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ヘラマンタイトンABタイの型番はどう読むのか|「AB550」の実測全長が541mmと、型番の数字より短くなる理由

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

倉庫の棚から「AB550」と書かれた箱を出してきて、太い制御ケーブルの束を結束しようとしたとする。全長550mmのタイだと思って選んだはずなのに、袋を開けて定規を当てると、どうも550mmに届いていない。測り直しても541mm。梱包ミスを疑いたくなるところだが、それはヘラマンタイトンの公式仕様表に載っている、AB550の正規の全長そのものだった。

型番の数字は、製品の実寸をそのまま表しているとは限らない――というのは電材業界ではよくある話だ。未来工業のPF管やVE管、住友電工のスミチューブなど、「呼び」の数字と実測値がずれる製品は少なくない。ただ今回のABタイが厄介なのは、ズレの方向が一定しないという点にある。AB100は実測100mmでぴったり一致するのに、AB550は型番の数字より短くなる。同じシリーズの中で、長くなる側と短くなる側の両方が起きているとしたら、そこには単純な四捨五入以上の何かがありそうだ。ヘラマンタイトン公式の型番構成図と、全型番を網羅した仕様表を突き合わせて確認する。

型番の骨格――「シリーズ+長さ」と「グレード」の二段構成

ヘラマンタイトン公式サイトの「インシュロックタイ製品型番・付番構成」ページには、ABタイの型番の組み立て方を示した構成図が掲載されている。表示例として挙げられているのは「AB100-W」で、これを「型番」と「付番」の2つに分ける。型番はさらに「シリーズ」と「長さ」の2要素に分かれ、AB100-Wの場合は「AB(シリーズ)」+「100(長さ)」がここに当たる。ハイフンのあとに続く「W」は付番と呼ばれる部分で、こちらは「グレード」を表す。

グレードの一覧はこうなっている。記号なしは標準グレード(乳白色)、Wは耐候グレード(黒色)、HSは耐熱グレード(薄緑色)、IVYは耐候・耐熱グレード(アイボリー色)、GRYは耐候・耐熱グレード(グレー色)、そのほかREDやBLUなどの着色品もある。yamlに載っているAB250-Wは、まさにこの構成に当てはまる。ABがシリーズ、250が長さ区分、-Wが耐候グレード(黒色)を示す付番だ。屋外用製品ページの仕様欄を見ると、材質は66ナイロン、色は黒、常時使用温度範囲は-40℃〜+85℃と明記されており、この温度範囲はyamlの記載と一致する。

ここまでは素直に読める。問題は「長さ」という名前の付いたこの数値が、本当に長さそのものなのかという点だ。構成図の説明文には「長さ:80, 100, 150, 160…800, 1000, 1300」という数列が挙げられているだけで、これがミリメートル単位の実寸であるとは、実は一言も書かれていない。

全型番を並べると見えてくる、方向の揃わないズレ

公式サイトの型番表には、AB80からAB1300まで、ABタイ標準グレードの全型番について、結束径φ・全長L・幅A・ループ引張強度・適用工具・販売単位までが一覧になっている。型番の数字(長さ区分)と、表中の実測全長Lを並べてみる。

型番長さ区分実測全長L(mm)
AB808080±0
AB100100100±0
AB150150152+2
AB190190202+12
AB200200202+2
AB250250251+1
AB270270270±0
AB300300301+1
AB350350380+30
AB380380383+3
AB450450460+10
AB460460465+5
AB550550541-9
AB600600605+5
AB800800820+20
AB100010001095+95
AB130013001325+25

AB80・AB100・AB270は一致する。だがAB350は30mm、AB1000に至っては95mmも実測のほうが長い。そしてAB550だけが逆方向に9mm短い。仮に「型番の数字は実測を切り捨てて丸めた値」という仮説を立てても、AB550の存在がそれを崩す。丸めるなら数字は実測以下になるはずだが、AB550の実測541mmは型番の550より小さい。つまり型番の550は、実測541mmという値を「切り上げて」いることになる。同じ表の中に切り捨てと切り上げの両方が混在しているとすれば、丸め方の規則そのものが存在しないと見るほうが自然だ。

念のため、幅の細い「ABタイ細幅タイプ」の型番表でも同じ確認をしてみる。AB250-Sは結束径φ1.5〜65mmで、実測全長は240mm。標準のAB250(実測251mm)とは10mm以上も違い、しかもこちらは型番の数字より短い側に寄っている。AB330-Sだけは実測330mmでぴったり一致する。細幅タイプでもズレの方向はばらばらで、標準タイプの傾向とも一致しない。ここまで来ると、型番の「長さ」は実測全長の近似値というより、ヘラマンタイトンがシリーズ内の製品を並べるために振った独自の区分値だと考えるのが実態に近い。この構成図と仕様表の両方を公式サイトで確認したかぎり、ズレそのものは事実として存在するが、その理由(設計上の丸め規則なのか、旧型番からの踏襲なのか)は、少なくともこの2ページには明記されていなかった。断定はできない。

現場で間違えやすい点

「AB100-100」の2つの100を同じ数字だと思ってしまう。 標準グレードの型番表には、AB100-1000とAB100-100という型番が並んでいる。前半の「100」はシリーズ内の長さ区分で、後半の「-1000」「-1000」「-100」は公式サイトの脚注によれば梱包コード、つまり1袋あたりの本数を表す。AB100-100は「長さ区分100・100本入り」、AB100-1000は「長さ区分100・1000本入り」であって、後半の数字が長さのバリエーションだと誤読すると、届いた実物の全長は同じなのに何が違うのか分からなくなる。

グレード記号は「末尾」とは限らない。 AB250-Wのようにグレード記号だけが付く型番では、Wは文字通り型番の末尾に来る。ところが梱包コードまで指定する場合は「AB80-W-1000」のように、長さ区分・グレード記号・梱包コードの3つがこの順で並び、グレード記号は末尾ではなく真ん中に挟まる。標準グレードの「AB80-1000」しか見た経験がないと、グレード記号は常に末尾に足せばよいと思い込みがちだが、梱包コードが付く型番ではグレード記号を末尾に回さず、長さ区分の直後に差し込む必要がある。図面や見積書に手書きで型番を書き写すとき、この順序を取り違えるケースは起こり得る。

強度表示系列の読み方を、長さ表示系列であるABタイに当てはめてしまう。 ヘラマンタイトンには、型番の数字がループ引張強度(lbs)を表す別の型番体系も存在する。同社の型番・付番構成図には、T・RTなどのシリーズについて「型番中のループ引張強度の数値はポンド(lbs)で明示しています」という脚注付きの表示例(RT18RSF-V0)が別枠で掲載されている。もしこの知識だけを覚えていて、ABタイの数字にも同じ読み方を当てはめると、「AB550は550lbsの強度がある」という誤った理解になる。実際のAB550のループ引張強度は1,115N(113.7kgf)で、ポンド換算するとおよそ251lbsにとどまる。同じメーカーの中でも、シリーズが変われば型番の数字の意味そのものが切り替わるという点は、覚えておいて損はない。

実務上の注意点

発注や在庫確認の場面では、型番の数字を全長mmだと思い込まず、公式の仕様表にある「全長:L」の欄を必ず別途確認したほうがよい。特にAB350・AB450・AB1000のように差が2桁mmを超える型番は、束ねる対象の結束径や配置スペースをミリ単位で詰めている設計だと、型番だけを見て発注した結果、現物合わせで想定より長い(または短い)という食い違いが起きやすい。

もう一点、ABタイの製品ページ自体に「総合カタログよりホームページ情報が早く更新されるため、ホームページ上の記述と総合カタログの製品仕様情報が異なる場合がございます」という注記がある。ウェブサイトとカタログのどちらを見て型番・仕様を確定させたかは、社内の見積書や発注記録に残しておくと、後から仕様の食い違いが疑われたときの確認が早い。

ヘラマンタイトンABタイの型番確認・見積りについて

電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、ヘラマンタイトンのABタイをはじめとする結束材について、型番からの仕様確認・お見積りに対応している。型番の読み方に迷う場合や、現物の型番表示から適合品を探したい場合は、型番の写真や現物の実測値を添えてもらえると照合が早い。

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よくある質問

「AB200」の200は全長200mmという意味ですか?

厳密には違います。ヘラマンタイトン公式の型番・付番構成図によれば、ABタイの型番は「シリーズ(AB)+長さ」という構成で、この「長さ」は80、100、150、160…800、1000、1300という区分値(型番上の呼称)です。一方、公式の型番表に載っている実測の全長(L)は、AB200の場合202mmで、型番の200とは2mmの差があります。型番の数字は正確な設計寸法ではなく、シリーズ内で製品を区別するための呼称の数値だと考えたほうが実態に近いです。

型番の数字と実測全長のズレには規則性がありますか?

公式の型番表を全型番分突き合わせると、AB80とAB100は数字と実測全長が完全に一致し、AB270も一致します。その一方でAB190は実測202mmで12mmの差、AB350は実測380mmで30mmの差、AB1000に至っては実測1095mmで95mmもの差があります。さらにAB550だけは実測541mmで、型番の数字より9mm短いという逆方向のズレを示します。長くなる側にも短くなる側にもズレが出ており、一定の比率や一律の丸め方では説明がつきません。公式資料もこのズレの理由そのものは明記していないため、系統だったズレがあるという事実以上のことは断定できません。

「AB100-100」の2つの「100」は同じ意味ですか?

違います。公式サイトの脚注によれば、AB100-100・AB100-1000・AB80-100・AB80-1000に付く末尾の“-100”“-1000”は梱包コードで、1袋あたりの本数(100本入りか1000本入りか)を表しています。つまり「AB100-100」の前半の100はシリーズ内の長さ区分、後半の100は入数であり、由来がまったく異なる数字が型番の中で偶然重なっているだけです。発注時にどちらの100を指しているか取り違えると、必要本数を読み違えるおそれがあります。

AB550の引張強度は550ポンド(lbs)ということですか?

いいえ、それは別系列の読み方を誤って当てはめた誤解です。ヘラマンタイトンには型番の数字がループ引張強度(lbs)を表すT・RTシリーズなど『強度表示』の型番体系も存在しますが、ABタイは『長さ表示』の型番体系に属しており、数字の意味がそもそも異なります。公式の仕様表によればAB550のループ引張強度は1,115N(113.7kgf)で、ポンド換算するとおよそ251lbsです。同じメーカー内でもシリーズによって型番の数字が指すものが変わるため、シリーズをまたいで同じ読み方を流用すると数値を大きく誤ります。

参考文献・出典

型番不明でもOK

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