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一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令 ・ 9 / 12

電気用品安全法とPSE — 罰されるのはなぜ施工者か

読み終えると、こうなる

電線に印字された小さな記号がない部材を使うと、罰されるのはメーカーではなく施工した自分になり得ると気づく。

  • 現場に届いた電線やコードの表示(<PS>Eや(PS)E)を、施工前に自分の目で確認する習慣を持てる
  • PSE表示のない電気用品の販売と使用を、それぞれ別の条文(販売の制限・使用の制限)の話として仕分けられる
  • 表示のない電気用品を工事に使ってしまった場合、電気工事士法上の免状返納命令にもつながると位置づけられる
考えてみよう

電線に印字された小さな<PS>E。ほとんどの人は気にも留めないこの表示がない電線を使って工事をすると、罰されるのはその電線を作ったメーカーではなく、施工したあなた自身になり得る。作ったわけでもない部品の欠陥で、なぜ施工者が罰されるのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この一見理不尽に見える仕組みの理由を説明できるようになっている。

電気用品安全法は、まず電気用品を「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」に区分する(2条)。特定電気用品は、構造・使用方法その他の使用状況からみて特に危険または障害の発生するおそれが多いものとして政令で指定される(2条2項)。政令が指定する具体例には、絶縁電線・ケーブル・コード・ヒューズ・配線用遮断器漏電遮断器・差込み接続器・小形単相変圧器・電気便座・電気温水器などがある(品目の総数は政令改正で変わり得るため、ここでは代表的な例示にとどめる)。

電気用品安全法の三段構え 製造・輸入(届出事業者) 技術基準への適合義務 特定電気用品はさらに登録検査機関の適合性検査(9条) 表示(10条1項) 特定電気用品:<PS>E 等+届出事業者名+登録検査機関名 特定以外の電気用品:(PS)E 等+届出事業者名 販売(27条) 表示のない電気用品の販売・販売目的の陳列は禁止 施工(28条1項) 電気工事士等は表示のない電気用品を工事に使用してはならない 違反すれば 都道府県知事が電気工事士の免状返納を命令できる (電気工事士法4条6項) 電気用品安全法の三段構え(自作の概念図。電気用品安全法9条・10条・27条・28条にもとづく)

適合義務を履行した届出事業者は、その電気用品に表示を付す(10条1項)。表示スペースの確保が難しい電線・ヒューズ・配線器具等では、記号に代えて文字表記でもよいとされ、条文で確認できる代替表記は、特定電気用品が<PS>E、特定以外の電気用品が(PS)Eになる(施行規則別表第六・第七)。表示のない電気用品は、販売も販売目的の陳列も禁止される(27条)。

ここまでは製造・輸入・販売という、電気工事士から見れば「自分の手の届かない上流」の話に見える。だが電気用品安全法はもう一段、施工の現場にまで規制を伸ばしている。電気工事士・特種電気工事資格者・[認定電気工事従事者](/terms/certified-electrical-worker/)(及び電気事業者・[自家用電気工作物](/terms/self-use-electrical-facility/)の設置者)は、表示のない電気用品を[電気工作物](/terms/electrical-facility/)の設置または変更の工事に使用してはならない(28条1項)。**製造・輸入から販売までの規制だけでは、すでに市場に出回ってしまった無表示品が壁の中に使われてしまうのを止められない。だからこそ、実際に電気用品を電気工作物に組み込む「最後の関所」として、施工者自身に使用禁止の義務が課されている。** そして電気工事士がこの28条1項に違反すると、電気工事士法4条6項により、都道府県知事から免状の返納を命じられ得る。2つの法律が条文で相互に参照し合う、数少ない箇所だ。

現場に届いた資材を、施工前に自分の目で確認する習慣になる

この構造を知っていると、電線やコード、配線器具が現場に届いたとき、パッケージや刻印に<PS>Eや(PS)Eの表示があるかを確認する習慣が自然に身につく。表示の有無を確認することは、単なる形式的な作業ではなく、自分自身の免状を守る行為でもあると分かる。

今日試せることとして、家庭のコンセントプラグや延長コード、電源タップの根元を見てみるといい。多くは(PS)Eや<PS>Eの表示、あるいは記号と届出事業者名が刻印されている。

この三段構えの規制がある背景には、電気用品の欠陥は施工が終わった後では発見しにくく、壁や天井裏に隠れてしまえば事故が起きて初めて表面化する、という事情がある。だからこそ、施工の瞬間に表示を確認するという最後の砦を、法律が施工者自身に負わせている。

独立して電気工事を請け負うようになれば、仕入れる資材の表示確認は、品質管理そのものであり、自分の免状と信用を守る作業にもなる。

罰されるのがメーカーではなく施工したあなたなのは、なぜだったか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. PSE表示は特定電気用品だけに必要だと思わせる

    なぜ引っかかる特定電気用品には登録検査機関による適合性検査(9条)という重い手続きがあるため目立ちやすく、特定以外の電気用品には表示そのものが不要だと誤解しやすい

    見破り方特定電気用品・特定以外の電気用品のどちらにも表示義務(10条1項)があり、違いは検査の有無や表示の記号の違いであって、表示そのものの要否ではないと確認する

  2. PSE表示のない電気用品を使った場合に罰せられるのはメーカー側だけだと思わせる

    なぜ引っかかる電気用品の製造・輸入段階の規制(届出・検査・表示)ばかりが目立つため、施工した電気工事士側にも直接の義務があることを見落としやすい

    見破り方28条1項は電気工事士・特種電気工事資格者・認定電気工事従事者等に対して『使用してはならない』という義務を直接課しており、違反は電気工事士法4条6項の免状返納命令にもつながると条文をつなげて読む

  3. 販売の制限(27条)と使用の制限(28条)の名宛人を同一視させる

    なぜ引っかかるどちらも同じPSE表示を扱う条文のため、規制される相手も同じだと思い込みやすい

    見破り方27条の名宛人は電気用品を販売する者、28条の名宛人は電気工事士等の施工する者、と条文ごとに『誰に対する義務か』を分けて読む

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 電気用品は「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」に区分される(電気用品安全法2条)。特定電気用品は特に危険・障害のおそれが多いものとして政令で指定される(2条2項)
  2. 特定電気用品には絶縁電線・ケーブル・ヒューズ・配線用遮断器・漏電遮断器・差込み接続器などがある(詳しい品目数は変動し得るためここでは例示にとどめる)
  3. 適合義務を履行した届出事業者が表示を付す(10条1項)。特定電気用品は<PS>Eなど、特定以外の電気用品は(PS)Eなどの表記でも表示できる(施行規則別表第六・第七)
  4. 表示のない電気用品の販売・販売目的の陳列は禁止される(27条)
  5. 電気工事士・特種電気工事資格者・認定電気工事従事者は、表示のない電気用品を電気工作物の設置・変更の工事に使用してはならない(28条1項)。違反は電気工事士法4条6項の免状返納命令の対象にもなり得る
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