制御盤の更新現場で、外したCPUユニットのラベルに「Q03UDCPU」とある。手元の見積り資料にはよく似た「Q03UDVCPU」の文字。どちらも「03」、どちらも「UD」を含む。違いはVが1文字あるかないかだけに見える。同じ容量帯の型番だろうと当たりを付けて資料を閉じかけたが、念のため三菱電機の仕様ページを開いてみることにした。
結論から言うと、この当たりは半分しか合っていない。プログラム容量は確かに同じだった。だが処理速度は、一文字の差とは思えないほど開いていた。
型番の骨格——数字は容量、末尾のアルファベットは世代とインタフェース
MELSEC-QシリーズのユニバーサルモデルQCPUは、三菱電機の総合カタログ(資料番号L(名)08096-AH、2025年7月作成)の「対応CPUについて」表で、形名の頭文字によって3つの区分に整理されている。QnU(Q00UJ・Q00U・Q01U・Q02U)、QnUD(E)(Q03UD(E)からQ100UDEHまで)、QnUDV(Q03UDV・Q04UDV・Q06UDV・Q13UDV・Q26UDV)の3つだ。
同じカタログp.6の「ユニバーサルモデルラインアップ」図は、この3区分を色で塗り分けている。黒はRS-232ポート内蔵CPU、白抜きはEthernetポート内蔵CPU、赤は高速タイプQCPU。縦軸はプログラム容量(10Kステップから1000Kステップまで)、横軸は基本演算処理速度(120nsから1.9nsまで)だ。型番の数字がどの高さにいるか、色がどの速度帯にいるかを同時に示す図になっている。
数字の規則はいたって素直だ。Q03UDCPUは30Kステップ、Q04UDHCPUは40Kステップ、Q06UDHCPUは60Kステップ、Q26UDHCPUは260Kステップ——型番中の数字を10倍すると、そのままプログラム容量のKステップ数になる。Q02UCPUの20Kステップも、この式にきれいに乗る。乗らないのはQ00UJCPU・Q00UCPU(どちらも10Kステップ)とQ01UCPU(15Kステップ)だけで、ラインアップの下端2つの型番だけがこの規則の外側にいる。
数字が同じでも、色が違えば速度が違う
さて、冒頭のQ03UDCPUとQ03UDVCPUに戻る。
三菱電機の仕様ページによれば、Q03UDCPUのプログラム容量は30Kステップ(120Kバイト)、LD命令の処理速度は20ns。同じくQ03UDVCPUの仕様ページでは、プログラム容量は同じ30Kステップ(120Kバイト)、LD命令の処理速度は1.9ns。容量を示す数字は寸分違わず一致し、処理速度だけが10倍以上開いている。
Q04でも同じことが起きている。Q04UDHCPUは40Kステップ・LD命令9.5ns、Q04UDVCPUは40Kステップ・LD命令1.9ns。容量は揃っているのに速度は約5倍差だ。ここまで並べると、型番の数字は容量の目盛りでしかなく、体感する処理性能を決めているのは数字ではなく末尾のアルファベット――U、UDH、UDVという世代の違いだと分かる。実際、UDVシリーズはQ03UDVCPUの30KステップからQ26UDVCPUの260Kステップまで、容量が8倍以上開いていても、LD命令の処理速度はどの機種も1.9nsで揃っている。処理速度は数字ではなく色(世代)の側に張り付いている。
Q04だけに現れる「H」、そしてQ00UDVCPUという型番は存在しない
もう一つ、見落としやすい段差がある。「対応CPUについて」表のQnUD(E)の欄を実際の形名に開くと、Q03UD(E)、Q04UD(E)H、Q06UD(E)H、Q10UD(E)H……と並ぶ。Q03の欄にだけHが付かず、Q04以降はすべてHが付く。つまりQ03UDCPUの次に来る型番はQ04UDCPUではなく、Q04UDHCPUだ。Hを一文字忘れると、それは存在しない形名になる。
なぜQ03だけHなしなのか。今回参照した資料に、その設計判断の理由は書かれていなかった。読み取れるのはあくまで「Q03には付かず、Q04以降には付く」という事実の配置であって、その境界線が引かれた理由までは分からない。分からないことは分からないと書いておく。
もう一つ、現場で起こりやすい思い込みがある。Q00UJCPU・Q00UCPUという型番があり、Q03UDVCPUという型番もあるなら、その中間にQ00UDVCPUやQ01UDVCPUがあってもよさそうなものだ。だが「対応CPUについて」表のQnUDVの欄には、Q03UDV・Q04UDV・Q06UDV・Q13UDV・Q26UDVの5機種しか載っていない。高速タイプQCPU(UDVシリーズ)の最小容量はQ03UDVCPUで、それより小さい容量のUDVは存在しない。型番の並びから類推で「あるはず」の型番を探しても、見つからないことがある。
ベースユニットと電源ユニットにも数字の役割がある
同カタログp.82の製品一覧には、ベースユニットの型番も並んでいる。基本ベースはQ33B(3スロット)・Q35B(5スロット)・Q38B(8スロット)・Q312B(12スロット)で、いずれも「電源ユニット装着要」。増設ベースはQ63B・Q65B・Q68B・Q612Bで、同じくスロット数の末尾数字を持ちながら頭が3ではなく6になっている。ここまではCPUユニットの型番と同じく、末尾の数字がスロット数を、頭の数字が役割を示す作りだ。
ところが増設ベースの一覧には、もう一つ別の顔がある。Q52B(2スロット)とQ55B(5スロット)だ。これも増設ベースに分類されているが、概要欄には「電源ユニット装着不要」と明記されている。増設ベースなら電源ユニットが要ると思い込んでいると、この2機種の存在に気づかない。頭の数字は「3=基本、6=増設で電源要、5=増設で電源不要」という3種類に分かれていることになる。
電源ユニットの型番も見ておく。Q61Pは入力AC100〜240V・出力DC5V/6A、Q62Pは同じAC入力ながらDC5VとDC24Vの2系統出力(3A/0.6A)、Q63Pは入力がDC24Vに変わってDC5V/6A、Q64PNはAC入力でDC5V/8.5Aとより大きな電流を出す。頭の6は共通だが、続く1・2・3・4は入力電源の種類(AC100〜240VかDC24Vか)と出力構成の違いに対応している。
現場での実務的な注意点
ここまでの内容は、選定・発注の場面で2つの落とし穴を作る。
一つ目は、型番の数字だけを見て「同じ容量帯だから互換」と判断してしまうことだ。Q03UDCPUとQ03UDVCPUのように、容量を示す数字がまったく同じでも、処理速度が10倍以上違う組み合わせが実在する。制御盤の更新でCPUユニットを選び直すときは、数字が一致していることを確認しただけで終わらせず、末尾のアルファベット(U・UDH・UDE(H)・UDV)まで含めて型番全体を照合する必要がある。
二つ目は、増設ベースユニットの発注で電源ユニットの要否を見落とすことだ。Q63B・Q65B・Q68B・Q612Bは電源ユニットが要るが、同じ増設ベースのQ52B・Q55Bは要らない。この2系統を混同すると、電源ユニットを二重に発注してしまうか、逆に必要な電源ユニットを手配し忘れるかのどちらかが起こりうる。
MELSEC-QシリーズPLCの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、制御盤に残ったCPUユニット・ベースユニット・電源ユニットの型番から、現行品との対応関係の確認までのご相談を見積フォームで受け付けている。型番の一部が判読できない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。
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