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自動化ラインの立ち上げ・改造現場で「センサーが誤検知する」「検出距離が足りない」というトラブルの多くは、センサーの選定ミスに起因する。国内のFA向けセンサー市場は誘導型近接センサーと光電センサーが主流を占め、用途・検出対象・設置条件によって使い分けが必要だ。特に誘導型・静電容量型・透過型・反射型の4タイプは動作原理が異なるため、原理を理解せずに互換品へ交換すると動作しないケースが発生する。
本記事では、FA・自動化ラインで使用頻度の高い近接センサーと光電センサーの動作原理から、電源仕様・ノイズ対策まで体系的に整理する。メーカー選定ツールを使う前の「共通言語」として活用してほしい。
この記事でわかること
- 誘導型・静電容量型の近接センサーの動作原理と検出対象の違い
- 光電センサー(透過型・反射型・距離設定型)の種類と選び方
- 検出対象の材質・形状・距離で選ぶ使い分けフロー(表形式)
- DC2線式・DC3線式・AC型の電源仕様と配線ポイント
- 電磁ノイズ環境でのシールド・配線分離の実務対策
- オムロン・アズビル・IDECなど主要メーカーの品種系統
近接センサーの種類と動作原理
誘導型近接センサー(金属検出)
誘導型近接センサーはコイルに高周波電流を流して交番磁界を発生させ、金属体が近づいたときに生じる渦電流(電磁誘導)によるエネルギー損失を検出する方式だ。検出対象は金属に限定される。
JIS C 8201-5-2(低圧開閉装置及び制御装置-制御回路機器及び開閉素子-近接スイッチ)では近接スイッチの試験方法が規定されており、公称検出距離(Sn)は標準ターゲット(厚さ1mmの軟鋼板の正方形。一辺は検出面の内接円の直径と公称検出距離Snの3倍のうち大きい方)を基準に測定した値だ。
| 材質 | 補正係数(目安) |
|---|---|
| 軟鋼(鉄) | 1.0(基準) |
| ステンレス(SUS304) | 0.7〜0.9 |
| アルミニウム | 0.3〜0.4 |
| 銅・黄銅 | 0.3〜0.4 |
上表はメーカーカタログ値の業界目安である。実際の補正係数はメーカー・シリーズごとに異なるため、仕様書で確認すること。
誘導型はオイル・水・粉塵が付着しても動作する堅牢性が特長だ。ただし非金属(樹脂・木材・液体)は検出できない点に注意が必要である。
静電容量型近接センサー(金属・非金属・液体を検出)
静電容量型近接センサーは、センサー先端の電極と検出物の間に形成される静電容量の変化を検出する。金属はもちろん、樹脂・ガラス・木材・液体・粒体(粉粒体)も検出対象になる。
感度調整(感度ボリューム)で検出距離と感度のバランスを設定できる。ただし、周囲の湿度変化・結露・他の物体との干渉で誤動作しやすい面があるため、設置環境の安定性を確認することが重要だ。タンク外壁越しの液面検出や、透明フィルムの有無検出などに多用される。
光電センサーの種類と動作原理
透過型(投光器・受光器対向)
投光器と受光器を対向配置し、検出物が光軸を遮ったときにオン/オフ出力する。光軸が遮断されているかどうかを直接検出するため、検出対象の色・光沢・材質の影響を受けにくい。長距離検出(数m〜十数m)が可能な点も特長だ。
取り付けには投光器・受光器それぞれの設置スペースと2箇所への配線が必要となる。コンベアの通過検出・搬送物の有無検出などに適している。
反射型(拡散反射・限定反射・再帰反射)
センサーヘッド1つで投受光を完結させる方式で、取り付けが容易だ。
- 拡散反射型:検出物の表面で乱反射した光を受光する。設定が簡単だが、黒色物や鏡面物体では検出距離が短くなる
- 再帰反射型(ミラー反射型):センサーの反対側にリフレクターを配置し、透明・半透明の物体を安定検出できる
- 限定反射型(距離設定型):PSD素子等を使い、設定距離内の物体のみ検出する。背景に影響されず、小物部品の有無検出に適している
距離設定型(アナログ出力・デジタル設定型)
近年普及している距離設定型センサーはデジタル表示ウィンドウを持ち、検出距離をティーチングで設定できる。位置決め・寸法計測への応用も可能だ。
使い分けフロー
| 検出対象 | 推奨センサー種別 | 備考 |
|---|---|---|
| 金属(鉄・ステンレス) | 誘導型近接センサー | 油・粉塵環境でも堅牢 |
| 金属(アルミ・銅) | 誘導型(補正確認)または静電容量型 | 検出距離低下に注意 |
| 樹脂・木材・紙 | 静電容量型または光電センサー | 静電容量型は感度調整必要 |
| 液体・粒体 | 静電容量型 | タンク外壁越し検出も可 |
| 透明・半透明物体 | 再帰反射型または距離設定型光電センサー | 拡散反射型では誤検知リスクあり |
| 長距離検出(1m超) | 透過型光電センサー | 設置スペース確保が前提 |
| 小物部品・位置決め | 限定反射型(距離設定型)光電センサー | 背景排除性能が高い |
電源仕様の違いと選定ポイント
DC2線式
電源線(+・−)2本のみで接続し、負荷と直列に入る構成だ。配線がシンプルで省スペースだが、センサーOFF時でも残留電圧(業界目安で2〜5V程度)が負荷に印加される。そのため微小電流で動作するリレーやPLC入力に使用する場合は残留電圧の影響を事前に確認することが必要だ。
DC3線式
電源線(+・−)と出力線の計3本で接続する。出力線でPLC入力・リレーを直接駆動でき、残留電圧の問題がない。NPN出力(シンク)とPNP出力(ソース)があり、接続するPLCの入力仕様(シンク型/ソース型)に合わせて選定する必要がある。現代のFAラインではDC3線式が主流とされる。
AC型
AC100V・AC200Vで動作するタイプで、制御盤にDC電源を設けられない既設設備への組み込みや、堅牢性重視の産業用途に用いられる。応答速度はDC型より遅い傾向があるため、高速ライン(応答速度1ms以下が必要な場面)ではDC型を選ぶのが原則だ。
ノイズ対策
インバータ・溶接機・大型モーター近傍では、センサーに電磁ノイズが重畳して誤動作や出力チャタリングが発生することがある。以下の対策が実務上の基本とされる。
配線分離 センサーの信号線(制御線)は動力線・インバータ出力線と同一ダクト・トレーに収めないことが鉄則だ。規程上の離隔は、がいし引き工事なら10cm以上(電技解釈第167条第1項)、管・ダクト工事なら接触しないこと(同条第2項)で、これは感電・絶縁劣化防止のための基準だ。ノイズ対策としての離隔はこれとは別で、動力線と信号線は30cm以上(できれば50cm)離すのが実務の目安になる。
シールドケーブル センサー専用のシールドケーブルを使用し、シールドは制御盤側1点アースとする。両端アースにするとグランドループが形成されて逆効果になる場合がある。
センサーのアース センサー本体のFG端子(設けている機種)は確実にアースに落とす。浮きアースはノイズアンテナになる。
フィルタリング PLC入力側でデジタルフィルタ(チャタリング防止フィルタ)を設定する。多くのPLCはユニットごとにフィルタ時間(0.1ms〜数ms)を設定できるため、センサーの応答速度と照らし合わせて設定すること。
主要メーカーと品種系統
- オムロン:E2Eシリーズ(誘導型)・E3Zシリーズ(光電センサー)が国内FA現場で幅広く使われる。PLCとの親和性が高く、ラダー設計ツールとの統合が容易だ
- アズビル(旧山武・ハネウェル):HPXシリーズ(近接センサー)・HPFシリーズ(光電センサー)。石油化学・プロセス系現場での採用実績が豊富とされる
- IDEC:FS1Aシリーズなど安全・制御機器との組み合わせで設計できる。小型・省スペース品の品揃えが特長だ
センサー選定はメーカー各社のオンライン選定ツールを活用することで、検出対象・設置環境・電源仕様を入力するだけで候補品種を絞り込める。型番が決まれば電材サーチで品種リストにまとめて見積もり依頼できる。
電材サーチで品種リストを作って見積もり依頼ができます。
よくある質問
誘導型近接センサーはアルミや銅も検出できますか?
検出できますが、鉄(軟鋼)と比べて検出距離が短くなります。これは材質の比透磁率と導電率の違いによるものです。メーカーの仕様書では「鉄補正係数」として各材質の補正値が記載されており、アルミは鉄の約0.3〜0.4倍、銅は約0.3倍程度(業界目安)の検出距離となります。アルミや銅を安定検出したい場合は、その材質に対応した特殊品(高周波発振型)や、静電容量型センサーへの変更も検討してください。
静電容量型センサーで液体の液面検出はできますか?
可能です。静電容量型センサーは液体の誘電率の変化を利用するため、タンク外壁越しの非接触液面検出が行えます。水や薬液など比誘電率の高い液体ほど安定して検出できます(油は比誘電率が2〜3と低く、感度調整が必要です)。ただし液体の種類によって感度調整(感度ボリューム)が必要です。泡立ちの多い液体や導電性が極端に低い溶剤類では誤検知が起きやすいため、事前に実機テストを行うことを推奨します。
光電センサーの透過型と反射型はどう使い分けますか?
透過型は投光器と受光器を対向配置するため取り付けスペースが必要ですが、検出精度・長距離検出では優れます。反射型(拡散反射型)はヘッド1つで取り付けが簡単ですが、検出物の表面色・光沢の影響を受けます。透明・半透明物体の検出には再帰反射型か限定反射型(距離設定型)が有効です。設置スペースと検出対象の特性を照らし合わせて選定してください。
DC2線式とDC3線式の配線の違いは何ですか?
DC2線式は電源線2本のみで動作し、負荷と直列に接続します。配線がシンプルで省スペースですが、残留電圧(数V程度)が負荷に印加されるため微小電流で誤動作するリレーや低容量PLCには不向きです。DC3線式は電源線(+・−)と出力線の計3本で接続し、負荷を出力線で直接駆動します。残留電圧の影響がなく、PLC入力やリレー駆動に広く使われます。現代のFAラインではDC3線式が主流です。
近接センサーの検出距離はどのくらいが一般的ですか?
誘導型近接センサーの公称検出距離は、センサーヘッド径によって異なります。M8径で約1〜2mm、M12径で約2〜4mm、M18径で約5〜8mm、M30径で約10〜15mm程度(業界目安・鉄板基準)が一般的とされます。実使用では公称検出距離の70〜80%以内で使用するのが安定動作の目安とされています(メーカー推奨)。光電センサーは種類によって数cm〜数十mまで幅広く、用途に応じた選定が必要です。
電磁ノイズが多い環境でのセンサー選定で注意することは何ですか?
インバータ・溶接機・大型モーターの近傍では、センサーのシールドケーブル使用と配線の分離が基本対策です。センサーの信号線は動力線・インバータ出力線と同一ダクトに収めないことが重要です(内線規程 JEAC 8001 参照)。ノイズ耐性の高いNPN/PNPオープンコレクタ出力よりも、差動出力タイプや絶縁型センサーが有効な場面もあります。また、センサー本体のアース(FG)は確実に接続し、ノイズの逃げ道を確保してください。
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