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電材基礎ケーブル防災

AE・HP・FPケーブルの違い|耐火840℃30分・耐熱380℃15分の根拠と、FPとFP-Cの使い分け

・ 読了目安: 12分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

AE・HP・FPは消防設備で使う電線の区分で、求められる性能が違う。AE(警報用ポリエチレン絶縁ケーブル、JCS 4396)は耐熱・耐火の指定がない60V以下の警報回路用、HP(耐熱電線)は15分で380℃に達する加熱に耐える60V以下の弱電回路用、FP・FP-C(耐火電線)は30分で840℃に達する加熱に耐え、非常電源の回路などに使う。FPは露出配線のみ、FP-Cは電線管・ダクト内の配線にも使える。

消防設備の設計図書の凡例に、似た記号が並んでいます。消火栓ポンプの非常電源は「FP-C 5.5sq-3C」、非常放送のスピーカーは「HP 1.2mm-2C」、感知器は「AE 0.9mm-2C」。現場に届くと、HPとAEはどちらも灰色や象牙色の細いケーブルで、見た目では区別がつきにくいものです。

違いを分けているのは、火災のときに「何分、何℃まで回路を保つか」という試験の数字です。耐火は840℃・30分、耐熱は380℃・15分。半端に見えるこの2組の数字はどこから来たのか。そしてもうひとつ、法令は耐火電線を使わなくても「耐火配線」をつくる道を残しています。

AE・HP・FPは「火災のときに何を何分守るか」で分かれる

電線総合技術センター(JECTEC)によると、人が密集するビルの火災で大勢の人命が奪われる事故が相次いだことから、消防庁は昭和45年に弱電回路用の耐熱電線、昭和46年に強電回路用の耐火電線の基準を定めました。現在の基準は、耐火電線が平成9年消防庁告示第10号、耐熱電線が同第11号です。

  • 耐火電線(FP・FP-C): 30分で840℃に達する加熱曲線で加熱されても回路を保つ。非常電源の回路などに使う。導体の上に、雲母とプラスチックまたはガラスクロスを貼り合わせたマイカテープの耐火層を持ち、その上に絶縁体を施す
  • 耐熱電線(HP): 15分で380℃に達する加熱曲線に耐える。非常放送用スピーカー・非常ベルの起動装置など60V以下の弱電回路に使う
  • 警報用ケーブル(AE): JCS 4396の警報用ポリエチレン絶縁ケーブル。耐熱・耐火の指定がない60V以下の回路、主に自動火災報知設備の感知器の信号伝送回路に使う

一般の電線の絶縁体は、ポリエチレンやビニルなどの有機材料です。耐火電線は、外側の絶縁体やシースが熱で損なわれても、導体の上の無機質のマイカテープが導体どうしの絶縁を受け持つ構造になっています(JECTEC)。

AE・HP・FP-Cの断面と使用区分比較

区分代表的な呼称主な要求性能使用電圧の目安代表用途
一般警報用AE、FA、AEV、AEE/F耐熱・耐火指定なし60V以下自動火災報知設備の感知器の信号伝送回路など
耐熱HP、HFA、EM-HFA380℃・15分の耐熱試験60V以下非常放送のスピーカー回路、非常ベルの起動装置などの耐熱指定回路
耐火FP、FP-C、EM-SH-C840℃・30分の耐火試験60V・600Vの対応品あり非常電源、消火設備、防排煙設備など

冨士電線のカタログの使用区分表では、FP-Cは低圧回路(600V)・弱電回路(60V)の耐火配線と耐熱配線のどちらにも使え、HPは弱電回路(60V)の耐熱配線だけ、AEV・AEE/Fは耐火・耐熱配線には使えない区分です。HFAは冨士電線の商品名(Heat resistant Fuji Alarm)で、統一記号はHPです。構造やEM品・LAP品の違いはHP(HFA)耐熱電線の選び方にまとめています。

「耐火配線」と「耐火電線」は同じ意味ではない

消防法施行規則第12条は、屋内消火栓設備の非常電源の配線について、600V二種ビニル絶縁電線(HIV)か同等以上の耐熱性を持つ電線を使い、耐火構造とした主要構造部に埋設するなどの方法で保護するよう定めています(第1項第4号ホ)。ただし書きで、MIケーブルか「消防庁長官が定める基準に適合する電線」を使う場合はこの限りでない、としています。

つまり耐火配線には、耐火構造の壁や床に電線を埋め込んで守る道と、電線そのものに耐火性能を持たせる道があります。後者が告示第10号に適合した耐火電線(FP・FP-C)で、露出のまま天井裏やシャフトを通せるのはこのためです。操作回路や灯火の回路の配線も同じ構造で、HIVを金属管工事などで設けるか、基準に適合する電線を使うかを選べます(同第5号)。図面に「耐火配線」と書いてあるとき、どちらの道で施工するかは設計図書と所轄消防の指導で決まります。

回路ごとの選び方

設備・回路使う区分根拠・注意
消火栓・スプリンクラーのポンプの非常電源FP-C(露出配線だけならFPも可)非常電源の回路。電線管・ダクトに入れる区間はFP-C
非常放送設備の増幅器への電源FP-C非常電源の回路
非常放送のスピーカー回路HPJECTECの耐熱電線解説で、非常放送用スピーカの配線に使うとされる
非常ベルの起動装置HP同上(非常ベル起動装置等の弱電回路)
自動火災報知設備の感知器回路AE(警報用)JECTECは警報用ケーブルを感知器の信号伝送回路用と説明。耐熱・耐火の指定がある区間は図面に従う
排煙機・防火シャッターなど防排煙設備の電源FP-C設計図書の指定記号を確認
一般の電源回路(消防の指定なし)CV・VVFなど一般品CVケーブル・VVFケーブルを参照

消防設備の配線仕様は、設計図書(消防設備士の設計)と所轄消防の指導が最優先です。品種・サイズは図面の指定を確認したうえで手配します。エレベーターの防災関連配線はエレベーターケーブル(EVV・EVVF)の選び方も参照してください。

現場で間違いやすい点

認定表示のないケーブルで代用する

性能の根拠は構造の見た目ではなく、告示の基準に基づいて認定された製品であることです。JECTECの資料によると、耐火電線の表面には露出用なら「トウロクニンテイキカンJCT FP」、電線管用なら「トウロクニンテイキカンJCT FP-C」のように印字されます。日本電線工業会(JCMA)の認定品には「シテイニンテイキカンJCMA FP-C」や「JCMA タイカデンセンカン」の表示もあります。納品時は、ケーブル表面の認定表示と記号を図面の指定と照らし合わせます。

接続部だけ普通の工法で処理する

ケーブル本体が認定品でも、接続部が火に弱ければそこが弱点になります。JECTECによると、耐火・耐熱電線の接続部の標準工法は、日本電線工業会規格JCS 4506「低圧耐火ケーブル」とJCS 3501「小勢力回路用耐熱電線」の附属書Bに定められています。冨士電線のカタログも、耐火テープ(ガラスマイカテープ)を使う接続工法を載せています。

HPを低圧の電源回路に流用する

HPは60V以下の弱電回路用で、低圧回路(600V)には使えません。冨士電線のカタログは、耐熱配線を低圧回路として使う場合にも耐火ケーブルを勧めています。逆に、60V以下でも耐火配線が求められる場面のために、小勢力回路用の耐火ケーブル(同社の記号JFP-C)もあります。同社は使用シーンとして、50,000m²以上の倉庫に設けるアナログ式感知器などを挙げています。

一段深い理解:840℃・30分は「建物の耐火試験」の曲線から来ている

JECTECの説明によると、耐火電線の加熱試験は、JIS A 1304(建築構造部分の耐火試験方法)が定める標準加熱曲線Bに準じて、30分で840℃に達するように加熱します。JIS A 1304は、建物の壁・柱・はり・床などの耐火性能を試す規格です(1959年制定)。耐火電線は、建物の構造部分の耐火試験と同じ加熱曲線に準じて試されているわけです。

耐熱電線のほうは、その曲線の「1/2の温度」に準じて15分で380℃まで加熱します。380℃・15分は独自の数字ではなく、建物の耐火試験の曲線を半分にしたものです。非常電源の回路を受け持つ耐火電線と、弱電回路の耐熱電線とで、同じ曲線の全部と半分を使い分けています。

試験の中身も具体的です。

項目耐火電線(FP・FP-C)耐熱電線(HP)
加熱標準加熱曲線Bで30分(840℃まで)曲線Bの1/2の温度で15分(380℃まで)
試験体露出試験用(1.3m分の試料重量の2倍の荷重)と電線管試験用(長さ40cmの金属製電線管に挿入)露出試験用(外径により直線・U字・S字。荷重は同じ)
加熱中の絶縁耐力600V・30分250V
加熱前の絶縁抵抗50MΩ以上50MΩ以上
加熱後の絶縁抵抗0.4MΩ以上0.1MΩ以上

※JECTEC「耐火・耐熱電線とは」の試験概要(小型加熱炉)より。

FPとFP-Cの違いは、この試験体の欄に表れています。電線管に入れる試験があり、JCMAの表示でも電線管用は「タイカデンセンカン」です。冨士電線は、耐火ケーブルの商品名EM-SH-Cの由来を「ECO Material Special Heat-Resistant Conduit-pipe」と書いています。

加熱後に求められる絶縁抵抗0.4MΩと0.1MΩは、電気設備技術基準の省令第58条が低圧電路に求める値(300V超で0.4MΩ、対地電圧150V以下で0.1MΩ)と同じ数字です。測り方の考え方は絶縁抵抗測定のやり方と基準値で扱っています。

なお、試験に使う小型加熱炉について、JECTECは告示第10号・11号の試験に特化した「我が国固有の試験装置」と説明しています。

注文するときに伝えること

注文は「品種+サイズ−心数+長さ」で伝わります。

例:「FP-C 2sq-3C を 200m」
    「HP 1.2mm-2C を 300m」
  • 設計図書の指定記号(FP・FP-C・HP・AE)と、露出配線か電線管・ダクトに入れるかを添えます
  • 耐火・耐熱電線は認定品を使います。納品時はケーブル表面の認定表示と記号を確認します

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よくある質問

耐火ケーブル(FP)と耐熱ケーブル(HP)の違いは何ですか?

求められる性能と用途が違います。耐火電線(FP・FP-C)は消防庁告示第10号の基準(30分で840℃に達する加熱曲線に耐える)に適合し、非常電源回路など電源供給の配線に使います。耐熱電線(HP)は消防庁告示第11号の基準(15分で380℃に達する加熱曲線に耐える)に適合し、非常放送用スピーカーや非常ベルの起動装置など60V以下の弱電回路に使われます。

FPとFP-Cの違いは何ですか?

布設方法の違いです。FPは露出配線に限って使用できるタイプ、FP-Cは露出配線に加えて電線管内・ダクト内などの密閉配線にも使用できるタイプです。JECTECの耐火試験には、露出試験用と、長さ40cmの金属製電線管に入れる電線管試験用の2種類の試験体があります。電線管に入れる設計ならFP-Cを選びます。

HPを非常電源の配線に使えますか?

使えません。冨士電線のカタログの使用区分表では、HP(耐熱電線)は弱電回路(60V)の耐熱配線だけが○で、低圧回路(600V)と耐火配線は×です。同カタログは、耐熱配線を低圧回路として使う場合も耐火ケーブルを勧めています。

耐火ケーブルを途中で接続してもいいですか?

接続部も耐火性能を保つ方法で施工します。JECTECによると、耐火電線・耐熱電線の接続部の標準工法は、日本電線工業会規格JCS 4506「低圧耐火ケーブル」とJCS 3501「小勢力回路用耐熱電線」の附属書Bに定められています。普通のビニルテープ巻きで済ませると、ケーブル本体が認定品でも接続部が弱点になります。

AEとHPは見た目で区別できますか?

表面の印字で区別します。冨士電線の警報用ケーブルFAには「JCT ケイホウ」とAEVの記号が、耐熱電線には「トウロクニンテイキカン JCT ニンテイ HP」のような表示が印字されます。灰色の細いケーブルという見た目はよく似ているため、印字を見ずに取り違えないようにします。

耐火ケーブルはどんな設備に必要ですか?

消防法・建築基準法で定める非常用設備(屋内消火栓設備、排煙設備、非常用エレベーターなど)の非常電源回路が代表です。どの区間に耐火電線(FP-C等)を使うかは、設計図書の指定に従います。

参考文献・出典

  • 電線総合技術センター(JECTEC)「耐火電線」解説 (平成9年消防庁告示第10号に基づく認定、30分で840℃に達する加熱温度曲線、非常電源の回路等への使用、FP(露出配線のみ)とFP-C(露出・電線管内・ダクト内)の区分、導体上の耐火層にマイカテープ(雲母とプラスチックまたはガラスクロスを貼り合わせたテープ)を使い、その上に絶縁体を施すこと) 確認日: 2026-10-13
  • 電線総合技術センター(JECTEC)「耐熱電線」解説 (消防庁告示第11号に基づく認定、15分で380℃に達する加熱温度曲線、非常放送用スピーカ・非常ベル起動装置等の弱電回路への使用) 確認日: 2026-10-13
  • 電線総合技術センター(JECTEC)「警報用ポリエチレン絶縁ケーブル」解説 (JCS 4396で仕様が規定され、火災報知設備の感知器の信号伝送回路用などに主に使われること) 確認日: 2026-10-13
  • 電線総合技術センター(JECTEC)「耐火・耐熱電線とは」(電線の認証) (ビル火災で人命が奪われる事故が相次ぎ、昭和45年に弱電回路用の耐熱電線、昭和46年に強電回路用の耐火電線の基準が定められたこと、非常用設備の配線に使われること、表面表示例(トウロクニンテイキカンJCT FP/FP-C、シテイニンテイキカンJCMA、JCMA タイカ/タイカデンセンカン)、加熱方法(耐火はJIS A 1304の標準加熱曲線Bに準じて30分で840℃、耐熱はその1/2に準じて15分で380℃)、小型加熱炉は告示第10号・11号の試験に特化した我が国固有の装置、試験体(露出試験は1.3m分の試料重量の2倍の荷重、電線管試験は長さ40cmの金属製電線管に挿入)、絶縁抵抗(加熱前50MΩ以上、加熱後は耐火0.4MΩ・耐熱0.1MΩ以上)、加熱中の絶縁耐力(耐火600V・30分、耐熱250V)、接続部の標準工法はJCS 4506附属書B・JCS 3501附属書Bに規定) 確認日: 2026-10-13
  • 消防法施行規則 第12条(e-Gov法令検索) (第1項第4号ホ:屋内消火栓設備の非常電源の配線は、600V二種ビニル絶縁電線又は同等以上の耐熱性を有する電線を使い、耐火構造とした主要構造部に埋設するなどで保護する。ただしMIケーブル又は消防庁長官が定める基準に適合する電線を使う場合はこの限りでない。第5号:操作回路・灯火回路の配線は同電線を金属管工事等で設ける。ただし消防庁長官が定める基準に適合する電線を使う場合はこの限りでない) 確認日: 2026-10-13
  • JIS A 1304:2017「建築構造部分の耐火試験方法」規格詳細(日本規格協会 JSA Group Webdesk) (建築物の壁・柱・はり・床・屋根などの構造部分の耐火試験方法を定める規格であること、1959年制定) 確認日: 2026-10-13
  • 冨士電線「FA 警報用ポリエチレン絶縁ケーブル」 (JCS 4396・定格電圧60V・日本電線工業会統一記号AEV、表示例「JCT ケイホウ オクナイ AEV」、シース色は象牙色(2・3・4・6心)または灰色(4対以上)) 確認日: 2026-10-13
  • 冨士電線「消防用ケーブル カタログ」 (使用区分表(FP-Cは低圧回路600V・弱電回路60Vと耐火・耐熱配線に使用可、HPは弱電回路60Vの耐熱配線のみ、AEV・AEE/Fは60Vで耐火・耐熱配線には使用不可、耐熱配線で低圧回路として使う場合は耐火ケーブルを推奨)、商品名の由来(HFA=Heat resistant Fuji Alarm、EM-SH-C=ECO Material Special Heat-Resistant Conduit-pipe)、小勢力回路(60V以下)用耐火ケーブルJFP-Cと想定される使用シーン、HPは導体上の架橋ポリエチレン絶縁で耐熱層を形成、シース色(FP-C 黒、HP 灰)) 確認日: 2026-10-13

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

出典8件すべてに到達(JECTEC・冨士電線・JSAはcurl、消防法施行規則はe-Gov法令APIで第12条本文を確認)。今回追加した事実: JECTEC「耐火・耐熱電線とは」の加熱方法(JIS A 1304標準加熱曲線Bとその1/2)、小型加熱炉、試験体(荷重・40cmの金属製電線管)、加熱前後の絶縁抵抗と加熱中の絶縁耐力、表示例(JCT・JCMA、タイカ/タイカデンセンカン)、接続部の標準工法(JCS 4506・JCS 3501の附属書B)。消防法施行規則第12条第1項第4号ホと第5号の配線基準。JSA WebdeskでJIS A 1304の名称と制定年。冨士電線カタログで商品名の由来、JFP-Cの使用シーン、HPの耐熱層、シース色(FP-C〈EM-SH-C〉黒、HP〈HFA〉灰)。現行のJIS A 1304:2017に『標準加熱曲線B』という名称が残っているかは規格本文(有償)で確認していないため、JECTECの説明として書いた。加熱後の絶縁抵抗の数値が省令第58条の値と同じであることは数値の一致を述べたもので、両者の関係を示す資料は確認していない

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

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