ビルの共用部、廊下や階段室の照明を自動でオン・オフする自動点滅盤。ある現場で天板を開けると、銘板には「EQTB 1008N」。主幹はELB3P100A、分岐回路数8、見慣れた仕様だ。ところが別の現場で似たような盤を開けたとき、そこにあったのは「EQTB 1008WN」。主幹も分岐回路数も同じはずなのに、外形はひとまわり大きく、価格を確認すると1万円以上高い。
「N」と「WN」、たった1文字の差でこれだけの違いが出るのはなぜか。河村電器産業の公式Webカタログの価格表と製品詳細ページを突き合わせながら、EQTBという品番の文字列を一段ずつ分解していく。
「EQTB」の4文字が語るのは、自動点滅回路のマグネット個数
EQTBは、河村電器産業の電灯分電盤のうち「主幹:ELB、分岐:MCB2P2E20A(スマートブレーカ)、自動点滅回路付」という仕様群に属する。公式カタログのカテゴリページを見ると、この系統には見た目のよく似た兄弟が2つ存在する。EQTA形とEQTC形だ。
3形の違いは、自動点滅回路に組み込まれたマグネット(電磁接触器)の個数にある。EQTA形は「自動点滅用タイマー×1+マグネット×1」、EQTB形は「タイマー×1+マグネット×2」、EQTC形は「タイマー×1+マグネット×3」。A・B・Cという末尾の1文字は、アルファベット順のグレードではなく、共用灯の回路を何系統に分けて自動点滅させるかというマグネット搭載数の記号だったわけだ。マグネット2個を積むEQTBは、廊下と階段室のように点灯タイミングを2系統に分けたい建物でちょうど選ばれる仕様、という位置づけになる。
なおEQTC形だけは主幹電流の下限が100Aからで、50A・60A・75A帯のラインナップが公式価格表に存在しない。マグネットを3個積む分、小容量の盤には収まらないということなのだろう。
| 系統 | 自動点滅回路の構成 | 主幹電流帯 |
|---|---|---|
| EQTA | タイマー×1+マグネット×1 | 50A〜250A |
| EQTB | タイマー×1+マグネット×2 | 50A〜250A |
| EQTC | タイマー×1+マグネット×3 | 100A〜250A |
続く2桁は主幹電流——今度は素直に10で割った値
「EQTB」の直後に置かれる2桁の数字は、主幹ブレーカの定格電流を10で割った値だ。公式価格表を電流帯ごとに追うと、50A帯はEQTB05、60A帯はEQTB06、75A帯はEQTB07、100A帯はEQTB10、150A帯はEQTB15、200A帯はEQTB20、250A帯はEQTB25という対応になっている。
同じ河村電器産業の住宅用分電盤「enステーション」では、100Aだけが2桁の「10」ではなく1桁の「1」に圧縮されるという例外があった。EQTBにはその手の圧縮がない。100Aは「10」のまま、150Aは「15」のまま、250Aまで2桁表記が一貫して続く。桁数に余裕を持たせた品番設計なのだろう、75A帯だけは75÷10=7.5の小数点以下を切り捨てて「07」になる程度で、住宅用分電盤ほど癖のある例外は見当たらない。
| 主幹電流コード | 定格電流 | 10で割った値との関係 |
|---|---|---|
| 05 | 50A | 一致 |
| 06 | 60A | 一致 |
| 07 | 75A | 一の位切り捨てで一致 |
| 10 | 100A | 一致 |
| 15 | 150A | 一致 |
| 20 | 200A | 一致 |
| 25 | 250A | 一致 |
次の2桁は分岐回路数、そのまま——ただし空きスペースの数はここに出てこない
主幹電流コードに続く2桁は、分岐回路数を直接表す。EQTB0506の「06」は分岐6回路、EQTB1010の「10」は分岐10回路。ここまではenステーションと同じく素直な対応だ。
ただし、ここで一つ確認しておきたいことがある。enステーションの品番は末尾にもう1桁足して、そこに分岐スペース数(増設用の予備回路数)を表していた。EQTBの品番にはその桁がない。公式価格表の「分岐数」欄の隣には「スペース数」という独立した欄があり、EQTB0506Nなら分岐6・スペース4、EQTB0510Nなら分岐10・スペース0というように、分岐回路数が増えるほどスペース数が0・2・4の間で入れ替わっていく。だがこの数字は品番の文字列のどこにも現れない。同じ主幹電流帯の中でも分岐回路数だけを頼りに価格表を引き、スペース数は別欄で確認するという手順が要る。
末尾の「W」——電気的仕様は同じで、収める箱が変わる
冒頭のEQTB1008NとEQTB1008WNに戻る。公式製品詳細ページで並べると、主幹(ELB3P100A)・分岐回路数(8)・分岐スペース数(2)・自動点滅回路の構成はすべて同一だ。違うのは外形寸法だけである。
EQTB1008Nはヨコ400mm・フカサ120mm・重量27kg・標準価格183,000円。対してEQTB1008WNはヨコ500mm・フカサ160mm・重量34kg・標準価格194,000円。ヨコ幅とフカサ(奥行き)がひとまわり大きくなり、価格は11,000円上乗せされている。
「W」の由来について公式資料に説明はないが、恐らくワイド(Wide)を指す記号だろう。公式価格表でこの「W」付きの品番が現れるのは、確認できた範囲では主幹100A帯だけで、50A・60A・75A・150A・200A・250Aの各帯には見当たらない。同じ主幹・同じ回路数のペアが100A帯にだけ2種類用意されている理由までは価格表から読み取れないが、既設更新の現場では「主幹と回路数が一致していても、Wの有無で盤の外形寸法が変わる」という事実だけは踏まえておいたほうがいい。銘板の型番をそのまま発注に回す前に、現物の外形寸法を控えるひと手間が要る。
末尾の色彩記号——150A以下と200A以上で表記の付き方が変わる
品番の一番後ろに付くアルファベットは色彩を示す。ただしこの記号、電流帯によって付き方が変わる。EQTB1010N(ベージュ)とEQTB1010NK(クリーム)を見る限りでは、ベージュに「N」、クリームに「NK」が付くという素直な対応に見える。
ところが主幹200A・250A帯まで価格表を追うと、様子が変わる。EQTB2008(無印)はベージュ、EQTB2008K(K付き)がクリームだ。ベージュ側の「N」が消え、クリーム側は「NK」ではなく「K」だけになっている。150A以下ではベージュ=N・クリーム=NKだったのが、200A以上ではベージュ=無印・クリーム=Kへと切り替わる。この境界がなぜ200Aなのかは公式資料に説明がなく、確認できるのは「電流帯によって色彩記号の付け方そのものが変わる」という事実までだ。同じEQTA・EQTC形でも同じ境界で同じ切り替わりが起きているため、EQTB固有の現象ではなく系統全体に共通する仕様のようだが、いずれにせよ品番だけを見て色を判断する際は、この境界をまたぐ主幹電流帯かどうかに注意しておきたい。
もう一つ、色彩記号の境界とはずれた位置に別の境界が隠れている。主幹ブレーカ自体の品番を製品詳細ページで拾っていくと、50A帯はZS 53-50TLA-30、100A帯はZS103-100TLA-30とZS系列が続くが、150A帯になるとZR 153-150TLA-K、200A帯はZR 223-200TLA-Kと、系列そのものがZSからZRへ切り替わっている。つまりブレーカの系列が変わる境界は100Aと150Aの間にあり、EQTB品番の色彩記号が変わる境界(150Aと200Aの間)とは1段ずれている。同じ主幹ブレーカ由来の仕様でも、内部の部品系列の切り替わりと、品番表記上の切り替わりが必ずしも一致しないことは、覚えておいて損はない。
まとめ
EQTBの品番は、頭の4文字が自動点滅回路のマグネット2個仕様を、続く2桁が主幹電流を10で割った値を、次の2桁が分岐回路数そのものを表す。ここまではenステーションと似た構造だが、分岐スペース数は品番に現れず別欄での確認が必要な点、100A帯に限って同一仕様でも外形寸法違いの「W」付き品番が並立する点、色彩記号の付き方が200A帯を境に変わる点は、EQTB固有の癖として知っておいて損はない。品番の桁が読めても、それだけで発注仕様が確定するとは限らない——外形寸法とスペース数は、結局のところ価格表を開いて確かめるのが一番早い。
河村電器産業EQTBの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、EQTB・EQTA・EQTCの仕様確認から、主幹電流・分岐回路数を踏まえた発注仕様の確定、既設更新時の型番照合まで対応している。
あわせて読みたい
- 河村電器産業enステーションの分電盤の型番はどう読むのか|EL・EN・ENDが示すリミッタースペース・主幹容量・分岐回路数の規則
- 日東工業アイセーバの分電盤の型番はどう読むのか|PEN・PNL・PEP・PNPが示す漏電の有無・主幹電流・回路数の規則
- 分電盤の予備回路・増設余裕はどれだけ見込むべきか|新設時の『今必要な分だけ』設計が招く後年コスト
- 配電盤・分電盤・制御盤の違いと選び方
- 分電盤・制御盤筐体メーカー徹底比較|日東工業・パナソニック・河村電器産業の選び方と互換性の実際
関連する河村電器産業・EQTB・型番・見方・分電盤の品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。