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パナソニックのHCリレーの型番はどう読むのか|HC1・HC1E・HC1-DC6V-Dが並べる極数・密封構造・接点材質・ダイオード内蔵の規則

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤の更新現場で、古いリレーを一つ引き抜く。ソケットに残った型番シールには「HC1-H-DC24V-F」。予備部品箱を開けると、同じ棚にあったのは「HC1E-H-DC24V-F」。接点構成は同じ1c、コイル電圧も同じDC24V。違って見えるのは「E」というたった一文字だけだ。同じ棚に並べて保管していたくらいだから、差し替えても大丈夫だろう、とは思う。だが、その「たぶん」のまま差し込んでいいのか、一瞬手が止まる。

型番をそのままパナソニックの製品サイトで調べてみると、最初に目に入るのは仕様表でも選定ガイドでもなく、「受注終了 終了時期2018年9月末 対象商品:全タイプ」という赤い注意書きだった。もう新品としては買えないリレーの型番を、今さら読み解く意味があるのか。あるとすれば、それはまさに今、既設設備の交換や後継品選定に迫られている人のためだ。パナソニックの制御盤用パワーリレー「HCリレー」は、公式カタログ(ASCTB4J 201709-Fd)が型番の構成をひとつの図に分解して公開している。今回はこの一次資料に沿って、「接点構成」「端子形状」「コイル電圧」「接点材質」という4つの軸に、密封構造を示す「E」とダイオード内蔵を示す「D」がどこに割り込むかを見ていく。

骨格は「接点構成-端子形状-コイル電圧-接点材質」の4段

公式カタログの型番体系図によれば、HCリレー標準品の型番は「HC[接点構成]-[形状表示]-[コイル定格電圧]-[接点材質]」という4つの位置で構成されている。冒頭の「HC1-H-DC24V-F」を分解すると、1(接点構成)・H(形状表示)・DC24V(コイル電圧)・F(接点材質)という4段がハイフンで繋がっていることになる。

この骨格そのものは単純だ。厄介なのは、この4段の型番に「E」や「D」が割り込んでくると、骨格の見え方が微妙に変わってしまう点にある。まずは割り込みのない基本の4段を、一つずつ剥がしていく。

極数が増えるほど、扱える電流はむしろ小さくなる

「HC」の直後に来る数字が、まず接点構成(極数)を決める。公式カタログでは1:1c、2:2c、3:3c、4:4c、4D:4極ツインの5種類が定義されている。cは切替接点(コモン端子を挟んでa接点とb接点が対になった構成)のことで、数字が大きいほど、1個のリレーで同時に切り替えられる回路の本数が増える。

ここまではオムロンのMYリレーなどとも共通する規則だ。だがHCリレーの定格表を見ると、意外な数字が並んでいる。抵抗負荷での定格制御容量は、1c=10A、2c=7A、3c=7A、4c=5A、4極ツイン=3A。極数が増えるほど、1接点あたりの容量はむしろ小さくなっているのだ。極数は「同時に切り替えられる回路の数」を表すものであって、「1回路あたりの容量」とは別の軸だと分かっていないと、「4極ツインなら大容量だろう」という早合点をしてしまいかねない。実際には逆で、4極ツインは3Aという小信号向けの容量しか持たない。

もう一つ、見落とすと事故につながる注記がある。公式カタログは「電気用品安全法において、4cタイプはAC150Vを超える電圧では使用できません」と明記している。制御電圧をAC200Vで組んだ回路に、たまたま手元にあった4cのHCリレーを流用する、という判断は、この一文の前では成立しない。

端子形状の記号は、極数とコイル電圧のあいだに座る

型番の中ほど、極数の直後・コイル電圧の手前に置かれるのが形状表示だ。公式カタログの構成表では、H:プラグイン型、HL:プラグイン型LED表示付、HP:プリント板型、HPL:プリント板型LED表示付、HTM:直付型(TM型)の5種類が並ぶ。

プラグイン型はソケットに差し込んで使う交換前提の標準タイプ、プリント板型は基板に直接実装するタイプ、直付型ははんだ付けなどでソケットを介さず固定するタイプだ。この記号の位置——極数のすぐ後ろ、コイル電圧のすぐ前——は、パナソニックの他のリレーやオムロンのMYリレーで見てきた「端子形状は型番の中ほどに来る」という並びと同じ発想だと言える。読み方の型そのものは、メーカーが違っても大きくは崩れない。

接点材質の記号「F」は、なぜ4cと4極ツインだけに現れないのか

ここからが、HCリレーの型番でいちばん引っかかる箇所だ。型番の末尾、コイル電圧のさらに後ろに置かれるのが接点材質の記号だが、公式カタログの対応表を見ると、1c・2c・3cには「F」という記号が明記されているのに対し、4c・4極ツインの欄は「無表示」——つまり、そもそも記号自体が存在しない。

これだけを見ると、4c・4極ツインの型番には材質情報が抜け落ちているように見える。ところが性能概要表まで遡ると、話は違ってくる。1c・2c・3cの接点材質は「Ag合金(カドミフリー)にAuフラッシュ」、4c・4極ツインの接点材質は「AgNi系にAuクラッド」と、はっきり書き分けられているのだ。材質情報が抜け落ちているのではなく、接点構成(極数)が決まった時点で、使われる接点材質も一つに定まってしまう。だから4c・4極ツインの型番には、わざわざ材質を書き分けるための記号がいらない——という理屈は、資料の記載から素直に導ける仮説ではある。

ただし、なぜ1c・2c・3c側だけ記号で書き分ける設計にしたのか、なぜ4c・4極ツイン側は接点材質を選べない仕様にしたのか、という設計の意図そのものまでは、今回参照した資料には書かれていない。分かるのは、型番の記号が減っている場所ほど、その仕様が一意に固定されている、という型番全体の傾向だけだ。

なお、パナソニックの発注用の品番(型番とは別に用意された「AP」で始まる注文品番)まで見ると、この非対称はさらにねじれる。標準品の注文品番体系では、接点材質の欄そのものに、4c・4極ツインのAgNi系を表す「K」がきちんと割り当てられている(たとえばHC4-HL-AC6VはAP314006K)。ところがアンバータイプの表では、接点材質の欄は4c・4極ツインとも「無表示」で、代わりに動作表示の欄に「44K:アンバータイプLED表示なし(4c、4極ツイン)」という専用のコードが用意されている。結果として、LED表示なしのアンバータイプはHC4E-H-AC6V→AP314044Kのように末尾にKが現れるが、同じ4cでもLED表示付になるとHC4E-L-AC100V→AP314446となり、Kは消える。ダイオード内蔵型に至っては接点材質欄が無表示のままで、HC4-DC6V-D→AP9240とKが出てこない。同じAgNi系の接点材質を指しているはずなのに、記号がどの欄に割り振られるかがタイプごとに違う——型番と注文品番、標準品とアンバータイプとダイオード内蔵型、という軸を掛け合わせたときに初めて見える食い違いで、これもなぜそう設計されているのかまでは分からない。

「E」は極数のすぐ後ろ、「D」はコイル電圧の後ろに割り込む

密封構造を示す「E」と、ダイオード内蔵を示す「D」は、どちらも「追加の機能を持つこと」を示す記号でありながら、型番の中の座る位置がまったく違う。

「E」は、極数を表す数字のすぐ後ろ、形状表示のさらに手前に割り込む。冒頭で見た「HC1E-H-DC24V-F」の「E」がこれにあたる。公式カタログのHCリレーシリーズ商品表によれば、アンバータイプの特長は「シール樹脂でシールした密封構造」であり、「悪環境下でも高信頼性を発揮」し「有機ガスや粉塵の多い環境でのご使用に最適」とされている。これに対して標準品の保護構造は、カタログ表紙に「ダストカバー/プラシール型」と記載されている。同じ「HC1」という骨格を持っていても、Eの有無で、密封構造か、簡易的な防塵構造かが分かれるということだ。

一方の「D」は、コイル電圧の後ろ、接点材質のさらに手前という、まったく別の位置に割り込む。ダイオード内蔵型の型番例「HC1-DC6V-D-F」を見ると、DC6V(コイル電圧)の直後にD、その後ろにF(接点材質)という順で並んでいる。公式カタログによれば、この「D」はコイルOFF時に発生するサージを吸収するダイオードを内蔵していることを示し、DC専用で、逆耐電圧1,000V・順方向電流1Aという特性を持つ。同じ「機能を追加する1文字」でありながら、Eは型番の前寄りに、Dは型番の後ろ寄りに置かれている。この位置の違いが単なる命名上の都合なのか、それとも仕様の階層構造を反映したものなのかは、今回の資料だけでは判断がつかない。

HCリレーは、もう新品としては買えない

ここまでの規則を積み上げれば、接点構成・端子形状・コイル電圧・接点材質、そして密封構造とダイオード内蔵という6つの軸で、HCリレーの型番はかなりの部分まで読み解けるようになる。だが、読み解けたからといって、その型番の新品を発注できるわけではない。

パナソニックが公開している終了品版カタログの表紙には、赤字で「受注終了 終了時期2018年9月末 対象商品:全タイプ」と明記されている。標準品・アンバータイプ・ダイオード内蔵型のいずれも例外なく、すでに受注が終了した製品だ。つまり、現場でHCリレーの型番に出会う場面のほとんどは、故障や経年劣化による交換、あるいは制御盤そのものの更新にほぼ限られる。型番を分解して仕様を特定できたとしても、その先には必ず、後継品や代替品をどう選ぶかという別の判断が待っている。

パナソニック製HCリレーの型番確認・見積りについて

電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、既設の制御盤に残ったHC1・HC1E・HC1-DC6V-D等の型番の分解から、接点構成・コイル電圧・密封構造の有無の確認、受注終了に伴う後継品・代替品の照合までのご相談を見積フォームで受け付けている。型番の一部が判読できない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。

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よくある質問

HC1とHC1Eは何が違いますか?

密封構造の有無です。パナソニック公式カタログによれば、標準品の保護構造は「ダストカバー/プラシール型」ですが、Eが付くアンバータイプは「シール樹脂でシールした密封構造」に変わり、有機ガスや粉塵の多い環境での使用に最適とされています。極数・コイル電圧が同じでも、Eの有無で使用環境の適性が変わります。

接点構成の数字(1c・2c・3c・4c)が大きいほど、扱える電流も大きくなりますか?

逆です。公式カタログの定格表によれば、抵抗負荷での定格制御容量は1c=10A、2c=7A、3c=7A、4c=5A、4極ツイン=3Aと、極数が増えるほど1接点あたりの容量は小さくなります。極数は「同時に切り替えられる回路の数」を表すもので、「1回路あたりの容量」とは別の話です。

型番の接点材質記号「F」が付いていないHC4やHC4Dは、材質が分からないということですか?

型番だけを見ると分かりませんが、材質自体は一意に決まっています。公式カタログの性能概要表では、1c・2c・3cは「Ag合金(カドミフリー)にAuフラッシュ」、4c・4極ツインは「AgNi系にAuクラッド」と明記されており、接点材質は接点構成(極数)によって自動的に決まります。型番の接点材質欄が4c・4極ツインで「無表示」になっているのは、選ぶ余地がないため記号を割り当てる必要がないからだと考えられますが、そう設計した理由そのものは今回参照した資料には書かれていません。

HCリレーはまだ新品で購入できますか?

できません。パナソニック公式カタログ(終了品版)の表紙には「受注終了 終了時期2018年9月末 対象商品:全タイプ」と明記されており、標準品・アンバータイプ・ダイオード内蔵型を含む全タイプが受注終了しています。既設設備で見つかった場合は、型番を分解したうえで後継品・代替品の確認が必要です。

参考文献・出典

  • パナソニック株式会社「制御盤用リレー HCリレー」制御機器 単品カタログ(2017年9月発行、ASCTB4J 201709-Fd、パナソニック公式PDF) (表紙の「受注終了 終了時期 2018年9月末 対象商品:全タイプ」の告知および「保護構造:ダストカバー/プラシール型」の表示。「型番体系」の構成図(標準品はHC[接点構成]-[形状表示]-[コイル定格電圧]-[接点材質]、アンバータイプは接点構成の直後にE/ED、ダイオード内蔵型はコイル定格電圧の後ろにDが入る構成。接点構成1:1c/2:2c/3:3c/4:4c/4D:4極ツイン、標準品の形状表示H/HL/HP/HPL/HTM、接点材質表[1c・2c・3cはAgSnO2系でF、4c・4極ツインはAgNi系で無表示])。「ご注文品番体系」の接点材質表(標準品では4c・4極ツインのAgNi系にKが割り当てられる一方、アンバータイプとダイオード内蔵型では接点材質欄が無表示であり、アンバータイプではKが動作表示の「44K:アンバータイプLED表示なし(4c、4極ツイン)」の側に入ること)。性能概要表(接点材質が1c/2c/3cは「Ag合金(カドミフリー)にAuフラッシュ」、4c/4極ツインは「AgNi系にAuクラッド」、定格制御容量が1c10A・2c7A・3c7A・4c5A・4極ツイン3A)。注記「電気用品安全法において、4cタイプは150V ACを超える電圧では使用できません」。HCリレー接点構成表のアンバータイプの特長「シール樹脂でシールした密封構造のリレーです。悪環境下でも高信頼性を発揮します。有機ガスや粉塵の多い環境でのご使用に最適です。」およびダイオード内蔵型の特長「コイルOFF時に発生するサージを吸収するダイオードを内蔵しています。(DC専用)」「ダイオード特性 逆耐電圧:1,000V 順方向電流1A」。型番と注文品番の対応表(HC1-H-AC6V-F/AP3110F、HC4-HL-AC6V/AP314006K、HC1E-H-AC100V-F/AP311444F、HC4E-H-AC6V/AP314044K、HC4E-L-AC100V/AP314446、HC1-DC6V-D-F/AP9210F、HC4-DC6V-D/AP9240等))
型番不明でもOK

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