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展開接続図の読み方|単線結線図・ラダー図との違いと線番号・端子番号の対応づけ方

読了目安: 10分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤の改修現場に、展開接続図が1枚渡された。単線結線図なら電源からブレーカー、変圧器へと追える。ラダー図も、コイルと接点の対応関係くらいは頭に入っている。だから最初は「同じようなものだろう」と高をくくっていた。ところが図面を広げてみると、左上に描かれたリレーのコイルと、右下に描かれた同じリレーの接点が、まるで別の部品であるかのように離れた場所に置かれている。実際の盤を覗くと、そのリレーは1つの部品としてソケットに収まっている。図面の中でバラバラに配置されているものが、現物では1か所にまとまっている——この食い違いに、どう手をつけていいか分からなくなる。

無理もない話だ。展開接続図は、機器の物理的な配置を描くための図面ではないからだ。JEMA(日本電機工業会)が定めるJEM 1115「配電盤・制御盤・制御装置の用語及び文字記号」は、展開接続図(整理番号1178)を「装置及びこれに関連する機器の動作を機能を中心に示した接続図」と定義している。機能を中心に示す、という一文の重みは、実際に図面を追ってみるまでなかなか実感しにくい。だが、この定義こそが、単線結線図とも、ラダー図とも違う、展開接続図だけの読み方を決めている。

展開接続図とは何か——JEM 1115が定める位置づけ

JEM 1115は、接続図というカテゴリの中に、単線接続図・複線接続図・相互接続図・展開接続図・裏面接続図(内部接続図)という複数の図面を並べて定義している。整理番号1174の「接続図」自体は「機器・装置の各部分間・相互間の電気的接続関係を示した図面」という広い定義で、その下に用途別の枝分かれがある、という構成だ。

単線接続図(1175)は「電気機器全般の系統及び電気的接続関係の構成を簡単に単線で示した接続図」、複線接続図(1176)は「単線接続図において、単線で示すところを複線で示した接続図」とされている。この2つは、電線を1本で描くか、実際の本数どおりに描くかという、線の本数を軸にした区分だ。ここまでは単線結線図の読み方を扱った別記事の内容と重なる。

ところが展開接続図の定義には、線の本数という軸がまったく出てこない。「機能を中心に示した接続図」という一文だけが要件になっている。つまり展開接続図は、単線接続図・複線接続図とは別の軸——何本の線で描くかではなく、何を基準に機器を並べるか——で作られた図面だということになる。この軸の違いに気づかないまま「展開接続図は複線接続図をもっと詳しくしたものだろう」と読み進めると、機能ごとに機器が分解されて並ぶ理由が最後まで飲み込めない。

単線結線図・複線接続図との違い——「系統の骨格」と「機能の分解」

単線結線図が答えようとしている問いは、「電源から負荷まで、何を経由してつながっているか」だ。受電設備から変圧器、分岐開閉器へと、電源側から負荷側への一続きの経路を、系統全体として俯瞰できるように描く。ここでの機器の並び順は、おおむね電気が流れる経路の順序と一致する。

展開接続図が答えようとしている問いは、これとは種類が違う。「このコイルが動作するために、どの接点が閉じている必要があるか」という、個々の制御回路が抱える条件を、回路ごとに切り出して示すのが展開接続図の仕事になる。主回路と制御回路は別の場所に描き分けられ、制御回路の中でも、起動回路・停止回路・インターロック回路といった機能ごとに、回路が1段ずつ独立して並ぶ。1つのリレーが自己保持用の接点と、別の回路のインターロック用の接点を両方持っていれば、その2つの接点は、それぞれが関わる機能の側に引き離されて描かれる。実際の機器配置を追う図面ではなく、機能という切り口で回路を解体し、並べ直した図面——これが展開接続図の設計思想だ。

ラダー図との違い——「実配線」と「PLC内部のプログラム」

展開接続図とラダー図は、見た目のうえではよく似ている。母線に相当する縦線または横線があり、a接点・b接点・コイルの記号が段になって並ぶ構成は共通している。ラダー図がリレー回路図の見た目をそのまま引き継ぐようにして設計された経緯を考えれば、似ているのは当然でもある。

しかし、両者が表しているものはまったく別物だ。展開接続図に描かれた接点やコイルは、実際に制御盤の中に存在する部品であり、電線番号・端子番号という形で、現物の配線と一対一に対応している。展開接続図の線をたどるということは、盤の中を実際に走っている電線をたどることと同じ意味を持つ。

一方でラダー図の接点・コイルは、PLC内部のメモリ上に存在する信号にすぎない。ラダー図の左右の線を「母線」と呼ぶのは比喩であって、そこに実際の電流が物理的に流れているわけではない。改修工事で新しい端子台やリレーを手配する場面を考えると、この違いは実務上も無視できない。展開接続図の線番号・端子番号は、そのまま発注仕様の手がかりになるが、ラダー図の入出力デバイス番号は、あくまで制御ロジックの確認材料であり、電線そのものの仕様を示しているわけではない。展開接続図とラダー図を混同したまま「同じ図面の別バージョン」として扱ってしまうと、拾い出すべき情報の種類を取り違えることになる。

縦書き・横書きと母線の意味

展開接続図には、縦書きと横書きという2つの描き方がある。日本電気技術者協会の解説によれば、母線(制御電源のライン)は交流であればR・T、直流であればP・Nといった記号で表され、縦書き接続図では動作順序が左から右へ、横書き接続図では上から下へ進むように描かれる。制御母線の方向と、動作が進んでいく方向をどちらに取るかで縦書きか横書きかが決まり、1枚の図面の中でこの2方式を混用するのは避けるべきだとされている。

読み手の側でまず確認すべきは、目の前の図面がどちらの方式で描かれているかだ。これを取り違えたまま読み進めると、「次にどの機器が動作するか」という順序の感覚そのものがずれてしまう。

線番号・端子番号のたどり方

展開接続図を実際の配線・発注作業に落とし込むための鍵になるのが、線番号と端子番号だ。制御図面の読み方を解説するchief-engineer.infoの記事が指摘するとおり、線番号は「同じ番号どうしが物理的につながっている」ことを示す手がかりとして機能する。図面の異なる場所に同じ線番号が出てきたら、それは離れた場所に描かれていても、現物では1本の電線でつながっているという意味になる。

線番号の付け方そのものに全国一律の決まりがあるわけではないが、実務では、受電側から段階的に番号を割り振っていく方法が紹介されている。電気制御設計を扱うブログ「電気制御設計 制御盤設計から現地調整までの基本手順」では、受電端子側をR0・S0・T0とし、そこから先へ進むごとにR1・S1・T1と番号を追加していく例が示されており、各ページの行き先を明記することで、複数枚にわたる図面間の接続も追えるようにしている。これはあくまで一つの実務上の付番例であり、現場や設計者によって細部の流儀は変わり得る点には注意したい。

端子台への発注リストを作る作業も、この線番号を起点に進む。展開接続図に描かれた線番号を1本ずつ拾い、どの端子台のどの番号に接続されるかを一覧化したものが端子配列図だ。展開接続図が「機能ごとに分解された論理図」だとすれば、端子配列図はそこから逆算して作る「発注・配線のための実務図」にあたる。

展開接続図が描かないもの——裏面接続図・実体配線図との関係

展開接続図が機能を軸に機器を並べる図面である以上、盤を開けたときに実際にどこに何が取り付けられているかは、この図面の担当範囲から外れる。JEM 1115は、この物理的な配置・配線を示す図面として、裏面接続図(内部接続図、整理番号1179)を別に定義している。裏面接続図は「配電盤・制御盤の裏面又は内部に配線される電線の接続及びその線種を示した図面」であり、機能ではなく、実際の位置関係そのものを描く。

展開接続図と裏面接続図(あるいは実体配線図)は、対になって初めて制御盤の全体像を伝える。展開接続図だけを見て「この2つの接点は近くにあるはずだ」と思い込むと、現物の配置とのずれに戸惑うことになる。逆に、裏面接続図・実体配線図だけを見て機器の動作条件を追おうとしても、機能ごとの関係が見えにくく、遠回りになる。冒頭で戸惑ったコイルと接点の位置の食い違いは、故障でも設計ミスでもなく、この2種類の図面がそれぞれ別の仕事を担っていることの、当然の結果だったことになる。

制御盤の改修・保守で読む場面

展開接続図を読む必要が生じる代表的な場面は、既設の制御盤に手を入れる改修・増設工事だ。竣工図として残っている展開接続図の線番号・端子番号と、現物の配線が一致しているかをまず確認し、その上で新しく追加する回路をどの機能のまとまりに割り込ませるかを見極める必要がある。ここで機能ごとの構成を読み違えると、既存のインターロック回路や自己保持回路を意図せず壊してしまう危険もある。

線番号・端子番号を手がかりに必要な端子台・リレー・電線を洗い出せたら、その仕様を発注リストに変換する段階に進む。

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よくある質問

展開接続図とシーケンス図は同じものですか?

実務上はほぼ同義で使われることが多い言葉です。JEM 1115は展開接続図を「装置及びこれに関連する機器の動作を機能を中心に示した接続図」と定義しており、英語対応語にはSchematic diagram・Circuit diagram・Control wiring diagramが並びます。シーケンス図という呼び方は、この図が動作順序(シーケンス)に沿って機器を並べる図であることに着目した通称で、指している図面の実体はおおむね同じだと考えて差し支えありません。

展開接続図はJIS C 0617で定義されている図面ですか?

展開接続図という図面の種類そのものを定義しているのはJIS C 0617ではなく、JEMA(日本電機工業会)が定めるJEM 1115(配電盤・制御盤・制御装置の用語及び文字記号)です。JIS C 0617-1は図面の適用分類として概要図・機能図・回路図・接続図(ユニット接続図・端子接続図・ケーブル線図)を挙げていますが、「展開接続図」という言葉自体はこの規格には含まれていません。ただし、展開接続図の中で使われるa接点・b接点・コイルといった個々の図記号は、JIS C 0617に沿って描かれています。図面の種類を定める規格と、図面の中身の記号を定める規格が別だという点を、まず切り分けておく必要があります。

展開接続図の機器の並び順は、盤の中の実際の配置と同じですか?

同じではありません。展開接続図は「機能を中心に」機器を並べる図面であり、盤を開けたときの物理的な位置関係を再現するものではありません。1つのリレーが持つ複数の接点は、それぞれが関わる制御回路ごとに図面上の別々の場所へ描き分けられるのが普通で、実際の機器配置をそのまま描いた図面が欲しい場合は、JEM 1115が別途定める裏面接続図(内部接続図)や実体配線図を確認する必要があります。

展開接続図とラダー図は何が違いますか?

どちらも見た目はよく似ていますが、表しているものが根本的に違います。展開接続図は、実際に盤の中で電線がつながっている物理的な回路を、線番号・端子番号つきで表した図面です。ラダー図はPLC内部のプログラムであり、そこに描かれた接点・コイルはメモリ上の信号にすぎず、実物の電線には対応していません。改修工事で新しく端子台やリレーを手配する際は、展開接続図の線番号・端子番号から必要な仕様を拾い出すのが基本で、ラダー図はあくまで制御ロジックを確認するための別の資料として扱う必要があります。

展開接続図の読み方を確認しながら電材の見積もりを依頼できますか?

できます。電材サーチでは、制御盤の改修・増設時に展開接続図や端子配列図の画像・PDFを添えていただいた上で、必要な電材(端子台・リレー・電線等)の型番・仕様の洗い出しをご相談いただけます。図面そのものの読解代行は業務範囲外ですが、そこに書かれた線番号・端子番号・機器記号から発注リストへ落とし込むご相談は見積もり依頼フォームから承っています。

参考文献・出典

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