在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 写真の添付もOK / 24時間受付
電線管施工技術設計基準

埋設電線管ジョイント部の防食テープ処理!管本体でなく『接続部』だけが腐食する理由と正しい巻き方

読了目安: 10分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

改修工事のために数年前に埋設した電線管を掘り返したら、まっすぐな管の部分はどこも健全なのに、継手(カップリング)でつないだ一箇所だけが赤茶色に膨れ上がり、指で触れただけでボロボロと崩れ落ちた——そんな報告を受けたことがある。掘り出した管をよく見ると、直管部分の亜鉛めっきはほぼそのままの光沢を保っている。腐食が進んでいるのは、ねじ込み継手のねじ山のあたりだけだった。

「地中に埋める管だから、当然ちゃんと防食してある」という思い込みは、決して的外れではない。実際、電線管も鋼管も、出荷段階でめっきやライニングという防食処理が施されている。問題は、その防食が及んでいる範囲だ。工場で均一に処理されるのは、まっすぐな管の胴の部分である。現場でねじを切り、継手をねじ込み、管と管をつなぎ合わせる接続部――ジョイント――は、施工のそのときにできる、いわば「あとから生まれる」部分になる。ここに、埋設電線管の腐食トラブルのほとんどが集中する理由がある。

1. 「管は守られているのに、なぜ継手だけ腐食したのか」という疑問

先の現場では、施工した業者に確認したところ「防食テープは巻いた」という。実際、管の周囲には塩ビテープらしき巻き跡も残っていた。ではなぜ、テープを巻いたはずの箇所がボロボロに腐食したのか。

答えは、テープを「巻いたかどうか」ではなく、「何に巻いたか」にあった。ねじ込み継手のねじ山は、まっすぐな管の表面と違って凹凸がある。段差を埋めずにテープだけを巻くと、テープと金属面の間にわずかな空間が残る。そこに水分がにじみ込めば、あとは酸素と水さえあれば進行する電気化学的な腐食反応が、外から見えない場所で静かに続くことになる。

2. なぜ地中埋設部の「接続部」だけが弱点になるのか

土壌という、水中よりもずっと不均一な環境

鋼管の腐食は、水と酸素が関わる電気化学的な反応で進む。この点は淡水中でも海水中でも土壌中でも変わらない。違うのは環境の均一さだ。農林水産省がまとめた腐食対策マニュアルは、土壌腐食について「水中のような比較的均一な腐食環境と異なり非常に不均一な環境である」と説明し、土質の差異による通気差や微生物の関与、迷走電流など、腐食を促す要因が複合的に絡み合うと指摘している。さらに、土壌の腐食性にもっとも影響する因子は土壌抵抗率であり、抵抗率が小さいほど腐食電流が流れやすくなって腐食速度も大きくなるとされる。

つまり埋設された鋼管は、場所によって電位の異なる土壌という電解質に、絶えずさらされ続けているということだ。同じ管の上でも、抵抗率の低い部分と高い部分が電池のプラス極とマイナス極のように働き、電流が集中する箇所ができる。ジョイント部のように表面が荒れていたり防食層が薄かったりする箇所は、この電流が集中しやすい典型的な弱点になる。

接続部は「工場出荷時の防食が途切れる場所」でもある

もうひとつの理由は、もっと単純だ。ねじなし電線管や厚鋼電線管の直管部分は、工場でめっきやライニングが均一にかけられている。ところが現場では、その管を必要な長さに切断し、ねじを切り、継手やカップリングをねじ込んで初めて配管がつながる。この加工の瞬間、めっき層の下にあった地金が露出する。

セキスイ化学工業の防食テープ施工要領でも、ねじ込み継手の下地処理について「ねじ込み式継手で直管部のねじ山が露出している場合は、やや多めに塗布する」、また「80A以上のネジ継手には、直管部との段差部分にペトロラタムマスチックを埋めて、段差部をなめらかな勾配にする」という手順がわざわざ設けられている。これは、接続部が直管部とは別の下地状態にあることを前提にした指示だ。管本体が防食されていることと、接続部が防食されていることは、実は別の話なのである。

graph TD
    A[鋼管を切断・ねじ加工] --> B[めっき層が途切れ地金が露出]
    B --> C[段差・凹凸を埋めずにテープだけ巻く]
    C --> D[テープと金属面の間にわずかな空隙]
    D --> E[土壌中の水分がにじみ込む]
    E --> F[電気化学的腐食が接続部だけで進行]
    F --> G[数年後、直管は健全なまま継手だけ腐食貫通]

3. 防食テープとは何か

防食テープは、金属の表面に巻きつけて空気と水を遮断し、腐食の進行を止める粘着性の防食材だ。日東エルマテリアルのペトロラタム系防食テープNo.59シリーズは、石油から作られるペトロラタムを主成分としたコンパウンドを不織布に含浸させたもので、金属表面から水分と空気を遮断するとともに、赤錆を黒錆に変えて安定させる働きを持つとされる。塗料のように乾燥や硬化を待つ必要がなく、巻きつけて手でなでつけるだけで防食層が形成される点も特徴だ。

ここで押さえておきたいのは、防食テープはあくまで「表面を密閉する」ための資材だという点である。密閉が途切れなく続いていて初めて効果を発揮するのであって、途中に隙間や段差が残っていれば、そこがそのまま弱点として残る。次の巻き方の基本は、この「途切れをつくらない」ための手順にほかならない。

4. ジョイント部の巻き方の基本

下地処理を省略しない

セキスイの施工要領では、既設の鋼面に発錆がある場合はワイヤーブラシやケレン棒で錆を落とし、水分や汚れを拭き取ってから防食用の下塗り材(ペースト)を薄く均一に塗布する(目安は約300g/㎡)。見落とされがちなのは、新しい鋼面であっても手順が省略できない点だ。同要領は新しい鋼面についても「鋼面に付着した汚れや水分を取り除く」「浮き錆がある時はワイヤーブラシで錆を落とし、ペーストを塗布する」と、下地処理そのものは同様に求めている。「新品だから汚れていない」という思い込みは、この手順を飛ばす理由にはならない。

さらにねじ継手やフランジのように段差の大きい部分は、テープを巻く前にペトロラタムマスチック(粘土状の充填材)で埋めて、なだらかな勾配に整えておく。段差を残したままテープだけを巻くのは、この工程を丸ごと省いていることになる。

テーピングは「半ラップ・引張り気味・隙間なし」

下地ができたら、テープを手で押さえつけながら鋼面にしっかり貼りつけて巻き始める。包帯を巻く要領で、空間をつくらないよう砂などの異物を付けないようにし、所定の重ね幅――通常はテープ幅の1/2を重ねる「半ラップ」――で、やや引張り気味に巻き付けていく。巻き終わりは、ラップを一周余分に重ね巻きしてから切断する。

巻き終えたら、それで完了ではない。テープ表面をラップの継ぎ目がわからなくなるまで手で十分になでつける。この「なでつけ」を省略すると、ラップの重なり部分にわずかな空気の通り道(ピンホール)が残りやすく、そこが将来の水分侵入経路になる。

埋設部にはもう一枚、外装保護を重ねる

埋設する場合はここでもう一段の作業が加わる。ペトロラタムテープを巻き付けたあと、その上から塩化ビニル製の保護テープを重ねて巻き、埋め戻し時の外部衝撃や土壌からの応力からテープ層そのものを保護する。防食テープは金属を守るが、防食テープ自体を埋め戻しの土圧や踏みつけから守る層が別途必要になる、という二段構えの考え方である。

5. 防食テープの種類とジョイント部での使い分け

種類主成分・構造特徴主な用途
ペトロラタム系石油系ワックス(ペトロラタム)を含浸させた不織布テープ加熱不要・常温で施工可能。複雑な形状に手でなじませやすいねじ継手・フランジなど凹凸のある埋設接続部の下地処理に向く
ブチルゴム系ポリエチレン基材にブチルゴム系粘着剤自己融着性でラップ部が一体化。電気特性に優れる迷走電流による電食(電気鉄道の漏れ電流等)対策が必要な接続部
熱収縮チューブ系架橋ポリエチレンチューブ内面に防食性粘着材バーナー等で加熱し管に密着させる。一体化した被覆になるガス・石油・水道パイプラインの接続部で長期実績あり

どのタイプにも共通するのは、接続部の凹凸をそのまま覆うのではなく、段差を整えてから施工するという発想だ。ペトロラタム系は下地処理の柔軟性で、ブチルゴム系は電気的な絶縁性で、熱収縮チューブ系は加熱による一体化で、それぞれ異なる方法で「途切れのない被覆」を実現している。

6. 施工でよくある省略・不備

  • 段差処理(マスチック充填等)を省き、ねじ山の凹凸にテープだけをかぶせている
  • 半ラップの重ね幅を守らず、隙間や緩みのある巻き方になっている
  • 巻き終えたあとの「なでつけ」を省略し、ラップ部にピンホールが残っている
  • 埋設部なのに外装保護(塩ビテープ等)を巻かず、ペトロラタム層が埋め戻し時の土圧・衝撃にさらされている
  • 新しい鋼材だからと下地の汚れ・水分の拭き取りを省略している
  • ペトロラタム系テープを、油分や有機溶剤が漏洩する恐れのある場所で使用している(ペトロラタムは石油留分のため油分に弱い)

いずれも、単体では小さな手抜きに見える。しかし埋設部では、この小さな省略がそのまま何年も回収されずに残り続ける。

7. なぜ「あとで直せばいい」が通用しないのか

地上に露出した配管であれば、防食層の劣化は目視や打診で早期に見つけられる。埋設部のジョイントはそうはいかない。埋め戻してしまえば、次にその場所を目にするのは、たいてい別の工事で偶然掘り返したときか、あるいは通線不能や漏電といった不具合が表面化したときだ。

農林水産省の資料は、埋設配管について「施された塗覆装の経年劣化や損傷程度でも漏洩にいたるまでの期間が大きく異なる」と述べている。同じように埋めた管でも、施工の質次第で寿命が数年にも数十年にも開き得るということだ。定期点検で早期に手を打つという選択肢がそもそも存在しない以上、埋め戻す前の一回の巻き方が、そのジョイントの実質的な耐用年数を決めてしまう。冒頭の現場で継手だけがボロボロになっていたのは、偶然ではなく、この一回の質がそのまま出た結果だったということになる。

8. 防食テープ・埋設電線管の調達は「電材サーチ」へ

「地中埋設用にペトロラタム系防食テープと下地処理用ペースト・マスチックを一式揃えたい」「ねじなし電線管や厚鋼電線管とあわせて、接続部用の防食資材をまとめて手配してほしい」という設備担当者・電気工事店様。

「電材サーチ」では、埋設用防食テープ各種、下地処理材、鋼製電線管・継手類まで、国内主要メーカーの資材を幅広く取り扱っています。図面や現場条件からの必要数量の拾い出しサポートも承ります。

見積もり依頼をする →

あわせて読みたい

関連する埋設電線管・ジョイント・防食テープ・巻き方・接続部・腐食の品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。

対象の電材・品種を検索する →

参考文献・出典

QUOTATION SIGNAL

電設資材・FA部品の無料見積もり

仕入れコスト削減、廃盤代替品の選定、お急ぎの在庫確認まで。型番や数量を送っていただくだけです。 手書きメモや型番リストの写真・PDFでも依頼できます。

SPONSOR / AD

Google AdSense 広告配信エリア

(AdSense管理画面で広告ユニットを作成し、実際のslot値に差し替えるとここに本番広告が挿入されます)

AIと状況を整理してから相談する

普段お使いのChatGPT・Gemini・Perplexity等に貼り付けられる質問文をコピーできます。 自分の状況を伝えて相談すると、最後に電材サーチへの見積依頼文もまとめてもらえます。