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NKKスイッチズのトグルスイッチMシリーズの型番はどう読むのか|M-N11B1Eの形名体系とB-12APとの並び順の違い

読了目安: 11分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤の予備品箱に、似たようなトグルスイッチが二つ転がっている。片方には「M-2012」という刻印、もう片方には「M-N12S1S」というレーザー印字。どちらも1回路2接点(単極双投)で、レバーを倒せばON-ONに切り替わる基本形だ。同じ会社の、同じMシリーズの、ほとんど同じ働きをするスイッチのはずなのに、型番の書き方だけがまるで別物になっている。数字四桁で済んでいたものに、なぜわざわざアルファベットの「N」が割り込んできたのか。NKKスイッチズ公式のトグルスイッチMシリーズカタログと、同社が2023年5月に出した受注・販売中止の告知をもとに、この文字列の変化を追っていく。

Mシリーズは「小型化」、Bシリーズは「プリント基板実装」から生まれた

NKKスイッチズ(旧・日本開閉器工業)は、トグルスイッチだけで12系列を揃えている。公式資料「トグルスイッチ・セレクションガイド」の開発沿革によれば、最も古いS系列は1951年開発の基本タイプで、M系列は1974年に「小型化」を掲げて追加された。Bシリーズは、プリント配線板対応のA系列(1979年)に続く1983年の開発で、丸洗い洗浄が可能な独自のスライディング・ツイン・クロスバー・コンタクト機構を採用し、プリント基板実装用の微小電流スイッチとして使われている。生まれた年も設計思想も違う二つのシリーズが、型番の付け方でも別々の道を歩んでいるのは、むしろ自然な成り行きと言える。

型番が変わった理由は、デザイン刷新ではなかった

先に種明かしをしておくと、M-2012からM-N12S1Sへの切り替えは、見た目を整えるための改番ではない。NKKスイッチズが2023年5月9日付で公表した「受注・販売中止および後継商品のお知らせ」によれば、トグルスイッチMシリーズ全機種を含む複数シリーズが、残留性有機汚染物質に指定されているデクロランプラスを含有しているという理由で、生産・販売の中止に追い込まれている。最終受注日は2023年6月30日、販売終了日は2024年4月30日。M-N12S1Sは、この切り替えの中で用意された新しい型番の一つだ。

外形寸法は変わっていない、とNKKの製品ページは案内している。だが、変わらなかったのは寸法だけだった。M-2012の製品ページを見ると、後継のM-N12S1Sでは機械的開閉耐久性が10万回以上から5万回以上へ引き下げられ、ケースの色はウグイス色から黒色へ、型番の表示方法も刻印からレーザー表示へと変わっている。部品としての性格まで書き換わった、実質的なモデルチェンジだったというわけだ。

新しい形名体系——M-N11B1Eを四層に割る

型番そのものの読み方に移る。NKKスイッチズ公式カタログ「トグルスイッチ Mシリーズ」(2023年10月版)の「形名体系」ページは、非照光トグルスイッチの型番をM-N[極数][機能動作][端子部形状・接点部仕様][操作部形状]という並びで説明している。

極数は1桁目の数字が受け持つ。1が単極、2が2極、3が3極、4が4極。このほか、単極3投・2極3投という特殊回路の指定もある。続く機能動作の数字は、1がON-OFF、2がON-ON、3がON-OFF-ON、5がON-〈ON〉、8が〈ON〉-OFF-〈ON〉、9がON-OFF-〈ON〉——括弧書きの〈ON〉はモーメンタリ(指を離すと自動的に戻る動き)を表す。特殊回路の側には4=ON-ON-ON、6=〈ON〉-ON-〈ON〉、7=ON-ON-〈ON〉という3ポジション向けの記号も用意されている。ここまでで、M-N11B1Eの「11」は単極・ON-OFFだと分かる。

次に来るのが端子部形状・接点部仕様で、S1ははんだ端子(銀接点)、G4ははんだ端子(金メッキ接点)、P1・P4がPC端子、H1・H4がPC-H端子、V1・V4がPC-V端子、B1・B4がブラケットマウント形——末尾の1が銀接点、4が金メッキ接点を表す。M-N11B1Eの「B1」は、ブラケットマウント形(銀接点)に当たる。最後の操作部形状は、S=基本レバー、LS=ショートレバー、E=フラットレバー、ES=ショートフラットレバーの4種類に、L=レバーロック形・W=防水形という機能記号、LB=ラージブッシング形・WB=防水ラージブッシング形が加わる。末尾の「E」はフラットレバーだ。

実際にNKKスイッチズの商品検索ページでM-N11B1Eを引くと、単極・ON-OFF・接点材質は銀・アクチュエーター形状はフラットレバー・端子はプリント基板ストレートのブラケットマウント付きと表記されている。ここまで積み上げた4層の読みと、公式ページの製品仕様は一致する。

非照光品だけでなく、レバー内部にLEDを仕込んだ照光式トグルスイッチにも、同じ形名体系の考え方が使われている。M-NL[極数][端子部形状・接点部仕様][照光部仕様][LEDの色]という並びで、極数は12がON-ON、13がON-OFF-ONの単極双投、照光部仕様はT(照光式連動形)とL(照光式分離形)、LEDの色はM(緑)・R(赤)・Y(黄)・RM(赤/緑)の4種類が用意されている。

旧M-20xx番台は、同じ4層でも記号がばらばらだった

では、消えていったM-2012の側はどう読めていたのか。旧カタログ(2015年4月版)の形名体系は、M-20[極数][機能動作][操作部形状]-[端子部形状・接点部仕様]という並びで、極数と機能動作の対応こそ新型番と共通していた(1桁目の1は単極、2桁目の2はON-ON)。だがそこから先の記号は、今の目で見るとやや行き当たりばったりだ。端子部形状・接点部仕様の欄では、はんだ端子(銀接点)は無印、金メッキ接点だけGという文字が付く。ところがPC-H端子・PC-V端子では逆に、無印のH・Vが金メッキ接点を指し、銀接点の方にH1・V1という数字が付く。ブラケットマウント形はB(銀)・B4(金)。同じ「銀か金か」の切り替えなのに、無印がどちらを指すかは端子の種類によって違っていた。

新しい形名体系は、この不統一を消している。はんだ端子、PC端子、PC-H端子、PC-V端子、ブラケットマウント形——どの端子形状であっても、末尾の1は必ず銀接点、4は必ず金メッキ接点。M-2012からM-N12S1Sへの切り替えは、規制対応という外的な理由で始まりながら、型番の内部構造まで整理し直す機会になっていたことになる。

Bシリーズは、同じ順番では読めない

Mシリーズの4層——極数・機能動作・端子部形状・操作部形状——という順番に慣れた頭で、次にB-12APという型番を見ると、面食らう。NKKスイッチズ公式カタログ「トグルスイッチ Bシリーズ」の形名体系は、B-[極数][機能動作][操作部形状][端子部形状]という並びを示している。極数と機能動作の位置は同じだが、3層目と4層目——操作部形状と端子部形状——の順番が、Mシリーズの新旧どちらとも逆転している。

記号の中身も別物だ。Bシリーズの操作部形状はA=基本レバー、A1=基本レバー(ねじ取付け形)、J=ショートレバー、E=フラットレバー、H=ショートストレートフラットレバー、L=レバーロック形。端子部形状はP=PC端子、H=PC-H端子、V=PC-V端子、B=ブラケットマウント形。B-12APを分解すると、単極・ON-ON・基本レバー・PC端子——実際の商品ページの表記「単極」「ON-ON」「プリント基板ストレート」「基本レバー」とも一致する。

ここで見落とすと危ういのが、「H」という一文字だ。Bシリーズの型番では、操作部形状の欄にもH(ショートストレートフラットレバー)があり、端子部形状の欄にもH(PC-H端子)がある。同じアルファベットが、型番の中でどの位置に現れるかによって、まったく違う部品を指す。B-12JHのような品番を読むときは、前のJがショートレバー(操作部)で、後ろのHがPC-H端子(端子部)だと、位置で判断するしかない。

型番が保証しないもの

最後にもう一つ、型番の記号を覚えても埋まらない溝がある。Bシリーズの照光式トグルスイッチB-12CCPのようなLED付きの型番では、機能動作が3形(ON-OFF-ONの3ポジション)になると、選べるLED色が赤/緑の2色発光(RM)だけに絞られ、緑・赤・黄それぞれの単色発光は選択肢から消える。カタログ自体が「形名体系での全ての組み合わせはありません」と明記している通り、記号の意味を正しく読めても、その組み合わせが実在する品番かどうかは、品番表と照らし合わせて確認するほかない。

M-N11B1EもB-12APも、部品箱の中では似たような小さな金属の塊にしか見えない。だが型番の文字列は、極数・機能動作・端子部形状・操作部形状という同じ4つの層を、シリーズごとに違う順番で、しかも規制対応をきっかけに記号の付け方まで書き換えながら積み上げてきた結果だ。予備品を探すときに刻印を読み違えないための、いちばん実務的な手掛かりがここにある。

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電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物に残ったM-N・M-20・B系の刻印から、極数・機能動作・端子形状・接点材質の確認、旧品番から後継品への切り替え照合までのご相談を見積フォームで受け付けている。刻印が薄れて判読できない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。

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よくある質問

M-N11B1EのようなM-N形と、M-2012のようなM-20形は、同じ規則で読めますか?

積み上がっている層の数と、各層が受け持つ役割の種類(極数→機能動作→端子部形状・接点部仕様→操作部形状)は同じです。ただし記号の中身は違います。旧M-20xx番台では、はんだ端子は無印が銀接点・Gが金メッキ接点なのに対し、PC-H端子・PC-V端子では逆に無印(H・V)が金メッキ接点で、銀接点の方に1が付く(H1・V1)という不統一がありました。新しいM-N形名体系ではこの不統一が解消されており、はんだ端子・PC端子・PC-H端子・PC-V端子・ブラケットマウント形のどれであっても、末尾の1は必ず銀接点、4は必ず金メッキ接点を指すよう揃えられています。

なぜMシリーズだけ型番の書き方がまるごと変わったのですか?

NKKスイッチズが2023年5月9日付で公表した「受注・販売中止および後継商品のお知らせ」によれば、トグルスイッチMシリーズ全機種を含む複数シリーズが、残留性有機汚染物質に指定されているデクロランプラスを含有しているという理由で生産・販売中止となりました。最終受注日は2023年6月30日、販売終了日は2024年4月30日です。デザインの都合ではなく、化学物質規制への対応が型番の書き換えの発端でした。

M-2012とM-N12S1Sは、外形寸法以外にも違いがありますか?

あります。NKKスイッチズのM-2012製品ページによれば、後継品のM-N12S1Sでは機械的開閉耐久性が10万回以上から5万回以上へ引き下げられ、ケースの色がウグイス色から黒色へ、型番の表示方法も刻印からレーザー表示へと変わっています。外形寸法は変わっていないと案内されているため既設パネルへの取り付けは流用できますが、耐久性の仕様までは同一ではありません。

BシリーズのB-12APも、Mシリーズと同じ順番で型番を読めますか?

順番は逆になります。NKKスイッチズ公式のBシリーズカタログの形名体系は、B-[極数][機能動作][操作部形状][端子部形状]という並びで説明されており、Mシリーズの新旧いずれとも3層目・4層目の順序が入れ替わっています。さらにBシリーズでは、操作部形状の記号にもH(ショートストレートフラットレバー)、端子部形状の記号にもH(PC-H端子)があり、同じ一文字が型番中のどの位置に現れるかで意味が変わる点にも注意が必要です。

参考文献・出典

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