古い制御盤を開けると、CPUユニットのラベルに「CP1E-N30DR-A」とある。オムロンのCP1Eシリーズらしいとはわかる。同じ盤を長く使ってきた担当者なら、同型番をそのまま発注すればいいと考えるはずだ。ところが、いざオムロンの制御機器サイトでこの型番を調べると、一覧表にひっそりと「*」が付いている。注記を読むと「受注終了品です」とある。
同じラインアップの中を見渡すと、*が付いていない型番もいくつか残っている。同じCP1Eという名前を背負いながら、なぜ一部だけが今も注文でき、大半は注文できないのか。オムロンの公式ページとカタログを突き合わせて、型番の構造と、その裏にある製品の生き残り方を追ってみる。
型番の骨格——型式は「区分+点数+固定のD+出力+電源」の順で並ぶ
オムロンの制御機器サイトにあるCP1E CPUユニットの定格・性能ページには、型式そのものがテンプレートとして明記されている。「形CP1E-□□□S□D□-A」がAC電源タイプ、「形CP1E-□□□S□D□-D」がDC電源タイプだ。四角(□)の部分に文字や数字が入り、その間に「D」という文字が固定で挟まっている。
この骨格を、実在する型番に当てはめて分解する。CP1E-N30DR-Aであれば、「N」がアプリケーションモデルという区分、「30」が入出力点数の合計(入力18点+出力12点)、続く「D」がテンプレート上固定の文字、その直後の「R」がリレー出力、末尾の「-A」が外部供給電源AC100〜240Vを表す。区分は他に「E」(ベーシックモデル)と「NA」(アナログ入出力内蔵)があり、点数は10・14・20・30・40・60、NAタイプのみ20点に固定されている。出力タイプはR(リレー)のほかT(トランジスタ・シンク)、T1(トランジスタ・ソース)があり、電源記号は-A(AC100〜240V)と-D(DC24V)の2種類だ。
ここで紛らわしいのが、この固定の「D」と、末尾の電源記号「-D」が同じ型番の中に両方現れるケースがあることだ。CP1E-E10DR-Dという型式が実在する。「D」が二度出てくるが、前の「D」はテンプレート上の固定文字、後ろの「-D」はDC24V電源を意味する記号で、由来がまったく違う。オムロンの資料のどこにも、この固定の「D」自体が何を略した文字なのかという説明は見当たらなかった。読み取れるのは位置と固定性だけで、意味までは確認できていない。
驚きのある発見——一覧表の「*」が、ラインアップの大半に付いている
型番の構造がわかったところで、あらためて現行のラインアップ一覧を上から下まで数えてみる。オムロンの制御機器サイトの「形式/種類」ページには、E□□Sタイプ、E□□タイプ、N□□S1タイプ、N□□Sタイプ、N□□タイプ、NAタイプの各表が並んでいる。
E□□Sタイプは表の見出し自体に「(受注終了品)」と明記され、E14〜E60の全機種が該当する。標準のE□□タイプはE10のみ*が付かず、E14・E20・E30・E40には個別に*が付いている。N□□S1タイプとN□□Sタイプも見出しごと「(受注終了品)」だ。標準のN□□タイプに至っては、N14・N20・N30・N40・N60のすべての機種、電源仕様・出力タイプの組み合わせを含めて例外なく*が付いている。*が付いていないのは、E10タイプの6機種と、アナログ入出力を内蔵したNAタイプ(NA20)の3機種だけだった。
CP1Eという1つの製品名の下に、型式としては40種類近くが名を連ねている。しかし現行で受注できるのは、そのうちの9種類にすぎない。しかも生き残っている9種類は、ラインアップの中でいちばん点数が少ない機種と、いちばん機能が特殊な機種という、両端の2グループに偏っている。
なぜこうなっているのか——CP2Eという後継ラインの存在
なぜここまで極端な偏りが生まれたのか。手がかりは、オムロンが別に公開している「CP1E-CP2E置き換え表」というページにあった。CP2EはCP1Eの後継として案内されているプログラマブルコントローラのシリーズで、このページには型式ごとの置き換え対応表が用意されている。
置き換え表によれば、CP1E-E□□(S)DR-AはCP2E-E□□DR-Aに、CP1E-N□□S(1)D-AはCP2E-S□□D□-□に、それぞれ置き換え先が示されている。標準のE/Nタイプの多くは、CP2Eという受け皿がすでに用意されているわけだ。ところがNAタイプについては書きぶりが違う。「CP1E-NA20D□□-□をご使用の場合」の項目には「そのまま置き換えが可能な機種はありません。以下組み合わせで同等構成を実現してください」とある。アナログ入出力を内蔵したCPUユニット1台という構成に対して、CP2E側には直接の1対1の代替機種が存在しない。
ここから読み取れる仮説は、置き換え先が明確に用意された標準タイプから受注終了が進み、置き換え先が用意しづらいNAタイプだけがCP1Eのまま残っている、というものだ。ただし、これはCP2E側の置き換え表とCP1E側の受注終了の時期を重ね合わせて読み取れる範囲の推測であり、オムロンが受注終了の理由そのものを説明した記述は見つかっていない。E10タイプがなぜNAタイプと同じように残っているのかについては、置き換え表にもE□□の項目自体はあるため、この仮説だけでは説明がつかない。この点は正直に、わからないとしておく。
現場での実務的な注意点
制御盤の更新や見積りの場面では、この型番の性質が2つの落とし穴を作る。
一つ目は、盤に残った型番をそのまま発注しようとして、受注終了品に行き当たることだ。CP1E-N30DR-Aのように現場でよく見る型番ほど、標準タイプの中核に位置し、受注終了になっている可能性が高い。型番を確認したら、まず現行ラインアップの一覧で*の有無を確認し、該当する場合はCP2Eへの置き換え表を参照する必要がある。
二つ目は、置き換えが単純な型番の読み替えでは済まないケースがあることだ。CP1E-CP2E置き換え表には、CP1E-N□□のトランジスタ出力/AC電源タイプ(CP1E-N□□DT/DT1-A)にはCP2E-N□□の直接の置換機種がなく、トランジスタ出力/DC電源タイプへの置き換えが必要になると明記されている。型式の末尾がAからDへ変わるということは、盤内の電源配線そのものを見直す変更を意味する。型番だけを機械的に置き換えると、現地で電源仕様の不一致に気づくことになりかねない。
オムロンCP1E・CP2EのPLC型番確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、制御盤に残ったCP1E CPUユニットの型番から、受注終了の有無、CP2Eへの置き換え要否までの確認に対応している。型番の一部が読み取れない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。
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