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三菱電機の電磁接触器(S-Nシリーズ)の型番はどう読むのか|S-N10・S-N20が並べるフレーム番号・可逆記号・補助接点数の規則

読了目安: 10分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤の予備品箱から、ラベルの薄れた電磁接触器が出てきた。刻印はかろうじて読める。「S-N20」。隣には「S-N10」も転がっている。配線用遮断器なら、型式の後ろの数字はだいたい定格電流に近い値になる——そういう感覚が染みついていると、「20」は20Aのことだろう、と反射的に読んでしまう。

その読み方は、半分正しくて半分外れている。三菱電機の技術資料集を開くと、S-N20の定格使用電流は確かに「18(20)」という表記で出てくる。括弧の中に20があるのだから、あながち間違いでもない。だが、この括弧が何を条件にした数字なのかを追っていくと、「20」という記号が本来どこから来ているのかが見えてくる。それは電流値ではなく、フレームサイズの通し番号だ。

基本形式の記号——S単体か、箱入か、直流操作かラッチ式か

分解を始める前に、そもそも「S-N20」の「S」が何を表しているのかを確認しておきたい。三菱電機の技術資料集は、S-N形電磁接触器を「主接点部を電磁石の力によって開閉する接触器」そのもの、つまり単体の部品として位置づけている。同じ技術資料集はさらに、S-N形電磁接触器とTH-N形サーマルリレー、外箱を組み合わせたものをMS-N形電磁開閉器と呼び、配電盤・制御盤にユニットとして組み込む開放形(外箱なし)をMSO-N形と呼ぶ、という構成関係を示している。つまりS-N20という型式は、モーターを開閉するための心臓部だけを指しており、過負荷保護まで含めた「開閉器」として盤に収めるなら、別途TH-N形サーマルリレーとの組み合わせが前提になる。

基本形式の記号は、操作方式によっても枝分かれする。交流電源で電磁石を動かす標準品がS、直流電源で動かすものがSD、電気的または機械的な操作で接点を閉じたまま機械的に保持する機械ラッチ式が交流操作でSL、直流操作でSLDという記号を持つ。冒頭のS-N20は、このうち最も基本的なS(交流操作形)に属する型式だった、ということになる。

「20」は電流ではなく、5番目という順番である

三菱電機の技術資料集「MS-Nシリーズ技術資料集」の定格容量表・定格使用電流表を並べると、S-N系列のフレームはN10、N11、N12、N18、N20、N21、N25、N35、N50、N65という順に大きくなっていく。それぞれの数字に対応する容量は、N10が2.2kW(AC-3級、200〜220V)で11A、N11・N12が2.7kWで13A、N18が3.7kWで18A、N20・N21が4kWで18(20)A、N25が5.5kWで26A、N35が7.5kWで34(35)A、N50が11kWで50A、N65が15kWで65Aという具合だ。

この並びを電流値の列として素直に眺めると、N10=11A、N18=18A、N65=65Aのあたりは型式の数字と定格電流がほぼ一致している。だからこそ「型式の数字イコール電流値」という思い込みが生まれやすい。ところがN20・N21のところで、その一致は崩れる。定格使用電流は18Aであって20Aではない。表の注記は「N20、N21、N35の定格使用電流の()内は、電磁接触器の場合の適用」と断っており、括弧付きの20Aは、電磁開閉器(サーマルリレーを組み込んだ状態)ではなく、電磁接触器単体として使う場合にだけ成立する数値だと分かる。同じ「S-N20」という型式が、組み合わせ方によって基準になる電流を変える——フレーム番号が示しているのは、このような幅を持った容量帯であって、一意の電流値ではない。

フレーム番号がもう一つ運んでいるもの——補助接点の数

フレーム番号の役割はここで終わらない。三菱電機が電磁接触器の新旧比較のためにまとめた資料には、S-N系列各形式の標準補助接点数が併記されている。S-N10は1、S-N11も1、S-N12は2、S-N18は0、S-N20は2、S-N21は4。

この数字を先ほどの容量帯と重ねると、意外な事実に突き当たる。S-N11とS-N12は、容量帯(2.7kW・13A)がまったく同じなのに、補助接点数だけが1と2に分かれているのだ。制御盤の設計者が「もう1組、補助接点が要る」と判断したとき、容量を変えずに型式だけをN11からN12へ切り替える——そのための選択肢として、この2つの型式が並んでいる。フレーム番号は容量帯のランクであると同時に、標準搭載の補助接点数を指定する記号でもある。現行のS-T形やオムロンのMYリレーのように、補助接点構成を示す記号がハイフンで型式本体に別途連結される方式とは、ここが違う。S-Nシリーズでは、補助接点の増減そのものがフレーム番号の使い分けとして表現される。

可逆式を示す「2×」——基本形式とフレーム番号の間に挟まる記号

型式のもう一つの分岐点が、可逆・非可逆の区別だ。技術資料集の構成表を見ると、非可逆式はS-N10、S-N20のように基本形式「S」の直後にフレーム番号が続くだけだが、可逆式になるとS-2×N10、S-2×N35のように「2×」という記号がSとフレーム番号の間に挟まる。モーターの正転・逆転を切り替える可逆運転には、電磁接触器が2個1組で内蔵されており、その構造を示すのがこの「2×」だ。

もう一つ、この規則から外れる特殊な型式がある。KR11だ。技術資料集は、KR11を「可逆式(一体形)」という独立した区分として扱っており、S-KR11のように「2×」を付けずに可逆機能を持つ。通常の可逆式が2個の接触器を組み合わせて構成されるのに対し、KR11は最初から一体の機構として設計された専用フレームであり、可逆記号の有無だけで機械的な構造の違いまで判別できるわけではない、という一例になっている。

型式の末尾に付く「CX」——CAN端子付、ただし例外あり

もう一つ、現物で見かける頻度の高い記号が「CX」だ。S-N10CX、S-N20CXのように、フレーム番号の後ろに付く。三菱電機のMS-Nシリーズリーフレットの注記は「形名の『CX』はCAN端子付を示します」と説明している。CAN端子は、主回路端子部に指などが触れにくい構造を持たせたもので、いわゆる感電・誤接触対策の端子仕様だ。

ここにも例外がある。同じ注記は「ただし、MSO/S-KR11CXの電磁接触器本体およびMSO/S-N50CX、N65CXの電磁接触器、サーマルリレーとTH-N60CX(KP)サーマルリレーは端子カバー付となります」と続けている。つまり、KR11や大フレームのN50・N65では、同じ「CX」という記号が指すハードウェアが、端子構造そのものの変更ではなく、後付けの端子カバーへとすり替わる。記号の意味は一つに固定されているわけではなく、フレームによって実現方法が変わる——型式を読むときは、この但し書きの存在を頭に置いておく必要がある。

コイル電圧は型式の中に書き込まれない

ここまで見てきたS、2×、フレーム番号、CXという並びには、コイル電圧を示す記号が含まれていない。これは見落としではなく、S-Nシリーズの設計そのものがそうなっている。三菱電機のカタログの用語説明は、操作コイル呼びを「ご注文の際に指定していただく記号で定格使用電圧の代表値で表す」と定義しており、AC100V、AC200V、DC24V、DC110Vといった呼びは、形名の後ろにスペースを挟んで別途指定する項目として扱われる。

同じ三菱電機の現行S-T形や、他社のリレー・スイッチ類で採用されている、コイル電圧の記号をハイフンで型式本体に組み込む方式と比べると、S-Nシリーズの型式はその分だけ短く、シンプルに見える。裏を返せば、型式の文字列だけを見ても、そのS-N10が何ボルト用のコイルを積んでいるかは分からないということでもある。現物の型式ラベルには、型式とコイル呼びが並記されているのが普通だが、型式だけを控えて発注しようとすると、この電圧情報が抜け落ちる。

型式が読めても、発注できるとは限らない

ここまでの規則を積み上げると、S-N10、S-N11、S-N12、S-N20という型式が、基本形式・可逆記号・フレーム番号(容量帯と補助接点数の両方を運ぶ)・端子記号という要素の組み合わせであることが見えてくる。ただし、読み方が分かることと、その型式が今でも発注できることは別の話だ。

三菱電機の公式仕様ページによれば、S-N20は2015年9月に受注を終了し、同年10月に生産を終了している。後継機種として案内されているのはS-T21で、新旧比較資料は接点構成の変化を「補助接点増(2極⇒4極)」と説明している。冒頭の予備品箱に眠っていたS-N20を実際に補充しようとすれば、型式の読み方をどれだけ正確に押さえていても、最終的にはS-T21への読み替えという一段階が必要になる。フレーム番号の規則性は、現物の型式を理解するための地図であって、その地図の指す場所に今も部品が置いてあるとは限らない。

三菱電機製電磁接触器の型式確認・見積りについて

電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物に残ったS-N10・S-N20等の型式から、可逆・補助接点数の確認、コイル電圧の照合、後継機種(S-T形)への読み替えまで対応している。型式の一部が判読できない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。

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参考文献・出典

  • 三菱電磁開閉器 MS-Nシリーズ技術資料集(三菱電機、SH(NA)3539) (表2「MS-N、MSO-N形電磁開閉器の種類と構成」(非可逆N10〜N800、可逆2×N20〜N400、一体形可逆KR11というフレーム一覧と可逆記号の位置)、表3「定格容量」・表4「定格使用電流」(N10=2.2kW/11A、N11・N12=2.7kW/13A、N18=3.7kW/18A、N20・N21=4kW/18(20)A、N25=5.5kW/26A、N35=7.5kW/34(35)A、N50=11kW/50A、N65=15kW/65A、注5「N20、N21、N35の定格使用電流の()内は電磁接触器の場合の適用」))
  • 三菱電磁開閉器 新旧比較資料(三菱電機、BON120A423F) (1.3電磁接触器(交流操作形)の新旧比較表。S-N10[補助接点数1]→S-T10、S-N11[1]→S-T12[2]、S-N12[2]→S-T32[0]、S-N18[0]→S-T20[2]、S-N20[2、モータ負荷]→S-T20[2]、S-N20[2、抵抗負荷]→S-T21[4](接点構成「補助接点増(2極⇒4極)」)、S-N21[4]→S-T21[4]という形名・補助接点数の対応)
  • 三菱電磁開閉器 MS-Nシリーズ リーフレット(三菱電機、L02005) (注4「形名の『CX』はCAN端子付を示します。ただし、MSO/S-KR11CXの電磁接触器本体およびMSO/S-N50CX,N65CXの電磁接触器、サーマルリレーとTH-N60CX(KP)サーマルリレーは端子カバー付となります」という注記、およびS-N10CX〜S-N65CXという形名一覧)
  • 電磁開閉器 MS-T/Nシリーズ(三菱電機、総合カタログL(NA)02031-F) (2.4用語説明の「操作コイル呼び」の定義(「ご注文の際に指定していただく記号で定格使用電圧の代表値で表す。AC□V、DC□V」)、2.3.7「S-N電磁接触器」の形式記号の構成(N125〜N800フレームを対象とし、操作コイル・操作回路仕様、特殊補助接点付、規格適合・特殊適用、特殊環境の各位置に記号を持つ現行の大容量帯S-N形の構成))
  • S-N20 仕様|低圧開閉器(三菱電機FA) (S-N20は2015年9月受注終了・同年10月生産終了、後継機種としてS-T21を案内)
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