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富士電機PXR4・PXR5・PXR9調節計の型式はどう読むのか|「N」「P」の入力コードだけが、生産終了した旧型式との端子互換を運んでいる

読了目安: 11分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤から外したPXR4の銘板に、型式コードが刻まれている。入力信号の欄をカタログの記号表と照らし合わせると、Pt100の3線式測温抵抗体を指す記号が2つ並んでいるのに気づく。「W」と「N」。どちらも同じPt100 3線式のはずだ。だとしたら、なぜ記号が2つに分かれているのだろうか。

富士電機公式サイトのカタログ「CNO:1160a」(PXRシリーズ、PXR4のソケット取付けタイプ追加版)を開くと、この2つの記号の説明はこう並んでいる。「W 測温抵抗体 Pt100 3線式」「N 測温抵抗体 Pt100 3線式(PXW/PXZ/PXV端子互換)」。センサの種類ではない。端子の互換先が違う。

型式コードは、桁4から桁13まで10個の位置で構成されている

PXR4の型式コード表は、「PXR」という固定の3文字に続けて、桁4から桁13までの10個の位置に記号を並べる形をとる。カタログの表はこの桁位置を数字で明示しており、各桁に何を入れるかを上から順に指定していく作りだ。

桁4は前面寸法で、48×48mmサイズなら「4」——これは製品名の「PXR4」の末尾とそのまま一致する。桁5は入力信号で、熱電対「T」、測温抵抗体Pt100 3線式「W」、測温抵抗体JPt100 3線式「J」、測温抵抗体Pt100 3線式(PXW/PXZ/PXV端子互換)「N」、測温抵抗体JPt100 3線式(PXW/PXZ/PXV端子互換)「P」、サーミスタ「H」、DC1〜5V「A」、DC4〜20mA「B」の8択。ここでいったん、この「N」「P」の枠に立ち止まる価値がある。

桁6は制御出力1で、リレー接点出力「A」、SSR/SSC駆動出力DC24V「C」、DC4〜20mA出力「E」の3択。桁7は端子形状で、このカタログが扱うソケット取付けタイプでは「S」の1択のみが示されている。桁8は改良記号1で「1」。桁9は付加仕様1として、警報の点数と8ランプソーク機能の有無を、なし「0」から警報2点+8ランプソーク付「G」まで6段階の記号に振り分ける。

残る桁10〜桁13にも、それぞれ役割がある。桁10は<取扱説明書>と<電源>をまとめて指定する枠で、「N」なし/AC100〜240V、「Y」日本語/AC100〜240V、「V」英語/AC100〜240V、「C」なし/DC24V、「A」日本語/DC24V、「B」英語/DC24Vの6択。桁11は<付加仕様2>としてソケットの取付け方を指定し、なし「0」、レール取付用(8ピンねじ端子)TP48X形ソケット付「1」(+420円)、パネル埋込取付用(8ピンねじ端子)TP48SB形ソケット付「2」(+510円)、レール取付用(11ピンねじ端子)TP411X形ソケット付「4」(+420円)、パネル埋込取付用(11ピンねじ端子)TP411SBA形ソケット付「5」(+510円)の5択。桁12は前面とケースの色で、黒色「0」・白色「W」。桁13は今回のカタログでは常に「0」が入るだけの、実質的に使われていない枠だった。

「N」「P」は、センサの種類ではなく端子の世代を指定している

桁5の8つの記号のうち、「W」と「N」、「J」と「P」はそれぞれセンサとしては同じ測温抵抗体を指す。だが説明文の後半に付いた注記——「(PXW/PXZ/PXV端子互換)」——が、この2組を分けている唯一の違いだ。

PXW4・PXZ4・PXV4は、富士電機公式サイトの製品ページで「生産終了品」に区分されている、PXRシリーズより前の機種群である。桁5に「N」または「P」を指定すると、センサの種類はW・Jと変わらないまま、端子の配置だけが旧機種のそれに揃う。同じ形をした桁の中に、「何を測るか」という情報と「どの世代の配線に接ぎ木するか」という情報が、記号一つ分の違いとして同居しているわけだ。制御盤の更新工事で、古いPXW4を新しいPXR4に載せ替える場面を思い浮かべると、この作り込みの意味が見えてくる。配線をやり直さずに済ませたい担当者のために、わざわざ専用の記号が用意されているということになる。

なぜ独立した桁を新設せず、入力信号の桁に押し込んだのか。公式カタログにその設計意図を説明する記述は見当たらない。桁を1つ増やせば型式コード全体が長くなり、既存の10桁構成を崩すことになる——そう考えたくなるが、これはあくまで推測であり、断定できる根拠は手元にない。分からないことは、分からないと書いておく。

電源電圧は、桁10に取扱説明書の言語と同居している

もう一つ、桁の使い方として気になる箇所がある。桁10の<取扱説明書>&<電源>だ。ここには「取扱説明書の言語(なし・日本語・英語)」と「電源電圧(AC100〜240V・DC24V)」という、本来は別々の判断基準であるはずの2つの項目が、1つの記号に折りたたまれている。3種類×2種類で6通りの組合せがすべて用意されているので、選べない組合せがあるわけではない。ただし、AC100〜240VからDC24Vへ電源仕様を変更しようとすると、取扱説明書の言語指定まで含めて記号を選び直す必要がある。

以前の記事で扱った理化工業の調節計では、CBシリーズが電源電圧を型式コードの外に締め出し、FBシリーズが電源電圧専用の1桁を型式の内側に持つという、対照的な2つの設計を確認した。富士電機PXR4はそのどちらとも違う。電源電圧を型式の内側に埋め込む点はFBシリーズに近いが、電源電圧という基礎スペックのために専用の1桁を用意するのではなく、取扱説明書の言語という、電気的な仕様とは無関係の項目と1桁を共用させている。同じ「電源電圧を型式に書き込む」という設計判断でも、その電源電圧に桁をまるごと1つ割り当てるか、別の項目と同居させるかで、メーカーごとに扱いが分かれるということだ。

同じ「PXR」でも、PXR4・PXR7とPXR5・PXR9で上限が違う

型式コードの話とは別に、もう一つ気になる非対称が公式カタログ「CNO:1159b」の機能一覧表に見つかる。警報・イベント出力の行には「最大3点(PXR5/9)最大3点(PXR4/7)(注6)」とあり、脚注6にはこう書かれている。「加熱冷却制御,またはヒーター断線警報機能付きの場合は,最大2点となります。また,周囲温度も40℃以下となります。」

この脚注6は、表のPXR4/7側にだけ付いており、PXR5/9側には付いていない。前面寸法48×48mm(PXR4)・72×72mm(PXR7)という小型機の側でだけ、ヒーター断線警報と加熱冷却制御を組み合わせると出力点数の上限が下がり、周囲温度の許容範囲まで狭くなる。48×96mm(PXR5)・96×96mm(PXR9)の大型機にはこの制約がない。同じ「PXR」の名前を持ち、同じ入力・出力の選択肢を共有していても、筐体の大きさによって組合せの限界が変わるということだ。

現場で気をつけたいこと

まず、桁5の「N」「P」を選ぶ場面。図面や仕様書に「旧型からの更新」という経緯が書かれていないか確認したい。センサの種類だけを見て機械的に「W」や「J」を選ぶと、電気的には問題なく動作しても、既存のソケットや配線の端子配置と合わない可能性がある。逆に、新規の盤に組み込むだけであれば「N」「P」を選ぶ理由はなく、標準の「W」「J」で足りる。

次に、ソケット取付けタイプを注文する場面。桁7の「S」は端子形状がソケット式であることを決めるだけで、実際にどのソケットが本体に付属するかは桁11で別途選ぶ必要がある。桁11を「0(なし)」のまま発注すると、ソケット式の本体だけが届き、レール取付用のTP48X形やパネル埋込用のTP48SB形といった肝心のソケットは別途手配することになる。桁7と桁11は、どちらも「ソケット」に関わる桁でありながら、決めている対象の階層が違う。

続けて、PXR4とPXR7でヒーター断線警報と加熱冷却制御を同時に使う設計をする場合。警報・イベント出力は最大2点までに制限され、周囲温度も40℃以下に抑える必要がある。同じ仕様書をPXR5やPXR9向けに流用する際にはこの制約が外れるため、逆にPXR9用の設計をそのままPXR4やPXR7へ持ち込むと、現地で組合せが成立しないことに気づく、という手戻りが起きやすい。

最後に、そもそもPXR4・PXR5・PXR7・PXR9は富士電機公式サイトの製品ページ上で「生産終了品」に区分されている。現行品として扱われているのはPXR3(前面寸法24×48mm)だけで、これはPXR4〜PXR9とはサイズそのものが異なる。古い制御盤の銘板から型式コードを正確に読み取れたとしても、それをそのまま新規発注できるとは限らない。後継機種や代替品の選定については、見積もり段階で確認しておきたいところだ。

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参考文献・出典

  • 富士電機株式会社公式サイト カタログ「CNO:1160a ディジタル温度調節計 PXRシリーズ PXR4 ソケット取付けタイプ」 (4ページ目「形式・価格(税抜き)」の型式コード表。桁4〜桁13の構成として、桁4<前面寸法>48×48mmは「4」、桁5<入力信号>は熱電対「T」・測温抵抗体Pt100 3線式「W」・測温抵抗体JPt100 3線式「J」・測温抵抗体Pt100 3線式(PXW/PXZ/PXV端子互換)「N」・測温抵抗体JPt100 3線式(PXW/PXZ/PXV端子互換)「P」・サーミスタ「H」・DC1〜5V「A」・DC4〜20mA「B」、桁6<制御出力1>はリレー接点出力「A」・SSR/SSC駆動出力DC24V「C」・DC4〜20mA出力「E」、桁7<端子形状>はソケットタイプ「S」、桁8<改良記号1>は「1」、桁9<付加仕様1>はなし「0」・警報1点付「1」(+1,200円)・8ランプソーク付「4」(+1,200円)・警報1点+8ランプソーク付「5」(+2,000円)・警報2点付「F」(+1,500円)・警報2点+8ランプソーク付「G」(+2,400円)、桁10<取扱説明書>&<電源>はなし/AC100〜240V「N」・日本語/AC100〜240V「Y」・英語/AC100〜240V「V」・なし/DC24V「C」・日本語/DC24V「A」・英語/DC24V「B」、桁11<付加仕様2>ソケットはなし「0」・レール取付用(8ピンねじ端子)TP48X形ソケット付「1」(+420円)・パネル埋込取付用(8ピンねじ端子)TP48SB形ソケット付「2」(+510円)・レール取付用(11ピンねじ端子)TP411X形ソケット付「4」(+420円)・パネル埋込取付用(11ピンねじ端子)TP411SBA形ソケット付「5」(+510円)、桁12<前面&ケース色>は黒色(前面防水構造)「0」・白色(前面防水構造)「W」。2ページ目の記載「ソケットと温調計は分離式なので配線作業が簡単」「別売品のソケットへ,事前に配線作業が可能」「配線したままで温調計の取り替えが可能」。4ページ目の一般仕様「外部端子 8ピンまたは11ピン端子(配線には別途ソケットが必要です。)」および納入時仕様の注記「熱電対と測温抵抗体の入力信号の切替えは前面キー操作で行えます」。)
  • 富士電機株式会社公式サイト カタログ「CNO:1159b ディジタル調節計 PXシリーズ概要」 (10ページ目「機能一覧表」。PXH・PXG・PXRの3系列を比較する表で、PXRの表示桁数4桁・入力精度0.5%・演算周期500mSと明記。警報・イベント出力の行に「最大3点(PXR5/9)最大3点(PXR4/7)(注6)」とあり、脚注6に「加熱冷却制御,またはヒーター断線警報機能付きの場合は,最大2点となります。また,周囲温度も40℃以下となります。」との記載。この脚注6の付記位置はPXR4/7の側にのみ置かれ、PXR5/9側には付いていない。3ページ目「各種サイズ取り揃え」表では、PXRのみ24×48mm・48×48mm・48×48mm(ソケットタイプ)・72×72mm・48×96mm・96×96mmの6区分すべてに「○」が付き、PXH・PXGより対応サイズが多いことも確認。)
  • 富士電機株式会社公式サイト「ディジタル温度調節計」製品ページ(PXシリーズ) (製品形式の取り扱い区分として、PXR3が「現行品」、PXR4・PXR5・PXR7・PXR9が「生産終了品」と記載されていることを確認。)
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