20A配線用遮断器で保護された分岐回路があり、電線の太さは直径1.6mmが使われている。ここに来客用の家電のために、定格30Aのコンセントを新設しようとしたところ、先輩の電気工事士に止められた。
遮断器も電線もそのまま変えていない。コンセントの定格を大きくしただけなのに、なぜダメだと言われたのか。
このトピックを読み終えるころには、この組み合わせの何が問題なのか説明できるようになっている。
屋内に電気を分配する配線は、幹線(主幹から各分電盤まで)と分岐回路(分電盤から各コンセント・照明まで)に分けて設計する。分岐回路の設計で必ず押さえておきたいのが、過電流遮断器(ブレーカー)の定格電流・電線の太さ・接続できるコンセントの定格という「3点セット」の組み合わせだ。これは電気設備の技術基準の解釈第149条第2項第一号(149-1表・149-3表)で定められている。
| 分岐回路を保護する過電流遮断器 | 軟銅線の太さ(149-1表) | 接続できるコンセント(149-3表) |
|---|---|---|
| 定格15A以下 | 直径1.6mm | 定格15A以下 |
| 定格15A超20A以下の配線用遮断器 | 直径1.6mm | 定格20A以下 |
| 定格15A超20A以下(配線用遮断器を除く) | 直径2mm | 定格20A(20A未満の差込みプラグが接続できるものを除く) |
| 定格20A超30A以下 | 直径2.6mm | 定格20A以上30A以下(20A未満の差込みプラグが接続できるものを除く) |
| 定格30A超40A以下 | 断面積8mm² | 定格30A以上40A以下 |
| 定格40A超50A以下 | 断面積14mm² | 定格40A以上50A以下 |
条文が示す太さは「軟銅線」の値で、より線を使うときは「これと同等以上の許容電流のあるもの」と書かれている。146-2表の許容電流と突き合わせると、直径1.6mm(27A)には断面積2mm²(27A)、直径2mm(35A)には3.5mm²(37A)、直径2.6mm(48A)には5.5mm²(49A)が対応する。表が50Aで止まっているのは、分岐回路を保護する過電流遮断器の定格電流が50A以下と定められているためだ(第149条第2項第一号イ)。
コンセントの欄で注意したいのが、ヒューズなど配線用遮断器以外で保護する20A回路の行だ。ここだけは「20A以下」ではなく定格20Aちょうど(ただし定格20A未満の差込みプラグが接続できるものを除く)と定められており、15Aのコンセントは接続できない。20A配線用遮断器の行(20A以下)と混ぜて覚えると取り違える。
遮断器の定格電流が大きくなるほど、電線もコンセントもそれに耐えられる太さ・容量のものを選ぶ、という一貫した考え方さえ理解していれば、細かい数値を丸暗記していなくても、選択肢の中から明らかに整合しない組み合わせ(例: 細い電線に対して極端に大きいコンセント定格)を消去法で除外できる。
「遮断器定格・電線太さ・コンセント定格」の組み合わせルールは、現場で分電盤の設計をする際にそのまま適用される。電線の太さが決まれば、それを収める電線管のサイズも決める必要があるが、その計算には当サイトの電線管サイズ計算ツールや許容電流早見ツールが使える。あわせてブレーカーの種類と選び方の解説記事も読んでおくと、この科目の知識が分電盤という実物にどうつながっているかがイメージしやすくなるはずだ。
「うちにEV充電器を付けられますか」に答える仕事
この3点セットの考え方は、そのまま増設の可否判断になる。EV充電器を付けたい、エコキュートに替えたい、IHを入れたい——こうした相談はすべて「専用回路を1つ増やせるか」という問いで、分電盤に空きがあるか、既存の電線と遮断器が要求に耐えるか、主幹の容量に余裕があるかを順に見ていく作業になる。表の数字を丸暗記していなくても、遮断器・電線・コンセントの3つが同じ方向を向いているかを確かめる癖さえあれば判断できる。
今日できるのは、自宅の分電盤を開けて子ブレーカーの数字を読むことだ。15Aと20Aがそれぞれいくつあるか、200V専用の回路はいくつか、空きスペースは残っているか。それがそのまま、この家に何を足せるかの見取り図になる。3点セットが崩れると、守る側の遮断器より弱い電線やコンセントのほうが先に発熱する。ブレーカーは自分より弱い部分を守るために付いている、という考え方が第149条の背骨にある。集合住宅での実例はアパート・マンションのEV充電器設置が参考になる。
冒頭の30Aコンセントがなぜ止められたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。