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機械工学等 ・ 17 / 19

配管材料と附属品 — 管の名前から、肉厚・温度・用途を読む

読み終えると、こうなる

特記仕様書や配管図の「SGP-VA」「STPG370 Sch40」「銅管(M)」のような材料名を見て、何を流す管で、肉厚はどちらが大きく、温度や圧力はどこまでかを、標準仕様書の表を引いて言えるようになる

  • 同じ呼び径の管(鋼管のスケジュール番号の違い、塩ビ管のVPとVU)と、外径が同じ銅管のK・L・Mについて、外径が同じこと、肉厚の大小、内径がどちらが小さいかを言える
  • 外径と肉厚から内径を求め、同じ流量での流速比と、単位長さ当たりの圧力損失の比(管摩擦係数が同じとして約1.5倍)まで、途中式つきで求められる
  • 標準仕様書の用途別の表から、蒸気・冷温水・給水・排水の配管に挙がる管材を引ける。鋼管継手の亜鉛めっきは、蒸気・高温水・油・ブライン用は施さないもの、冷温水・給水・給湯・消火用は施したものが多い、と言い分けられる
  • 仕切弁・玉形弁・バタフライ弁の使い分けと、仕様書が定める「バタフライ弁を使用してはならないバルブ止め」「弁棒の材質」を挙げ、「適当でないもの」の記述を点検できる
考えてみよう

仮に、特記仕様書に「鋼管 100A」とだけ書かれ、2社から見積が届いたとする。1社の管は1 m当たり12.2 kg、もう1社は22.4 kgだ。どちらも呼び径(管の大きさを表す呼称)は100A、外径も同じ114.3 mm。何が違うのか。

さらに、鋼管なのに内面が樹脂の管もあれば、温水に使えない種類もある。このトピックを読み終えるころには、材料名を見て、肉厚はどちらが大きいか、温度はどこまでか、弁や継手は何を付けるかを、仕様書の表を引いて言えるようになっている。

まず一言で

配管材料は、流す物(水、温水、蒸気、油、排水)と、温度・圧力で選ぶ。標準仕様書(機械設備工事編)は、用途別に「使ってよい管と継手の規格」を表にする。氷蓄熱用のブラインを除く5つの用途は「管材は特記による」と書き、実際に使う管材は、設計図書の特記が決める。ブラインの条文は、規格を表2.2.4によると書き、「管材は特記による」とは書かない。

  • 呼び径が同じでも、肉厚は違う。 肉厚の言い方は種類ごとに違い、圧力配管用の鋼管(STPG)はスケジュール番号(Sch)、銅管はK・L・Mタイプ、塩ビ管はVPとVUだ
  • 温度や圧力の上限は、管の種類ごとに違う。 ライニング鋼管でも、水道用・耐熱性・排水用で別だ
  • 弁・継手・附属品は、管の種類とセットで決まる。 亜鉛めっきの有無や、バタフライ弁を使用してはならないバルブ止めがある

令和8年度の問題Aの No.41 と No.44 は、この表と数字の取り違えを突く「適当でないもの」の型だ。配管の施工(勾配・接合・支持・試験)は「配管・附属品の施工」、腐食の仕組みは「腐食と防食」、圧力損失の式は「管内流れの圧力損失」で扱う。ダクトの材料は別のトピックで扱う。ここでは、材料の名前と性質、弁・継手・附属品の役割に絞る。

仕組み — 管の名前には、素材・めっき・肉厚が入っている

鋼管 — 黒管と白管、SGPとSTPG

鋼管の種類は、めっきの有無と圧力の2つの軸で整理できる。日本製鉄のカタログは、亜鉛めっきを行わない管を黒管、行った管を白管と区分する。

呼称規格カタログの説明
配管用炭素鋼鋼管(SGP)JIS G 3452使用圧力1 MPa程度までの低圧流体の配管。黒管・白管
圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)JIS G 3454使用圧力10 MPa程度までの圧力流体の配管。黒管・白管
水配管用亜鉛めっき鋼管(SGPW)JIS G 3442SGPに亜鉛めっきを施し、主に水配管。付着量は550 g/m2以上
日本製鉄のカタログ(メーカー資料)の説明。規格本文は有料で未確認で、SGP白管の亜鉛付着量も確認できていない。「程度」の数字は目安。

「1 MPa程度」は、使い方の目安として書かれた数字だ。日本製鉄の資料は、規格の規定事項として明記したもの以外の技術情報は、保証を意味しないと断っている。同社は別のページで、1962年のJIS解説の考え方を引く。水圧試験圧力が2.5 MPaで、試験圧力は一般に最高使用圧力の1.5倍とされるから、使用圧力は16 kg/cm2(1.6 MPa)程度以下になる、という筋だ。SGPを1.6 MPaまで使う事例があるとも書く。これは古い解説の考え方で、現行の根拠にはしない。

STPGの肉厚はスケジュール番号(Sch)で示す。同じ呼び径なら外径は同じで、番号が大きいほど肉厚が大きい。たとえば50A(外径60.5 mm)の肉厚は、日本製鉄のハンドブックの表で、Sch20が3.2 mm、Sch40が3.9 mm、Sch60が4.9 mm、Sch80が5.5 mmだ。番号の決め方の式は、規格本文を見られなかったので書かない。

ライニング鋼管 — 鋼の強さを、樹脂で守る

水を通す管は、内面が水に触れ続ける。鋼管の内面に硬質塩化ビニル管をライニング(内張り)したのが塩ビライニング鋼管で、日本製鉄は「各種の腐食環境に良好な耐食性を示す」と説明する。外面の仕上げで記号が分かれる。

記号原管と外面使う場所
SGP-VASGP黒管、一次防せい塗装屋内配管
SGP-VBSGPW、亜鉛めっき屋内、屋外露出
SGP-VDSGP黒管、塩ビ被覆地中埋設、屋外露出
日本製鉄のハンドブック(4-15)による。原管は、ライニングする前の鋼管。

使える温度は、種類ごとに違う。積水化学のカタログは、水道用(JWWA K 116)を-5〜40℃、耐熱性(JWWA K 140)を常温〜85℃、排水用(WSP 042)を常温〜60℃(瞬時では85℃以下)とする(下の図)。日本製鉄も、水道用の塩ビライニング鋼管を「常温(40℃以下)の給水配管」と説明する。標準仕様書は、塩ビライニング鋼管(SGP-VA)の用途を給水と冷却水、耐熱性ライニング鋼管(SGP-HVA)を給湯と冷温水に挙げる(表2.2.1、2.2.6)。用途の線引きが温度の上限と合っている、と当サイトは読む。仕様書は理由を書いていない。なお、標準仕様書の配管材料の節(2.1〜2.2)で、管の使用温度の上限を数字で書くのは、確認した範囲では、ナイロンコーティング鋼管の60℃以下(表2.2.6の注6)だけで、ライニング鋼管の温度の数字は書いていない。

使用液温度の上限 塩ビライニング鋼管水道用(K 116) 塩ビライニング鋼管排水用(WSP 042) 塩ビライニング鋼管耐熱性(K 140) 40℃ 60℃ 85℃ 020406080100 温度(℃) 瞬時は85℃以下 使用液温度の上限(自作の図。積水化学工業のカタログの値。排水用の60℃には「瞬時は85℃以下」の注記がある。下限は省略し、0℃から描いた)

塩ビライニング鋼管、耐熱性ライニング鋼管、ポリ粉体鋼管をねじで接合する場合、仕様書は継手を管端防食管継手とする(2.1.2.1(2)(ア)、2.1.2.5(2)(ア))。仕様書は理由を書いていない。ライニング鋼管をねじで接合すると、管の端では、ライニングが切れて鋼の面が出る。水が侵入しやすい所と読める(当サイトの読み)。積水化学のカタログは、同社のコア内蔵形継手(エスロコートLX継手)について、コアがライニングに密着し、金属面への水の侵入を遮断して、管端部や継手本体の腐食を防ぐと説明する。排水用ライニング鋼管の継手は、表2.2.9が別に挙げる。腐食の仕組みは「腐食と防食」で扱う。

積水化学のカタログでは、排水用ライニング鋼管(エスロンDVLP、WSP 042規格品)は、JIS G 3452(配管用炭素鋼鋼管)の外径寸法をもつ薄肉鋼管にライニングしたものだ。同社の寸法表では、100Aの鋼管の肉厚が2.8 mmで、SGPの4.5 mmより薄い。同じ「塩ビライニング鋼管」でも、水道用と排水用では、原管の肉厚が違う。

「1 MPa程度」「40℃以下」は、メーカーが製品について書く使い方の目安だ。バタフライ弁を蒸気給気管などの「バルブ止めには使用してはならない」ことは、仕様書が定める規定だ。選択肢に数字が出たら、目安の数字か、規定の数字か、どの種類の管の数字かを、順に確かめる。

これで、ライニング鋼管の記号と温度の上限から、使える用途を言える。

銅管・ステンレス鋼管・塩ビ管

  • 銅管には、肉厚で分けるK、L、Mのタイプがある。外径12.70 mmの例では、継手を取り扱うE-Piping社の医療ガス用継手のページが、認定肉厚をKで1.25 mm、Lで0.89 mm、Mで0.64 mmと書き、3タイプとも外径は同じだ。このページは、JIS H 3300の肉厚表そのものではない(H 3300の本文は未確認)。標準仕様書は、冷温水・給水・給湯の銅管にJIS H 3300の硬質(M)を挙げる(表2.2.1、2.2.6)
  • ステンレス鋼管(JIS G 3448など)は、冷温水・給水・給湯・消火の表に挙がる。メカニカル形管継手の種類は特記による
  • 硬質塩化ビニル管は、VP、HIVP、VU。JIS K 6741の寸法表の抜粋(2007年版)では、VPとHIVPが同じ列(50Aは外径60.0 mm、最小厚さ4.1 mm)に載り、VUは別の列(50Aは最小厚さ1.8 mm)だ。4.1 mmは最小値で、表の質量は寸法を許容差の中心として計算するとの注がある。50Aの許容差は+0.8 mmなので、計算に使う厚さは4.1+0.8÷2=4.5 mm。外径60.0 mm・厚さ4.5 mm・密度1.43 g/cm3で、表の質量1.122 kg/m(VP)が出る(筆者の検算)。HIVPは耐衝撃性を高めた材質で、密度が1.40 g/cm3(VPは1.43)。水道用のJIS K 6742も、表を転載した販売業者のページ(出典は2016年版)では、50Aの厚さ4.5 mmが、VPとHIVPで共通の1列だ(質量だけが分かれる)。質量が上のK 6741の表と同じなので、同じ管の値と見られる。仕様書は、給水にVP又はHIVP、排水・通気にVPやVUなどを挙げ、VUは屋外埋設用とする(表2.2.6、2.2.8)
  • 架橋ポリエチレン管、ポリブテン管も、冷温水・給水・給湯の表に挙がる

肉厚の言い方は、3つの物差しがある

管肉厚の示し方同じ呼び径での大小
STPGスケジュール番号番号が大きいほど厚い
銅管K・L・MタイプK>L>M
硬質塩ビ管VP・HIVP・VUVP=HIVP>VU
確認した表の範囲では、どれも同じ呼び径で外径は共通(銅管は、外径12.70 mmの例だけ)。SGPは、呼び径ごとに肉厚が1つ。覚え方:K→L→Mとアルファベットが進むほど薄い。

これで、材料名から「肉厚はどちらが大きいか」を、物差しを選んで言える。

同じ100A、肉厚が違う2本の断面 SGP 100A肉厚 4.5 mm内径 105.3 mm STPG Sch80 100A肉厚 8.6 mm内径 97.1 mm 外径114.3 mmの鋼管2本の断面(自作の図。円は実寸の比。肉厚は日本製鉄のハンドブックの表)

数と条文で追う

例題① — 肉厚が違うと、内径と流速はどれだけ変わるか

上の図の2本で、同じ量の水を流す。外径は114.3 mm、肉厚はSGPが4.5 mm、Sch80が8.6 mm。

  1. 内径は、外径から肉厚の2倍を引く。SGPは114.3−2×4.5=105.3 mm、Sch80は114.3−2×8.6=97.1 mm
  2. 同じ流量なら、流速は断面積に反比例する(連続の式)。断面積は内径の2乗に比例するので、流速の比はSch80÷SGP=(105.3÷97.1)の2乗=約1.18。Sch80の管の流速は、約18%速い
  3. 「管内流れの圧力損失」のダルシー・ワイスバッハの式では、単位長さ当たりの損失は管摩擦係数λ、密度ρ、流速v、内径dで、次のように書ける(Δpは圧力損失、Lは管の長さ、Qは流量)
ΔpL=λ ρv22d ∝ Q2d5\frac{\Delta p}{L}=\lambda\,\frac{\rho v^2}{2d}\ \propto\ \frac{Q^2}{d^5}

λとρが同じなら、損失の比は、流速比の2乗×内径の逆数の比。流速比は約1.176(上の約1.18)で、その2乗は約1.38、内径の逆数の比は105.3÷97.1=約1.084なので、1.38×1.084=約1.50。内径の5乗に反比例する形でも、(105.3÷97.1)の5乗=約1.50で同じになる。

肉厚を厚くすると、内径が減り、同じ流量での損失が約1.5倍になる。λを同じとしたのは筆者の仮定で、実際のλは流れの状態と内面の粗さで変わる。連続の式と式の比較は標準的な計算で、仕様書や資料にはなく、筆者が適用した。質量も、表では12.2 kg/mと22.4 kg/mで、約1.8倍になる。

やってみよう①:50Aの内径を、肉厚ごとに求める

50Aの外径は60.5 mm。肉厚は、SGPが3.8 mm、STPGのSch40が3.9 mm、Sch80が5.5 mm。それぞれの内径は?

内径=外径−2×肉厚。SGPは60.5−7.6=52.9 mm、Sch40は60.5−7.8=52.7 mm、Sch80は60.5−11.0=49.5 mm。50AではSGPとSch40の肉厚はほぼ同じだが、100Aでは4.5 mmと6.0 mmで差が大きい。「Sch40はSGPと同じ」とは言えない。

標準仕様書の表を読む — 用途から、管と継手を引く

標準仕様書は、用途ごとに表を持つ(表2.2.1〜2.2.9)。抜き出して並べる。

用途管(表に挙がる例)鋼管継手
蒸気・高温水・油SGP黒管(油・蒸気給気)、STPG370黒管Sch40(蒸気)、Sch40又は80(高温水)亜鉛めっきを施さない
冷温水・冷却水SGPW、SGP白管、STPG370白管Sch40、ライニング鋼管、ステンレス鋼管、銅管(M)など備考に亜鉛めっきとあるものが多い
ブライン(氷蓄熱用)SGP黒管亜鉛めっきを施さない
冷媒銅管、STPG370黒管Sch40、断熱材被覆銅管冷媒用管フランジ
給水・給湯・消火ライニング鋼管、銅管、塩ビ管、ステンレス鋼管など。消火は白管や外面被覆鋼管備考に亜鉛めっきとあるものが多い
排水・通気SGPW、排水用ライニング鋼管、塩ビ管(VP・VU)など排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手など
令和7年版(修補版)表2.2.1〜2.2.9の要約。ブライン(氷蓄熱用)を除く5つの用途は、管材は特記による。ブラインは表2.2.4の注2が、-10℃を下回る場合の管及び継手を特記による、とする。表2.2.2・2.2.7の注2は、備考のないJIS B 2313・B 2316の鋼管継手にも亜鉛めっきを定める。SGPW・SGP白管が温水で傷む条件は「腐食と防食」で扱う(仕様書は、確認した範囲で、白管の使用温度の上限を書いていない)。

これで、用途を見て、使える管の候補と、継手のめっきの有無を言える。

弁・継手・附属品 — 付ける場所の条件が、仕様書の文にある

弁 — 4つの代表と、逆止弁

弁は、圧力を保つ弁箱、流量を調整する弁体、開閉操作の弁棒、ハンドルでできている(滋賀県の技術解説)。代表は、玉形弁、仕切弁、ボール弁、バタフライ弁で、これに逆止弁が加わる。

弁特徴(滋賀県の表1)標準仕様書の決まり
仕切弁流れやすさ○、中間開度での使用×高温水・油・ブライン用に挙がる
玉形弁流れやすさ×、中間開度での使用○蒸気用・高温水用に挙がる(蒸気の0.1 MPa未満は仕切弁も可)
ボール弁流れやすさ◎、シール性が良い50以下はレバー式、65以上はギヤ式
バタフライ弁面間が小さく軽い。流れやすさ△蒸気給気管・蒸気還管・高温水管・管端が開放された配管のバルブ止めには使用禁止
逆止弁圧力差で開閉し、一方向だけ流すポンプ用:全揚程30 m超は衝撃吸収式、呼び径65以上はバイパス弁内蔵形
仕様書は2.2.1と表2.2.10。高温水用は仕切弁又は玉形弁、油用は仕切弁又はコック。ポンプは揚水・消火・冷却水・冷温水用。

バタフライ弁を使用してはならないのは、蒸気給気管、蒸気還管、高温水管及び管端が開放された配管の「バルブ止め」だ。仕様書は理由を書かず、「バルブ止め」の意味も、確認した範囲では定義していない。蒸気給気管の弁は(オ)が玉形弁(ゲージ圧力0.1 MPa未満は仕切弁も可)、高温水管の弁は(カ)が仕切弁又は玉形弁と、別に定める。4つの配管を、組にして覚える。

弁の仕様は、つなぐ管にも左右される。給水管に付ける弁で、接水部が鋳鉄製のものは、ライニング弁(ナイロン11又は12の粉体ライニング)とする。塩ビライニング鋼管とポリ粉体鋼管に付けるねじ込み式の弁は、JV 5「管端防食ねじ込み形弁」の給水用、耐熱性ライニング鋼管に付けるねじ込み式の弁は、JV 5の給湯用とする(2.2.1(1)(ア)(イ)(ウ)(サ))。

これで、弁の名前から、向く使い方と、バタフライ弁を使用してはならないバルブ止めを言える。

青銅弁の弁棒は、なぜ「耐脱亜鉛腐食」なのか

仕様書は、一般用弁及び栓の規定(2.2.1(1)(ケ))で、青銅弁の弁棒を耐脱亜鉛腐食快削黄銅とする。ファンコイルユニット用ボール弁の弁棒も同じだ(2.2.19)。岐阜県工業技術研究所の報告は、脱亜鉛腐食を、黄銅製品に見られる不良で、合金中の亜鉛成分が脱落して強度が足りなくなり、水漏れなどが起こる現象として知られている、と書く(発生条件の全容は明らかでないとも書く)。亜鉛めっきが剥がれる現象とは別物だ。仕様書は材質を求める理由を書いていないが、開閉のたびに力がかかる弁棒が脆くなれば、弁を操作できなくなる、と当サイトは読む。2.2.1(1)(ケ)が青銅弁について書く材質は弁棒で、青銅弁の弁体の材質は、仕様書では確認できていない。弁体の材質を書く条文は、別の弁にある(表2.2.10の注3はバタフライ弁の弁体をステンレス鋼製、2.2.19はファンコイルユニット用ボール弁の弁体を、ステンレス製又は黄銅にクロムめっきを施したものとする)。仕様書に青銅弁の弁体の定めが見つからないことは、弁体にも触れた記述が誤りだという意味ではない。「適当でないもの」を選ぶときは、仕様書に書かれていない記述と、仕様書に反する記述を取り違えない。

継手 — 管とセットで規格が決まる

継手は、管の種類とセットで規格が決まる。鋼管用は、ねじ込み式(JIS B 2301、2302)、フランジ(JIS B 2220、2239)、溶接式(JIS B 2311など)が中心で、冷温水・冷却水と給水・給湯・消火の表(表2.2.2、2.2.7)は、亜鉛めっきを施したものを備考に挙げる規格が多く、蒸気・高温水・油・ブラインの表は施さないものを求める。塩ビ・耐熱性ライニング鋼管とポリ粉体鋼管のねじ接合は管端防食管継手、排水は排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(JPF DF 001)や排水鋼管用可とう継手(MDジョイント、JPF MDJ 002)、銅管はJIS H 3401などだ。接合方法の使い分けは「配管・附属品の施工」で扱う。

その他の附属品

附属品仕様書の決まり
ストレーナ呼び径50以下はY形ねじ込み式、65以上はY形又はU形のフランジ式。網目は水用が40メッシュ以上(電磁弁の前は80以上)、蒸気用が80以上
蒸気トラップJIS B 8401による。ベローズ式・フロート式・バケット式・ワックス式・サーモダイナミック式・サーモスタチック式を挙げる
減圧弁(水用)SHASE-S 106又はJIS B 8410に準ずる。弁箱は呼び径100以下が青銅製かステンレス鋼製、125以上が青銅製か鋳鉄製(ライニング付き)
安全弁(蒸気用)JIS B 8210の蒸気用ばね安全弁など。本体は鋳鉄製(呼び径50以下は青銅製ねじ込み形も可)
自動エア抜弁水用はフロート式、蒸気用は熱動式
吸排気弁正圧時に空気を排除し、負圧時に弁体の開閉で多量の空気を吸入する
伸縮管継手鋼管用はベローズ形かスリーブ形、銅管用は保護外筒を有するベローズ形
2.2.2、2.2.4〜2.2.7、2.2.13.1、2.2.14。防振継手・フレキシブルジョイントは「保温・保冷と防振の施工」で扱う。

環境省の資料は、高性能スチームトラップを「蒸気配管からドレン(凝縮水)のみを排出する装置」と説明する。標準仕様書は、蒸気トラップの定義を書かず、JIS B 8401による(2.2.14)。ストレーナには網(スクリーン)があり、仕様書は網目をメッシュ数(網目の細かさを表す数字。定義は仕様書にない)で決める(上の表)。

現場とつなぐ — 電気設備との接点

同じ「鋼管」の名前が、電気設備工事編にも出てくる。電気設備工事編の地中ケーブル保護材料の表(1.18.5、表1.18.2)は、鋼管(SGP、JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管)を、金属管(G、JIS C 8305 鋼製電線管の厚鋼電線管)、硬質ビニル管(VE、JIS C 8430)などと並べる。電線管としての金属管は、JIS C 8305の厚鋼電線管(G)、薄鋼電線管(C)、ねじなし電線管(E)で、別の規格だ(1.2.1、表1.2.1)。「鋼管」「金属管」という呼び名だけでは、どの規格の管か決まらない。流体の配管(機械設備)とケーブルを守る管(電気設備)は、規格番号で見分ける。電線管の種類は、当サイトの電線管・配線ダクトの種類と選び方で整理している(本トピックの事実の根拠にはしていない)。

試験での出方とワナ

出題の型

令和8年度の問題Aは、No.41が「配管材料及び配管附属品」、No.44が設計図書に記載する「配管材料」で、どちらも「適当でないもの」を1つ選ぶ。No.38〜No.44は全問解答の必須問題だ。No.41の主題は、めっきの付着量、ライニング鋼管の使用温度、鋼管の使用圧力の目安、青銅弁の材質。No.44の主題は、管の肉厚の大小を、管の種類を変えて問う型だ。

初見の記述は、3点で点検する。

  1. 肉厚の大小は、物差しを特定する(Sch、K・L・M、VP・VU・HIVP、ライニング鋼管の原管)
  2. 温度・圧力の数字は、対象とセットか。「程度」の目安と、仕様書の規定を区別する
  3. 材質・めっきは、用途の表の備考と注で確かめる(継手のめっき、弁棒の材質)
HIVPは「耐衝撃性を高めた」管だが、肉厚はVPと同じ列に載る。名前の印象(耐衝撃なら厚いはず)で、寸法の大小を決めない。大小は、物差しで確かめる。
やってみよう②:適当でないものを1つ選ぶ
  • (a) STPGのSch80は、同じ呼び径のSch40より肉厚が大きい。
  • (b) 高温水用の弁として、標準仕様書は仕切弁又は玉形弁を挙げている。
  • (c) 標準仕様書は、蒸気給気管のバルブ止めに、バタフライ弁を使用してよいとしている。
  • (d) 積水化学のカタログでは、排水用ライニング鋼管(エスロンDVLP)の鋼管は、外径がSGPと同じで、肉厚が薄い。

答えは(c)。2.2.1(1)(エ)は、バタフライ弁を、蒸気給気管、蒸気還管、高温水管及び管端が開放された配管のバルブ止めには使用してはならないと定める。蒸気用の給気用及び還水用は玉形弁とする(ゲージ圧力0.1 MPa未満は仕切弁も可)。(b)は2.2.1(1)(カ)、(a)(d)は本文のとおりで適当だ。

冒頭の問いの答え合わせ

1 m当たり12.2 kgの管は、SGPの100A(肉厚4.5 mm)。22.4 kgの管は、STPGのSch80の100A(肉厚8.6 mm)。外径は同じ114.3 mmで、肉厚が違う。鋼管では呼び径ごとに外径が決まっているが、肉厚は種類が別に決める。Sch80は質量が約1.8倍で、内径が小さいので、同じ流量での流速は約1.18倍、損失は約1.5倍になる(λが同じとして)。

内面が樹脂の鋼管は、ライニング鋼管。使える温度は種類で違う(積水化学のカタログで、水道用は40℃、耐熱性は85℃、排水用は60℃で瞬時は85℃以下)。弁と継手は、管の種類とセットで、仕様書の表が決める。

答え合わせは、理解度チェックの問3・問4(肉厚と内径)、問5(温度)、問9・問10(弁)でしてみよう。

次の問い

材料が決まったら、管をどの勾配で通し、何で支え、どうつなぐのか。伸びる管は、どこで止めて、どこで逃がすのか。施工は「配管・附属品の施工」で扱う。選んだ材料が錆びる仕組みと、防ぐ手は「腐食と防食」で読む。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 呼び径が同じなら、肉厚も内径も同じと思い込む

    なぜ引っかかる呼び径は管の大きさの呼称で、鋼管では呼び径ごとに外径が決まっているが、肉厚は種類が別に決める。スケジュール番号、銅管のK・L・M、塩ビ管のVPとVU、積水化学のカタログの排水用ライニング鋼管(薄肉鋼管)のように、同じ呼び径(銅管は同じ外径)でも肉厚が違う

    見破り方「AはBより肉厚が大きい」の選択肢では、まず肉厚の物差しを特定する(Schは番号が大きいほど厚い、K>L>M(資料の外径12.70 mmの例)、VP>VU、HIVPはVPと同じ寸法)。名前の印象(耐衝撃だから厚いはず)で大小を決めない

  2. 温度や圧力の目安を、別の種類の数字と取り違える

    なぜ引っかかる同じ塩ビライニング鋼管でも、水道用・耐熱性・排水用で温度の上限が違い、鋼管でもSGPとSTPGで圧力の目安が違う。数字だけ覚えると、対象を入れ替えた選択肢に気づけない

    見破り方数字は対象とセットで覚える。積水化学のカタログで水道用40℃、耐熱性85℃、排水用60℃(瞬時は85℃以下)、日本製鉄でSGP 1 MPa程度、STPG 10 MPa程度。「程度」「目安」の数字と、仕様書が「してはならない」と定める規定を区別する

  3. 亜鉛めっきや黄銅の材質を、付ければ安心と考える

    なぜ引っかかる冷温水・給水・給湯・消火の鋼管継手は亜鉛めっきを施したものが多いが、蒸気・高温水・油管用は施さない。青銅弁でも弁棒は「耐脱亜鉛腐食快削黄銅」と材質が指定され、普通の黄銅ではない

    見破り方継手は、用途の表の備考と注(表2.2.3 注3、表2.2.4 注1)で、めっきの有無を確かめる。弁は、仕様書が材質を定める部位(青銅弁の弁棒、バタフライ弁の弁体など)を、条文ごとに確かめる

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用5問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(修補版)は、第2編第2章第1節で、用途別(冷温水及び冷却水、蒸気・高温水及び油、ブライン、冷媒、給水・給湯及び消火、排水及び通気)に管と継手の規格を表で示す(2.1.2.1〜2.1.2.6)。氷蓄熱用のブライン(2.1.2.3)を除く5つの用途は「管材は特記による」とし、表の候補から実際に使う管材を決めるのは、設計図書の特記。ブラインの条文は、規格を表2.2.4によると書き、「管材は特記による」とは書かない(表の注2は、ブライン温度が-10℃を下回る場合を特記による、とする)
  2. 鋼管は、亜鉛めっきなしの黒管と、めっきありの白管がある。日本製鉄のカタログは、SGP(JIS G 3452)を使用圧力1 MPa程度までの低圧流体用、STPG(JIS G 3454)を10 MPa程度までの圧力流体用と説明し、これは目安で、上限の保証ではない。STPGの肉厚はスケジュール番号で示し、同じ呼び径なら外径は同じで、番号が大きいほど肉厚が大きく、内径が小さい
  3. 塩ビライニング鋼管の使用液温度は、積水化学のカタログで水道用(JWWA K 116)が-5〜40℃、耐熱性(JWWA K 140)が常温〜85℃、排水用(WSP 042)が常温〜60℃(瞬時では85℃以下)。塩ビ・耐熱性ライニング鋼管とポリ粉体鋼管のねじ接合の継手は管端防食管継手とする(2.1.2.1(2)(ア)、2.1.2.5(2)(ア))。排水用の継手は表2.2.9による。積水化学のカタログでは、排水用の鋼管は、外径がSGPと同じで肉厚が薄い
  4. 銅管には肉厚のタイプK、L、Mがあり、肉厚はK、L、Mの順に小さくなる(継手を取り扱う会社の資料の外径12.70 mmの例で、3タイプとも外径は同じ)。硬質塩化ビニル管は、VPとHIVPが同じ寸法の列に載り(HIVPは耐衝撃性を高めた材質で、密度が違う)、VUはVPより薄肉
  5. 弁の規定:蒸気用の弁は、給気用及び還水用が玉形弁(ゲージ圧力0.1 MPa未満は仕切弁も可)。バタフライ弁は、蒸気給気管、蒸気還管、高温水管、管端が開放された配管のバルブ止めに使用してはならない。青銅弁の弁棒は耐脱亜鉛腐食快削黄銅(2.2.1(1))。蒸気・高温水・油管用の鋼管継手は亜鉛めっきを施さない(表2.2.3 注3)
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