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三菱電機の電磁開閉器(MSO-Tシリーズ)の型番はどう読むのか|フレーム番号が手放した仕事と、消えた「CX」の行き先

読了目安: 11分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

冒頭の場面・会話は、内容の理解を助けるための例示です。特定の現場・企業・案件を指すものではありません。

制御盤の更新案件で、外した古いユニットには「S-N20」、これから入れる新品には「MSO-T21」と書いてある——そんな場面に出くわすことがある。同じ三菱電機の、同じモーター開閉用の機器なのだから、型式の読み方もそのまま延長線上にあるだろうと考えるのは、それほど不自然ではない。実際、フレーム番号が容量帯のランクを表すという骨格そのものは、旧世代のS-Nシリーズから現行のS-T・MS-T・MSO-Tシリーズへ、確かに引き継がれている。

ただし、そのフレーム番号がこれまで一人で背負っていた仕事のうち、一つがどこかへ移されている。三菱電機の現行カタログを読み進めると、型式の文字列は前より整理されて見えるのに、その整理の裏で「型式だけを見ても分からなくなったこと」が一つ増えているのに気づく。

「MSO」「MS」「S」——同じフレーム番号が指す3つの違う製品

分解の起点は、フレーム番号の前に付く基本形式の文字だ。三菱電機のMS-Tシリーズカタログの仕様一覧表は、T10からT32までの各フレームについて、電磁接触器(サーマルリレーなし、開放形)をS-T10・S-T12・S-T20・S-T21・S-T25・S-T32、開放形電磁開閉器(標準形2素子付サーマルリレー付)をMSO-T10・MSO-T12・MSO-T20・MSO-T21・MSO-T25、箱入電磁開閉器をMS-T10・MS-T12・MS-T21として並べている。同じ「T21」というフレーム番号が、Sなら主接点の開閉だけを行う電磁接触器単体を、MSOならTH-T18形サーマルリレーを組み合わせて過負荷保護まで持たせた開放形の電磁開閉器を、MSなら同じ組み合わせを外箱に収めたものを指す。S-T21だけを発注しても、それはまだ過負荷保護機能を持たない部品でしかない。

可逆・非可逆の分岐点はS-Nシリーズと同じ位置にある。非可逆式はS-T20のようにフレーム番号が基本形式の直後に続くだけだが、可逆式になるとS-2×T20のように「2×」がSとフレーム番号の間に挟まる。モーターの正転・逆転を切り替えるために電磁接触器が2個1組で内蔵される、という構造を示す記号で、この点はS-Nシリーズから変わっていない。

フレーム番号は生きている。ただし、運ぶ荷物が減った

仕様一覧表を上から順に読むと、T10=2.2kW/11A、T12=2.7kW/13A、T20=3.7kW/18A、T21=4kW/18(20)A、T25=5.5kW/26A、T32=7.5kW/32Aという容量帯が並ぶ。括弧書きの20Aが電磁接触器単体としての適用値に限られる、という注記の付け方は、姉妹記事で扱ったS-N20のときとまったく同じ発想だ。同じ会社が同じ注記のスタイルを世代をまたいで使い続けている、という事実として押さえておけば十分だろう。

この記事で掘り下げたいのは、そこではない。同じ仕様一覧表には、標準の補助接点構成という別の行がある。読んでいくと、T10は1a、T12は1a1b、T20も1a1b、T21は2a2b、T25も2a2bとなっている。T12とT20は容量帯が違う(2.7kWと3.7kW)のに、標準の補助接点構成はどちらも1a1bで同じだ。T21とT25の間にも同じことが起きている。

S-Nシリーズの姉妹記事で見た話を覚えている読者なら、ここで違和感を持つはずだ。あちらでは、容量帯が同じS-N11とS-N12を、補助接点数の違い(1個と2個)によってフレーム番号そのものを使い分けていた。フレーム番号は容量帯と補助接点数を同時に運ぶ、いわば二役の記号だった。ところが現行のT世代では、容量帯が違ってもフレーム番号だけを見ては補助接点構成を当てられず、逆に容量帯が違うのに補助接点構成が同じという組み合わせまで出てくる。フレーム番号は、もう補助接点数の運び手ではなくなっている。

補助接点は、型式から下りて注文書に乗った

では補助接点の情報はどこに行ったのか。同じ仕様一覧表には「標準付属」の下に「特殊付属」という行があり、T10なら1b、T12・T20なら2aという、標準とは異なる補助接点構成が並んでいる。そしてその脇には「接点構成が特殊の場合にはご指定ください」という注記が添えられている。つまり、標準以外の補助接点構成が欲しい場合、型式そのものを別のフレーム番号に切り替えるのではなく、S-T12という同じ型式のまま、注文時に「特殊付属:2a」という指定を別途添えることで対応する仕組みになっている。

これがS-Nシリーズとの決定的な違いだ。旧世代では「もう1組、補助接点が欲しい」という要求が、S-N11からS-N12への型式変更として表れた。現行のT世代では、同じ要求はS-T12という型式を変えずに、注文書の別項目として処理される。型式の文字列を見るだけでは、それが標準の1a1bなのか特殊指定の2aなのかを判別できない、という不便が生まれた代わりに、容量帯ごとのフレームの種類は、補助接点数の掛け合わせ分だけ増えずに済むようになった。

なぜ切り離したのか

三菱電機がこの設計変更の理由をそのまま説明した資料は見当たらない。ただし、同じカタログの随所に、この切り離しと符合する動きが見つかる。操作コイル定格は「旧シリーズでは14種類あった」ものを7種類まで半減させたと明記されており、10Aフレームの横幅も「業界最小」をうたうかたちで縮められている。型式の枝分かれを減らし、共通化できる部分は徹底して共通化する——そうした設計方針の一環として、補助接点構成という枝分かれも、フレーム番号の外に出されたのではないか、というのが一つの見立てになる。確証のある一次資料までは確認できていないので、ここは推測の域を出ない。

消えた「CX」、現れた「BC」

型式の末尾に付く記号にも、世代をまたいだ入れ替わりがある。S-Nシリーズでは「CX」がCAN端子(指等が触れにくい構造にした主回路端子)を示す、任意で選ぶ追加記号だった。ところがMS-Tシリーズのカタログは、標準化を紹介する章で「端子カバーを標準装備することにより、盤内の安全性向上はもちろん、お客様の別形名の指定、オプションを手配する手間が削減されます」と述べている。つまり、CXが担っていた「触れにくい端子」という機能そのものが、T世代ではオプションではなく標準搭載になった。

その代わりに同じ位置へ新しく入ってきたのが「BC」だ。カタログは続けて「オプションにて配線合理化端子品(形名:形式記号にBCを付加)をご用意」と説明している。BCが指しているのは端子の保護構造ではなく、圧着端子やバー端子での結線をしやすくするための端子形状で、CXとは中身がまったく別物だ。三菱電機の現行公式サイトの記号一覧でも、BCは「MS-Tシリーズ」専用の記号として案内されており、旧世代のCXに相当する記号はT世代の一覧そのものに存在しない。同じ「フレーム番号のあとに付く2文字」という見た目のパターンを踏襲しながら、中身だけが入れ替わっている——旧世代の図面の読み癖のままT世代の型式を読むと、ここでつまずく。

MSO-Tは全域を置き換えたわけではない

三菱電機の現行公式サイトの形式一覧を見ると、T形はT10からT100まで並んでいる。100Aを超えた先、125A以上の大容量クラスは、現行のラインアップでもMSO-N125・N150・N180・N220・N300・N400というN形の型式のまま案内されている。S-Nシリーズがほぼ全域にわたってS-T形へ置き換わった、という思い込みは、大容量クラスに関しては当てはまらない。「N形」という記号だけを見て旧世代・生産終了と判断するのは早計で、大フレームの更新案件では型式ごとに現行品かどうかを確かめる必要がある。

現場での注意点

補助接点の構成を確認するときは、型式表記だけで判断しないことだ。ラベルに「MSO-T20」とだけ書かれていても、それが標準の1a1bなのか、特殊指定を経た2aなのかは、仕様書や選定表と照らし合わせるまで確定しない。旧世代のS-N系のように、型式の数字を見ただけで補助接点数が読み取れる、という感覚のままT世代の型式を扱うと、この一手間を飛ばしてしまう。

S-T形だけを発注してしまう間違いにも注意が要る。S-T21は電磁接触器単体で、過負荷保護のためのサーマルリレーを含んでいない。モーター回路として使うなら、MSO-T21・MS-T21のような電磁開閉器として発注するか、S-T21とTH-T18形サーマルリレーを別途組み合わせる必要がある。

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よくある質問

MSO-T21の「21」は、S-Nシリーズの「20」のように補助接点の数も表していますか?

いいえ。三菱電機のMS-Tシリーズカタログの仕様一覧表によれば、T12とT20はどちらも標準の補助接点構成が「1a1b」で共通しており、T21とT25も「2a2b」で共通しています。フレーム番号が違っても標準の補助接点構成が同じ、という組み合わせが現行シリーズには存在するわけです。前世代のS-Nシリーズでは、容量帯が同じでもフレーム番号を変えることで補助接点数の違いを表現していましたが(S-N11=1個、S-N12=2個)、現行のT世代ではフレーム番号は容量帯だけのランクに整理され、補助接点構成は型式本体とは別に、注文時に「標準」か「特殊」かを指定する項目として扱われています。

型式の末尾に付く「BC」は、S-Nシリーズの「CX」と同じ意味の記号ですか?

別の記号で、指している機能も違います。旧世代のS-Nシリーズでは「CX」がCAN端子(指等が触れにくい構造の主回路端子)を示す任意の追加記号でしたが、MS-Tシリーズのカタログは「端子カバーを標準装備することにより、お客様の別形名の指定、オプションを手配する手間が削減されます」と説明しており、現行のT世代ではこの端子カバー(フィンガープロテクション)自体が標準搭載になっています。空いたその記号の位置に新しく割り当てられたのが「BC」で、これは配線合理化端子付(形名の形式記号にBCを付加)を示す、まったく別の仕様です。三菱電機の現行公式ページの記号一覧でも、BCは「MS-Tシリーズ」専用、CXに相当する記号はT世代の一覧には登場しません。旧世代の図面の読み方をそのままT世代の図面に当てはめると、記号の意味を取り違えることになります。

MSO-T21とS-T21はどう違いますか?

組み合わせの範囲が違います。三菱電機のカタログでは、S-T21は「電磁接触器(サーマルリレーなし、開放形)」、つまり主接点の開閉だけを行う機器そのものとして位置づけられています。これに対しMSO-T21は「電磁開閉器(標準形2素子付サーマルリレー付)」で、同じ電磁接触器にTH-T18形サーマルリレーを組み合わせた、過負荷保護まで含むセット品です。箱入りにしたものはMS-T21という別の基本形式になります。S-T21だけを発注すると過負荷保護機能を持たないため、モーター回路として使うにはサーマルリレーとの組み合わせが前提になります。

現行のS-T/MSO-Tシリーズは何号機まであり、それより大きい容量はどうなりますか?

三菱電機の現行公式ページの形式一覧によれば、T形はT10からT100まで並んでおり、125A以上の大容量クラスは現行でもN125・N150・N180・N220・N300・N400というN形の型式のまま案内されています。前世代のS-Nシリーズがほぼ全域にわたってS-T形へ置き換わった、というイメージを持っていると誤解しやすい点ですが、実際には置き換えが起きたのは小容量~中容量クラス(100A程度まで)にとどまり、大容量クラスは現行ラインアップでも旧来のN形の型式が現役で使われています。大フレームの更新案件では「N形だから旧型」と決めつけず、現行品かどうかを型式ごとに確認する必要があります。

補助接点の数はどこを見れば分かりますか?

型式の文字列だけでは分かりません。三菱電機のカタログの仕様一覧表によれば、標準の補助接点構成はフレームごとに定められており(T10=1a、T12・T20=1a1b、T21・T25=2a2bなど)、これと異なる構成(特殊付属)を使う場合は、型式を変えるのではなく注文時に接点構成を別途指定する仕組みになっています。現物のラベルにMSO-T20とだけ書かれていても、それが標準の1a1bなのか、特殊指定の2aなのかは、ラベルの型式表記や仕様書・選定表と突き合わせないと確定できません。予備品や更新品を手配する際は、型式に加えて補助接点の実配線・実仕様を確認することが欠かせません。

参考文献・出典

  • 三菱電磁開閉器 MS-Tシリーズ(三菱電機、L02027) (p40「形式記号の見方」のMS(箱入電磁開閉器)・MSO(開放形電磁開閉器)・S(電磁接触器)それぞれの記号構成図(基本形式/非可逆・可逆「2×」/フレームサイズ/サーマルリレーのリセット方式・組合せるサーマルリレー「AR・KP・SR・KPSR・FS・FSKP」/フィンガープロテクション「BC」/操作コイル・操作回路仕様「SA・DL」/押しボタン操作「PM・PS」)。p17-18「仕様一覧表」の電磁接触器(S-T)・電磁開閉器(MSO-T/MS-T)フレーム対応表(T10=2.2kW/11A、T12=2.7kW/13A、T20=3.7kW/18A、T21=4kW/18(20)A、T25=5.5kW/26A、T32=7.5kW/32A、注1「定格使用電流の()内は電磁接触器(サーマルリレーなし)に適用」)と、標準付属・特殊付属の補助接点構成表(非可逆標準:T10=1a、T12・T20=1a1b、T21・T25・T32=2a2b/特殊:T10=1b、T12・T20=2a)。p6-9「MS-Tシリーズのご紹介」中の「端子カバーを標準装備することにより、盤内の安全性向上はもちろん、お客様の別形名の指定、オプションを手配する手間が削減されます」「オプションにて配線合理化端子品(形名:形式記号にBCを付加)をご用意」の記述、およびp10「生産機種一覧」の対応表(MSO-□BC/MSO-□CX(注4)がT10~T32とN35以降とで別々の列に対応表示)。)
  • 製品特長|電磁開閉器|低圧開閉器|製品情報(三菱電機FA) (「形式一覧」の交流操作形【小容量クラス】表(定格使用電流11A=MSO-T10、13A=MSO-T12、18A=MSO-T20・MSO-T21、26A=MSO-T25、34A=MSO-T35、以降MSO-T50・T65・T80・T100と続く)と【中容量クラス】【大容量クラス】表(125A以上は現行もMSO-N125・N150・N180・N220・N300・N400として継続)。「特殊品」欄の記号説明(BC:配線合理化端子「MS-Tシリーズ」、SA・PM・KP・SR:「MS-T/Nシリーズ」共通、FS:「MS-Nシリーズ」のみ)。ページのメタデータ上のrepo:modifyDateは2026-07-29。)
型番不明でもOK

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