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オムロンのH3Y・H3YNタイマの型番はどう読むのか|H3Y-2とH3YN-21を分ける「N」「1」「Z」「B」の記号が示す動作モード・時間レンジ・接点・ソケットの規則

読了目安: 10分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤の遅延回路を直そうとして、外した部品には「形H3Y-2」と刻印されている。倉庫の棚を探すと、似た型番の箱が並んでいた——「形H3YN-21」。頭の4文字はどちらも同じH3Y、末尾の数字も「2」と「21」で、一文字と一桁しか違わない。同じシリーズの中の、ちょっとした型番違いだろう、と思う。差し込んでしまえば動くはずだ、とも思う。

ところが公式サイトの形式一覧を開くと、この思い込みはすぐに崩れる。形H3Y-2と形H3YN-21は、接点の数どころか、そもそも「何ができるタイマーか」という一番上の枝で袂を分かつ、別々の系列の部品だった。

「N」の有無が分けるのは、動作モードそのものの数

オムロン公式データシート「ソリッドステート・タイマ H3Y」の形式構成図は、形H3Yシリーズを最初の一段で二つに分けている。形H3Y(モノファンクションタイマ)はオンディレー仕様専用で、時間レンジは工場出荷時から固定。形H3YN(マルチタイマ)は、オンディレー・インターバル・フリッカオフスタート・フリッカオンスタートという4つの動作モードをディップスイッチで切り替えられる。

この違いは、注文の作法にもそのまま表れている。形H3Yの公式ラインアップページには「ご注文の際は、電源電圧および最大目盛時間をご指定ください」とある。一方の形H3YNのラインアップページに書かれているのは「ご注文の際は、電源電圧をご指定ください」だけだ。最大目盛時間(何秒から何時間まで測れるか)を注文時に確定させる必要があるかどうか——この一行の差が、H3Yが「一つの時間値に固定された部品」であり、H3YNが「幅を持った部品」であることを、そのまま言い当てている。冒頭の形H3Y-2と形H3YN-21が似て見えたのは、たまたま数字の並びが近かっただけで、部品としての性格はここから既に違っていたことになる。

数字の「2」「4」が決めるのは接点の組数

とはいえ、型番の骨格を最初に決めているのは数字だという点は、H3YもH3YNも共通している。公式ラインアップ表によれば、形H3Y-2・形H3YN-2は限時接点2c、形H3Y-4・形H3YN-4は限時接点4cを表す。cは切替接点のことで、2cなら2組、4cなら4組の接点が本体の中に収まっている計算になる。

この数字には、負荷の向き不向きも隠れている。両シリーズのラインアップ表には、微小負荷(電流の小さい信号レベルの回路)を開閉する場合は4c側(形H3Y-4・形H3YN-4系)を使うようにという注記が繰り返し出てくる。極数を選ぶ場面は「何回路切り替えたいか」だけでなく「どれくらい小さい電流を確実に開閉したいか」という判断とも重なっている、ということだ。

H3YNだけに現れる「1」——短時間タイプと長時間タイプという、もう一つの軸

H3Yにはなく、H3YNにだけ存在する記号がある。極数の数字のすぐ後ろに付け足される「1」だ。公式ラインアップ表を見ると、形H3YN-2は短時間タイプ(0.1s~10min、1s/10s/1min/10minの4レンジをディップスイッチで切替)、形H3YN-21は長時間タイプ(0.1min~10h、1min/10min/1h/10hの4レンジ切替)と説明されている。4cの系列でも同じ構造で、形H3YN-4が短時間タイプ、形H3YN-41が長時間タイプだ。

「1」という、それだけ見ればほとんど意味を持たなそうな一文字が、扱える時間の桁をまるごと一段ずらしている。しかもこの軸は、H3Yのモノファンクションタイマには存在しない。H3Yは動作モードだけでなく最大目盛時間そのものが型番ごとに固定された商品で、0.5s刻みから3h刻みまで、必要な時間値の数だけ別々の形式が用意されている。H3YNは逆に、一つの型番の中に短時間タイプなら4段階、長時間タイプならさらに4段階という幅を抱え込み、現場でディップスイッチを切り替えて使う。冒頭で形H3Y-2と形H3YN-21を見比べたとき本当に確認するべきだったのは、極数の一致ではなく、この「固定なのか、幅を持つのか」という一点だった。

「Z」が許されるのは4接点だけ、しかもDC24V専用

H3YNの型番には、もう一段記号が積み上がることがある。「Z」だ。公式ラインアップ表によれば、形H3YN-4-Z・形H3YN-41-Zはツイン接点(接点を二重化し、接触信頼性を高めた構造)を表す。ただしこのZは、4c接点の系列にしか用意されていない——形H3YN-2系にZ付きの型番は存在しない。

電源電圧の面でも、Zは特別扱いを受けている。ラインアップ表の注記は、Zが付く形式の電圧仕様はDC24Vのみだと明記している。AC100Vで動かしたい回路にツイン接点タイプを使う、という選択肢はそもそも用意されていない。しかもツイン接点は、通常の4c接点よりさらに小さな負荷を確実に開閉するための構造だ。「4cは微小負荷向け、4c-Zはその中でもさらに微小な負荷向け」という段階が、型番の記号一つでそのまま表現されている。

電源電圧の選べる幅も、H3YとH3YNで違う

型番の外側、スペースを挟んで後ろに置かれる電源電圧の指定にも、両シリーズの性格差が現れる。形H3Yのラインアップ表に並ぶ電源電圧は、AC100~120V・AC200~230V・DC12V・DC24V・DC48V・DC100~110Vの6種類だ。一方の形H3YNのラインアップ表には、これに加えてAC24VとDC125Vが選べる。数にして8種類、H3Yより2種類多い。

わずかな差のようだが、AC24Vは制御盤の信号回路でよく使われる電圧帯であり、この一枠がH3Yには用意されていない。既設のH3Y-2をH3YN-2へ更新する場面で電源電圧をそのまま横滑りさせようとするなら問題はないが、逆にH3YNの新規設計でAC24V仕様を組んでしまってからH3Yへ置き換えようとすると、対応する電圧の型番自体が存在しないという壁に当たる。

「-0」と「-B」——似た位置のハイフン記号が、まったく別のものを決めている

型番の末尾には、もう二種類のハイフン付き記号が現れる。「-0」と「-B」だ。どちらも一文字か一桁だが、指しているものはまるで違う。

「-0」はH3Yだけに存在する記号で、端子形状を表す。無印(形H3Y-2・形H3Y-4)は表面取付のプラグイン端子、-0(形H3Y-2-0・形H3Y-4-0)は表面取付のプリント基板用端子だ。この記号はH3YN側には存在しない——形H3YNのラインアップには、-0が付く型番がそもそも出てこない。

「-B」はH3Y・H3YNの両方に存在するが、決めているのは端子形状ではなく本体の色と、対応するソケットの端子方式だ。オムロン公式FAQ(FAQ000102323)によれば、無印は本体がベージュ色でねじ端子台タイプのソケットを推奨、-Bは本体が黒色でプッシュインPlus端子台タイプのソケットを推奨する。しかも-Bは、極数・時間レンジ・ツイン接点のどの軸とも組み合わさる。公式ラインアップページには形H3Y-2-B・形H3Y-4-Bだけでなく、形H3YN-2-B・形H3YN-21-B・形H3YN-4-B・形H3YN-41-B・形H3YN-4-Z-B・形H3YN-41-Z-Bまで、ここまで見てきた記号の組み合わせがすべて-B付きでも用意されている。

ここに、見落とすと物理的に困る注意点がある。公式FAQは、-B付きの本体を無印用のねじ端子台ソケットへ挿すこと自体は可能だが、その場合タイマ本体が上下逆さまに取り付けられる状態になると注記している。さらに-B系列の公式ラインアップページには、-0(プリント基板用端子)は使用できないという注記もある。-0と-Bは、型番の中で似た位置に置かれる記号でありながら、互いに両立しない組み合わせでもある。

型番だけでは決まらないもの

ここまでの規則を積み上げれば、H3Y-2とH3YN-21がなぜ似て見えて実は別物なのか、N・数字・1・Z・-0・-Bという記号がそれぞれ何を分けているのかは、かなりの部分まで読み解けるようになる。ただし、記号の意味が分かることと、現場で正しく組み合わせられることは別の話だ。

ソケットは、H3Y・H3YNのどちらも本体に付属しない別売部品だ。公式ラインアップ表には、表面接続用のPYFZ-08・PYFZ-14(DINレール取付)や、裏面接続用のPY08・PY14(はんだ付け・プリント基板用端子)まで、接続方式ごとに異なる形式が並んでいる。保持金具にも2種類あり、公式FAQによれば2本入りのY92H-3と1本入りのY92H-4はソケットの系統によって使い分けが決まっていて、タイマ1台あたりに必要な本数も異なる。

さらに公式FAQ(FAQ06364)は、UL-Listed対応が必要な用途では、タイマ形H3Y(N)-2□-BとソケットPYF-08-PU-Lという組み合わせが指定されていることも明かしている。加えて、長年の定番だったソケットPYF08A-□は2021年3月に生産を終了しており、既設設備の更新では代替品の確認が別途必要になる。型番を分解して読めるようになった先で、最後にもう一段、ソケットとの組み合わせと現在の入手可否を確認する作業が残る。

オムロン製H3Y・H3YNタイマの型番確認・見積りについて

電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物に残ったH3Y-2・H3YN-21等の型番の分解から、動作モード・時間レンジ・ツイン接点の確認、ソケットとの組み合わせ照合、後継品の照合まで対応している。型番の一部が判読できない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。

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参考文献・出典

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