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電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 12 / 21

高圧CVケーブルの構造 — 半導電層という黒い層が2つもある理由

読み終えると、こうなる

ケーブルの断面図にある黒い層の1つ1つに、事故を防ぐための役割があると見分けられるようになる。

  • 半導電層を『絶縁を弱めた層』ではなく、導体・遮へいと絶縁体を密着させる下地処理だと見分けられる
  • シースと絶縁体の役割を混同せず、絶縁を担うのは内側の絶縁体だけだと仕分けられる
  • 同じ断面積のケーブルでも、CVTの方が3心一括形より許容電流が大きいとカタログ数値から見抜ける
  • 断面図の三つ葉に黒い層と銅の層があるかどうかだけで、高圧CVTと600V低圧CVTを仕分けられる
考えてみよう

高圧ケーブルの断面を輪切りにすると、絶縁体の内側と外側に「半導電層」という黒い層が1つずつ、合計2つ入っている。電気を通しにくくするための絶縁体のすぐそばに、わざわざ半分電気を通す層を入れるのはなぜか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この2つの黒い層が何を守っているかを説明できるようになっている。

高圧受電設備で使われるCVケーブル(6600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)は、内側から外側に向かって、いくつもの層が同心円状に重なっている。

高圧CVケーブルの断面構造(単心) 導体(円形圧縮より線) 内部半導電層 絶縁体(架橋PE) 外部半導電層 しゃへい層(銅テープ) シース(ビニル) 中心から外へ:導体→内部半導電層→絶縁体→外部半導電層→しゃへい層→シース(自作の断面概念図。破線の層が半導電層)

導体は円形圧縮より線の銅導体。その外側の内部半導電層は、導体表面の凹凸をならし、導体と絶縁体を隙間なく密着させて電界を均一化し、部分放電を防ぐ層だ。さらに外側の絶縁体(架橋ポリエチレン、導体最高許容温度90℃)を挟んで、外部半導電層が絶縁体と遮へい層を密着させ、絶縁体外周の電界を均一化する。

絶縁体の内外面にミクロの凹凸や隙間があると、そこだけ電界が集中して部分放電が起き、絶縁体が内側から少しずつ侵食されて、やがて絶縁破壊に至る。半導電層は、絶縁体を弱める層ではなく、**導体・遮へいと絶縁体を隙間なく密着させる「下地処理」** だ。6600Vのケーブルが何十年も生き続けられるのは、この目立たない2層のおかげだと分かる。

そのさらに外側のしゃへい層(遮へい銅テープ)は接地され、表面を零電位に保つことで電界をケーブル内部に閉じ込める。地絡電流の帰路にもなり、ZCT(零相変流器)による地絡検出を可能にしている。一番外側のシース(ビニル、標準色は黒)は、外傷・湿気・薬品からケーブルを保護する層で、絶縁そのものを担う層ではない。

3心をまとめる3心一括形では、この構造に加えて介在・押さえテープが3心を丸く成形している。これに対してCVTは、単心のCVを3本より合わせたトリプレックス形だ。各心が独立しているため放熱に有利とされ、カタログの数値でもそれが裏づけられる。同一断面積100mm2・周囲温度40℃の条件で、3心一括形の許容電流265Aに対しCVTは310Aと大きく、概算質量も3心一括4330kg/kmに対しCVT4180kg/kmと軽い。関連規格はJIS C 3606。

断面写真でCVTと3心一括形を見分ける — 決め手は「共通シースの有無」

配線図の写真鑑別問題では、この2つの断面図が並んで出題され、選択肢を間違えることがある。決め手は1点だけ、共通のシース(外被)があるかないかだ。

CVT と CV3心(3心一括形)の断面の違い 共通シースなし CVT(トリプレックス形) 単心CV×3を撚っただけ・断面は三つ葉状 共通シース(点は介在物) CV3心(3心一括形) 共通シース+介在物・断面は1つの円 左:CVTは共通シースを持たず、断面は3つの円が接した三つ葉状(自作の模式図)。右:CV3心は3心を1つの共通シースでくるみ、すき間に介在物(黒点)が入るため断面は1つの円になる

CVTは、完成した単心のCVケーブルを3本より合わせただけのもので、3本をまとめて包む共通のシースを持たない。介在物もない。だから断面は3つの円が三つ葉(クローバー)状に接した形になり、外周そのものが円ではない。これに対してCV3心は、3本の絶縁線心を介在物とともに1本にまとめ、共通のビニルシースで覆っているため、断面の外周は1つのきれいな円になる。「まとまっているほうが頑丈そう」という見た目の印象ではなく、共通シースがあるかないか――この1点だけで見分ける。

CVTの各心が「完成した単心のCVケーブル」だという点も、断面の見分けを裏づけている。CVTを構成する1本1本は、導体・絶縁体・遮へい・シースまでを備えた単心CVケーブルそのもので、それぞれが独立して仕上がった状態で3本より合わされている。CV3心のように3心をまとめて包む共通シースが存在しないのは、そもそも各心がすでに個別に完成しているからだ。

遮へい銅テープは「1心ごと」— そして600VのCVTには、そもそも無い

断面図の問題でもう1つ確定させておきたいのが、遮へい銅テープの巻かれ方だ。3心一括形の断面を見ると、3心をまとめて銅テープで巻いてありそうに思えるが、そうではない。メーカーカタログの構造図が示すとおり、導体→内部半導電層→絶縁体→外部半導電層→しゃへい層(遮へい銅テープ)という積み重ねは1心ごとに完結していて、その外側に介在物・押えテープ・共通シースが重なる。3心をまとめて一括で巻く遮へい層は無い。CVTの各心が「完成した単心CV」である以上、銅テープまで各心が自前で持っているのは当然で、3心一括形もこの点では同じ作りになっている。

1. 高圧CV 単心 ― 層の順序 ①導体 ②内部半導電層(黒い層) ③絶縁体(架橋ポリエチレン) ④外部半導電層(黒い層) ⑤遮へい銅テープ(破線) ⑥シース(ビニル) 2. 高圧CVT ― 単心CV×3(トリプレックス形) 各心とも銅テープ(破線)まで自前で持つ=完成した単心CV 共通シースは無く、外周は三つ葉状 3. 高圧CV 3心一括形 ― 銅テープはここでも1心ごと 3心をまとめて巻く銅テープは無い。遮へいは1心ごとで終わる すき間に介在物(黒点)、全体を共通シースで丸く成形(外周は円) 4. 600V CVT(低圧)― 黒い層も銅の層も無い 導体→架橋ポリエチレン→ビニルシースの3層だけ 三つ葉かどうかでは高低圧は決まらない。層の数で見る 高圧CV単心・高圧CVT・高圧CV3心一括形・600V低圧CVTの断面の比較(自作の模式図)。太い黒リングが半導電層、破線リングが遮へい銅テープ。銅テープは3心一括形でも1心ごとに巻かれ、600V CVTには半導電層も銅テープも無い

そしてもう1つ、実戦で取り違えやすいのが600Vの低圧CVTだ。CVTという略称は、6600Vの高圧ケーブルだけでなく、低圧幹線に使う600Vケーブルにも使われる。600V CVTは、導体(円形圧縮より線)→架橋ポリエチレン絶縁体→ビニルシースという3層だけの単心ケーブルを3本より合わせたトリプレックス形で、半導電層も遮へい銅テープも持たない。

なぜ低圧には無いのか。半導電層と遮へいは「高圧だから付く飾り」ではなく、絶縁体にかかる電界が強いから要る構造だ。6600Vでは、絶縁体の内外面のわずかな凹凸に電界が集中して部分放電の起点になるため、密着の下地(半導電層)と、電界をケーブル内部に閉じ込める接地層(遮へい銅テープ)が欠かせない。600Vでは絶縁体にかかる電界がそこまで強くないので、この2種類の層はそもそも必要がない。「電界が強いから層が要る」という順序で覚えておけば、低圧に半導電層を探すことも、高圧の断面を低圧の設問に持ち込むこともなくなる。

断面図で高圧CVTと低圧CVTを見分ける決め手は、三つ葉かどうかではない——どちらも単心3本のより合わせで三つ葉になる。見るのは各心の層の数だ。絶縁体の内外に黒い層(半導電層)があり、銅の層(遮へい銅テープ)が見えれば高圧用。導体・絶縁体・シースの3層だけなら600Vの低圧用。黒い層と銅の層があるかどうか、この1点で決まる。

シールドの接地線は、ZCTの「どちら側」を通すか

高圧ケーブルの遮へい層(シールド)は接地するが、その接地線をZCTのどちら側から取るかで、 地絡が検出できるかどうかが変わる。図の4択で問われるのはここだ。

考え方は1つだけ。ZCTは、窓を貫通する電流のベクトル和を見ている。 正常時は3線の和がゼロで、地絡が起きるとその分だけ和が崩れる——これがZCTの原理だった。

問題は、シールドに流れる電流の扱いだ。地絡電流はシールドを通って接地へ抜けるので、 接地線をZCTの窓の外に出したままにすると、地絡電流の一部がZCTを通らず、検出できない (またはシールドの静電容量電流で誤動作する)。

決まりはこうだ。**ZCTより電源側でシールドを接地する場合は、接地線をZCTの窓に もう一度くぐらせて(折り返して)から接地する。**

こうすると、シールドを流れて戻ってきた電流がZCTの中で往復し、打ち消し合って和がゼロになる。 結果、ZCTが見るのは本当の地絡電流だけになる。

図を4つ並べられたら、見るのは1点。シールドの接地線が、ZCTの窓を通っているかだ。 通っていない図、あるいは通す向きが逆の図は、地絡を正しく検出できない。

CT3個を複線図に開くと、二次側は1点で接地する

単線結線図では1本の線に3個のCTがまとめて描かれるが、複線図に開くと各CTの二次巻線(k-l)が それぞれ計器・継電器につながる。ここで必ず問われるのが、接地をどこに施すかだ。

答えは、二次回路の1点だけをD種接地する。CT1個ごとに接地するのではない。

理由は2つある。1つは、複数点で接地すると接地線を通る循環電流の経路ができてしまい、 測定値が狂うため。もう1つは、二次回路を大地から浮かせたままだと、一次側との間の 静電容量を通じて二次側の電位が上がり、危険だからだ。1点だけ落とすのが、 測定の正確さと安全の両方を満たす形になる。

なお接地種別は、計器用変成器のトピック で扱ったとおり、二次側電路はD種、機器の金属製外箱はA種(電技解釈第28条・第29条)。 複線図の問題では、k側とl側のどちらに接地記号が付いているかまで描き分けられることがあるが、 問われている本質は「1点接地になっているか」だ。接地記号が2つ以上ある図は、その時点で誤り。

ケーブルの断面図が、事故を防ぐ設計図に見えてくる

この層構造が頭に入ると、キュービクルの中で処理されたケーブルの端末を見たときに、「なぜここまで丁寧に段むきにしているのか」が理由つきで分かるようになる。半導電層を削り残せば電界集中の原因になり、遮へい銅テープの接地を忘れれば地絡検出そのものが働かなくなる。

この構造が標準化されているのは、電界集中による絶縁破壊事故が、目に見えない場所で静かに進行する劣化だからだ。層を1つ増やすたびに、過去のケーブル事故の記録に対する答えが積み重なっている。

高圧ケーブルは、太陽光発電所や大型施設への高圧引込、EV充電設備の高圧連系など、これから増えていく高圧設備をつなぐ基本部材でもある。この断面構造を理解していることが、そうした工事の土台になる。

冒頭の「なぜ半導電層が2つも入っているのか」。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 半導電層を絶縁体の一部、または導体の延長だと誤解させる

    なぜ引っかかる『半導電』という名前から、絶縁体を弱めた層・導体を太くした層だと錯覚しやすい

    見破り方半導電層の役割は絶縁を弱めることではなく、導体・遮へいと絶縁体を隙間なく密着させて電界を均一にし、部分放電を防ぐ『下地処理』だと確認する

  2. シースの役割を絶縁機能だと誤解させる

    なぜ引っかかるケーブルの一番外側にある層なので、絶縁の最終防衛ラインだと思い込みやすい

    見破り方絶縁を担っているのは内側の絶縁体(架橋ポリエチレン)であり、シースの役割は外傷・湿気・薬品からケーブルを保護することだと切り分けて考える

  3. CVTは3心一括形より許容電流が小さいと誤答させる

    なぜ引っかかる『3本まとめている一括形の方が太くて頑丈そう』という見た目の印象で判断してしまう

    見破り方同一断面積・同一周囲温度のカタログ数値で比較する。各心が独立しているCVTの方が放熱に有利とされ、許容電流は3心一括形より大きい(例:100mm2・40℃で3心一括265Aに対しCVT310A)

  4. 断面写真からCVTと3心一括形を選ばせる問題で、共通シースの有無ではなく色や太さで見分けさせようとする

    なぜ引っかかる断面の色合い・大きさは製品やメーカーによって差があり、決め手にならない。本当の決め手である『共通シースの有無』を見落とすと、似た見た目の断面図を色や太さの印象だけで選んでしまう

    見破り方断面の外周を見る。外周がデコボコ(3つの円が接した三つ葉状)で共通の外被が無ければCVT。外周が1つのきれいな円で、すき間に介在物が詰まっていれば3心一括形。単心のCVを3本より合わせただけか、3心を1つの共通シースでくるんでいるかという構造の違いがそのまま断面の形に出る

  5. 遮へい銅テープの役割を『絶縁を強化するため』だと誤解させる

    なぜ引っかかる『しゃへい』という言葉の響きから、絶縁を厚くする層だと連想しやすい

    見破り方遮へい銅テープは接地して表面を零電位に保つ層で、電界をケーブル内部に閉じ込めるとともに、地絡電流の帰路としてZCTによる地絡検出を可能にする役割だと確認する

  6. 低圧幹線に使うCVTを問う設問に、高圧CVT(半導電層・銅遮へい付き)の断面を混ぜて選ばせる

    なぜ引っかかる参考書やサイトで高圧CVケーブルの断面ばかり学ぶと、『CVT=半導電層と銅テープのある三つ葉』と覚えてしまう。ところがCVTという略称は600Vの低圧ケーブルにも6600Vの高圧ケーブルにも使われるため、低圧幹線の設問に高圧の断面を選んでしまう

    見破り方三つ葉かどうかでは高低圧は決まらない——どちらも単心3本のより合わせで三つ葉になる。見るのは各心の層の数だ。絶縁体の内外に黒い半導電層があり銅の遮へい層が見えれば高圧用、導体→架橋ポリエチレン→ビニルシースの3層だけなら600Vの低圧用。半導電層と遮へいは電界が強いから要る構造であって、600Vにはそもそも入っていない

参考文献・出典

  • フジクラ・ダイヤケーブル 6600V CV/CVTカタログ (構造図(導体・半導電層・絶縁体・半導電層・しゃへい層・シース)、JIS C 3606、導体最高許容温度90℃、単心・3心一括・CVTの許容電流と質量の比較表(100mm2・周囲40℃)。3心の構造図では半導電層・しゃへい層が線心ごとに描かれ、その外側に介在・押えテープ・共通シースが重なる)
  • SFCC(SWCC坂東)6600V CV/CVT 製品ページ (CVTは単心3本をより合わせたトリプレックス形である旨、絶縁体許容温度90℃)
  • SFCC(SWCC坂東)600V CV/CVD/CVT/CVQ 製品ページ (600V CVTは600Vの単心CVケーブルを3条より合わせたトリプレックス形である旨、構造(導体・架橋ポリエチレン絶縁体・ビニルシース)、用途(600V以下の電力用))

理解度チェック(7問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、7問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 7 問正解

覚えておきたいポイント

  1. CVケーブルは内側から、導体→内部半導電層→絶縁体(架橋ポリエチレン)→外部半導電層→しゃへい層(遮へい銅テープ)→シースという順の同心構造になっている
  2. 半導電層は、導体・遮へい層と絶縁体を隙間なく密着させて電界を均一化し、部分放電を防ぐための層
  3. しゃへい層(遮へい銅テープ)は接地して表面を零電位に保ち、電界をケーブル内部に閉じ込める。地絡電流の帰路にもなりZCTによる地絡検出を可能にする
  4. CVTは単心のCVを3本より合わせたトリプレックス形。同一断面積・同一周囲温度の条件でカタログ数値を比べると、3心一括形より許容電流が大きく、質量も軽い
  5. 断面図でCVTと3心一括形を見分ける決め手は『共通のシースがあるかないか』。CVTは単心3本をより合わせただけで共通シースがなく断面は三つ葉状。3心一括形は3心を1つの共通シースでまとめ、すき間に介在物が入るため断面は1つの円になる
  6. 遮へい銅テープは3心一括形でも1心ごとに巻かれる。3心をまとめて巻く一括の遮へい層は無く、各線心の遮へいの外側に介在物・共通シースが重なる
  7. 600V CVT(低圧)は導体→架橋ポリエチレン→ビニルシースの3層だけで、半導電層も遮へい銅テープも無い。三つ葉かどうかでは高低圧は決まらず、黒い層と銅の層の有無で見分ける
  8. 架橋ポリエチレン絶縁体の導体最高許容温度は90℃。関連規格はJIS C 3606
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