確かめる

答え合わせは、理解度チェックでしてみよう。

次の問い

機器を据えたら、配管をつなぐ。では、配管の重さは、誰が、どんな間隔で受け持つのか。勾配はどうつけるのか。次のトピック「配管・附属品の施工」で、吊りと支持、勾配、接合の決まりを読む。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 標準基礎に荷重をかけられるまでの日数を、7日や28日と取り違える

    なぜ引っかかるコンクリートの強度というと28日が頭に浮かびやすく、仕様書の数字を確かめずに答えてしまう

    見破り方標準基礎は「打設後10日間以内に荷重をかけてはならない」(2.1.1(3)(ア)(a))。10日が経過してから据え付ける、と読み替える

  2. 設計用震度の表の読み違い(防振支持の括弧、タンクの欄、天井吊りの階、鉛直震度)

    なぜ引っかかる表に3つの区分と括弧書きがあり、さらに注で階の数え方が変わるため、1つ見落とすだけで数字が変わる

    見破り方防振支持は括弧内の値。タンクは別の欄。天井から支持される機器は、支持材を取り付ける床の階(当該階の上階)を使う。鉛直震度は水平震度の1/2。この4点を順に確かめる

  3. 屋外の鋼製架台の金物に、屋内の鋼材向けの電気亜鉛めっきを選ぶ

    なぜ引っかかる鋼材の防錆処理として電気亜鉛めっきも仕様書にあり、屋内の鋼材に適用するというなお書きを見落とす

    見破り方鋼材工事の4.6.2(2)は、ただし書で、屋外部分は溶融亜鉛めっき(HDZT49)又はステンレス鋼製(SUS304)とする。電気亜鉛めっきは屋内に使用する鋼材に適用される(3.2.2.5)。「屋外」の語に線を引く

  4. あと施工アンカーの種類の優劣を、一般論として言い切る

    なぜ引っかかる「金属系は摩擦で効くから強い」「接着系は樹脂だから弱い」のような言い切りは、呼び径・埋込み深さ・コンクリート強度の条件を抜いている

    見破り方標準図の表は、同じ呼び径でも、おねじ形メカニカルアンカーと接着系アンカーで埋込み深さが違う。許容値は条件つきで比べ、種類だけで優劣を決めた選択肢は疑う

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用5問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 基礎は機器運転時の全体荷重に耐えられる床又は地盤上に築き、標準基礎又は防振基礎とする(適用は特記)。標準基礎はコンクリート基礎で、打設後10日間以内に荷重をかけてはならない。ボイラー・冷凍機の基礎は、構造計算で強度が確認された基盤上に築く(機械設備工事編 第3編 2.1.1・2.1.2.1・2.1.7)
  2. 防振基礎は、標準基礎にストッパーを設け、防振架台を間接的に固定する。ストッパーは水平・鉛直の地震力に耐え、防振架台との間隙は運転時に接触しない程度とし、地震時に接触する面に緩衝材を付ける(2.1.1(3))
  3. 機器は水平に、かつ地震力で転倒・横滑りしないよう固定する。地震力は設計用震度に機器の重量(kN)を掛けたもので、水平・鉛直とも重心に作用する。特記がなければ水平震度は表3.2.1(タンク以外:上層階・屋上 1.0(防振支持 1.5)、中間階 0.6(1.0)、1階・地下階 0.4(0.6)。タンクは 1.0・0.6・0.6)、鉛直震度は水平震度の1/2(2.1.1(5))
  4. 標準図の基礎施工要領(一)の適用表では、床スラブと一体に配筋する基礎で、アンカーボルトを埋込む又はつなぎ筋に緊結した箱抜きとする組合せが◎で、階の制限が付いていない。独立基礎などの○・△は1階以下や中間階までで、機器によっては×(使えない)。屋外部分の鋼製架台のボルト・ナットは、溶融亜鉛めっき(HDZT49)又はステンレス鋼製(SUS304)とする(鋼材工事 4.6.2)
  5. ポンプは、共通ベースを基礎上に水平に据え、その後に軸心を調整する。機器廻り配管は、機器へ荷重がかからないように固定及び支持する
  6. 移動式クレーンで作業するときは、荷の重量やクレーンの能力などを考慮して、作業の方法、転倒を防止する方法、労働者の配置と指揮の系統をあらかじめ定めて周知する。定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない(クレーン等安全規則66条の2・69条)
Xでシェア
打ち合わせを予約 見積依頼