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配線図 ・ 7 / 13

制御回路の図 — 自己保持・インタロック・電磁開閉器・表示灯

読み終えると、こうなる

OCRから遮断器へ伸びる細い線を見て、そこに電力ではなく判断の信号が流れていると気づけるようになる。

  • 自己保持回路を、始動ボタンと並列に入った接点を探すことで見分けられる
  • インタロックに使われている接点が、a接点かb接点かを見分けられる
  • THRが動作したときに何が止まり、何が止まらないかを切り分けられる
考えてみよう

単線結線図の主回路には、電力が流れる太い線が描かれている。だがOCR(過電流継電器)の枠から遮断器(CB)へ伸びる、もう1本の細い線がある。この線には何が流れているのか。

電力の線だとしたら、継電器が発電しているみたいでおかしい。かといって何も流れていないなら、そもそも線を描く意味がない。この細い線の正体が分かると、実は制御回路という別の図の読み方まで見えてくる。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この細い線が何を運んでいるのかを説明できるようになっている。

高圧の単線結線図の脇には、低圧の電動機を動かすための制御回路(シーケンス図)が別に描かれることがある。ここに出てくる記号と、その読み方を見ていく。

電磁接触器(MC)の主接点とコイル MC(主接点) MC(コイル) 電磁接触器の主接点(半円の印)とコイル(作動装置一般記号)(自作、JIS規格票の形状記述に基づく)

電磁接触器(MC)の主接点 は、これまで見てきた接点記号の仲間だ。固定側端子の先端に小さい半円が付く。断路器の横棒、遮断器の×、負荷開閉器の丸に続く、4つ目の印だと考えればいい。MCのコイル は、電気を流すと主接点を引き寄せて閉じる部分で、横長の長方形(作動装置一般記号)で描かれる。

熱動継電器・押しボタン・表示灯・ブザー THR(熱動継電器) BS(押しボタン) SL(表示灯) BZ(ブザー) 制御回路でよく使う記号(自作、JIS規格票の形状記述に基づく)

THR(熱動継電器) は、横長の長方形の右辺に小さな切欠きが入り、中央を導体線が貫通する記号で描かれる。過負荷電流による発熱でブレーク接点を開き、MCを落とす役目を持つ。MC(開閉)とTHR(過負荷保護)を組み合わせた1つの機器が、電磁開閉器(MS)だ。BS(押しボタン) はコの字の操作部から破線(機械的連結)でメーク接点につながる記号、SL(表示灯) は円に×、BZ(ブザー) は伏せた半円から端子2本が下に出る記号で表される。

自己保持——ボタンから手を離しても回路が保たれる仕組み

自己保持回路の基本構成(概念図) 停止ボタン(b接点) 始動ボタン(a接点) MC補助接点(a接点) THR(熱動継電器のb接点) MCコイル 始動ボタンと並列のMC補助接点が自己保持をつくる(自作の概念図。実際の記号はJIS準拠の接点記号で描かれる)

始動ボタン(a接点)を押すとMCコイルが励磁され、主接点が閉じて電動機が回り始める。同時に、始動ボタンと並列に入っているMCの補助a接点も閉じる。だからボタンから手を離して始動ボタンの接点が開いても、並列側のMC補助接点が通電を保ち続ける。これが自己保持だ。停止するには、この保持ループに直列に入れたブレーク接点(停止ボタンやTHRのb接点)で回路を切ればよい。

自己保持の鍵は「並列」にある。**始動ボタンと同じ働きをする接点を、ボタンとは別の場所(MC自身の補助接点)に用意し、それを並列につなぐことで、ボタンという一時的な操作を、コイルが自分で保持する永続的な状態に変える。** 図を読むときは「始動ボタンと並列の接点は誰のものか」を探せば、自己保持の有無が一目で分かる。

インタロック——同時に入ってはいけない2つの動作を防ぐ

正転用MCと逆転用MC、あるいはスターMCとデルタMCのように、同時に投入してはいけない2つの動作がある。これを防ぐのがインタロックだ。相手側MCが動作している間は開いているブレーク接点(b接点)を、自分のコイル回路に直列に入れる。相手が入っていれば自分の回路は閉じず、自分が入っていれば相手の回路は閉じない。この電気的インタロックに加えて、押しボタン自体を機械的に連動させる機械的インタロックを併用することもある。

第一種の制御回路問題では、三相かご形誘導電動機の始動制御(じか入れ・スターデルタ始動)を題材に、接点の名称・自己保持の有無・スターデルタ切換のタイミング(限時継電器TLRの働き)・表示灯が点灯する条件・THRが動作したときに何が起きるかを読み取らせる形が定番になっている。複雑なリレー設計そのものを1から組み立てさせる出題ではなく、描かれた図を正しく読み取れるかが問われる。

制御電源回路にも、保護が要る

単線結線図の隅に、制御電源回路(自動力率調整装置や継電器を動かすための低圧電源)が 描かれることがある。そこに小さな保護装置が付いていて、「この装置の目的は」と問われる。

制御電源回路は、主回路と違って電流が小さい。だから過電流よりも、 地絡(漏電)のほうが問題になりやすい。ZCTのような零相変流器と継電器の組み合わせが 描かれていれば、それは地絡を検出して警報を出すためのものだ。

見分けの手がかりは**記号の中身**にある。
  • 円を導体が貫通する記号+継電器 … 零相電流を見ている → 地絡の検出
  • 「I>」の枠 … 電流の大きさを見ている → 過電流(短絡)の検出
  • 温度計の記号 … 変圧器の温度異常

そして制御電源回路の保護は「遮断」ではなく「警報」であることが多い。 制御電源を切ってしまうと、保護継電器そのものが働かなくなって本末転倒だからだ。 異常を知らせて、人が対処する——この設計思想を知っていると、 「自動的に遮断する」という選択肢を外せる。

接点の記号は、開閉の向きと動きの遅れで分かれる

制御回路の図が読めるかどうかは、接点の記号を仕分けられるかで決まる。種類はそう多くない。

a接点とb接点 — 平常時に開いているか、閉じているか

  • a接点(メーク接点) — 平常時は。操作すると閉じる始動用の押しボタンがこれ
  • b接点(ブレーク接点) — 平常時は。操作すると開く停止用の押しボタンがこれ

図記号は、可動接点が固定接点に載っているか、離れているかで描き分ける。離れていればa接点、載っていればb接点。 押しボタンでは、これに操作機構(押す方向を示す線)が添えられる。

自己保持回路の**停止ボタンがb接点**なのは、押していないときに回路をつないでおく必要があるからだ。押した瞬間だけ回路が切れて、自己保持が外れる。

「停止はb、始動はa」——ここを逆にすると、押し続けないと動かない回路や、止まらない回路になる。図記号を選ばせる設問は、この対応をそのまま聞いてくる。

接点は「時間で遅らせるもの」と「手で操作するもの」に割れる

Y-Δ始動のようにタイマ(限時継電器・TLR)を使う回路では、限時接点が出てくる。限時接点は動作するときに遅れるのか、復帰するときに遅れるのかで分かれる。これとは別系統に、手で操作する接点がある——同じ「接点の種類」を並べた設問で混ぜて出されるので、2系統だと分けて持っておく。

時間で遅れる接点(限時接点=タイマの接点)

名称動き
限時動作瞬時復帰接点動作(入)が設定時間だけ遅れる。復帰(切)は瞬時
瞬時動作限時復帰接点動作は瞬時。復帰が設定時間だけ遅れる

手で操作する接点(限時接点ではない)

名称動き
手動操作自動復帰接点手で操作している間だけ動作し、離すと自動で戻る(押しボタンがこれ)
手動操作残留機能付き接点手で操作すると、その状態が残る
**Y-Δ始動で使うのは「限時動作瞬時復帰接点」**だ。始動時にY結線でしばらく回し、**設定時間が経ってから**Δへ切り替える——動作が遅れるほうが必要だからだ。電源を切ったときは、次の始動に備えて瞬時に元へ戻ってほしい。

名前は長いが、前半が動作、後半が復帰と読めば意味がそのまま出る。「限時動作・瞬時復帰」=動くのは遅く、戻るのは速い。

Y-Δ始動の主回路 — Δ側は「1つずらして環にする」

Y-Δ始動の主回路には電磁接触器が3つ入る。電源用(MC)、Y結線を作るもの(MC-Y)、Δ結線を作るもの(MC-Δ)だ。

電動機の6端子を U1U2/V1V2/W1W2U_1 U_2 / V_1 V_2 / W_1 W_2 とすると、

  • Y結線は、3つの巻線の片側の端(U2V2W2U_2 V_2 W_2)を1点にまとめて短絡する。まとめる役目がMC-Y
  • Δ結線は、3つの巻線を環になるようつなぐU2V1U_2 \to V_1V2W1V_2 \to W_1W2U1W_2 \to U_1——1つずつずらして次の相の頭に結ぶ
Δ側の結線図を選ばせる設問では、**「1つずらして環が閉じているか」**だけを見る。同じ相どうしを結んだ図($U_2$と$U_1$)は環にならない。

そしてこの結線のために、電動機の6端子すべてを盤へ引き込む必要がある。制御盤から電動機まで6本(+接地線)になるのは、この図がそのまま配線本数になっているからだ。

制御回路が読めると、保護と制御が同じ考え方でつながって見える

冒頭のOCRからCBへ伸びる細い線の正体は、電力ではなく「遮断せよ」という判断の信号だった。CT(検出)→OCR(判断)→TC(引外しコイル、実行の引き金)→CB(遮断の実行)という流れは、制御回路の自己保持・インタロックの「検出→判断→実行」とまったく同じ構造をしている。今日試せることとして、家庭や職場のエレベーター・自動ドアの操作パネルを見たとき、ボタンを押した後も動作が続く仕組み(自己保持に近い発想)がどこかに隠れていないか、考えてみるといい。

この「検出して、判断して、実行する」という設計思想は、高圧の保護回路から低圧の電動機制御まで、電気設備全体を貫く共通言語だ。単線結線図と制御回路図を、別々の図ではなく同じ文法で書かれた2つの方言として読めるようになることが、この科目の到達点になる。

冒頭の疑問、OCRからCBへ伸びる細い線が何を運んでいるのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 自己保持のためのMC補助a接点を、始動ボタンと直列に入れると誤解させる

    なぜ引っかかる『保持のために接点を追加する』という言葉から、単純に直列に足すことを連想しやすい

    見破り方自己保持の補助a接点が、始動ボタンと並列に入っているかを図で確認する。並列だからこそ、ボタンから手を離して始動ボタンの接点が開いても、並列側のMC補助a接点が通電を保つ

  2. インタロックに使う相手側MCの接点を、a接点(メーク接点)だと誤解させる

    なぜ引っかかる『同時に動かさない』という言葉の響きから、何かを積極的に働かせる接点(a接点)を使うと連想しやすい

    見破り方インタロックは、相手側MCが動作中のときに自分のコイル回路を開くブレーク接点(b接点)を直列に入れて実現する。相手が入っていれば自分は入れない、という否定の関係をb接点で表す

  3. THR(熱動継電器)が動作したとき、遮断器(CB)が引き外されると誤解させる

    なぜ引っかかる『継電器が動作する』という言葉から、高圧の遮断器と同じように大きな遮断動作が起きると連想しやすい

    見破り方THRは制御回路(低圧・電動機回路)のブレーク接点を開いてMCコイルの通電を断つだけで、電動機が止まる。高圧の遮断器(CB)を動かす保護(OCR・GR・DGR)とは別の階層の保護だと切り分ける

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 電磁接触器(MC)の主接点は接点記号の固定側端子に小さい半円(円弧)が付く記号で描かれる
  2. 熱動継電器(THR)は横長の長方形の右辺に小さな切欠きが入り、中央を導体線が貫通する記号で描かれる。MCと組んで電磁開閉器(MS)を構成する
  3. 自己保持回路は、始動ボタン(a接点)と並列にMCの補助a接点を入れることで、ボタンを離しても通電を保つ仕組み
  4. インタロックは、同時に入ってはいけない相手側のMCのブレーク接点(b接点)を自分のコイル回路に直列に入れて実現する
  5. 第一種の制御回路問題は、三相かご形誘導電動機の始動制御(じか入れ・スターデルタ始動)を題材に、接点の名称・自己保持・表示灯の点灯条件・THR動作時の結果を問う形が定番
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