仮に、給水管で、まっすぐな管は傷んでいないのに、銅合金のバルブにつないだ端だけが、数年で穴あきを起こしたとする。同じ水、同じ鋼管なのに、なぜその場所だけなのか。
仮に、冷水管の保温材をはがしたら、中の鋼管が錆びていた。外からは何も見えなかった。保温は管を守るもののはずなのに、なぜ傷むのか。
地中の鋼管は、電源をつないで電流を流すと、錆を止められる。電源のプラスとマイナスは、どちらを管につなぐのか。
3つは別々の話に見えて、根は同じだ。金属の表面にできる「電池」である。読み終えるころには、3つとも、電池の向きと形から答えられる。
まず一言で
腐食は、金属の表面にできる電池で進む現象だ。電池には、4つの部品が要る。
- アノード: 電子を出して、金属がイオンになって溶ける側
- カソード: 電子を受け取る側。水中では、水に溶けた酸素が受け取る
- 電解質: 両者の間でイオンを運ぶ水や、湿った土
- 導通: 電子がアノードからカソードへ、金属の中を通る道筋
防食は、この4つのどれかを断つ手だ。塗装・めっき・被覆は、水と酸素を金属に触れさせない。絶縁は、導通を断つ。電気防食は、外から電流を流して、守る金属をカソードに固定する。水処理は、水の側の酸素などを変える。4つの部品に分けて整理するのは、標準的な説明で、出典資料にはなく、筆者の整理だ。
典拠は、公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(修補版。以下「仕様書」)、同(電気設備工事編)令和7年版、電気設備技術基準の解釈(以下「解釈」。令和7年11月20日施行の改正を含む版の保存コピー)、公開資料(出典欄)だ。
仕組み — なぜ金属は傷むのか
鉄が錆びる反応
鋼の表面は、局部的に陽極になる部分と陰極になる部分に分かれる(局部電池)。日本製鉄の技術資料は、水中や土中の腐食を、次の反応で説明する。
- アノード: Fe → Fe²⁺ + 2e⁻。溶け出した Fe²⁺ は、水中の OH⁻ と結びついて Fe(OH)₂ になり、酸素の作用で不溶性の錆 Fe(OH)₃ になる
- カソード(中性・アルカリ性の水): ½O₂ + H₂O + 2e⁻ → 2OH⁻。酸性なら、2H⁺ + 2e⁻ → H₂
なぜ酸素が要るのか。 アノードで出た電子には、行き先が要る。中性の水では、その役を酸素が引き受ける(カソード反応の筆者による言い換え)。淡水中の腐食速度は、pH が極端に低い場合を除き、溶存酸素の量に比例する(同資料)。
なぜ「局部」が怖いのか。 全面腐食は、全体がほぼ均等に減るので速度(mm/年)が比較的小さく、寿命の予測もできる。問題になるのは局部腐食だ(同資料)。電池が一部に偏ってできる理由は、1つではない。
電池ができる理由で、形が分かれる
| 腐食の形 | 電池ができる理由 | 配管での例 |
|---|---|---|
| 異種金属接触 | 電位の違う金属が水で結ばれる | 鋼管と銅合金のバルブ |
| 通気差・孔食 | 酸素の少ない側がアノード。塩化物が濃くなり自己触媒的に進む | すき間、錆こぶの下、点状の穴 |
| 迷走電流 | 外から入った直流が管から土へ出る | 電気鉄道の近くの埋設管 |
| 流れ(E/C) | 流れが保護皮膜をはぐ | 銅管のエルボ付近 |
| 保温下 | 保温材の下に水が溜まり続ける | 保温配管(資料は化学プラント) |
異種金属接触 — 面積比が効く
電解質の中で電位の異なる2種の金属が接触すると、電位の卑な(低い)金属がアノード、貴な金属がカソードになり、アノード側が腐食する(ATOMICA、竹中技術研究報告)。ステンレス鋼の電位は銅に近いので、銅と同じ注意が要る(竹中)。
竹中の報告は、面積の比を実験で確かめた。60℃、塩化物イオン200 mg/Lの水溶液で、カソード面積÷アノード面積(Ac/Aa)を約0.03〜100に変えると、ステンレス鋼と鋼、銅と鋼のどちらでも、Ac/Aa が大きいほどアノード金属の腐食度は増えた。報告は、淡水中の異種金属接触腐食が、カソードでの溶存酸素の還元に支配されるためと説明する。電流の総量がカソードで決まるなら、その電流が小さなアノードに集まる。アノードの面積が1/10なら、同じ電流で電流密度は10倍になる(筆者の整理)。
事例(同報告)。 事務所ビルで約6年使った塩ビライニング鋼管(鋼を塩ビで覆った管)が、砲金製バルブとの接続部で漏水した。管端からの腐食欠損は、管軸方向に最大13 mm。ライニングで、管の切断面の鋼の露出部だけがアノードになり、面積が小さく電流密度が上がったためと報告は説明する。
仕様書は、ライニング鋼管と銅合金製の配管附属品などとの接続で絶縁を要する場合、器具接続用の管端防食管継手を用いるとする(2.4.1(9))。
通気差・すき間・孔食
溶存酸素の濃度に不均一があると、酸素の低い側が陽極になって局部的に腐食する。錆こぶの下やすき間は起こりやすい。孔食は、金属表面の被膜が局部的に壊れて生じる。孔の内部は Fe²⁺ が増え、電気的な中性を保つために Cl⁻ が入って濃くなる。Cl⁻ は鉄の溶解を進め、被膜の修復も難しくするので、孔食は、腐食が腐食を速める自己触媒のように加速する(日本製鉄)。
迷走電流
電気鉄道のレールから漏れる直流など、外部から地中に流れる電流が迷走電流だ。鋼管は電気をよく通すので電流が入りやすく、再び土へ流れ出す地点で著しく腐食する(日本製鉄)。
解釈は、直流帰線をレール近接部分を除いて大地から絶縁する(209条1項)。209条4項・5項(レール近接部分が地中管路に1 km以内に接近する場合の帰線の対策)をしてもなお障害のおそれがあるときに限り、排流器の構造などの各号の条件を満たして、強制排流器か選択排流器を介して地中管路と接続できる(210条)。
流れと腐食 — エロージョン・コロージョン
流れの機械的な作用と化学的な作用が重なって、保護皮膜が摩耗・はく離・溶解し、腐食速度が増す現象だ(ATOMICA)。名古屋市工業研究所の事例では、給湯用の銅管のエルボ付近の内面で、肉厚1.5 mmが貫通寸前まで減っていた。助言は、銅を使うなら流速を1.0 m/s以内に抑える、できなければキュプロニッケルかステンレスへ替える、だった(この事例への助言で、一般の基準ではない)。
保温下 — 見えない所で進む
保温材で覆われた炭素鋼の腐食を、保温材下腐食(CUI)と呼ぶ。CCPS の Beacon は、漏洩した腐食性の流体や、雨水・結露した水が保温材の下に溜まって管の外面に触れ続けると起こり得ると説明する。「保温材は腐食を見えなくしている」とも書く。化学プラント向けの資料で、冷水配管にそのまま当てはめた資料は、確認できていない。
仕様書の表2.3.10は、保温される金属下地にさび止めペイントを2回塗る(亜鉛めっき部を除く)と定める。理由は書かれていないが、保温の下に水が入ったときの備えと読める(当サイトの読み)。注2に、製作工場で浸漬等により塗装された機材は、搬入、溶接等で塗装がはく離した部分に、さび止めを考慮した補修を行えば、さび止めを省略できる。
ステンレスは、別の傷み方をする。日本ステンレス協会は、応力腐食割れ試験片として鋭敏化熱処理(割れやすくする処理。標準的な説明。筆者)をしたU字曲げのSUS304を使い、ASTM C 692 のドリップ法に準拠した試験を行った。結露水を想定した脱イオン水を4種類の保温材に滴下しても、60℃に保った試験片に錆・孔食・割れは出なかった(その2)。漏水を想定した塩化物イオン 200 ppm の水を滴下した試験(その3)では、鋭敏化処理の有無によらず、ロックウールとグラスウールに錆・孔食・応力腐食割れが出た。硬質ウレタンフォームは、錆が着色にとどまり、割れは鋭敏化処理をしない試験片の絶縁不良の端面の1か所だけで、ビーズ法ポリスチレンフォームは異常がなかった。協会は、材質による透湿性と、保水性または吸湿性の差によると考えられるとする。その1は、水溶性成分による従来の判断基準(使用許容域)に入る保温材でも腐食事故が報告され、保温材の選定と腐食の明確な因果関係は解明できていない現状だとして、試験を始めた。仕様書は、空調設備の保温の規定で、ステンレス鋼板製のタンク類(SUS444製を除く)をエポキシ系塗装で保温材と絶縁するとし(3.1.4.2(4))、理由を書いていない(SUS444を除く理由も確認できていない)。
土の中
土中の腐食も、水と酸素が基本で、土質が場所によって違うと、電池(マクロセル)ができる。日本製鉄は、比抵抗が1000 Ω·cm以下では腐食が激しいとされると書く。
亜鉛めっき鋼管(白管)は、pH と温度に弱い
日本製鉄の資料によると、常温の水中で亜鉛が有効な耐食性を示すのは pH6〜12。pH6未満の酸性側では水素発生を伴って著しく侵される。pH12.5以上でも、Zn + OH⁻ + H₂O → HZnO₂⁻ + H₂ の反応で、溶解性の亜鉛酸塩になって急速に侵される。亜鉛は酸にもアルカリにも溶ける両性の金属だからだ(両性の説明は標準的な化学。筆者)。温水は50℃以下で有効だが、約60℃付近から急激に腐食される。空気を多く含む約60℃以上の温水で、炭酸塩・硝酸塩を含む水質だと、亜鉛が鉄より貴な電位になる極性の逆転が起こり、素地の鉄が孔食を起こす場合がある。同資料は、温水配管に用いるのは好ましくないとする。
数で追う
例題1 — 腐食速度と貫通までの年数。 腐食速度は、減肉量÷年数(mm/年)だ。竹中の事例の2.17 mm/年(13 mm ÷ 6年)は、管端から管軸方向に欠けた長さの速さで、肉厚が減る速さではない。貫通までの年数は、肉厚÷厚さ方向の腐食速度で求める(筆者の整理)。仮に、肉厚3.0 mmの管で全面腐食が0.1 mm/年なら、3.0÷0.1=30年。電縫鋼管の溝状腐食の事例解析(日本製鉄)では、溝状腐食の速さは母材の腐食の約5〜9倍だった。局部が6倍の0.6 mm/年なら、3.0÷0.6=5年に縮む。
例題2 — 防食電位。 対地電位は、土に当てた基準電極(飽和硫酸銅電極)に対する金属の電位だ。鉄鋼は、中性の土壌で通常-0.5〜-0.6 Vを示す。危険物施設の地下配管に電気防食を施す場合の基準は、配管の対地電位の平均値を-0.85 Vより負にするよう定める(さいたま市の審査基準。他の配管の基準ではない)。電位が-0.55 Vなら、-0.85 Vまで動かすのに0.30 V。基準は「より負」なので、0.30 Vを超えて負側へ動かす。電流を流しすぎる「過防食」では、塗覆装の密着力の低下、高強度鋼の水素脆化が起こりうるため、-2.5 Vより負にしない。
やってみよう①:腐食しろ
腐食しろ(腐れ代)は、供用期間中に予想される腐食及び摩耗に対する板厚の余裕だ(厚生労働省の通達の括弧書き。圧力容器の文書で、言葉の意味に限って引く)。仮に、全面腐食が0.1 mm/年の環境で20年使うなら、腐食しろは 0.1×20=2.0 mm。局部腐食が5倍の速さなら、20年で10 mmの減肉になり、2 mmでは足りない(筆者の整理)。
防食 — 電池のどこを断つか
塗装・めっき・被覆 — 水と酸素を遮る
塗装(仕様書 第2編 3.2.1)は、鉄面ならさび・汚れ・付着物と油類を除去して塗る(表2.3.8)。塗り回数は表2.3.10で、鋼管及び継手(黒管)の露出は下塗り2・中塗り1・上塗り1(下塗りはさび止め)、隠ぺいはさび止め2回。白管の露出は下塗り1・中塗り1・上塗り1だ。気温が5℃以下、湿度が85%以上、換気が十分でなく結露するなど、塗料の乾燥に不適当な場合は、原則として塗装を行わない(3.2.1.1(ケ)(a))。
防錆(3.2.2)は、各編が指定したもの、または特記で「防錆」とされたものに適用する(3.2.2.1)。前処理は、Sa 2½以上(拡大鏡なしで、目に見えるさび・塗膜・油などがなく、残る汚れも斑点かすじ状の僅かな染みの程度)のブラスト仕上げで行う(有機質亜鉛末塗料による場合と、防食テープ等で処置する埋設配管の部分を除く)。
めっきと溶射は、皮膜のつくり方が違う。
| 方法 | 皮膜のつくり方 | 仕様書の例 |
|---|---|---|
| 溶融亜鉛めっき | 融解した亜鉛の浴槽に浸す | JIS H 8641。屋外の支持金物は HDZT49 又は SUS304 製 |
| 電気亜鉛めっき | 電気分解で亜鉛を析出させる | JIS H 8610 の2級。屋内の鋼材 |
| 溶射 | 加熱して溶かし、吹き付ける | 防食の規定は確認できず |
亜鉛めっきは、傷が付いて鉄が露出した場合でも、亜鉛が鉄より電気化学的に活性なので、亜鉛が犠牲になって鉄を保護する(神戸製鋼所)。ただし日本製鉄は、大気中では水膜が連続しない場合などに、犠牲陽極の効果はあまり期待できないと注意する。
被覆(地中埋設の鋼管類、第2編 2.7.3)は、次のいずれかだ。ペトロラタム系なら、プライマー塗布、防食テープ(2.2.30の厚さ1.1 mm、1/2重ね1回巻き)、プラスチックテープ(1/2重ね1回巻き)の順。ブチルゴム系は絶縁テープを1/2重ね2回巻き。ほかに熱収縮チューブ・シートもある。排水の鋼管類、外面が合成樹脂等で被覆された部分、SUS316のステンレス鋼管は対象外だ。電気設備工事編の地中配線には、防食処理されていない鋼管及び金属管に、厚さ0.4 mmの防食テープを1/2重ね2回以上巻付ける規定がある(2.12.4(3))。機械編のペトロラタム系とは厚さも巻き数も違うので、編ごとに読む。
絶縁 — 導通を断つ
イオンを含む導電性の溶液があり、電位差のある2種の金属が電気的に導通して初めて、異種金属接触腐食の電池が成り立つ。2種を電気的に絶縁すれば、金属間の距離や水質に関わらず防げる(竹中の報告)。
仕様書は、給水・給湯・開放系の冷温水及び冷却水配管で、機器接続部の金属材料と配管材料のイオン化傾向が大きく異なる場合(鋼とステンレス、鋼と銅)は絶縁継手を使うとする(設置箇所と仕様は特記。2.4.1(8))。異種管の接合では、鋼管とステンレス鋼管、または銅管と鋼管を絶縁フランジ接合とし、要領は特記による(特記がなければ標準図。2.5.16)。絶縁フランジは、鋼製の遊合形フランジに樹脂コーティングを施したもの、または鋼製フランジに絶縁スリーブ・絶縁ワッシャー・絶縁シートのいずれかを使ったものだ(2.2.12)。竹中の報告は、密閉配管システムの冷温水配管と冷却水配管は基本的に溶存酸素の補給がなく絶縁不要とするが、密閉式冷温水配管ではグランドパッキンからの流出が多く補給水が多くなると酸素が入り、腐食が進むおそれがあるという。
やってみよう②:絶縁継手のまわりに金属カバーを巻くと?
鋼管とステンレス鋼管を絶縁フランジでつないだ。保温の外装に、金属板(ラッキング)を継手の両側にまたがって巻くと、何が起こるか。
答えは、金属板が絶縁した2つの金属にまたがって、電気的につなぐおそれがある。仕様書は、絶縁継手廻り(絶縁フランジを含む)は金属製のラッキングを行ってはならないと定める(3.1.3(19))。理由は書かれていないが、導通を復活させないための規定と読める(当サイトの読み)。
電気防食 — 守る金属をカソードに固定する
電気防食は、アノードから電解質へ流れる腐食電流と逆向きに、外から電流を加える方法だ(水道技術研究センター)。守る金属を陰極(マイナス極)にして、直流電流を常時流す(さいたま市の審査基準)。
方式は、迷走電流の排流を除くと次の2つだ(水道技術研究センター、さいたま市の審査基準)。
- 外部電源方式: 直流電源のプラス極を陽極、マイナス極を防食対象物につなぐ。陽極には、傷みにくい耐久性の電極を使うのが一般的で、鉄鋼などの消耗性電極を使うこともある(水道技術研究センター)。例は、さいたま市が金属酸化物被覆(MMO)・高珪素鋳鉄・磁性酸化鉄、同センターが炭素・人造黒鉛など。長距離の配管や大電流が要る施設に向く
- 流電陽極方式(犠牲陽極方式): 鉄より電位の低い金属(マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等)を鋼管に導線で接続し、電池作用で防食電流を得る。陽極は消耗する。小規模や部分的な配管に向く
なぜ、守る管をマイナスにつなぐのか。電流が金属から土へ出る側が溶けるからだ(筆者の整理)。
電気設備側の規定(解釈199条): 電気防食回路の使用電圧は直流60 V以下。陽極を地中に埋設する場合は、深さ(周囲の導電物質を含む)0.75 m以上(水中に施設する方法もある)。地表または水中で1 m離れた任意の2点(水中の陽極の周囲1 m以内の点と、その陽極に人が触れないよう設けたさくの内部の点を除く)間の電位差は5 Vを超えない。電源装置は、金属製の外箱にD種接地工事を施し、絶縁変圧器を使い、1次側は低圧とする。
水処理と材料 — 環境と金属の側を変える
水の側は、たとえば酸素の量で変えられる。竹中の報告では、砲金管と亜鉛めっき鋼管の接続部に、水道水と脱気水を439日連続で通水して比べ、脱気水では異種金属間を流れる電流(ガルバニック電流)が減り、接続部付近の内面の腐食も緩和された。
仕様書は、無圧式温水発生機(第3編 1.2.2.3)と、木質バイオマスボイラーの無圧式温水発生機(1.2.4.3)で、鋼製の水管に、内面の溶融亜鉛めっき(HDZT63)か溶融アルミニウムめっきの防錆を求める。熱媒水に腐食抑制剤を添加する場合は除く。
金属の側は、材料を替える手がある。電縫鋼管の溶接部は母材より20〜60 mV程度卑で溝状腐食を起こす場合がある(日本製鉄)。仕様書は、都市ガス・液化石油ガス以外の配管で、水配管用亜鉛めっき鋼管や配管用炭素鋼鋼管を使う場合、呼び径100以下は鍛接鋼管(SGP-B)、熱間仕上げ電気抵抗溶接鋼管(SGP-E-H)、または電気抵抗溶接鋼管(SGP-E-G)のうち耐溝状腐食電縫鋼管、呼び径125以上は SGP-E-G のうち耐溝状腐食電縫鋼管とする(第2編 2.1.1(1))。
現場とつなぐ — 電気設備との接点
電気設備工事編(令和7年版)にも、異種金属接触腐食の規定がある。バスダクトのアルミ導体と銅導体の接続、雷保護設備の導線の接続・支持(2.9.3(4)、2.17.1(2))などだ。解釈12条四号は、アルミニウムと銅のような電気化学的性質の異なる導体の接続部分に、電気的腐食が生じないようにすると定める。
電線管側の防食テープの巻き方は、サイトのガイド「埋設電線管ジョイント部の防食テープ処理」にある(本稿の根拠にはしていない)。
試験での出方とワナ
令和8年度 問題B No.29(腐食・防食):応用能力の必須問題(No.22〜29)で、4つの記述から「適当でないもの」を二つ選ぶ形だった。
- 主題は、電気防食(外部電源方式)、異種金属の絶縁による腐食防止、金属被覆の方法、鋼管の腐食とpHの関係の4つ。公式の正答は、金属被覆の方法の説明と、pHと腐食の関係の説明だった。電気防食の接続と、異種金属の絶縁は、適当な記述だった
二つ選ぶ形は、4つの記述を1つずつ「○か×か」で判定する。物差しは、電流の向き・導通を断つか・皮膜のつくり方・pH の両側の4つだ。
冒頭の問いの答え合わせ
- 銅合金のバルブにつないだ端だけが傷むのは、鋼が卑な側(アノード)、銅合金が貴な側(カソード)の異種金属接触腐食だから。ライニングで鋼の露出部が小さいと、電流が集中して速く進む。絶縁継手や器具接続用の管端防食管継手で通り道を切る
- 保温材の下の傷みは、水が入って管に触れ続けることで進み、保温材に隠れて気づけない(資料は化学プラント向け)。保温される金属下地には、さび止めペイントを2回塗る(亜鉛めっき部を除く)
- 外部電源方式は、プラス極を陽極に、マイナス極を守る管につなぐ。電流は陽極から土を通って管へ入り、管はカソードに固定される
これで、腐食の記述を、電池の4部品のどれを断つ手なのかで読み解ける。理解度チェックで答え合わせをしよう。
次の問い
塗装は、塗料の乾燥に不適当な場合は、原則として行わない。配管、ダクト、保温、防食の仕事を、いつ、誰が、どの順で進めるのか。次のトピック「公共工事の施工計画」で追う。