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一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令 ・ 4 / 12

認定電気工事従事者と特種電気工事資格者

読み終えると、こうなる

第一種電気工事士の免状があっても、危険の種類によっては別の資格が必要な工事があると見抜けるようになる。

  • 第二種電気工事士しか持たない状態で高圧ビルの低圧部分(600V以下)の依頼が来たとき、認定電気工事従事者認定証の取得という道を選び直せる
  • ネオン工事と非常用予備発電装置工事の2つを、第一種電気工事士でも従事できない特殊電気工事として見分けられる
  • 免状の交付者を都道府県知事(電気工事士免状)と経済産業大臣(認定証・資格者証)で仕分けられる
考えてみよう

第一種電気工事士は、第二種にはできない自家用電気工作物の工事にも従事できる、法令上いちばん範囲の広い電気工事士の資格だ。ところがその第一種でも、手を出せない電気工事が2つだけある。免状のランクでいえば最上位のはずなのに、なぜその2つだけは別扱いなのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、その2つの正体と、なぜそこだけ資格が切り分けられているのかを説明できるようになっている。

前のトピックで、第一種電気工事士は一般用電気工作物等に加えて自家用電気工作物(500kW未満の需要設備)の工事に従事できると見た。だがこの範囲には、実は2つの重要な補足がある。1つは「第一種でなくても自家用の一部に従事できる道」、もう1つは「第一種でも従事できない工事」だ。

まず、第一種でなくても自家用電気工作物の一部に従事できる道から見ていく。認定電気工事従事者認定証(経済産業大臣交付。電気工事士法4条の2第1項)を受けた者は、自家用電気工作物のうち「簡易電気工事」に従事できる(3条4項)。簡易電気工事とは、電圧600V以下で使用する自家用電気工作物の工事のことで、電線路に係るものは除かれる(施行規則2条の3)。この資格は、第二種電気工事士が高圧受電ビル内の低圧部分だけを施工するための現実的な選択肢として位置づけられている。

2つの別資格(いずれも経済産業大臣交付) 認定電気工事従事者認定証 簡易電気工事=自家用電気工作物のうち 電圧600V以下で使用する部分(電線路を除く) 特種電気工事資格者認定証 特殊電気工事=①ネオン工事 ②非常用予備発電装置工事 第一種電気工事士でも ①②には従事できない 認定電気工事従事者と特種電気工事資格者の位置づけ(自作の概念図。電気工事士法3条・4条の2にもとづく)

もう1つが「特殊電気工事」だ。特種電気工事資格者認定証(同じく経済産業大臣交付)を受けた者でなければ、特殊電気工事に従事できない(3条3項)。特殊電気工事は①ネオン工事(ネオン用の分電盤・主開閉器・タイムスイッチ・点滅器・ネオン変圧器・ネオン管等)②非常用予備発電装置工事(原動機・発電機・配電盤等)の2種類だけと定められている(施行規則2条の2)。そして第一種電気工事士であっても、この2つには従事できない。

ここで見方を反転させたい。「第一種=自家用電気工作物なら何でもできる最上位資格」という理解のままだと、この2つの例外が説明できない。実際にこの法律が採っている発想は、資格を「難易度の階段」として作るのではなく、**危険の種類ごとに資格を割り当てる**というものだ。ネオン工事は数千ボルト級の高電圧放電を扱い、非常用予備発電装置工事は商用電源が止まったときに自立して動く電源で、誤って商用側へ逆送電させる危険まで伴う。どちらも「電圧が高い」「規模が大きい」という量的な違いではなく、危険の質そのものが普通の電気工事と違う。だからこの2つだけ、第一種の範囲からも切り離して別資格にした。**第一種は最強の資格ではなく、扱う危険の種類が違う資格の1つにすぎない。**

なお、認定電気工事従事者・特種電気工事資格者になるための具体的な要件(必要な講習や実務経験の年数)は細目にわたるため、ここでは扱わない。押さえておくべきは、交付するのが経済産業大臣であること、そしてそれぞれが対象とする工事の範囲だ。

「この資格で足りるか」を、危険の種類から逆算できるようになる

この2つの別資格を知っていると、依頼を受けたときに「自分の免状だけで足りるか、追加の認定証が必要か」を最初に確認する癖がつく。第二種の免状しかない状態で高圧ビルの低圧部分の依頼が来たとき、認定電気工事従事者認定証の取得を検討するという選択肢が頭に浮かぶようになる。

今日試せることとして、街で見かけるネオンサインや、ビルの地下・屋上にある非常用発電機の設置状況を眺めてみるといい。これらは電気工事士の資格の階層のさらに外側で、別の専門資格者が扱っている設備だと分かる。

この切り分けが生まれた背景には、危険の種類が違う工事を同じ資格でまとめてしまうと、その資格者がどちらの危険にも十分に習熟しているとは限らない、という反省がある。資格を細分化することで、それぞれの危険に特化した知識を担保している。

将来、太陽光や蓄電池、EV充電設備を高圧で自家用電気工作物に連系する仕事が増えていくなかでも、「この工事は自分の資格の範囲内か」を最初に見極める姿勢は変わらず必要になる。独立して仕事を請け負う立場になるほど、この線引きを自分で判断できることが信用に直結する。

第一種電気工事士でも手を出せない2つの電気工事、その正体は何だったか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 第一種電気工事士なら自家用電気工作物のどんな工事も従事できると思わせる

    なぜ引っかかる第一種は自家用電気工作物の工事に従事できると習うため、『第一種=自家用のすべてができる最上位資格』という単純化をしてしまう

    見破り方特殊電気工事(ネオン工事・非常用予備発電装置工事)は第一種の範囲から明示的に除かれている例外だと覚える。第一種でも別の資格(特種電気工事資格者)が必要になる

  2. 認定電気工事従事者になれば自家用電気工作物のすべての工事ができると思わせる

    なぜ引っかかる『認定』という言葉の響きから、幅広い工事ができる資格だと連想しやすい

    見破り方認定電気工事従事者ができるのは『簡易電気工事』=電圧600V以下で使用する部分に限られ、しかも電線路に係るものは除かれる、という2重の絞り込みがあることを確認する

  3. 認定電気工事従事者認定証や特種電気工事資格者認定証を、電気工事士免状と同じ都道府県知事交付だと思わせる

    なぜ引っかかる同じ『電気工事の資格』というくくりで覚えてしまうと、交付者が全部同じだと錯覚する

    見破り方電気工事士免状(第一種・第二種)は都道府県知事の交付、認定電気工事従事者認定証・特種電気工事資格者認定証は経済産業大臣の交付、と交付者で2系統に分けて覚える

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 認定電気工事従事者認定証(経済産業大臣交付。電気工事士法4条の2第1項)を受けた者は、自家用電気工作物の「簡易電気工事」(電圧600V以下で使用する部分。電線路に係るものを除く)に従事できる(3条4項)
  2. 簡易電気工事の資格は、第二種電気工事士が高圧受電ビル内の低圧部分を施工するための道として位置づけられる
  3. 特種電気工事資格者認定証(同じく経済産業大臣交付)を受けた者でなければ「特殊電気工事」に従事できない(3条3項)
  4. 特殊電気工事は①ネオン工事②非常用予備発電装置工事の2種類のみ(施行規則2条の2)
  5. 第一種電気工事士であっても、この2つの特殊電気工事には従事できない
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