型番だけを見て、CPR-15を発注したとする。定格負担15VA、確度階級1.0級、必要な仕様は揃っている。届いた現物を電力量計と組み合わせて検定に出したところ、検定機関から突き返された。理由は「この型番は検定対応品ではない」。
隣の棚には、まったく同じ定格負担15VAのCPR-15Wが並んでいる。数字はどちらも15。違うのは末尾のアルファベット一文字、Wの有無だけだ。この一文字が、需要家との電力取引に使える計器かどうかを分けている。大崎電気工業の計器用変成器の型番には、CDR-5W、CU3R-5W、EFR6-25Fといった具合に、似た形のアルファベットと数字が並ぶ。読み方さえ分かれば規則的に見えるが、規則には例外も混じっている。公式製品ページの仕様表を横に並べて、どこまでが確認できる規則で、どこからが読み手の早合点かを切り分けたい。
計器用変成器とは何か——検定という制約がついて回る機器
計器用変成器は、高電圧・大電流の回路を、電力量計や保護継電器で直接扱える電圧・電流に変換する機器で、変流器(CT)・計器用変圧器(VT)・計器用変圧変流器(VCT)の3種類に大別される。別記事で扱った通り、CTは二次側を開放してはならず、VTは逆に短絡してはならないという、名前の似た機器同士で正反対の安全ルールを持つ点でも知られる。
大崎電気工業は1941年の合併時に計器用変成器を製品ラインアップへ加えたメーカーで、公式製品カテゴリページには変流器7型番、計器用変圧器4型番、計器用変圧変流器2系列(一般用・耐塩用)が掲載されている。並べただけでは規則性は見えてこない。仕様表の数字を一つずつ突き合わせて、初めてその境界線が見えてくる。
型番の一文字目は、機器の種類を示す
大崎電気工業の変成器製品カテゴリページに並ぶ型番を並べると、変流器はすべてCで始まる。CDR-5W、CU3R-5W、CP3R-5W、CPR-5・15・40、CPR-15W、CUR-15・40・15W、CFR6-40。計器用変圧器はすべてEで始まる。EFR-15・25(F)、EFR6-25(F)。計器用変圧変流器はVで始まる。VAXC(一般用)、VSXC(耐塩用)。頭文字がCurrent transformer・Voltage transformerの略だとまでは公式ページに明記されていないが、CT・VT・VCTという区分と頭文字の対応は、型番一覧を突き合わせれば確実に読み取れる。
末尾の数字は、定格負担(VA)と一致する
型番末尾に置かれた数字が何を意味するのか、公式ページはどの製品でも明言していない。だが11型番すべての仕様表を並べると、一つの対応関係が例外なく成立する。数字が、その型番の定格負担(VA)と一致するのだ。
- CDR-5W・CU3R-5W・CP3R-5W——いずれも定格負担2×5VA、型番の数字は5
- CPR-15・CUR-15・CPR-15W——いずれも定格負担15VA、型番の数字は15
- CPR-40・CUR-40・CFR6-40——いずれも定格負担40VA、型番の数字は40
- EFR-15(F)——定格負担15VA、型番の数字は15
- EFR-25(F)・EFR6-25(F)——定格負担25VA、型番の数字は25
CPR-5の定格アンペアターンが100〜750、CUR-40の定格一次電流が200〜2000Aというように、同じ末尾数字を持つ型番でも定格電流のレンジは製品ごとにばらばらだ。それでも定格負担だけは、末尾の数字ときれいに揃う。この一致が11型番すべてで崩れないことを踏まえると、型番の数字を見た時点で「この機器を何VAの負担まで使えるか」の見当は付けられる。ただし、これは仕様表を突き合わせて確認できた対応関係であって、大崎電気工業が「型番の数字は定格負担を表す」と明言しているわけではない。見当を付けたうえで、発注前には必ず仕様書で定格負担そのものを確認する必要がある。
型番中の「6」は、6.6kV級の一次電圧を示す
計器用変圧器のEFRシリーズには、6のあるものとないものがある。EFR-15・EFR-25は定格一次電圧220V・440V、最高電圧230V・460Vの低圧系統向けだ。一方EFR6-25は定格一次電圧6600V、最高電圧6900Vの高圧系統向けになる。変流器のCFR6-40も最高電圧6900Vで、6のないCPR-40・CUR-40とは想定する回路電圧のクラスが違う。
同じ定格負担25VAでも、EFR-25とEFR6-25では現場で挿す場所がまるで違う。EFR-25を6.6kVの高圧回路に、あるいはEFR6-25を220V回路に取り付けることはできない。定格負担の数字だけを見て「同じ25だから」と型番を読み違えると、絶縁が持たない組み合わせを発注しかねない。
Fサフィックスは、内蔵ヒューズの有無——ここは公式に明言されている
EFR-15FとEFR-15、EFR6-25FとEFR6-25。末尾のFの有無について、大崎電気工業の製品ページには注記として「ヒューズなしの場合は、形名の最後のFがなくなります」とはっきり書かれている。EFR-15F・EFR-25FはVTヒューズ500V・5A・50kAを内蔵し、EFR6-25FはVTヒューズ7.2kV・1A・40kAを内蔵する。ここまでは仕様表の対応関係を突き合わせるまでもなく、公式ページの文章そのものが根拠になる型番規則だ。
Wサフィックスは検定対応を示すことが多いが、CFR6-40という反例がある
CPR-15W製品ページの特長欄には「普通電力量計と組み合わせて検定が受けられる検定対応品で、定格負担は15VAです」とあり、検定不可のCPR-15と定格負担が同じ15VAであることも併記されている。CUR-15Wのページにも「CUR-15Wは、普通電力量計と組み合わせ検定を受けることができます」と書かれ、検定不可のCUR-15・CUR-40と対比される形になっている。ここまでを見る限り、Wは「検定対応版であることを示す接尾辞」だと判断してよさそうに見える。
ところが、CFR6-40の仕様表を見ると、Wが付いていないにもかかわらず検定欄は「可」だ。CDR-5W・CU3R-5W・CP3R-5Wも検定可でWが付いているが、これらには比較対象となる無印モデル(CDR-5、CU3R-5、CP3R-5)がそもそも存在しない。つまり確実に言えるのは、「CPR-15とCPR-15W」「CUR-15とCUR-40とCUR-15W」という個別の対比の中でだけ、Wの有無が検定可否の分かれ目になっているという事実であり、大崎電気工業の型番全体を貫く「Wは検定を意味する」という普遍規則ではない。型番だけで検定の可否を判断せず、個別の仕様表で「検定」欄を確認する手順を省略してはならない理由が、このCFR6-40という一例に集約されている。
VAXC・VSXCは、電圧クラスと負担クラスを型番の別々の位置に持つ
計器用変圧変流器のVAXC(一般用)とVSXC(耐塩用)には、それぞれ4つの型番がある。VAXC-3J、VAXC-3M、VAXC-J、VAXC-Mだ。公式仕様表によれば、VAXC-3J・VAXC-3Mの計器用変圧器定格電圧は3300/110V、最高電圧3450V。VAXC-J・VAXC-Mは6600/110V、最高電圧6900V。型番中の「3」の有無が、3300V級か6600V級かという一次電圧のクラスを分けている。
末尾のJ・Mは、CT・VTシリーズの末尾数字とは違う位置付けだ。VAXC-3J・VAXC-Jの計器用変圧器定格負担は2×15VA、VAXC-3M・VAXC-Mは2×25VA。つまりJ・Mという一文字が、CPR・CURシリーズでいう「15」「25」という数字と同じ役割の負担クラス記号として使われている。同じカテゴリ内でも、CT・VTシリーズは数字で負担を示し、VCTシリーズはアルファベットで負担を示す——命名の軸そのものがシリーズごとに切り替わっている。
VSXC形は、この型番構成に対してさらに一段情報が足される。公式ページの特長欄には「VSXC形は塩害地域用で、筐体素材はステンレス鋼板を使用しています」とあり、VAXCとの違いは電気的な定格ではなく筐体材質だと明記されている。海沿いの変電設備や屋外露出の受電設備で計器用変成器を選ぶ際、型番の頭がVAXCかVSXCかだけを見れば、塩害対策の要否を判断できる。
型番から読み取れないもの
CDR・CUR・CPR・CFR6という並びの、D・U・P・Fという二文字目については、公式ページのどこにも意味の説明が見当たらなかった。CU3R-5W・CP3R-5Wの特長欄には「三相が一体化されているため、配線作業が簡素化できます」という記載があり、型番中の3の位置がこの三相一体構造と何らかの形で対応している可能性はある。しかし、これも大崎電気工業が「3は三相一体形を示す記号である」と明言しているわけではなく、確認できるのは製品の構造説明そのものまでだ。
推測で埋められる部分を無理に埋めるより、現物の型番プレートと公式仕様書を照合し、確認できない部分は確認できないまま扱うほうが、発注ミスを防げる。特にCPR-15とCPR-15Wのような一文字違いのペアは、定格負担が同じであるがゆえに見た目の差が小さく、検定要否という業務上の要件を後回しにしたまま型番だけで発注すると、今回の冒頭のような突き返しが起きる。
大崎電気工業の計器用変成器の型式確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、大崎電気工業の変流器・計器用変圧器・計器用変圧変流器について、現物の型番プレートからの照合、検定対応版への読み替え、後継品・代替品の確認まで対応している。電力会社との需給計量に使う計器かどうかは検定要否を左右する重要な条件のため、用途を伝えたうえで型番を照合してもらうと選定を間違えにくい。
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