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電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 18 / 21

測定器・試験装置の写真鑑別 — 盤面の計器が名前を言っている

読み終えると、こうなる

灰色の箱にメータとつまみが並んだ試験器の写真を見たとき、盤面の計器の単位だけで『何の試験のための装置か』を言い当てられるようになる

  • 試験器の盤面に位相計(φ)を見つけた瞬間に、継電器試験装置だと断定できる
  • kV計とmA計の組み合わせから、絶縁耐力試験装置(試験電圧と漏れ電流の監視)だと読み取れる
  • 銘板のkV・kVA・mA表記から、計器を持たない箱が耐圧試験用の変圧器だと見分けられる
  • 接地抵抗計を、E・P・Cの3端子と補助接地棒2本という付属品から、絶縁抵抗計と取り違えずに選べる
考えてみよう

竣工検査の問題で、試験器の写真が4枚並んでいる。どれも灰色の箱で、メータが並び、つまみがあり、太いコードが出ている。問われているのは「地絡継電装置の動作特性試験に用いるもの」。継電器の試験が何をするものかは説明できる。それなのに、4枚のどれがその装置なのかが決められない。

機能の知識と、外観の知識。この2つは別々に頭に入っていて、写真の前では機能の知識が役に立たない——そんな経験をした受験者は多いはずだ。

見当がつかなくて当然だ。実は試験装置の盤面は、計器の単位という形で自分の名前を言っている。読み終えるころには、4枚の盤面がそれぞれ別の言葉を話していることが分かるようになっている。

盤面の計器は、用途の言い換えになっている

試験装置の外箱は、どのメーカーもよく似た灰色の箱だ。箱の形・大きさ・色から入ると、写真鑑別は運任せになる。だが試験装置には、機器の鑑別と決定的に違う点が1つある。測るもの・出すものが、そのまま盤面に計器として並んでいることだ。

継電器の動作を試験する装置なら、注入する電圧と電流、そして位相を監視する計器が要る。絶縁耐力を試験する装置なら、かけている試験電圧(kV)と流れる漏れ電流(mA)を監視する計器が要る。つまり、盤面の計器の単位を読めば、その装置が何を測り・何を出すのか——すなわち何の試験のための装置なのかが、そのまま書いてある。

**位相計(φ)があれば継電器試験装置、kV計とmA計なら絶縁耐力試験装置。** この一行が、盤面鑑別の背骨になる。位相という量を扱う必要があるのは、電圧と電流の位相関係で動作を判定する継電器(方向性の地絡継電器)を試験する装置だけだ。kVという単位が要るのは、数千〜1万V級の試験電圧をかける装置だけだ。単位は用途の言い換えであり、箱の形よりずっと正直に名前を教えてくれる。

継電器試験装置 — V・A・φと、msを刻むカウンタ

GR付PASやUGSの制御装置に入っている地絡継電器、キュービクルの過電流継電器(OCR)。これらが整定値どおりに動くかを確かめるのが継電器試験装置だ。試験装置は継電器に電圧と電流を注入し、継電器が動作するまでの動作時間をms単位のカウンタで計測する。メーカーの製品仕様では、電流出力AC0〜50A、カウンタは0〜199.999秒・分解能1msといった構成が確認できる。

盤面の決め手は3つ揃っている。電圧計(V)・電流計(A)に加えて位相計(φ)があること。動作時間を表示するカウンタがあること。そして電圧・電流という2系統の交流出力(交流電源が2つ)を持つことだ。位相が要るのは、方向性地絡継電器が零相電圧と零相電流の位相関係で構内・構外の事故を判定するからで、試験ではこの位相関係を再現してやる必要がある。他の試験装置の盤面に位相計は現れない——だから「φを見つけたら継電器試験装置」で断定してよい。

絶縁耐力試験装置と試験用変圧器 — kV計・mA計と、銘板だけの箱

受電開始前の絶縁耐力試験(試験電圧・時間の計算は絶縁耐力試験で扱った)に使う装置は、盤面がkV計とmA計の組になっている。kV計はかけている試験電圧、mA計は被試験物に流れる漏れ電流の監視用だ。継電器試験装置との違いは一目で出る——単位がkVとmAで、位相計が無い。

そしてこの試験には、もう1つ紛らわしい箱が登場する。耐圧試験用の変圧器だ。メーカーの製品構成では、kV計・mA計を備えた操作部(試験器本体)と、高電圧を作る変圧器が別の箱に分かれていて、変圧器側の定格は出力電圧0〜12000V・容量2〜5kVA・電流167〜417mAといった値になる。変圧器の箱には計器もつまみも無く、銘板に出力電圧(kV)・容量(kVA)・最大電流(mA)が書かれているだけだ。写真でこの銘板の3点セットを見つけたら、それは試験装置の本体ではなく変圧器だと読む。

試験装置は盤面の計器で切り分ける 継電器試験装置 V A φ 0.000s 絶縁耐力試験装置 kV mA 耐圧試験用変圧器 12 kV 5 kVA max 417 mA V・A・φ+動作時間 交流電源2つ(電圧・電流) kV計とmA計 試験電圧と漏れ電流を見る 銘板にkV・kVA・mA 盤面に計器を持たない 位相計(φ)があれば継電器試験、kV計とmA計なら絶縁耐力試験 3つの箱の盤面の違い(自作の模式図)。位相計という計器が載るのは継電器試験装置だけで、耐圧試験用の変圧器は計器を持たず銘板の定格だけが手がかりになる

現場の測定器 — 付属品が名前を言っている

試験装置ほど大きくない、手のひら〜弁当箱サイズの測定器も、写真では互いによく似る。ここでは盤面の単位に加えて、付属品が決め手になる。

絶縁抵抗計は、絶縁抵抗をで測る計器だ。表示部の単位がMΩであればこれに決まる。本体からは、手元で測定を開始できるリモートスイッチ付きのプローブ(ライン側)と、アース側のクリップが出る。測定電圧(125V・250V・500Vなど)を切り替えるレンジをもつ。

接地抵抗計は、接地抵抗をΩで測る計器で、決め手はE・P・Cの3端子と、地面に打ち込む補助接地棒2本、そして長さの違うコード(赤20m・黄10m)という付属品の組み合わせだ。測定原理上、接地極から距離をとって電位用・電流用の補助極を打つ必要があるため、この「地面に打つ道具」が必ず付いてくる。絶縁抵抗計との混同は、この付属品を見れば起きない。

クランプ形漏れ電流計(リーククランプメータ)は、開閉式のクランプで電線をまとめて挟み、漏れ電流をmAレンジ(AC20mA/200mAなど)で読む。負荷電流用のクランプメータと形は同じでも、mAという細かいレンジをもつことが漏れ電流用の決め手になる。

高圧検電器は、伸縮式の絶縁棒の先端に検知部をもち、充電中は音と光で知らせる。高低圧両用のものは縮めて低圧・伸ばして高圧と使い分け、AC80V〜7000V程度をカバーする。棒が1本で「充電の有無」だけを見るのが検電器、絶縁棒のプローブを複数本使って「相順」を見るのが高圧用検相器で、検相器の外観は工具と材料の鑑別で扱った。絶縁耐力試験の手順に登場する機器・しない機器の仕分けも同トピックにある。

単位と付属品を1点ずつ並べる

装置・測定器写真上の決め手(1点)混同しやすい相手
継電器試験装置盤面にV・A・φ(位相計)と動作時間カウンタ。電圧・電流の交流出力2系統絶縁耐力試験装置(kV計とmA計。位相計が無い)
絶縁耐力試験装置盤面がkV計とmA計の組。試験電圧と漏れ電流を監視する継電器試験装置(φがある)/耐圧試験用変圧器(計器が無い)
耐圧試験用変圧器計器もつまみも無く、銘板に出力電圧kV・容量kVA・最大電流mA絶縁耐力試験装置の操作部(kV計・mA計が並ぶ側)
絶縁抵抗計表示の単位がMΩ。リモートスイッチ付きプローブとアースクリップ接地抵抗計(Ω表示・E・P・C端子)
接地抵抗計E・P・Cの3端子+補助接地棒2本+赤20m・黄10mのコード絶縁抵抗計(補助接地棒が無い)
クランプ形漏れ電流計開閉式クランプに、mAの細かいレンジ(AC20mA/200mA)負荷電流用クランプメータ(mAレンジをもたない)
高圧検電器伸縮式の絶縁棒1本。先端の検知部が音と光で充電を知らせる高圧用検相器(絶縁棒プローブを複数本使い相順を見る)
決め手はいずれもメーカーの公式製品情報・カタログで構成を確認できたものに限っている。継電器試験装置・耐圧試験装置は製品によって盤面の配置が異なるため、位置ではなく計器の単位と付属品を決め手としている。

盤面を読む目は、試験成績書を読む力になる

単位で装置を見分ける習慣は、試験そのものの理解を裏側から支えてくれる。kV計とmA計の組を見て「電圧をかけて漏れを見張る試験だ」と読めるということは、絶縁耐力試験の本質を外観から言い直せているということだ。位相計を見て「方向を判定する継電器の試験だ」と読めれば、地絡保護の仕組みの復習にもなっている。

今日試せることが1つある。自家用電気工作物の年次点検や竣工検査の試験成績書を見る機会があれば、測定項目の単位(MΩ・Ω・mA・kV・ms)を拾ってみるといい。単位の1つ1つが、この章で見分けた測定器・試験装置のどれかと1対1で対応している。成績書は、装置たちの仕事の記録そのものだ。

この読み方は、これから増える仕事でそのまま使える。太陽光発電の連系や自家用設備の更新では、使用前の絶縁耐力試験も、保護継電器の動作特性試験も、件数ごと繰り返し発生する。試験を発注する側に回っても、報告書を受け取る側に回っても、「どの装置で何を測った数字なのか」を単位から逆引きできる人は、話が速い。

冒頭の4枚の写真。機能は言えるのに選べなかった試験器を、盤面のどこを見れば数秒で絞れたのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 地絡継電装置の動作特性試験に使う装置を問い、選択肢に絶縁耐力試験装置の盤面(kV計とmA計)を混ぜる

    なぜ引っかかるどちらも灰色の箱にメータとつまみが並ぶ『試験装置』で、竣工検査・年次点検という同じ場面に登場する。機能の知識(継電器の動作を試験する)はあっても、その機能が盤面のどの計器に表れるかを知らないと、箱の印象だけで選ぶことになる

    見破り方盤面の計器の単位を読む。電圧計(V)・電流計(A)に加えて位相計(φ)があり、動作時間のカウンタと電圧・電流の交流出力を備えていれば継電器試験装置。kV計とmA計の組み合わせなら絶縁耐力試験装置。『位相計があれば継電器試験、kV計とmA計なら絶縁耐力試験』の一行で切る

  2. 銘板にkV・kVA・mAが書かれた計器の無い箱を、試験装置の本体だと誤答させる

    なぜ引っかかる耐圧試験は『試験装置』という1つの箱で完結すると思い込んでいると、操作部(計器とつまみ)と高電圧を作る変圧器が別の箱に分かれている構成を知らず、変圧器単体の写真を装置本体として読んでしまう

    見破り方計器とつまみが並んでいるかを見る。銘板に出力電圧(kV)・容量(kVA)・最大電流(mA)だけが書かれ、盤面に計器の無い箱は耐圧試験用の変圧器。kV計・mA計・タイマーの並ぶ箱が操作部(試験器本体)で、両者は組み合わせて使う

  3. 絶縁抵抗計と接地抵抗計を、どちらも『抵抗を測る小型の測定器』という共通点だけで混同させる

    なぜ引っかかる名前が2文字しか違わず、どちらも手のひらに載る箱形の測定器で、竣工検査の場面に両方登場するため、外観の違いを意識せずに覚えてしまう

    見破り方付属品を見る。E・P・Cの3端子に、地面に打ち込む補助接地棒2本と長さの違うコード(赤20m・黄10m)が付いていれば接地抵抗計。表示がMΩで、リモートスイッチ付きのプローブとアース側クリップの2本構成なら絶縁抵抗計。補助接地棒という『地面に打つ付属品』は接地抵抗計にしか無い

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 試験装置の写真は盤面の計器の単位で切り分ける。位相計(φ)があれば継電器試験装置、kV計とmA計なら絶縁耐力試験装置——この一行が4択を2択に、2択を1択にする
  2. 継電器試験装置は、電圧・電流の交流出力(交流電源2系統)を継電器に注入し、動作時間をms単位のカウンタで計測する。盤面には電圧計・電流計・位相計が並ぶ。方向性の地絡継電器は電圧と電流の位相関係で動作を判定するため、位相を扱えるのはこの装置だけになる
  3. 絶縁耐力試験装置の盤面はkV計(試験電圧)とmA計(漏れ電流)。組み合わせて使う耐圧試験用の変圧器は、計器を持たない箱で、銘板に出力電圧(kV)・容量(kVA)・最大電流(mA)が書かれている
  4. 絶縁抵抗計はMΩを測る計器でリモートスイッチ付きプローブが付く。接地抵抗計はE・P・Cの3端子に補助接地棒2本と長さの違うコード(赤20m・黄10m)が付属する。クランプ形漏れ電流計はmAレンジ(AC20mA/200mA)をもつ開閉式のクランプ
  5. 高圧検電器は伸縮式の絶縁棒の先端に検知部をもち、音と光で充電の有無を知らせる(AC80V〜7000V級)。相順を確認する検相器(高圧用は絶縁棒プローブ複数本)とは、棒の本数と目的が違う
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