制御盤の扉に埋め込まれた表示器のラベルに、「GT2712-STBA」とある。隣の設備の表示器は「GT2705-VTBD」。どちらも同じ三菱電機のGOTシリーズだと聞いていたのに、並べてみると数字も文字もほとんど一致しない。予備品を手配しようにも、どの数字が画面サイズで、どの一文字が電源を決めているのか、ラベルを眺めているだけでは判断がつかない。
三菱電機のGOTシリーズは、PLC同様に型番の中へ仕様を折りたたんで運んでいる機器だ。折りたたみ方さえわかれば、ラベル一枚から画面サイズも電源も読み取れるようになる。その折りたたみ方は、三菱電機が公開する「GOT2000シリーズ本体取扱説明書(ハードウェア編)」に、形名構成図というかたちではっきり書かれている。以下、この公式資料に沿って一段ずつ開いていく。
型番の骨格——GT27 15□−XTBA□という並び
同マニュアルは、GOTの形名の見方を「GT27 15□−XTBA□」という構成図で示している。ハイフンの前が対象モデル・画面サイズ・構造を表す部分、ハイフンの後が解像度・表示部・パネル色・電源タイプ・その他を表す部分だ。GT2712-STBAという型番をこの型に当てはめると、GT27(対象モデル)+12(画面サイズ)+S(解像度)+T(表示部)+B(パネル色)+A(電源タイプ)という6つの部品に分解できる。
対象モデルの記号はGT27・GT25・GT21の3種類。三菱電機の製品マップページによれば、GT27はマルチタッチ・ジェスチャ機能を搭載した高機能フラグシップモデル、GT25は高性能と低価格を両立させたミドルレンジモデル、GT21は機能を無駄なく凝縮したコンパクトモデルという位置づけだ。ラベルの頭4文字を見るだけで、その表示器がどの価格帯・機能帯を狙って作られたものかが決まる。
「画面サイズ12」が2つの画面を指す理由
型番の骨格を覚えたところで、さっそくつまずく場所がある。形名一覧表を眺めると、GT2712-STBAとGT2512-WXTBDは、どちらも画面サイズ記号が「12」だ。この2桁の数字は、同マニュアルの記号一覧表では「12.1型または12.1型ワイド」と定義されている。つまり画面サイズ記号だけでは、標準の12.1型なのかワイドの12.1型なのかを区別できない。
その区別を担うのが、ハイフンの後に続く解像度記号だ。GT2712-STBAの「S」はSVGA(800×600ドット)、GT2512-WXTBDの「WX」はWXGA——標準よりも横に広いワイド画面の解像度を示す。三菱電機FAサイトのGT2712-STBA仕様ページも、画面サイズ12.1型・解像度SVGA(800×600ドット)・表示色65536色という数値でこれを裏付けている。画面サイズ記号だけを見て安心してはいけない、というのがここでの教訓だ。同じ「12」という数字は、後ろの解像度記号とセットで初めて一つの画面を指す。
AとDとLが分ける電源、そして直結専用モデルというもう一つの顔
ハイフンの後半に戻ろう。GT2712-STBAとGT2712-STBDは、画面サイズも解像度もパネル色もすべて同じで、末尾のAとDだけが違う。記号一覧表はAを「AC100V〜240V」、Dを「DC24V」と定義しており、この一文字だけで盤内の電源方式に合わせた選定ができる。
ここまでなら電源電圧の話で済むのだが、記号一覧表にはもう一つ、Lという電源タイプ記号が載っている。「DC5V」だ。AC100〜240VやDC24Vと比べると、5Vという数字はいかにも小さい。何に使うのかと思って形名一覧表のGT21の項を追うと、GT2104-PMBLSという型番に行き当たる。備考欄には「RS-422(FXCPU接続専用)」とある。DC5V電源のこのモデルは、三菱電機のFXシリーズPLCへ直結する専用モデルとして作られている。電源電圧の違いは、単なるスペック差ではなく、接続できる相手を一つに絞り込むための設計でもあったわけだ。
GT21だけに現れる通信記号——S・S2という枝分かれ
型番後半の「その他記号」を見ると、なし・S・S2という3種類の並びに、いずれも「GT21のみ」という注記が添えられている。なし(記号なし)はEthernet・RS-422/485内蔵、SはRS-232・RS-422/485またはRS-422のみ内蔵、S2はRS-232×2ch内蔵——三菱電機の記号一覧表はこう定義する。実際にGT21シリーズの形名一覧表を追うと、GT2105-QTBDS(末尾S)、GT2104-PMBDS2(末尾S2)のように、この記号がGT21・GT21ワイドの型番にだけ現れる。GT27やGT25の形名一覧表には、この位置に相当する記号は一つも出てこない。
なぜGT21だけなのか、資料はそこまで踏み込んで説明していない。ただ、GT27・GT25がEthernet・RS-232・RS-422/485・USBを標準で複数搭載する上位モデルであるのに対し、GT21は小型・低コストを志向したコンパクトモデルだ。搭載できるインタフェースの数に制約がある分、どの通信方式を積むかを型番の末尾で選ばせる必要が生まれた、と読むのが自然だろう。
セット品を示す「-GF」——本体と通信ユニットの組み合わせ
もう一つ、GT27とGT25にだけ現れてGT21には現れない記号がある。-GFだ。記号一覧表はこれを「CC-Link IEフィールドネットワーク通信ユニットセット品」と説明し、欄外に「GT27,GT25のみ」と注記する。形名一覧表でGT2712-STBA-GFの行を見ると、備考欄には「GOT本体+GT15-J71GF13-T2」とある。GT2712-STBA単体の型番に対して、CC-Link IEフィールドネットワーク用の通信ユニットGT15-J71GF13-T2があらかじめ組み込まれたセット品、というのが-GF付き型番の正体だ。
型番の見た目としては、末尾にたった2文字が増えただけに見える。だが実際には、本体1台分の型番の後ろに、もう1台分の通信ユニットの型番が丸ごと隠れている。予備品や増設分を手配する際、-GFの有無を見落とすと、本体だけが届いて通信ユニットが足りないという事態になりかねない。
型番だけでは語られないもの
ここまで型番の各部品を追ってきたが、形名一覧表にはさらに、GT2512F-STNAのようにFという構造記号がオープンフレームモデルを示し、GT2506HS-VTBDのようにHSがハンディGOTを示し、GT2507T-WTSDのようにTが耐環境性強化モデルを示すという枝分かれも記録されている。同じGT25という頭文字を持ちながら、後ろに続く1〜2文字の構造記号ひとつで、パネルに埋め込む標準モデルなのか、手に持って歩くハンディモデルなのか、屋外や粉塵環境向けの耐環境モデルなのかが分かれる。
型番の並びを覚えても、その型番が示す仕様の意味——なぜハンディモデルが必要なのか、なぜ耐環境性強化モデルが別枠で存在するのか——までは、ラベルの文字列だけからは読み取れない。それを判断するのは、結局のところ設備の設置環境と運用方法を知っている人間の側だ。型番はあくまで、その判断の結果を圧縮して運ぶ器にすぎない。
GOTシリーズの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、制御盤に残ったGOT表示器の型番から、電源方式(AC/DC)や通信インタフェースの確認、-GFの有無を含めたセット構成の照合までのご相談を見積フォームで受け付けている。ラベルの一部が読み取れない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。
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