電線に印字された小さな<PS>E。ほとんどの人は気にも留めないこの表示がない電線を使って工事をすると、罰されるのはその電線を作ったメーカーではなく、施工したあなた自身になり得る。作ったわけでもない部品の欠陥で、なぜ施工者が罰されるのか。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この一見理不尽に見える仕組みの理由を説明できるようになっている。
電気用品安全法は、まず電気用品を「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」に区分する(2条)。特定電気用品は、構造・使用方法その他の使用状況からみて特に危険または障害の発生するおそれが多いものとして政令で指定される(2条2項)。政令が指定する具体例には、絶縁電線・ケーブル・コード・ヒューズ・配線用遮断器・漏電遮断器・差込み接続器・小形単相変圧器・電気便座・電気温水器などがある(品目の総数は政令改正で変わり得るため、ここでは代表的な例示にとどめる)。
適合義務を履行した届出事業者は、その電気用品に表示を付す(10条1項)。表示スペースの確保が難しい電線・ヒューズ・配線器具等では、記号に代えて文字表記でもよいとされ、条文で確認できる代替表記は、特定電気用品が<PS>E、特定以外の電気用品が(PS)Eになる(施行規則別表第六・第七)。表示のない電気用品は、販売も販売目的の陳列も禁止される(27条)。
現場に届いた資材を、施工前に自分の目で確認する習慣になる
この構造を知っていると、電線やコード、配線器具が現場に届いたとき、パッケージや刻印に<PS>Eや(PS)Eの表示があるかを確認する習慣が自然に身につく。表示の有無を確認することは、単なる形式的な作業ではなく、自分自身の免状を守る行為でもあると分かる。
今日試せることとして、家庭のコンセントプラグや延長コード、電源タップの根元を見てみるといい。多くは(PS)Eや<PS>Eの表示、あるいは記号と届出事業者名が刻印されている。
この三段構えの規制がある背景には、電気用品の欠陥は施工が終わった後では発見しにくく、壁や天井裏に隠れてしまえば事故が起きて初めて表面化する、という事情がある。だからこそ、施工の瞬間に表示を確認するという最後の砦を、法律が施工者自身に負わせている。
独立して電気工事を請け負うようになれば、仕入れる資材の表示確認は、品質管理そのものであり、自分の免状と信用を守る作業にもなる。
罰されるのがメーカーではなく施工したあなたなのは、なぜだったか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。