制御盤の中でCBシリーズの調節計を外すと、銘板には型式らしき文字列が刻まれている。だが見比べてみても、電源電圧がAC100〜240Vなのか、DC24Vなのか、その情報がどこにもない。書き写し間違いだろうか、それとも自分が型式のどこかを読み落としているのだろうか。
理化工業(RKC)公式サイトのCBシリーズ製品ページを開くと、型式コード表の冒頭にこう書いてある。「②の電源電圧を必ず別途指定してください」。読み落としではない。電源電圧は、最初から型式コードの中に組み込まれていない。
型式コードは、4つの塊に分かれた11個の枠でできている
CBシリーズの型式コード表は、パネルサイズ(CB100〜CB900)に続く記号の並びを「□ □ □ □-□ □*□ □-□ □/□」という形で示している。ハイフンとアスタリスクとスラッシュという3種類の異なる区切り記号で、合計11個の枠を4つの塊にまとめた形だ。
枠を上から順に埋めていくと、こうなる。まず制御動作(F:AT付PID逆動作、D:正動作、W:AT付加熱冷却PID水冷、A:同空冷)が1枠。続けて入力レンジが3枠——熱電対Kタイプで0〜200℃なら「K01」というように、別表の入力レンジコード表から選んだ3文字がそのまま入る。ここでハイフンを挟み、制御出力OUT1(M:リレー接点出力、V:SSR駆動用電圧パルス出力、8:電流出力、G:トライアック駆動用トリガ出力)が1枠。続く制御出力OUT2も同じ4択の一部(M・V・8)を持ちうるが、ここでいったん立ち止まる価値がある。
入力レンジコード表の中身も、単なる連番ではない。熱電対グループはK・J・R・S・Bと種類ごとに頭の1文字が振られ、同じKでも0〜200℃はK01、0〜1200℃はK06、0〜100℃はK13というように、レンジの違いが末尾の数字に落とし込まれている(欠番もあり、K07の次はいきなりK13に飛ぶ)。測温抵抗体もPt100はD05〜D10、JPt100はP01〜P10と頭文字で系統を分け、電圧・電流入力だけはDC0〜5Vが401、DC1〜5Vが601というように3桁の数字コードになる。頭の1文字でセンサの種類を、残りの桁でレンジを指定するという二段構えの規則が、CB・FB共通の入力レンジコード表を貫いている。
「記号なし」という、書かれない1枠
OUT2の選択肢の先頭には、M・V・8のどれでもない項目が並んでいる。「制御出力(OUT2)なし(制御動作がF・Dの場合)」——コード欄には「記号なし」とだけ書かれている。
Nでも0でもない。文字通り、その枠に何も書かないという指定だ。制御動作にFかDを選んだ調節計は、ヒータ加熱のみ、あるいは冷却のみの単一出力で動くため、そもそも2つ目の制御出力を持たない。だからその不在を、専用の記号ではなく空欄そのもので表している。制御動作という先頭の1文字が、そこから数えて5つ目の枠の有無——ひいては型式全体の文字数——を決めているわけだ。型式コードは、見た目ほど固定長ではない。
残りの枠は、第一警報・第二警報(N:なし、または警報コード表から選ぶA〜Wの記号)、通信機能(N:なし、5:RS-485)、防水防塵(N:なし、1:あり)、本体色(N:白色基調、A:黒色基調)と続く。ここまでで、CB100〜CB900のどのパネルサイズを選んでも、型式コードは制御動作と入力レンジという2項目から書き始まる、という点は変わらない。
通信機能の「5」(RS-485)にも、見落としやすい注記が付いている。脚注には「MODBUSプロトコルの場合、“Z-1021”を型名の後に指定してください。(指定がない場合は、ANSI X3.28プロトコルになります。)」とある。つまりRS-485を選んだだけでは、標準のプロトコルはMODBUSではなくANSI X3.28になる。MODBUSで通信させたいなら、型式コードの外側に「Z-1021」という別の文字列を、型名の後ろにさらに書き足す必要がある。
FBシリーズでは、その2項目が型式の末尾に、しかも「任意」で回ってくる
同じ理化工業の、CBより高機能なFBシリーズ(FB100/FB400/FB900)の仕様コード表を開くと、様子がまるで違う。FB100の表は①出力1から⑧測定入力・レンジまで8項目を並べ、そのうち①〜⑥を「必須指定」、⑦制御動作と⑧測定入力・レンジだけを「任意指定」に区分している(FB400/FB900では項目数が①〜⑪の11項目に増えるが、必須指定は①〜⑨、任意指定が⑩制御動作・⑪測定入力・レンジという、同じ形の区分けになる)。
制御動作と入力レンジ——CBシリーズでは型式の先頭に立つ、指定を省略できない2項目が、FBシリーズでは末尾の任意欄に回り、しかも表の注記には「⑥(またはFB400/900では⑨)出荷時設定の指定が”コード:N(なし)“の場合は、指定不要」とある。出荷時設定の指定という別の1項目がNのままなら、制御動作と入力レンジの欄には、コードそのものが存在しなくなる。CBで型式の顔だった2つの項目が、FBでは型式に映らないことさえある脇役に変わっている。
電源電圧の扱いも対照的だ。CBは電源電圧を型式コードの外に締め出し、AC100〜240V・AC24V・DC24Vという言葉で別途指定させる。ところがFBシリーズの③電源電圧は「必須指定」の枠に収まり、AC/DC24Vなら3、AC100〜240Vなら4という数字1桁で、型式の内側にきっちり組み込まれている。電源電圧を型式に書かせない設計と、型式の1桁として必ず書かせる設計が、同じ理化工業というメーカーの、同じ「デジタル指示調節計」という製品分類の中に同居している。
FB100の④オプション機能を覗くと、CBにはない項目の厚みも見えてくる。N(オプション機能なし)を筆頭に、A(デジタル入力5点)、D(デジタル入力2点+CT入力2点)、G(通信2点)というように、デジタル入力・CT入力・リモート設定入力・通信・伝送出力の組み合わせだけで1桁の中に十数通りが詰め込まれている。CBの型式コードにはこの位置に相当する枠自体が存在しない。型式の桁数が同じように見えても、CBとFBでは1桁が背負っている情報量がそもそも違う。
なぜ扱いが違うのか、公式資料は語っていない
CBの基本価格が¥18,000(CB100)から始まるのに対し、FB100の基本価格は¥34,000だ。FBはCT入力・パワーフィードフォワード入力・通信2系統・アナログ伝送出力といった、CBにはないオプション項目を抱えている。項目数がCB(11枠)よりFB400/900(11枠、ただし中身がより多機能)で複雑になる分、電源電圧のような基礎スペックまで型式に固定しておかないと、注文の一意性が保てなくなるのではないか——そう考えたくなる。
だが、この推測を裏付ける記述は、少なくとも公式サイトの製品ページには見当たらない。電源電圧の欄には、CBにもFBにも価格差の記載がなく(どちらも「——」)、価格体系の違いで説明がつくわけでもない。制御動作と入力レンジがCBでは必須、FBでは任意という逆転についても同様で、理由を推測はできても、断定できる根拠は今のところ手元にない。分からないことは、分からないと書いておく。
現場で気をつけたいこと
まず、CBシリーズの型式だけを控えて再発注や後継機の選定をする場合、電源電圧の情報は型式のどこにも乗っていない。現物の銘板か、発注時の仕様書を別途確認しないと、電源電圧を落としたまま手配してしまう。
次に、警報にヒータ断線警報を選ぶ場面。CBシリーズの警報コード表では、S(CTL-6-P-N用)・T(CTL-12-S56-10-N用)の2種類が用意されているが、いずれも専用の電流検出器(CT)が別売で必要になる。加えて脚注には「ヒータ断線警報は、第二警報にのみ付加できます」とあり、第一警報の欄にS・Tを書くことはできない。型式の記号だけを見てCTの手配を忘れると、現地で警報が鳴らないまま気づかないことになる。
最後に、CBとFBの型式を混同しないこと。M・V・8・N・Aといった記号自体は両シリーズで共通して使われているが、桁の位置と意味はシリーズによって別物だ。CBの型式をFBの型式コード表に、あるいはその逆に当てはめて読むと、まったく違う仕様を指してしまう。
もうひとつ、RS-485で通信させる既設のCBシリーズをMODBUS対応のPLCやSCADAにつなぎ替える場面。型式に「5」(RS-485)とあるからといって、それだけではMODBUSで通信できるとは限らない。指定がなければプロトコルはANSI X3.28のままで、MODBUSにするには型名の後ろに「Z-1021」という文字列が別途必要になる。通信不良の原因を配線や設定値にばかり探して、プロトコルの指定漏れに気づかない、という遠回りは避けたい。
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