PR 本記事で紹介する商品リンクにはAmazonアソシエイト・プログラム等のアフィリエイトリンクが含まれます。詳細は広告についてをご覧ください。
想定例を1つ。管理組合から「駐輪場に防犯灯を。間隔は30mくらいで、灯具の真下が明るければいい」と頼まれ、見積どおりに30m間隔で付けたとします。竣工検査で灯具の真下を照度計で測ると数値は十分。ところが後日、灯具と灯具のちょうど中間で自転車の部品が盗まれる。
この想定例で足りなかったのは平均の明るさではなく、中間地点の最小の明るさです。防犯灯の基準には「平均水平面照度」と「鉛直面照度の最小値」の2つが別々に書かれていて、後者が暗がりを見つけるための数字です。では、その「3lx」や「4m先」という数字はどこから来たのか。LEDになって基準が1つ増えたのはなぜか。その2つを一次情報で追い、設置間隔の読み方と電気料金・補助金までつなげます。
照度クラスは3つ:A・B・B+
防犯灯の明るさは、公益社団法人日本防犯設備協会の技術標準SES E 1901-4「防犯灯の照度基準」(2005年制定、2011年・2012年・2015年改正)で決まっています。適用範囲は「生活道路」、つまり本来用のない自動車が通らず、買い物や通勤・通学に使う身近な道路です。公園や駐車場の防犯灯、幹線道路の道路照明は適用外です。
| クラス | 照明の効果(4m先の歩行者) | 平均水平面照度 | 道路中心線上の鉛直面照度の最小値 | 道路両端の鉛直面照度の最小値 |
|---|---|---|---|---|
| A | 顔の概要が識別できる | 5lx以上 | 1lx以上 | 規定しない |
| B | 挙動・姿勢などが分かる | 3lx以上 | 0.5lx以上 | 規定しない |
| B+ | 挙動・姿勢などが分かる | 3lx以上 | 0.5lx以上 | 0.5lx以上 |
出典:SES E 1901-4 表1。鉛直面照度は、道路面から1.5mの高さで道路軸に直角な面の照度。道路両端の値は、両端から0.5m内側で測ります。
水平面照度は路面の平均、鉛直面照度は歩行者の顔の高さに立てた面の最小値です。平均だけ満たしても、灯具の中間で鉛直面が0.5lxを切れば基準外になります。どのクラスを採るかは、協会の解説にあるとおり、道路の交通安全上・防犯上の重要性、歩行者・交通量、周辺の明るさ、照明にかけられるコストから設置者が選びます。岩崎電気は「少なくとも水平面照度3lx(クラスB)以上」を望ましい目安としています。
一段深い理解:3lxと「4m先」は、警察庁の要綱の注釈から来ている
クラスBの3lxは協会が独自に決めた数字ではありません。警察庁の「安全・安心まちづくり推進要綱」は、道路について「夜間において人の行動を視認できるよう、光害にも注意した上で防犯灯、街路灯等により必要な照度を確保すること」と書き、注釈で「人の行動を視認できる」を定義しています。4メートル先の人の挙動、姿勢等が識別できることを前提にすると、平均水平面照度がおおむね3ルクス以上必要、というのがその注です。
同じ要綱の注釈には、もう2つの数字があります。「人の顔及び行動を明確に識別できる」は10メートル先を前提におおむね50ルクス以上(公衆トイレの入口や共同住宅の共用玄関)、「識別できる」はおおむね20ルクス以上(共同住宅の共用廊下など)。防犯灯の3lxは、この3段階の一番下に当たります。要綱の掲載元は都道府県警の例規で、秋田県警は令和2年9月1日付の例規に全文を別添しています。
協会の解説はもう一段さかのぼります。表1の値はJIS Z 9111(道路照明基準)の住宅地域の照度基準に準じており、クラスAは交通量の多い道路、クラスBは交通量の少ない道路の値と同じです。そして「4m先で顔の概要が分かるには鉛直面1lx」という対応は、照明学会関西支部の街路照明の適正化に関する調査研究委員会が昭和62年3月にまとめた「街路照明の適正化に関する調査分析(その2)」の観測実験で確認されたものです。基準の数字が、要綱・JIS・実験の3方向から支えられていることになります。
設置間隔は、器具・取付高さ・道路幅・保守率で決まる
カタログの「設置間隔○m」は、計算条件を外すと使えません。岩崎電気とパナソニックで条件が違うのが分かりやすい例です。
| メーカー・器具 | 計算条件 | クラスA | クラスB | クラスB+ | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 岩崎電気 レディオック ストリート 7VA | 道路幅5m・取付高さ5m・路面反射率10% | 21m | 36m | 35m | L |
| 同 10VA | 同上 | 27m | 42m | 39m | LL |
| 同 20VA | 同上 | 39m | 51m | 46m | LL |
| パナソニック 10VA 昼白色(FL20相当) | 取付高さ4.5m・道路幅5m(FAQの仮定) | 12m | 20m | 18m | S |
| パナソニック 20VA 昼白色(水銀灯100形相当) | 取付高さ4.5m・保守率0.63・路面反射率0.1 | 25m | 41m | 40m | LL |
出典:岩崎電気「防犯照明」、パナソニック 10VA・20VA製品ページ、パナソニックFAQ。
同じ「10VA」でも、岩崎電気の10VAはランクLL、パナソニックの10VA昼白色はランクSです。VAは電力会社に申請する入力容量の区分であって明るさの区分ではないので、設置間隔はランクと計算条件で読みます。取付高さが0.5m違えば、照度分布も変わります。
協会の解説には従来光源の目安表もあります。たとえばコンパクト形蛍光灯のFHT32ワット1灯用(申請容量40VA)はクラスAで10m・クラスBで17m、FHP32ワット1灯用(40VA)は15m・25mです。既設の蛍光灯防犯灯を置き換える現場で、元の間隔がこの表のどこに当たるかを見ると、LEDで何ランクが要るかの目算が立ちます。
「FL20形相当」はランクで裏付けを取る
従来光源との比較表記は、長くメーカー任せでした。協会の2014年の委員会レポートは、「蛍光ランプ20W型相当」と書かれていても実際の明るさが製品で異なり、使用者にとって大きな問題だったと振り返っています。その対策が2012年2月の改正で導入された「ランク」です。クラスB+を満たす設置間隔で区分します。
| ランク | クラスB+を満たす設置間隔 | 従来光源の相当品 |
|---|---|---|
| SS | 12〜16m | 直管形蛍光ランプ20W |
| S | 17〜21m | 高圧水銀ランプ40W |
| M | 22〜26m | 高圧水銀ランプ80W、コンパクト形蛍光ランプ32W |
| MM | 27〜29m | 表記は「HF80(FHP32)相当」(それより明るい) |
| L | 30〜36m | 高圧水銀ランプ100W |
| LL | 37m以上 | 表記は「HF100相当」(それより明るい) |
出典:SES E 1901-4 解説 表3(注5・注6)。岩崎電気「防犯照明」も同じ表を掲載。
パナソニックはこの区分について、ランクSSを満たさない器具には「FL20形相当」と表記できないと説明しています。仕様書に「FL20相当」とだけ書くより、「ランクSS以上・クラスB+」と書くほうが、どのメーカーの器具でも同じ物差しで比べられます。
一段深い理解:クラスB+はLEDの指向性が生んだ基準
クラスB+は最初から本文にあった基準ではありません。協会の解説によれば、平成22年(2010年)当時に普及が加速していたLED防犯灯は、蛍光灯のような拡散性の光源と違って指向性が強く、クラスAやBを満たしていても道路端に光が届かず、歩行空間の安全・安心のレベルが下がる場合がありました。そこで道路端の明るさの基準値を加えたクラスB+を設け、2011年3月の改正で解説に記載。平成26年現在で普及したため、2015年2月の改正で本文の表1に組み入れられました。
協会の2022年度調査報告書は、この経緯の起点を横浜市に置いています。LED防犯灯がまとまって採用されたのは2008年に横浜市で試験導入されたのが最初で、2010年には約10,000灯。その横浜市の採用条件が元になってクラスB+が制定された、と書いています。基準が先にあって製品が従ったのではなく、自治体の仕様書が先にあり、基準が追いついた順序です。
クラスA+が無い理由も解説にあります。クラスAの明るさの空間では道路端から0.5m内側の鉛直面照度もクラスB+相当が確保されると考えられること、実際の道路で多く採用されているのがクラスBであることから、A+の基準は設けなかったとしています。
竣工検査での測り方
協会の解説は測定方法も決めています。水平面照度はJIS C 7612(照度測定方法)を基本に、道路の長さ方向に2〜3mを目安とし、防犯灯の設置間隔を等分割できる間隔で測ります。設置間隔が30mなら10分割して3m間隔(15分割の2m間隔でもよい)。鉛直面照度は同じ測定間隔で、道路軸に沿った測定位置の路面から1.5mの高さに、道路軸に直角な一方向(各点で同一方向)に照度計を立てて測ります。
クラスAとBは道路中心線上で測り、クラスB+はそれに加えて道路両端から0.5m内側の2列も測ります。冒頭の想定例で「真下だけ測る」のがなぜ足りないかは、この手順を見れば分かります。真下は10点のうちの1点でしかありません。
電気料金区分と自治体の補助
自治体や町会が電柱に共架して単独で受電する防犯灯は、電力会社の「公衆街路灯A」のような定額契約です。料金は器具の入力容量(VA)の区分で決まります。協会の調査報告書によれば、区分は10VA(10W未満)、20VA、40VAなどで、2011年12月1日に10VAが新設されたことがLED防犯灯の普及を加速させました。6W台のLED防犯灯が、蛍光灯20W器具(40VA区分)より2区分下に入るからです。
パナソニックの試算(東京電力エナジーパートナーの公衆街路灯A、令和7年4月1日実施の約款)では、10VA器具(申請入力容量6.5VA)が年2,472円、従来のFL20形器具が年6,540円。20VA器具(申請18.6VA)は年3,828円で、水銀灯100形器具(200VA区分)の年28,764円から4区分下がります。器具代の差を電気料金の差で何年で回収できるかは、この区分の表で計算できます。
補助制度は市区町村ごとに違います。2つ例を挙げます。
| 自治体(更新日) | 対象 | 補助の内容 |
|---|---|---|
| 柏市(令和8年4月30日更新) | 町会・自治会・区等 | LED防犯灯の新設:電柱共架で1灯上限30,000円、専用柱で上限20,000円。LED灯具への交換:上限30,000円。維持費(年額):10W以下2,300円・20W以下3,460円・20W超5,780円。工事実施後の申請は不可 |
| 北九州市(2026年4月3日更新) | 自治会 | LED防犯灯の設置費の4分の3以内。上限:独立灯51,500円、添架灯20,000円、ポール建て替え33,000円。維持管理費(年額):通学路上10W以下1,600円など |
出典:各市の公式ページ。額・条件は年度で変わるので、見積の前に当該自治体の要綱を確認します。
器具を選ぶときに見る項目
協会は照度基準とは別に、器具の性能を審査するRBSS(優良防犯機器認定)制度を持っています。LED防犯灯の認定基準RBSS 0004-4(2014年制定、2025年6月改正)は、要求事項を日本照明工業会のガイドA137-3「高品質LED防犯灯の性能要求指針 第2版」からそのまま引用しています。項目は13あり、設置間隔性能(クラスB+のランク)、自動点滅機能の点灯・消灯照度、定格メディアン光束維持時間40,000時間以上(10年の使用を想定)、耐サージ性能、昇柱作業者が誤って足をのせても破損しにくい取付部の強度、IP性能などです。
| 項目 | 岩崎電気 レディオック ストリート | パナソニック LED防犯灯(10VA・20VA) |
|---|---|---|
| 光束維持時間 | 60,000時間 | 60,000時間(光束維持率80%) |
| 耐雷サージ | 15kV(一部商品を除く) | 15kV(コモンモード) |
| 交換・点検 | (ページに記載なし) | 交換推奨10年、自主点検年1回、専門家点検3年に1回 |
| 保護等級・使用温度 | (ページに記載なし) | IP44、−20〜35℃ |
| 明るさの工夫 | 昼白色LED | 明光色(507nm付近の光を多く含み、薄明視で明るく感じさせる) |
出典:岩崎電気「防犯照明」、パナソニック 10VA・20VA製品ページ、明光色ページ。
パナソニックの「明光色」は、人間の目の感度のピークが暗くなるにつれて短波長側(507nm付近)へ移るプルキンエ現象を使い、同じ照度でも明るく感じさせる設計です。照度基準を満たすことが前提で、見え方は上乗せの判断材料です。
現場で間違いやすい点
| やりがちなこと | 何が起きるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 灯具直下の照度だけで検査を終える | 中間地点の鉛直面照度が0.5lxを切っても気付かない | SES E 1901-4 解説(測定間隔2〜3m・等分割) |
| カタログの設置間隔を条件を見ずに使う | 取付高さ・道路幅・保守率が違えば照度が出ない | 岩崎電気(道路幅5m・高さ5m)、パナソニック(高さ4.5m・保守率0.63) |
| 「FL20相当」の表記だけで器具を決める | ランクSSを満たさない器具が混ざる | パナソニック 照度基準ページ、協会2014年レポート |
| 明るさセンサーの近くに照射物や他の照明 | 点かない、昼間に点く | パナソニック 20VA製品ページ(照射物まで1m以上) |
| 降雪地で内蔵センサーのみ | グローブへの着雪で誤作動・強制点灯 | パナソニック 10VA・20VA製品ページ(外付け自動点滅器を案内) |
| 自動点滅器を器具と同じ寿命と思う | 電子式8〜10年、バイメタル式4〜5年で点かなくなる | パナソニック 自動点滅器の解説 |
| 樹木の成長を見ていない | 予定した照度を維持できない | 推進要綱 第2 1(1)ア(イ)「適時に点検すること」 |
接地の確認
防犯灯の金属製外箱には、使用電圧300V以下の機械器具としてD種接地工事(接地抵抗値100Ω以下)を施します(電気設備の技術基準の解釈 第29条・第17条第4項)。省略できるのは第29条第2項に列挙された条件に限られ、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を施設し、水気のある場所以外に設置する場合などです。防犯灯は屋外ですから、水気のある場所に当たるかの判断を先にします。
関連情報
- 電線管・配線ダクトの種類と選び方(PF管・CD管・VE管・金属管の使い分け)
- アルミケーブル(AL-CV)の許容電流とサイズアップの目安、銅端子との電食を防ぐ端末処理
- コンクリート埋設PF管のつぶれ対策・曲げ半径制限とFEP管の施工要領
関連するLED防犯灯・設置基準・照度クラス・設置間隔・岩崎電気・パナソニックの品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。