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配線図 ・ 13 / 13

制御器具番号 — 丸に書かれた51や27は、番号で機器を呼ぶ約束事

読み終えると、こうなる

単線結線図の丸に書かれた数字を、意味不明な暗号ではなく『番号で機器を呼ぶ約束事』として読み、51や67の一言でその機器の仕事まで言い当てられるようになる。

  • 丸に51と52が並んだ単線結線図から、過電流継電器が遮断器を引き外すという指令の流れを読み取れる
  • 51と51Gを『同じ過電流の仲間で、Gが付くと地絡用』という規則で仕分けられる
  • 64と67を『地絡の発生を知るだけか、構内か構外かの向きまで見るか』で区別できる
  • 27・59のような電圧系の番号を、『電圧がどうなったときに動く継電器か』に変換できる
考えてみよう

配線図問題の単線結線図を眺めていて、手が止まる瞬間がある。断路器や遮断器の図記号は読める。ところがその近くに、丸で囲んだ 5127 という数字が書いてある。図記号一覧をいくら見返しても、この数字はどこにも載っていない。定格電流だろうか。機器の台数だろうか。

どちらでもない。この数字は、図記号とはまったく別の体系に属している。このトピックを読み終えるころには、丸の中の数字を見た瞬間に「これは継電器だ。しかも何を検出して何をする継電器かまで、番号が教えてくれている」と読めるようになっている。

数字は暗号ではなく「名前」— 制御器具番号という約束事

丸の中の数字の正体は、制御器具番号という。日本電機工業会の規格 JEM 1090 で定められた、番号で機器を呼ぶ約束事だ。図記号(JIS C 0617)が「形」で機器を表すのに対し、制御器具番号は 1〜99 の「番号」で継電器や制御機器を表す。図面のスペースは限られているから、「交流過電流継電器」と毎回書く代わりに、丸に 51 とだけ書けば通じるようにしてある。

だから読み方の第一歩はこれだけでいい——単線結線図で丸の中に数字だけが書かれていたら、それは継電器・制御機器の名前である。単位のない数字は、定格値でも台数でもない。

検出役と実行役 — 51が見つけて、52が切る

番号の中でまず覚えるべきペアが、51 と 52 だ。

丸の数字=制御器具番号の読み方 67 地絡方向継電器(DGR) ZCT 51 過電流継電器(OCR) CT 52 交流遮断器(CB) 負荷側へ 引外し指令 検出役(51・67)が見つけ、実行役(52)が切る 制御器具番号の読み方(自作の概念図)。51や67は変成器(CT・ZCT)の二次側で異常を検出する検出役、52は主回路を実際に切る実行役で、破線が引外し指令の流れを表す

52 は交流遮断器(CB)。主回路を実際に開閉・遮断する実行役だ。51 は交流過電流継電器(OCR)。CTの二次電流を監視し、過電流(短絡や過負荷)を検出したら 52 に引外し指令を送る検出役になる。51 自身は主回路を切らない——見つける役と切る役が番号で分かれている、というこの構図が、番号体系ぜんたいの読み方の土台になる。

制御器具番号は「番号の本体」が仲間を決め、「補助記号」が対象を変える、という2段構えでできている。51が過電流の検出という仲間を決め、**Gが付いた51Gは対象が地絡電流(零相電流)に変わる**。高圧受電設備の単線結線図で51Gとあれば、地絡過電流継電器(GR)を指すのが通例だ。番号を1つずつ独立に丸暗記するのではなく、本体+補助記号で読むと覚える量が一気に減る。

試験に出る番号を「何を検出して何をするか」で並べる

第一種の配線図問題で問われる範囲は、次の番号でほぼ足りる。名前だけでなく、何を検出して何をするかとセットで持っておく。

番号機器何を検出して、何をするか
3操作スイッチ人の操作で制御回路を入り切りする(検出役ではなく操作用)
27交流不足電圧継電器電圧の低下・停電を検出する。非常用予備発電装置の始動信号などに使われる
51交流過電流継電器(OCR)短絡・過負荷の過電流を検出し、52へ引外し指令を送る
51G地絡過電流継電器(GR)ZCTが取り出した零相電流の大きさで地絡を検出する
52交流遮断器(CB)引外し指令を受けて主回路を遮断する実行役
59交流過電圧継電器電圧の上がりすぎを検出する
64地絡過電圧継電器零相電圧の大きさで地絡の発生を検出する
67(67G)地絡方向継電器(DGR)零相電流と零相電圧の位相から、地絡の方向(構内か構外か)まで判定する。番号の本体67は方向を見る継電器の仲間を表し、地絡用であることを明示するときは補助記号Gを付けて67Gと書く
84電圧継電器電圧の条件で動作する継電器

27 と 59 は対で覚える。27 が「足りない」、59 が「行きすぎ」。どちらも電圧系だが動作条件が正反対で、出題者はこの対をよく入れ替えてくる。

地絡の番号は3つある — 51G・64・67 の役割分担

地絡にかかわる番号が 51G・64・67 と3つも出てくるのは、地絡の検出には電流で見る・電圧で見る・向きまで見るという3段階があるからだ。

  • 51G(地絡過電流継電器=GR) — ZCTが取り出した零相電流の大きさで判定する。シンプルだが、構外の事故でも流れる充電電流に反応してしまう「もらい動作」がある。
  • 64(地絡過電圧継電器)零相電圧の大きさで「系統のどこかで地絡が起きた」ことを検出する。電圧は系統全体に現れるため、場所までは分からない。
  • 67/67G(地絡方向継電器=DGR)零相電流と零相電圧の両方を突き合わせ、位相の関係から地絡が構内か構外かの向きまで判定する。もらい動作を避けたい受電点の保護で使われる。

ここで表記に注意がいる。67は本来「方向を見る継電器」という仲間を表す番号で、51→51Gと同じ理屈で、地絡用であることを明示するときは補助記号Gを付けて67Gと書く。ところが高圧受電設備の図では地絡方向継電器以外の67がまず出てこないため、Gを省いて67とだけ書く資料も多い。67と67Gのどちらの表記も実在するので、選択肢に両方が並んでも「別の機器だ」と考えないこと。試験では「地絡方向継電器を表すのは」と問われたら67・67Gのうち選択肢にあるほうを選べばよい。

この3つの使い分けの背景——ZCTとZPDの仕組み、もらい動作がなぜ起きるか——は地絡保護のトピックで詳しく扱っている。あちらを読んだ人は、GR・DGRという文字記号と51G・67という番号が同じ機器の別の呼び名だと、ここでつながるはずだ。文字記号(OCR・UVR・DGRなど)の体系そのものは文字記号のトピックで整理している。

なお補助記号は文脈で読む必要がある。高圧受電設備の図では G は地絡(Ground)を表す使い方が通例だが、発電機(Generator)回路を表す文脈で使われることもある。番号の本体で仲間を決めてから、図のどこに居るか・何とつながっているかで補助記号の意味を確定させる、という読み順なら迷わない。

番号が読めると、図面の「指令の流れ」が見えてくる

図記号は機器の「形」を教えてくれるが、制御器具番号は機器どうしの「関係」を教えてくれる。丸の 51 と箱の 52 が並んでいたら、そこには「CTが電流を写し取り、51 が監視し、異常なら 52 が切る」という指令の流れが描かれている。67 が ZCT とつながっていたら、その受電設備は地絡の向きまで見て、構外の事故ではむだに停電しない設計になっている——番号が読めるだけで、単線結線図は機器の並び順の絵から、保護の設計図に変わる。

冒頭の丸に書かれた 51 と 27。もう暗号には見えないはずだ。仕上げに理解度チェックで、番号から機器と役割を言い当てられるか確かめてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 図記号(JIS C 0617)の知識だけで解かせようとして、丸の中の数字を定格値や台数だと誤解させる

    なぜ引っかかる図記号一覧をいくら覚えても、制御器具番号はそこに載っていない。別体系だと知らないと、51を『51A』のような定格電流や、機器の個数だと読んでしまう

    見破り方単線結線図で丸の中に1〜99の数字だけが書かれていたら、それは制御器具番号で、指しているのは継電器・制御機器だと切り替える。単位(AやV)が付いていない数字は定格値ではない

  2. 51と51Gを、まったく別系統の機器だと思わせる。あるいはGを『大容量』などの性能表示だと解釈させる

    なぜ引っかかる英字が1つ付くだけで見た目の印象が変わるため、独立した番号として丸暗記しようとすると対応関係を見失う

    見破り方番号の本体(51=過電流の検出)が仲間を決め、補助記号が対象を変える、という2段構えで読む。高圧受電設備の図で51Gとあれば、零相電流を対象にした地絡過電流継電器(GR)を指すのが通例だ

  3. 64と67をどちらも『地絡の継電器』とだけ覚えさせ、方向判定の有無を曖昧にする

    なぜ引っかかるどちらも地絡にかかわる番号なので、『地絡=64か67』という粗い記憶だと4択で並べられたときに決められない

    見破り方64は零相電圧の大きさで『地絡が起きたこと』を知るだけ、67は零相電流と零相電圧の位相を突き合わせて『構内か構外か』の向きまで判定する、と検出量の数で区別する

  4. 27(不足電圧)と59(過電圧)の対を逆に覚えさせる

    なぜ引っかかるどちらも電圧系の番号で、数字そのものに意味の手がかりがないため、対で覚えていないと入れ替えに気づけない

    見破り方27は停電・電圧低下の検出(非常用予備発電装置の始動信号などに使われる)、59は電圧の上がりすぎの検出、と動作条件を具体的な場面とセットで固定する

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 単線結線図の丸の中に書かれた数字は制御器具番号(JEM 1090)。図記号(JIS C 0617)とは別の体系で、『番号で機器を呼ぶ約束事』。丸に数字があったら、まず継電器・制御機器だと判断する
  2. 52=交流遮断器(CB)、51=交流過電流継電器(OCR)。51が過電流を検出して52に引外し指令を送る、『検出役と実行役』のペアで読む
  3. 51G=地絡過電流継電器(GR)。51と同じ過電流の仲間で、補助記号Gが付くと対象が地絡電流(零相電流)になる
  4. 電圧系は27=交流不足電圧継電器(電圧低下・停電で動作)、59=交流過電圧継電器(電圧上昇で動作)、84=電圧継電器。64=地絡過電圧継電器は零相電圧の大きさで地絡の発生を検出する
  5. 67(地絡用であることを明示するときは67G)=地絡方向継電器(DGR)。64が地絡の発生を知るだけなのに対し、67は零相電流と零相電圧の位相から地絡の方向(構内か構外か)まで判定する。67と67Gはどちらの表記も実在するので別の機器と考えないこと。3=操作スイッチ
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