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施工管理法 ・ 11 / 12

公共工事の施工計画 — 誰が決め、何を出し、誰の承諾を受けるか

読み終えると、こうなる

官庁工事の書類を見たとき、「これは誰が決めたことか」「監督職員に提出か、承諾か、報告か」「工事費のどの箱の話か」を言い分けられるようになる

  • 図面に指定のない仮設や施工方法は受注者がその責任において定めることを約款1条3項から説明し、設計図書の優先順位(質問回答書、現場説明書、特記仕様、図面、標準仕様書)を順に挙げられる
  • 実施工程表・総合施工計画書・工種別施工計画書・施工図等・総合試運転調整計画書について、提出・承諾・報告のどれが要るかを、仕様書の条番号とともに言い分けられる。変更のときの扱いも、実施工程表・施工計画書・施工図等の3種について言い分けられる
  • 工事費を直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費等に分け、仮の率を与えられた問題で工事原価と工事価格を計算し、現場従業員と本店従業員の給料手当がどの箱に入るかを説明できる
考えてみよう

たとえば、官庁の機械設備工事を受注した。設計図書には屋上に据えるポンプの位置が書いてあるが、吊り上げの方法や足場の組み方は書いていない。次の4つに、条文で答えられるだろうか。

  1. 図面にない仮設や施工方法は、誰が決め、誰が責任を負うのか。
  2. 工種別施工計画書は、受注者が自分で作る書類だ。監督職員に出さなくてよいのか。
  3. 現場従業員(元請企業の社員)の給料は、工事費のどの箱に入るのか。本店の経理担当者の給料は、同じ箱か。
  4. 総合試運転調整の前に、何を出し、何を済ませておくのか。

まず一言で

  • 決める人。 仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(約款は「施工方法等」と呼ぶ)は、約款と設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める(公共工事標準請負契約約款1条3項)
  • 出す書類。 施工の具体的な計画は、工種別施工計画書に定める(1.2.2(3))。公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)は、総合施工計画書を着手に先立ち、工種別施工計画書を施工に先立ち、監督職員に提出させる(工種別は、あらかじめ承諾を受けたときの例外あり)。品質計画の部分は承諾を受ける(1.2.2)
  • 使うお金。 工事費は、直接工事費に共通仮設費を足して純工事費、現場管理費を足して工事原価、一般管理費等を足して工事価格になる(公共建築工事積算基準 第3)。現場従業員の給料手当は、現場管理費に入る

誰が決めるのか — 設計図書と「施工方法等」

契約は、約款と設計図書でできている。設計図書は、別冊の図面、仕様書、現場説明書、現場説明に対する質問回答書をいう(約款1条1項)。「何を作るか」は、これが決める。

「どう作るか」は、約款1条3項が答える。施工方法等は、特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。裏返すと、設計図書が足場の工法や施工順序を指定していれば、その部分は受注者の自由にならない。

約款に呼び名はないが、このトピックでは、設計図書が指定した仮設を指定仮設、指定がなく受注者が決める仮設を任意仮設と呼ぶ。土木工事共通仕様書にも、「設計図書に指定された仮設工事」と「設計図書に明示がない任意の仮設工事」の書き分けがある(「建設副産物」の条。掘削で出た石や砂利を工事に使うときの手続の場面)。

勘違いポイント。「受注者の責任で定める」は、「好きに決めてよい」ではない。施工の具体的な計画は、工種別施工計画書にして監督職員に出す。責任を負うことと、書類を出さなくてよいことは、別の話だ。

なぜ受注者に任せるのか。 約款は理由を書いていない。当サイトの読みはこうだ。設計図書が決めるのは完成した姿で、そこへ至る道は、現場の条件、持っている機械、工程で変わる。実際に作る側が選べるようにし、その分、結果の責任も負わせる分担に見える。

設計図書がくいちがったら

機械設備工事編は、全ての設計図書は相互に補完するとしたうえで、相違があるときの優先順位を、質問回答書(他の4つに対するもの)、現場説明書、特記仕様、図面、標準仕様書の順に定める(1.1.1(2))。これによりがたいときは、監督職員と協議する(1.1.8(1))。

施工計画書と仲間たち — 何を、いつ、誰に

機械設備工事編の第1編第2節「工事関係図書」が、受注者の作る書類を並べる。工事関係図書とは、実施工程表、施工計画書、施工図等、工事写真その他これらに類する施工、試験等の報告及び記録に関する図書をいう(1.1.2(セ))。

図書作る時期監督職員に対して
実施工程表着手に先立ち承諾を受ける(1.2.1)
総合施工計画書着手に先立ち提出する。品質計画の部分は承諾(1.2.2(1)(4))
工種別施工計画書施工に先立ち提出する。品質計画の部分は承諾((3)(4))
施工図等施工に先立ち承諾を受ける(1.2.3)
総合試運転調整計画書総合試運転調整に先立ち提出する。品質計画にかかる部分は承諾(1.5.6.1)
工種別施工計画書と施工図等には、あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は、この限りでないとするただし書がある。

総合施工計画書は、工事全般に関する総合的な計画をまとめたものだ。工種別施工計画書は、品質計画、施工の具体的な計画、一工程の施工の確認内容とその確認を行う段階を定めたものをいう(1.2.2(1)(3))。作るときは、関連工事等の関係者と調整して十分検討する((2))。品質計画とは、設計図書の要求する品質を満たすため、工法等の精度の目標、品質管理、体制を具体的に示すことだ(1.1.2(コ))。中身は品質管理のトピックで扱った。

なぜ出させるのか。 仕様書は理由を書いていないが、施工は「設計図書、実施工程表、施工計画書、施工図等に基づき行う」と定める(1.5.1)。施工計画書は、現場が実際に従う文書になる。従う前に監督職員が目を通し、品質に関わる部分は先に了解を得ておく仕組みと読める(当サイトの読み)。

変更するとき — 報告か、承諾か

変更の扱いは、図書ごとに違う。

  • 実施工程表: 契約書に基づく条件変更等によるときは、直ちに変更し、当該部分の施工に先立ち承諾を受ける(1.2.1(3))。それ以外の内容変更は、報告して適切な措置を講ずる((4))
  • 施工計画書: 内容変更は、報告して適切な措置を講ずる(1.2.2(5))。品質計画に係る部分の変更は、加えて承諾を受ける((4))
  • 施工図等: 内容変更は、報告して適切な措置を講じ、承諾を受ける(1.2.3(3))
やってみよう ①:提出・承諾・報告の仕分け

次の場面で、受注者がすべきことは「提出」「承諾を受ける」「報告」のどれか。機械設備工事編で考える。

(a) 総合施工計画書のうち、品質計画に関係しない部分を変更する必要が生じた。 → 報告し、施工等に支障がないよう適切な措置を講ずる(1.2.2(5))。

(b) 工種別施工計画書の、品質計画に係る部分を変更する。 → 承諾を受ける(1.2.2(4))。内容変更の報告と措置((5))も要る。

(c) 条件変更等により、実施工程表を変更する必要が生じた。 → 直ちに変更し、当該部分の施工に先立ち承諾を受ける(1.2.1(3))。

(d) 施工図等を、施工に先立って作成した。 → 承諾を受ける(1.2.3(1))。あらかじめ承諾を受けた場合は例外。

監督職員とやりとりする言葉

仕様書は、やりとりの動詞の意味を1.1.2で定めている。

語動くのは意味
承諾監督職員書面で申し出た事項を、書面で了解する
指示監督職員必要な事項を書面で示す
協議双方結論を得るために合議し、結果を書面に残す
検査監督職員品質管理記録に基づき、設計図書との適否を判断する
立会い監督職員臨場し、指示・承諾・協議・検査・調整を行う
報告受注者等状況や結果を、書面で知らせる
提出受注者等書面や資料を説明し、差し出す
1.1.2より。「受注者等」は受注者又は現場代理人。書面で行うべき承諾・指示・協議・報告・提出は、電子メール等でも行える(情報共有システムの適用は特記。1.1.5(2))。遠隔臨場(映像と音声による立会い等)の適用も特記による(1.1.14)。

もう2語ある。「原則として」は、守るべきことだが、あらかじめ承諾を受けた場合又はただし書があるときは、他の手段によれる。「必要に応じて」は、施工上の措置を受注者等が判断すべき場合に、あらかじめ承諾を受けて対処する(どちらも1.1.2)。

約款では「監督員」と呼ぶ(仕様書の「監督職員」は、監督職員、監督員又は監督官をいう。1.1.2(ア))。約款9条2項は、監督員が、設計図書に定めるところにより、受注者への指示・承諾・協議、受注者が作成した詳細図等の承諾、工程の管理、立会い、施工状況の検査、材料の試験・検査(確認を含む)の権限を持つとする。

工事費の箱 — 工事原価に何が入るのか

公共建築工事積算基準は、公共建築工事(建築、電気設備、機械設備、昇降機設備等)の工事費の積算を定める。工事費は、直接工事費、共通費、消費税等相当額に区分する。共通費は、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等に分ける(第2)。積み上げると、こうなる。

工事費の積み上げ(積算基準 第3) 直接工事費 + 共通仮設費 = 純工事費 共通仮設費=直接工事費×共通仮設費率 純工事費 + 現場管理費 = 工事原価 現場管理費=純工事費×現場管理費率 工事原価 + 一般管理費等 = 工事価格 一般管理費等=工事原価×一般管理費等率 工事価格 + 消費税等相当額 = 工事費 消費税等相当額=工事価格×税率 破線の枠は共通費の3つ。式は例外を省略 工事費の積み上げ(自作の概念図。公共建築工事積算基準 第3・第7、共通費積算基準 2(1)・3(1)・4(1)にもとづく。共通仮設費と現場管理費を率で算定する場合の式。処分費を土台から除くなどの例外は省いた)

なぜ箱を分けるのか。 積算基準は、箱を「何のための費用か」で定義している(第5・第6)。

箱何のための費用か例(共通費積算基準の表)
直接工事費工事目的物を造るために直接必要な費用。直接仮設を含む―
共通仮設費各工事種目に共通の仮設現場事務所などの仮設建物費、工事用の電気・水道料金
現場管理費工事現場を管理運営するための費用(共通仮設費以外)現場従業員の給料手当、施工図等作成費、契約書の印紙代
一般管理費等受注者の継続運営に必要な費用本店及び支店の従業員の給料手当、広告宣伝費
直接工事費の例は、共通費積算基準の表にない。仮設も、直接必要なもの(直接仮設)は直接工事費に入る。
勘違いポイント。「従業員給料手当」は、共通費積算基準の表に2回出てくる。現場従業員(元請企業の社員)の分は現場管理費、本店及び支店の従業員の分は一般管理費だ。同じ「給料」でも、現場のための費用か、会社のための費用かで箱が変わる。工事原価=純工事費+現場管理費なので、現場従業員の給料手当は工事原価に含まれ、本店の従業員の給料手当は含まれない(積算基準に明記した文はなく、表の列挙と工事原価の構成からの整理)。

共通仮設費と現場管理費は積み上げか率で、一般管理費等は率で算定する。共通仮設費率は直接工事費に、現場管理費率は純工事費に、一般管理費等率は工事原価に掛ける(共通費積算基準2(1)、3(1)、4(1))。ただし、共通仮設費率を算定する直接工事費と、現場管理費率を算定する純工事費には、処分費(共通費積算基準に定義の記載はない)を含めない。共通費を算定する直接工事費には、本設のための電力、水道等の各種負担金も含めない(同1)。一般管理費等には、契約保証費を必要に応じて別途加算する。このほか、共通仮設費率に含まれない内容は必要に応じて、現場管理費率に含まれない特記事項は、それぞれ別途積み上げにより算定して加算する(2(2)、3(2))。令和8年改定の別表-15では、一般管理費等率は工事原価が3百万円以下なら20.11%、30億円を超えれば9.34%、その間は工事原価が大きいほど小さくなる式による。

やってみよう ②:工事価格を積み上げる

直接工事費が60,000千円。共通仮設費率5%、現場管理費率12%、一般管理費等率10%とする(学習用の仮の率。実際の率は別表による)。処分費・契約保証費・本設の負担金はない。工事価格はいくらか。消費税等相当額は含めない。

  1. 共通仮設費=60,000×5%=3,000。純工事費=63,000千円
  2. 現場管理費=63,000×12%=7,560。工事原価=70,560千円
  3. 一般管理費等=70,560×10%=7,056。工事価格=77,616千円

掛ける土台は、小計だ。現場管理費率を直接工事費の60,000に掛けると、工事価格は77,220千円になり、ずれる。

やってみよう ③:どの箱に入る?

次の費用は、共通仮設費・現場管理費・一般管理費等のどれか。

(a) 現場事務所の仮設費用 → 共通仮設費(仮設建物費) (b) 現場従業員(元請企業の社員)の給料 → 現場管理費(従業員給料手当) (c) 本店の経理担当者の給料 → 一般管理費等(従業員給料手当) (d) 工事契約書の印紙代 → 現場管理費(租税公課)

現場とつなぐ — 書類は、工事の流れに沿って動く

書類の流れ(機械設備工事編 第1編) 着手に先立ち 実施工程表→承諾 総合施工計画書→提出 施工に先立ち 工種別施工計画書→提出 施工図等→承諾 機材について 資料→提出 見本→承諾 搬入のたび→報告 種別ごとに→検査 施工中 一工程の完了→確認し報告 主要機器の設置→立会い 総合試運転調整 計画書→提出(品質計画は承諾) 個別運転調整→総合→測定報告書 書類の流れ(自作の概念図。機械設備工事編1.2、1.4、1.5.3、1.5.6、1.5.8にもとづく。時期が条文にあるのは、実施工程表・総合施工計画書(着手に先立ち)、工種別施工計画書・施工図等(施工に先立ち)、総合試運転調整計画書(調整に先立ち)。他の欄の並びは目安。各欄は要約で、あらかじめ承諾を受けた場合などの例外が、工種別施工計画書、施工図等、資料の提出、搬入の報告と検査、立会いにある)

材料を納める側から見ると。 使う機材は、設計図書に定める品質及び性能を有する新品とする(仮設に使うものは新品に限らない)。その証明となる資料を、監督職員に提出する(1.4.2(1)(3))。資料は、試験成績書のほか、製造者が持つ実験値等に基づく性能表や能力計算書でもよい((4))。設計図書でJIS、JAS又は給水装置の構造及び材質の基準に関する省令によると指定された機材で、JISマーク、JASマーク又は同省令に適合することを示す認証機関のマークのあるものを使うとき、またはあらかじめ承諾を受けたときは、提出を省略できる。設計図書に定める機材の見本は、提示又は提出し、材質、仕上げの程度、色合、柄等について承諾を受ける((7))。搬入した機材は、種別ごとに監督職員の検査を受ける(あらかじめ承諾を受けた場合は例外。1.4.4)。

電気との接点。 概成工期が特記されたときは、実施工程表等に、概成工期、受電日、総合試運転調整に要する工程を明記する(1.2.1(6))。概成工期は、建築物等の使用を想定して総合試運転調整を行ううえで、契約書に基づく関連工事及び設計図書に明示された他の発注者の発注に係る工事を含めた各工事が、支障のない状態にまで完了しているべき期限をいう(1.1.2(ナ))。受電日が載る理由は書かれていない。機器を動かすには電源が要る、という当サイトの読みだ。

総合試運転調整。 計画書(調整方法、調整時期、日程、人員、安全対策を含む)を提出し、品質計画にかかる部分の承諾を受ける(1.5.6.1)。先に各機器の個別運転調整を行い(1.5.6.2)、そのうえで、設計図書の目標値等と照合しながら各機器相互間の調整を行う(1.5.6.3)。終わったら、測定報告書を提出する(1.5.6.4)。総合試運転調整を行うときは、監督職員の立会いを受ける(これによることが困難な場合は、別に指示を受ける。1.5.8(1))。調整の項目の中身は、試運転調整のトピックで扱う。

立会いを待っていたら、工程が止まるのでは。 設計図書で立会いの上施工すると指定された工事は、立会いを受けて施工する(約款14条2項)。請求を受けた監督員は、請求から〇日以内に応じる(4項)。正当な理由なく応じず、その後の工程に支障をきたすときは、受注者が、監督員に通知したうえで、立会いなしに施工できる(5項)。この場合は、適切に施工したことを証する見本や工事写真等の記録を整備する。〇は、契約ごとに埋める欄だ。

施工体制台帳と施工体系図は、作成して写しを監督職員に提出する(1.1.5(3))。これは仕様書の定めで、法令側(入札契約適正化法15条2項)の台帳の写しの提出には、発注者が情報通信技術で施工体制を確認できる措置(国土交通省令で定める)を受注者が講じている場合を除くとする例外がある。作る側の義務とこの例外は、施工体制台帳のトピックで扱った。

土木工事では

土木工事共通仕様書は、施工計画書の作りが違う。

項目公共建築(機械設備)土木工事共通仕様書
構成総合施工計画書と工種別施工計画書施工計画書。監督職員の指示で詳細施工計画書
提出の時期着手に先立ち、施工に先立ち工事着手前、又は施工方法が確定した時期
変更報告。品質計画の部分は加えて承諾重要な変更は、その都度、当該工事の着手前に変更施工計画書を提出
土木は1-1-1-6(国土交通省案と関東地方整備局版で確認)。工期や数量等の軽微な変更は、変更施工計画書の対象から除かれる。記載事項は16項目で、維持工事等簡易な工事は、監督職員の承諾を得て一部を省略できる。

試験での出方とワナ

令和8年度の問題B No.22(公共工事の施工計画等)は、適当でない記述を選ぶ問題だった。正解は二つあり、二つとも選んで正解になる(一つだけ、三つ以上は不正解)。取り上げられた主題は、施工方法等の責任の所在、工事費の構成、総合試運転調整の進め方、工種別施工計画書の扱いだ。令和8年度の受検の手引では、合格基準は全体の得点60%以上かつ応用能力の問題(No.22〜29)の得点50%以上で、変更の可能性があるとされている。「二つ選ぶ」問題の解き方は、別のトピックで扱う。

ワナは4つ。

  • 責任と提出の混同。 「決めるのは受注者だから、監督職員に出さなくてよい」は誤り。責任と提出は別。工種別施工計画書も提出する(あらかじめ承諾を受けた場合は例外)
  • 言い切りの記述。 「不要」「入らない」と言い切る記述は、ただし書や表の項目に反例がないかを確かめる
  • 箱の取り違え。 現場従業員と本店従業員の給料手当は別の箱。工事原価は、純工事費に現場管理費を加えたもの
  • 仕様書の取り違え。 施工計画書の作りは、公共建築と土木で違う。どちらの仕様書の話かを確かめる

冒頭の問いの答え合わせ

  1. 誰が決める? 約款と設計図書に特別の定めがなければ、受注者がその責任において定める(約款1条3項)。設計図書が指定していれば、それに従う
  2. 工種別施工計画書は出さなくてよい? 工事の施工に先立ち作成し、監督職員に提出する。あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は、この限りでない。品質計画に係る部分は承諾を受ける(1.2.2(3)(4))
  3. 自社の社員の給料は? 現場従業員(元請企業の社員)の分は、現場管理費の「従業員給料手当」で、工事原価に含まれる。本店の経理担当者の分は、一般管理費の同名の項目で、別の箱だ
  4. 総合試運転調整の前に? 計画書を提出し、品質計画にかかる部分の承諾を受ける。先に、各機器の個別運転調整を行う(1.5.6.1、1.5.6.2)

この4つが条番号つきで言えたなら、「できるようになったこと」は身についている。

次の問い

実施工程表は、着手に先立ち承諾を受ける書類だ。では、工事が進んだとき、予定に対して何%進んでいて、どこが遅れているのかは、どう見ればよいのか。計画した工程と、実績を並べて見る道具がある。工程管理のトピックで扱う。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 「施工方法は受注者が定める」のだから、施工計画書は自分で持っていればよく、監督職員に見せなくてよい、と読む

    なぜ引っかかる決める責任が受注者にあることと、決めたものを提出する義務がないことは別の話なのに、「責任」の語感から提出不要と結びつけてしまう

    見破り方機械設備工事編1.2.2は、総合施工計画書も工種別施工計画書も監督職員に提出すると定める。「この限りでない」とするただし書が付くのは、工種別について、あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合。「出さなくてよい」と言い切る記述は、ただし書の条件が付いているかを確かめる

  2. 提出・承諾・報告を取り違える(品質計画だけ承諾、内容変更は報告、実施工程表の条件変更は承諾)

    なぜ引っかかるどれも「監督職員に書類を出す」ことに見えるうえ、図書ごとに扱いが少しずつ違う。品質計画の部分だけ承諾が要る、というような細部が混ざる

    見破り方1.1.2の定義に戻る。承諾は監督職員が書面で了解すること、提出は書面を説明して差し出すこと、報告は状況や結果を書面で知らせること。そのうえで、図書ごとの条番号(1.2.1、1.2.2、1.2.3)の動詞を確かめる

  3. 現場従業員の給料手当は工事原価の外にある、または本店の従業員の給料手当も同じ箱に入る、と考える

    なぜ引っかかる「給料」という名前の費用が、積算基準の表に2回出てくる。現場のための費用か、会社のための費用かという区別を見落とすと、箱を取り違える

    見破り方工事原価=純工事費+現場管理費。現場管理費の表の「従業員給料手当」は現場従業員(元請企業の社員)の分、一般管理費の表のそれは本店及び支店の従業員の分。工事原価に入るのは前者

  4. 共通仮設費率・現場管理費率・一般管理費等率を、すべて直接工事費に掛けて計算する

    なぜ引っかかる3つの率が並ぶと、同じ土台に掛けたくなる。掛ける対象が、率ごとに違うことを忘れる

    見破り方共通仮設費率は直接工事費、現場管理費率は純工事費、一般管理費等率は工事原価に掛ける。上から順に、小計を作りながら積み上げる。共通仮設費率・現場管理費率の土台から処分費を除くなどの例外が、ただし書にある

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用6問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(施工方法等)は、約款と設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める(公共工事標準請負契約約款1条3項)。設計図書は、図面、仕様書、現場説明書及び質問回答書をいう(1条1項)
  2. 機械設備工事編は、総合施工計画書を工事の着手に先立ち、工種別施工計画書を工事の施工に先立ち、監督職員に提出させる。品質計画に係る部分は監督職員の承諾を受ける(1.2.2)。実施工程表と施工図等は監督職員の承諾を受ける(1.2.1、1.2.3)。工種別施工計画書と施工図等には、あらかじめ承諾を受けた場合の例外(ただし書)がある
  3. 施工計画書の内容変更は、監督職員に報告し、適切な措置を講ずる(1.2.2(5))。品質計画に係る部分の変更は、承諾も受ける((4))。「提出」「承諾」「協議」「立会い」などの意味は1.1.2が定める
  4. 設計図書間に相違があるときの優先順位は、質問回答書(他の4つに対するもの)、現場説明書、特記仕様、図面、標準仕様書の順。これにより難いときは監督職員と協議する(1.1.1(2)、1.1.8)
  5. 公共建築工事積算基準の工事費は、直接工事費+共通仮設費=純工事費、純工事費+現場管理費=工事原価、工事原価+一般管理費等=工事価格、工事価格+消費税等相当額=工事費(第3)。共通仮設費率は直接工事費に、現場管理費率は純工事費に、一般管理費等率は工事原価に掛ける。ただし、共通費を算定する直接工事費には本設の各種負担金を、共通仮設費率・現場管理費率の土台には処分費を含めない。一般管理費等には契約保証費を必要に応じて別途加算する(共通費積算基準1、2(1)、3(1)、4(1))
  6. 共通費積算基準の「従業員給料手当」は、現場従業員(元請企業の社員)の分が現場管理費、本店及び支店の従業員の分が一般管理費。工事原価は現場管理費を含むので、現場従業員の給料手当も含む
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