配線図問題の単線結線図を眺めていて、手が止まる瞬間がある。断路器や遮断器の図記号は読める。ところがその近くに、丸で囲んだ 51 や 27 という数字が書いてある。図記号一覧をいくら見返しても、この数字はどこにも載っていない。定格電流だろうか。機器の台数だろうか。
どちらでもない。この数字は、図記号とはまったく別の体系に属している。このトピックを読み終えるころには、丸の中の数字を見た瞬間に「これは継電器だ。しかも何を検出して何をする継電器かまで、番号が教えてくれている」と読めるようになっている。
数字は暗号ではなく「名前」— 制御器具番号という約束事
丸の中の数字の正体は、制御器具番号という。日本電機工業会の規格 JEM 1090 で定められた、番号で機器を呼ぶ約束事だ。図記号(JIS C 0617)が「形」で機器を表すのに対し、制御器具番号は 1〜99 の「番号」で継電器や制御機器を表す。図面のスペースは限られているから、「交流過電流継電器」と毎回書く代わりに、丸に 51 とだけ書けば通じるようにしてある。
だから読み方の第一歩はこれだけでいい——単線結線図で丸の中に数字だけが書かれていたら、それは継電器・制御機器の名前である。単位のない数字は、定格値でも台数でもない。
検出役と実行役 — 51が見つけて、52が切る
番号の中でまず覚えるべきペアが、51 と 52 だ。
52 は交流遮断器(CB)。主回路を実際に開閉・遮断する実行役だ。51 は交流過電流継電器(OCR)。CTの二次電流を監視し、過電流(短絡や過負荷)を検出したら 52 に引外し指令を送る検出役になる。51 自身は主回路を切らない——見つける役と切る役が番号で分かれている、というこの構図が、番号体系ぜんたいの読み方の土台になる。
試験に出る番号を「何を検出して何をするか」で並べる
第一種の配線図問題で問われる範囲は、次の番号でほぼ足りる。名前だけでなく、何を検出して何をするかとセットで持っておく。
| 番号 | 機器 | 何を検出して、何をするか |
|---|---|---|
| 3 | 操作スイッチ | 人の操作で制御回路を入り切りする(検出役ではなく操作用) |
| 27 | 交流不足電圧継電器 | 電圧の低下・停電を検出する。非常用予備発電装置の始動信号などに使われる |
| 51 | 交流過電流継電器(OCR) | 短絡・過負荷の過電流を検出し、52へ引外し指令を送る |
| 51G | 地絡過電流継電器(GR) | ZCTが取り出した零相電流の大きさで地絡を検出する |
| 52 | 交流遮断器(CB) | 引外し指令を受けて主回路を遮断する実行役 |
| 59 | 交流過電圧継電器 | 電圧の上がりすぎを検出する |
| 64 | 地絡過電圧継電器 | 零相電圧の大きさで地絡の発生を検出する |
| 67(67G) | 地絡方向継電器(DGR) | 零相電流と零相電圧の位相から、地絡の方向(構内か構外か)まで判定する。番号の本体67は方向を見る継電器の仲間を表し、地絡用であることを明示するときは補助記号Gを付けて67Gと書く |
| 84 | 電圧継電器 | 電圧の条件で動作する継電器 |
27 と 59 は対で覚える。27 が「足りない」、59 が「行きすぎ」。どちらも電圧系だが動作条件が正反対で、出題者はこの対をよく入れ替えてくる。
地絡の番号は3つある — 51G・64・67 の役割分担
地絡にかかわる番号が 51G・64・67 と3つも出てくるのは、地絡の検出には電流で見る・電圧で見る・向きまで見るという3段階があるからだ。
- 51G(地絡過電流継電器=GR) — ZCTが取り出した零相電流の大きさで判定する。シンプルだが、構外の事故でも流れる充電電流に反応してしまう「もらい動作」がある。
- 64(地絡過電圧継電器) — 零相電圧の大きさで「系統のどこかで地絡が起きた」ことを検出する。電圧は系統全体に現れるため、場所までは分からない。
- 67/67G(地絡方向継電器=DGR) — 零相電流と零相電圧の両方を突き合わせ、位相の関係から地絡が構内か構外かの向きまで判定する。もらい動作を避けたい受電点の保護で使われる。
ここで表記に注意がいる。67は本来「方向を見る継電器」という仲間を表す番号で、51→51Gと同じ理屈で、地絡用であることを明示するときは補助記号Gを付けて67Gと書く。ところが高圧受電設備の図では地絡方向継電器以外の67がまず出てこないため、Gを省いて67とだけ書く資料も多い。67と67Gのどちらの表記も実在するので、選択肢に両方が並んでも「別の機器だ」と考えないこと。試験では「地絡方向継電器を表すのは」と問われたら67・67Gのうち選択肢にあるほうを選べばよい。
この3つの使い分けの背景——ZCTとZPDの仕組み、もらい動作がなぜ起きるか——は地絡保護のトピックで詳しく扱っている。あちらを読んだ人は、GR・DGRという文字記号と51G・67という番号が同じ機器の別の呼び名だと、ここでつながるはずだ。文字記号(OCR・UVR・DGRなど)の体系そのものは文字記号のトピックで整理している。
なお補助記号は文脈で読む必要がある。高圧受電設備の図では G は地絡(Ground)を表す使い方が通例だが、発電機(Generator)回路を表す文脈で使われることもある。番号の本体で仲間を決めてから、図のどこに居るか・何とつながっているかで補助記号の意味を確定させる、という読み順なら迷わない。
番号が読めると、図面の「指令の流れ」が見えてくる
図記号は機器の「形」を教えてくれるが、制御器具番号は機器どうしの「関係」を教えてくれる。丸の 51 と箱の 52 が並んでいたら、そこには「CTが電流を写し取り、51 が監視し、異常なら 52 が切る」という指令の流れが描かれている。67 が ZCT とつながっていたら、その受電設備は地絡の向きまで見て、構外の事故ではむだに停電しない設計になっている——番号が読めるだけで、単線結線図は機器の並び順の絵から、保護の設計図に変わる。
冒頭の丸に書かれた 51 と 27。もう暗号には見えないはずだ。仕上げに理解度チェックで、番号から機器と役割を言い当てられるか確かめてみよう。