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配電理論及び配線設計 ・ 6 / 7

屋内配線・分岐回路の設計

読み終えると、こうなる

遮断器・電線・コンセントの3つの定格が、なぜ1つだけ大きくしてはいけない組なのかを仕分けられるようになる

  • 同じ20A回路でも保護装置が配線用遮断器かヒューズかで、必要な電線の太さ(1.6mmか2.0mmか)を選び分けられる
  • 30A以上の分岐回路でコンセントの定格に下限があることに気づき、細いコンセントを大きい回路につなぐ組み合わせ違反を見分けられる
  • 分電盤の新設相談を受けたとき、遮断器・電線・コンセントの3列を採点し直して整合しない組み合わせを絞り込める
考えてみよう

20A配線用遮断器で保護された分岐回路があり、電線の太さは直径1.6mmが使われている。ここに来客用の家電のために、定格30Aのコンセントを新設しようとしたところ、先輩の電気工事士に止められた。

遮断器も電線もそのまま変えていない。コンセントの定格を大きくしただけなのに、なぜダメだと言われたのか。

このトピックを読み終えるころには、この組み合わせの何が問題なのか説明できるようになっている。

屋内に電気を分配する配線は、幹線(主幹から各分電盤まで)と分岐回路(分電盤から各コンセント・照明まで)に分けて設計する。分岐回路の設計で必ず押さえておきたいのが、過電流遮断器(ブレーカー)の定格電流・電線の太さ・接続できるコンセントの定格という「3点セット」の組み合わせだ。これは電気設備技術基準の解釈第149条で定められている。

分岐回路の種類(遮断器定格)軟銅線の太さ(第149条の要件)接続できるコンセント
15A以下直径1.6mm(より線なら断面積2mm²)以上15A以下
20A(配線用遮断器)直径1.6mm(より線なら断面積2mm²)以上20A以下
20A(配線用遮断器以外=ヒューズ等)直径2.0mm(より線なら断面積3.5mm²)以上20A以下
30A直径2.6mm(より線なら断面積5.5mm²)以上20A以上30A以下
40A断面積8mm²以上30A以上40A以下
50A断面積14mm²以上40A以上50A以下
遮断器の定格電流・電線の太さ・コンセントの定格は、3つとも独立に選べるわけではない。遮断器を変えないままコンセントの定格だけを大きくすると、その回路が守るべき組み合わせが崩れてしまう。

遮断器の定格電流が大きくなるほど、電線もコンセントもそれに耐えられる太さ・容量のものを選ぶ、という一貫した考え方さえ理解していれば、細かい数値を丸暗記していなくても、選択肢の中から明らかに整合しない組み合わせ(例: 細い電線に対して極端に大きいコンセント定格)を消去法で除外できる。

「遮断器定格・電線太さ・コンセント定格」の組み合わせルールは、現場で分電盤の設計をする際にそのまま適用される。電線の太さが決まれば、それを収める電線管のサイズも決める必要があるが、その計算には当サイトの電線管サイズ計算ツール許容電流早見ツールが使える。あわせてブレーカーの種類と選び方の解説記事も読んでおくと、この科目の知識が分電盤という実物にどうつながっているかがイメージしやすくなるはずだ。

「うちにEV充電器を付けられますか」に答える仕事

この3点セットの考え方は、そのまま増設の可否判断になる。EV充電器を付けたい、エコキュートに替えたい、IHを入れたい——こうした相談はすべて「専用回路を1つ増やせるか」という問いで、分電盤に空きがあるか、既存の電線と遮断器が要求に耐えるか、主幹の容量に余裕があるかを順に見ていく作業になる。表の数字を丸暗記していなくても、遮断器・電線・コンセントの3つが同じ方向を向いているかを確かめる癖さえあれば判断できる。

今日できるのは、自宅の分電盤を開けて子ブレーカーの数字を読むことだ。15Aと20Aがそれぞれいくつあるか、200V専用の回路はいくつか、空きスペースは残っているか。それがそのまま、この家に何を足せるかの見取り図になる。3点セットが崩れると、守る側の遮断器より弱い電線やコンセントのほうが先に発熱する。ブレーカーは自分より弱い部分を守るために付いている、という考え方が第149条の背骨にある。集合住宅での実例はアパート・マンションのEV充電器設置が参考になる。

冒頭の30Aコンセントがなぜ止められたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 同じ20Aの分岐回路でも、保護するのが「配線用遮断器」か「ヒューズ」かで必要な電線の太さを変える

    なぜ引っかかる20A分岐回路の電線は、配線用遮断器で保護するなら直径1.6mm以上でよいが、ヒューズなど配線用遮断器以外で保護する場合は直径2.0mm以上が必要になる。ヒューズは金属が溶けて切れる仕組みで動作が遅く、その間の発熱に耐える余裕を電線側に持たせるためだ。表を「20Aなら1.6mm」とだけ覚えていると、ヒューズと書かれた瞬間に崩れる。

    見破り方表を引く前に、問題文の保護装置の名前を確認する。「配線用遮断器」と明記されていれば1.6mm、「ヒューズ」あるいは「配線用遮断器以外」とあれば2.0mm。20Aの行だけが2段に分かれている理由まで押さえておけば、迷ったときに理屈から戻せる。

  2. 接続できるコンセントの定格に、上限だけでなく下限もあることを見落とさせる

    なぜ引っかかる30A分岐回路に接続できるコンセントは20A以上30A以下で、15Aのコンセントは付けられない。20A以下の回路では上限だけを見ていれば足りるため、「定格が小さいぶんには安全なはず」という感覚のまま30A・40Aの行を読むと、下限の存在に気づけない。細いコンセントに30Aの回路をつなぐと、遮断器が動作する前にコンセント側が焼ける。

    見破り方30A以上の行では、コンセントの欄が「◯A以上◯A以下」と範囲で書かれていることを確認する。守る側の遮断器より弱い部品を回路につながない、という第149条の考え方が下限の理由だ。

  3. 「適切なもの」を選ばせる年と「不適切なもの」を選ばせる年を交互に出す

    なぜ引っかかる分岐回路の組み合わせを問う設問は毎回のように出題されるが、設問の向きは固定されていない。同じ4つの図を見ても、探すものが正解1つなのか誤り1つなのかで作業が正反対になる。過去問を解き慣れているほど、いつもの向きで読んでしまう。

    見破り方設問の最後の一文に必ず線を引く。4つすべてを遮断器・電線・コンセントの3列で採点し、合格・不合格を書き込んでから設問に戻ると、どちらの向きでも同じ作業で答えが出る。

参考文献・出典

理解度チェック(7問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、7問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用2問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 7 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 屋内配線は幹線(主幹から各分電盤まで)と分岐回路(分電盤から各コンセント・照明まで)に分けて設計する
  2. 分岐回路は「過電流遮断器の定格電流・電線の太さ・接続できるコンセントの定格」という3点セットで設計する(電技解釈第149条)
  3. 20A配線用遮断器の分岐回路には20A以下のコンセントしか接続できない。30Aコンセントは組み合わせ違反になる
  4. 遮断器の定格電流が大きくなるほど、電線もコンセントもそれに耐えられる太さ・容量のものを選ぶ、という一貫した考え方が土台にある
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