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オムロンのG3PAソリッドステートリレーの型番はどう読むのか|「G3PA-210B-VD」と「G3PA-210B-VD-X」を分ける「X」の記号が示す認証範囲の縮小と2017年の世代交代

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤の点検で、外した部品の銘板に「G3PA-210B-VD」と刻まれているのを見つけたとする。同じ棚に並ぶ在庫箱を見ると、印字は「G3PA-210B-VD-X」。頭からお尻まで並びはほぼ同じで、違いは末尾の一文字だけだ。同じ10A、同じAC24~240V。これくらいの差なら、在庫のほうを使ってしまって構わないだろう、とまず思う。

ところがオムロン公式サイトの形式一覧には、無印の「G3PA-210B-VD」がそもそも載っていない。載っているのは「-X」付きの型式だけだ。棚に並んでいた在庫は、たまたま新しい型番だったわけではなく、今ではそれしか存在しない型番だった。

型番の骨格――先頭の数字が電圧帯を、末尾の数字が電流を決める

まず基本構造を押さえておく。オムロン公式サイトの形式一覧によれば、G3PAの型番は「G3PA-[3桁の数字]B-VD[-X または -2] DC[入力電圧]」という形に収まる。3桁の数字の先頭は電圧帯を表し、「2」で始まる形式(210・220・240・260)はAC24~240Vの単相ヒータ用、「4」で始まる形式(420・430・450)はAC200~400VまたはAC200~480Vの高電圧帯だ。残りの2桁は、そのままAの単位に近い定格負荷電流を示している。210なら10A、220なら20A、240なら40A、260なら60A。420系列は20A・30A・50Aという並びになる。

入力側の定格電圧も、この2グループで分かれている。210・220・240・260系列はDC5~24V、420・430・450系列はDC12~24Vだ。使用電圧範囲まで見ればDC4~30VとDC9.6~30Vという違いになる。低電圧帯のリレーほど、入力側も低めの電圧まで許容する設計になっている、ということになる。

「-2」は電流ではなく、電圧範囲を広げる記号

420・430・450系列にだけ現れる記号が、末尾の「-2」だ。オムロン公式サイトの形式一覧を見ると、形G3PA-420B-VDは定格負荷電圧AC200~400V、形G3PA-420B-VD-2は同じ20AのままAC200~480Vへと範囲が広がっている。430B・450B-VD-2も同様の対応関係だ。

数字の「2」は電流容量の桁を動かしていない。動かしているのは電圧の上限だけだ。しかも公式の個別商品ページで質量を照合すると、形G3PA-420B-VDは約290g、-2が付く形G3PA-420B-VD-2は約380g。同じ20Aなのに、電圧範囲を広げた分だけ本体は重くなっている。耐電圧・絶縁距離を確保するための物理的な余裕が、型番の中の一文字ぶんの差として、そのまま質量に表れている格好だ。

その質量は、電流帯が上がるほど当然重くなっていく。データシート(CSM_G3PA_DS_J_2_4)の定格/性能表を並べると、10A(210B)が約260g、20A(220B)が約340g、40A(240B)が約460g、60A(260B)が約900gだ。60Aだけ質量がほぼ倍に跳ね上がっている。サージオン電流耐量(瞬間的な突入電流にどれだけ耐えられるか)も、10A品の150Aから20A・40A・60A品の220A・440A・440Aへと段階的に上がっており、同じ「G3PA」の名を冠していても、ケースの中身は電流帯ごとに作り分けられた別々の部品だと分かる。

なお、型番に共通して現れる「B」と「VD」が具体的に何の略なのかは、今回参照した公式資料のどこにも明記されていなかった。絶縁方式の欄はどの形式も「フォト・トライアック・カプラ」で統一されており、Bという文字がそれを指しているのか、それとも別の意味を持つのかは分からない。分からないことは分からないまま書いておく。

驚きは「-X」のほうにあった――新しい型番のほうが、認証は少ない

ここまでは、まだ素直な話だった。引っかかったのは210・220系列に付く「-X」のほうだ。

オムロン公式データシート(CSM_G3PA_DS_J_3_9)の特長欄には、こう書いてある。「UL、CSA規格、EN規格(VDE認定)取得。* *-VD-XタイプはUL、CSA規格のみ取得。」認証マークの並びの脚注にも「形式末尾 -VD-Xは、対象外です」という一文がある。つまり-Xが付く型式は、EN規格(VDE認定)とCEマーキングを持たない。

一方、同じデータシートの旧版(CSM_G3PA_DS_J_2_4)を確認すると、そこにあるのは無印の「G3PA-210B-VD」「G3PA-220B-VD」で、-Xという記号自体が存在しない。この旧版の認定規格欄には「EN60950-1(形G3PA-2□-VD)」という記載があり、210・220系列も含めてEN規格の対象だったことがわかる。

新しい版のデータシート(CSM_G3PA_DS_J_3_9)の種類/標準価格表を見ると、答え合わせができる。「形G3PA-210B-VD DC5-24」「形G3PA-220B-VD DC5-24」の標準価格欄は「―」になっており、脚注には「2017年3月末生産終了です」とある。つまり、無印の210B・220Bはある時点で生産を終え、後継として-X付きの型式が用意された。ただしその後継は、電流も電圧範囲もそのままに、認証の範囲だけを削って登場している。同じ容量帯で世代が新しくなったのに、対応できる規格は狭くなった――なぜ増えるはずの新型番が、認証だけ後退したのだろうか。

念のため40A・60A側も確認したが、形G3PA-240B-VD・形G3PA-260B-VDには「-X」付きの型式が存在せず、生産終了の対象にもなっていない。個別商品ページの規格認証欄でもUL・CSA・EN(VDE認定)・CEマーキングをすべてYesのまま維持している。認証範囲の縮小が起きたのは、10A・20Aという小容量帯に限られた出来事のようだ。

なぜそうなったのか――ここから先は推測にすぎない

なぜ10A・20A帯だけ認証範囲が狭まったのか、公式資料はその理由までは説明していない。以下は手元の一次資料からの推測であって、断定できる根拠は持っていない。

小容量帯のSSRは、大容量帯に比べて信号レベルの負荷開閉や国内向け制御盤での採用比率が高く、CE適合を必須とする欧州向け産業機械での採用が相対的に少なかった、という可能性は考えられる。EN・CEの認証維持にはコストがかかるため、需要の薄い区分から更新の対象から外れた、という筋書きは自然ではある。だが、これはあくまで一般論としての推測であり、オムロン側の公式な説明を確認できたわけではない。「なぜ」の部分は、分からないまま書いておく方が誠実だろう。

現場での実務的な注意点

古い図面や現物の銘板に「G3PA-210B-VD」「G3PA-220B-VD」とだけ書かれている場合、それは2017年3月末に生産を終えた型式だ。後継として案内されるのはG3PA-210B-VD-Xだが、EN規格(VDE認定)・CEマーキングを持たないという点は、型番を機械的に置き換える前に必ず確認しておきたい。EU向けに出荷する設備や、CE適合を要求される制御盤にそのまま使えるとは限らない。

同じ世代交代は、三相2線切り用のセット形式「-2S」にも及んでいる。オムロン公式FAQ(FAQ05007)によれば、形G3PA-210B-VD-2S・形G3PA-220B-VD-2S(セット内のSSRが無印)も2017年3月末で生産終了しており、現行のセットは内訳のSSRが-X付きに置き換わった形G3PA-210B-VD-X-2S・形G3PA-220B-VD-X-2Sになっている。セット全体の型番だけ見て安心せず、内訳のSSR型式まで確認したほうがいい。

もうひとつ、意外と見落としやすいのが連結端子の対応だ。G3PAの特長として謳われている「連結端子で密着取りつけが簡単に行え、三相負荷にも適用可能」という機能は、形G3PA-260B-VD(60A)と形G3PA-450B-VD-2(50A)には付いていない。三相ヒータ回路をSSR3台連結でまとめる設計は、各電圧帯の最大電流機種では通用しないということになる。60A・50A帯だけは個別配線を前提に盤面設計を組む必要がある。

パワー・デバイス・カートリッジ(パワー素子が破損した際に交換できる別売部品)も型式ごとの対応が厳密に決まっている。公式サイトの注記には「上記以外の組み合わせでのご使用はできません。カートリッジの誤使用はSSR故障の原因となります」とあり、-X付きの本体には-X付きのカートリッジしか使えない組み合わせも含まれている。型番の記号を読み解けても、交換部品の型式まで一致させる作業はそのつど必要になる。

オムロン製G3PAソリッドステートリレーの型番確認・見積りについて

電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物や図面に残ったG3PA-210B-VD・G3PA-220B-VD-X等の型番の分解から、生産終了の有無、後継品の規格認証範囲の確認、カートリッジ・短絡ユニットとの組み合わせ照合まで対応している。型番の一部が判読できない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。

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