電柱を見上げると、円盤形のがいしが何枚も連なって電線にぶら下がっている箇所と、同じ円盤形なのに水平に一直線に並んでいる箇所がある。同じ部品に見えるのに、なぜ向きが違うのか。
天井から吊られた平たい金属の箱、黒く太いゴムの電線、円すい形の刃を持つ小さな工具。どれも「見たことがある気がする」のに、名前が出てこない。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、これらの工具・材料を、動作や断面の形という1点から言い当てられるようになっている。
がいしは「吊るか・引くか・載せるか」で見分ける
送電・配電の現場に立つがいしには、同じひだ付きの円盤形をしていても、電線に対する向きがまったく違う3種類がある。
懸垂がいしは、ひだ付きの円盤形を金具で鎖のように連結し、腕金から垂直に吊り下げて電線をぶら下げる。耐張がいしは、同じ円盤連結の構造だが水平方向に引っ張られて使われ、電線を引き留める箇所(引留柱・角度柱)に付く。ピンがいしは、笠を重ねたような磁器を腕金上のピン(ボルト)に立て、電線を頂部の溝に載せてバインド線で縛る。
バスダクト — 断面の形が電線管と決定的に違う
バスダクトは、断面が長方形の金属製ダクト(鋼板またはアルミ)の中に、帯状の銅・アルミ導体(バー)を絶縁して収めた幹線材だ。電線管と違い断面が平たく大きい箱状で、一定間隔のボルト締めフランジ(接続部)とハンガーで天井から吊られる。大電流の幹線(低圧幹線)に使われ、分岐用のプラグインホールが側面に並ぶ製品もある。
KIP — 黒く太い単心電線と、使われる場所
KIP(高圧機器内配線用EPゴム絶縁電線)は、絶縁体がエチレンプロピレンゴム(EPゴム)の単心電線だ。導体は軟銅より線で、より線構造のため可とう性が高く盤内の取り回しが容易になる。定格は公称6.6kVで、キュービクル式受電設備内の高圧配線(変圧器一次側・LBS・PF等の機器間接続)に使われる。シースはなく絶縁体一層の単心電線である点も、外観上の特徴だ。
写真上の決め手は、黒く太い単心で表面がゴム質、細い素線の集合より線で柔らかいという質感と、盤内の機器間をつなぐ短い配線として使われているという設置場所の2点だ。低圧用のゴム絶縁電線と外観だけでは紛れやすいが、公称6.6kVというキュービクル内高圧配線専用の用途とセットで確認すれば見分けられる。
金属管の切断・面取り工具
金属管の切断は金切りのこ(弓形フレームに細い刃)または高速切断機で行う。管はパイプバイス(三脚上の万力)で固定する。切断後のバリ取り・内面の面取りにはリーマ(円すい形の刃)を使い、クリックボール(手回しの曲がったハンドル)に取り付けて管端に差し込んで回す。ねじ切りはリード型ねじ切り器(ラチェットハンドルにダイス)で行う。「円すい形の刃=リーマ=管端の面取り」が写真鑑別の定番だ。
高圧ケーブルの端末処理に使う工具群
高圧ケーブルの端末処理では、太い導体の圧縮に油圧式圧縮工具、太いケーブルの切断にケーブルカッタ、端子や母線の締結にトルクレンチを使う。これらの役割は高圧で使う検電器・放電棒・短絡接地器具で扱っており、手動油圧式の工具のヘッド形状の見分け方(圧着器は平らな型面、カッタは三日月形の刃)は第二種電気工事士の写真鑑別がそのまま使える。圧縮端子の施工跡が六角形になる理由は高圧機器・工具の写真鑑別で扱った。
ここで新たに押さえておきたいのがケーブルストリッパだ。高圧CVケーブルの端末処理では、絶縁体の外側にある外部半導電層を、絶縁体を傷つけずに除去する必要がある(半導電層の役割は高圧CVケーブルの構造で扱った)。ケーブルストリッパは、刃の深さを調整できる機構を持ち、ケーブルを挟んで回転させることで、円周方向(輪切り)・軸方向(縦切り)にコントロールされた深さで被覆を切り開く専用工具だ。
4本並んだら「ヘッド→握り→ホース」の順で見る
端末処理の工具が4枚並ぶ問題では、本体のシリンダとハンドルがどれも似ている。第二種で使った「ヘッドの中身だけを見る」作法に、第一種では握りとホースという着眼点がもう1段加わる。ヘッド分離式という、第二種には出てこなかった構成があるからだ。
油圧式圧縮工具(一体型)は、筒状の油圧シリンダに2本のハンドルが付き、ヘッドの開口部にダイス(圧縮用の型)が向かい合う。ダイスが見えた時点で圧縮工具に決まり、圧縮端子を六角形に圧縮する(施工跡が六角形になる理由は高圧機器・工具の写真鑑別で扱った)。
手動油圧ポンプ(ヘッド分離式)は、写真では黒いゴム握りのハンドルが付いた、筒状の金具に見える。先端にダイスも刃も無く、高圧ホースの接続口だけがある。これは単体では何も切れず圧縮もできない「油圧の源」で、高圧ホースの先の圧縮ヘッドやカッタヘッドとつないで初めて仕事をする。メーカーの分類でも、一体型の「手動油圧式工具」とは別に「油圧ヘッド分離式」という独立のカテゴリが立てられている。
油圧式ケーブルカッタは、開口部に湾曲した刃をもち、ダイスは無い。ワイヤロープ・丸棒・より線・各種ケーブルを切断する工具で、メーカーの製品情報にはピアノ線・PC鋼線は切断できないと明記されている。ヘッド分離式のカッタでは、この刃のヘッドが手動油圧ポンプと高圧ホースでつながる。
トルクレンチは、油圧シリンダもダイスも刃ももたない締付け専用の工具だ。端子や母線のボルトを規定のトルクで締めるために使う。
「この作業に使用しないものはどれか」という否定形で問われたら、各工具をできない作業で消していく。ダイスの無い工具では導体を圧縮できない。刃の無い工具ではケーブルを切断できない。ケーブルストリッパの刃は被覆を削る深さ調整用で、導体の圧縮・切断には使わない。トルクレンチは締め付けるだけ。1本ずつ「できない作業」を言えるようにしておくと、否定形の出題でも消去法が機械的に回る。
最後に、受電開始前の竣工検査で使う絶縁耐力試験装置にも触れておく。試験用の変圧器と操作盤を1つの持ち運び可能な箱に収めた機器で、正面にミラー付き可動コイル形の電圧計・電流計と、試験時間を設定するタイマーが並ぶ。試験電圧・時間の計算そのものは絶縁耐力試験で扱ったとおりで、ここで確認したいのは外観だ。高圧電路につなぐケーブルの先には、感電防止のための操作棒が付いた出力端子があり、タイマーが設定時間に達するとブザーで知らせる構造になっている。継電器試験装置や耐圧試験用変圧器との盤面の見分け方は測定器・試験装置の写真鑑別で扱っている。
検相器 — 長い絶縁棒か、コード先のクリップか
三相の相順(回転方向)を確認する検相器にも、電圧クラスで外観がはっきり分かれる2種類がある。
高圧用検相器は、絶縁棒(プローブ)の先端に電極フックが付いたものを相数分用い、プローブ間を光ファイバケーブルまたは無線でつないで表示器で相順を確認する。長い絶縁棒を使うのは、充電中の高圧電路(3.3〜6.6kV)に直接触れずにプローブを当てるためだ。低圧用検相器は、手のひらサイズの本体から3本のコードが出て、先端の色分けクリップ(赤・青・白等)を三相電源に接続し、回転表示・LED・ブザーで相順を示す。
コンセントの種別 — 差込口で分かれるものと、分かれないもの
コンセントの種別は、差込口(刃受)の形で見分けられるものと、見分けられないものに割れる。写真鑑別では、この線引きを先に持っておくかどうかで正答率が変わる。
接地極付は、通常の平行刃受2つの下に、頭が半円で下が直線的なD形の接地極穴が1つ追加され、穴が3つになる。防雨形は自閉式のカバー(フード)付きで屋外の壁面に付く。20A形は刃受の一方が横向き(L形)になる。ここまでは写真だけで分かれる。
分かれないのが、抜け止め形(LK)と引掛形(T)だ。どちらも差込口が円形で、円周上に弧状の開口が並ぶ。しかも弧の本数を動かしているのは接地極の有無のほうで、2極抜止形15A125V(JIS C 8303:2007 図A.6)も2極引掛形15A125V(図A.20)も弧2本、接地極が付くと抜止形(図A.17)も引掛形(図A.23)も開口3つになる。
電気工事用の車両 — ブームとバケットが決め手
架空配電線路の工事・保守点検には、電気工事用の高所作業車が使われる。トラックのシャシに旋回式の伸縮ブームを載せ、先端に作業員が乗るバケット(かご)が付いた車両で、電気工事仕様(電工仕様)はブーム先端・バケットが絶縁仕様になっている。写真ではブーム+バケットの組み合わせが決め手だ。
クレーン車(つり上げ用フックのみでバケットが無い)や、穴掘建柱車(オーガ=螺旋ドリルと柱つり装置が付き、電柱を建てる作業専用)と区別する。労働安全衛生法令上、作業床の高さが10m以上の高所作業車の運転には技能講習の修了が必要で、10m未満は特別教育で足りる。
絶縁耐力試験に使う機器・使わない機器
竣工検査で行う絶縁耐力試験には、決まった機器の組み合わせが登場する。使う機器は、試験用変圧器(最大使用電圧の1.5倍の試験電圧を発生させる)、ケーブルが長い場合に充電電流を打ち消す補償リアクトル、水抵抗器等の限流抵抗、電圧計・電流計、試験の前後に絶縁抵抗を確認する絶縁抵抗計、無電圧を確認する検電器、試験後に残留電荷を放電する放電棒だ。
動作の違いという1点を、言葉にして持ち帰る
| 工具・材料 | 写真上の決め手(1点) | 混同しやすい相手 |
|---|---|---|
| 懸垂がいし | ひだ付き円盤の連結が腕金から垂直に吊り下がる | 耐張がいし(水平に連なる) |
| 耐張がいし | ひだ付き円盤の連結が電線の延長線上に水平に並ぶ | 懸垂がいし(垂直に吊り下がる) |
| ピンがいし | 磁器が腕金上のピンに立ち、電線を頂部の溝に載せてバインド線で縛る | 懸垂・耐張がいし(円盤の連結を持たない) |
| バスダクト | 断面が長方形の平たい箱状で、帯状の導体を収める | 電線管(断面が円形) |
| KIP | 黒く太い単心のゴム絶縁電線。公称6.6kVのキュービクル内高圧配線に使用 | 低圧用ゴム絶縁電線(外観だけでは紛れやすい) |
| リーマ | 円すい形の刃。クリックボールに取り付けて管端の面取りに使う | 金切りのこ・ねじ切り器(切断・ねじ切り専用で面取りはしない) |
| ケーブルストリッパ | 刃の深さを調整できる機構を持ち、輪切り・縦切りができる | 電工ナイフ(深さ調整の機構を持たない) |
| 油圧式圧縮工具(一体型) | 筒状のシリンダ+2本ハンドル。ヘッドの開口部にダイス(圧縮用の型) | 油圧式ケーブルカッタ(ダイスではなく湾曲した刃) |
| 手動油圧ポンプ(分離式) | 黒いゴム握り付きの筒状金具。先端はダイスも刃も無くホース接続口だけ | 一体型の圧縮工具・カッタ(先端にダイスや刃がある) |
| 油圧式ケーブルカッタ | 開口部に湾曲した刃。ダイスは無い(ピアノ線・PC鋼線は切断不可) | 油圧式圧縮工具(刃ではなくダイス) |
| トルクレンチ | 油圧シリンダもダイスも刃も無い。締付け専用 | 圧縮・切断の工具(ヘッドに仕事をする部品が付く) |
| 絶縁耐力試験装置 | 試験用変圧器+操作盤の箱。電圧計・電流計・タイマーが正面に並ぶ | 絶縁抵抗計(別トピックで扱う小型の測定器) |
| 検相器(高圧用) | 長い絶縁棒の先端の電極を電路に当て、光ファイバでつないで相順を見る | 検相器(低圧用。コード先のクリップで接続) |
| 検相器(低圧用) | 手のひらサイズの本体から3本のコード、先端に色分けクリップ | 検相器(高圧用。長い絶縁棒プローブ) |
| 抜け止め形コンセント(LK) | 差込口は円周上の弧状。普通の平行刃プラグをそのまま差して回す。器具に「抜止」表示があるものが多い | 引掛形(差込口の姿はほぼ同じ。分けるのはプラグ側) |
| 引掛形コンセント(T) | 差込口は円周上の弧状。刃そのものが円弧にわん曲した専用プラグを使う | 抜け止め形(差込口の姿はほぼ同じ。迷ったら図記号のLK/Tに戻る) |
| 電気工事用高所作業車 | 旋回式の伸縮ブーム+絶縁仕様のバケット(かご) | クレーン車(フックのみ)・穴掘建柱車(オーガ付き) |
操作するものと、知らせるもの — 制御盤の面の部品
制御盤の扉に並ぶ丸い部品は、写真だと似て見える。だが役割は操作する側と 知らせる側にはっきり分かれていて、外観にもその差が出ている。
| 部品 | 何をするもの | 外観の決め手 |
|---|---|---|
| 押しボタンスイッチ | 押して操作する | 中央が押し込める丸いボタン。押すと沈み、指の腹で押す面がある |
| セレクタスイッチ | ひねって切り換える | つまみ(レバー)が付いていて、回す向きに位置が刻まれている |
| 表示灯(パイロットランプ) | 状態を知らせる | 押せない・回せない。平らか、わずかに膨らんだレンズ。内部にランプが入るので半透明 |
表示灯は「見せる」ためのものなので、光を通す必要がある。だから面が半透明の 乳白色や着色レンズになっていて、金属光沢のあるボタンとは質感が違う。 裏面を見れば、表示灯にはランプまたはLEDを入れるソケットが付く。
なお表示灯の色は、赤=運転中・緑=停止中という使い分けが多いが、これは慣用であって 規格で一律に固定されているわけではない。色で機能を断定しないこと。
機器は「どこに置かれるか」で選ばれている
写真の品物について「一般的にどの場所で使用されるか」を問う形式がある。 選択肢には低温室・防爆室・フリーアクセスフロア内・天井内のような設置場所が並ぶ。
これは機器の名前を当てる問題ではなく、その構造が何から守るために付いているかを読む問題だ。
| 見えている特徴 | 想定している場所 |
|---|---|
| 分厚い金属の外箱、太いボルトが並ぶ、ねじ込み式の管接続口 | 防爆室(耐圧防爆構造。内部で爆発しても外へ火炎を出さない) |
| 結露・氷結を防ぐヒーター内蔵、厚い断熱、密閉パッキン | 低温室 |
| 薄型で床に伏せる形、上面がフラット、抜け止め付きコンセント | フリーアクセスフロア内(OA床の下) |
| 軽量な樹脂ボックス、点検口から手が届く前提の簡易な蓋 | 天井内(点検できる隠ぺい場所) |
極端に頑丈で重い=爆発の圧力に耐える必要がある=防爆。 密閉されていて断熱・ヒーターがある=温度から守る=低温室。 薄くて平ら=限られた高さに収める=床下・天井内。
構造は目的の裏返しなので、「これは何から守っているのか」を1つ決めれば場所が決まる。 機器名を思い出せなくても、この問いだけで選択肢を2つに絞れる。
工具と材料は「対」で覚える — 高圧配電線工事
工具の写真と材料の写真を並べ、組合せとして正しいものを選ぶ形式が出る。 単体で名前が言えても、相方が違えば不正解になる。用途で対にしておく。
| 工具 | 何をするもの | 対になる材料 |
|---|---|---|
| 張線器(シメラー) | 電線を引っ張って張力をかける。ラチェットで少しずつ締め上げる | より線用クリップなど、張った線を留める金具 |
| 油圧式圧縮工具 | 大きな力でスリーブを圧縮する。手では潰せない太い導体用 | 圧縮スリーブ(圧縮端子・分岐スリーブ) |
| 手動圧着工具(黄色の柄) | リングスリーブを圧着する | リングスリーブ |
| ボルトクリッパ | 太い電線・ボルトを切断する | — (切る道具なので材料と対にならない) |
たとえば「張線器 + 圧縮スリーブ」は、張る道具と、圧縮される材料なので対にならない。 「油圧式圧縮工具 + Uボルト」も、圧縮する道具と、締め付けて使う金具なので噛み合わない。 動詞が一致しない組合せは、名前を知らなくても消せる。
高圧ケーブルの端末処理 — 使う工具と、紛れ込む工具
端末処理(ターミネーション)は、ケーブルの端を段階的に剥いて、 半導電層・遮へい層・絶縁体をそれぞれ所定の寸法で処理する作業だ。 だから使う工具は「切る」「剥く」「締める」の3種類に収まる。
| 工程 | 使う工具 |
|---|---|
| ケーブルを切断する | ケーブルカッタ(ラチェット式・鉤形の刃) |
| 外装・絶縁体を剥ぐ | ケーブルストリッパ、電工ナイフ |
| 端子を圧縮する | 油圧式圧縮工具 |
| ボルトを規定トルクで締める | トルクレンチ |
- パイプカッタ(管用カッタ) … 金属管を切る道具。ケーブルには使わない
- リーマ・ねじ切り器 … 管の内側を仕上げる/ねじを切る。管工事の道具
- 電動ドリル等のコード付き電動工具 … 穴あけの道具で、端末処理の工程には出てこない
判定は「その道具は、ケーブルに触れる道具か、管に触れる道具か」の1点。 端末処理はケーブルだけを相手にする作業なので、管を相手にする道具が混じっていたら、 それが答えになる。名前が分からなくても、刃の形が「筒を挟んで回す」形をしていれば 管用だと判断できる。
ケーブルを「引く」ための工具 — 加工の工具とは別の一群がある
工具の写真鑑別でつまずきやすいのが、ケーブルを延線する(引っ張って敷設する)ための道具だ。切る・曲げる・むくといった加工の工具とは目的が違うので、同じ棚に並べて覚えていると、選択肢に混ざったときに反応できない。
| 工具 | 何をする | 外観の決め手 |
|---|---|---|
| ケーブルジャッキ | ケーブルドラムを持ち上げ、回せる状態にする | 左右一対で使う。ドラムの軸を通すシャフトと、高さを上げるジャッキ機構(ねじ式・油圧式)を持つ |
| 延線ローラ | 引いていくケーブルを受けて転がす | 車輪(ローラ)が並んだ台。ケーブルラックや管路の入口に一定間隔で置く |
| パイプベンダ | 金属管を曲げる | 長い柄と、管を受ける半円形の溝を持つヘッド |
| ワイヤストリッパ | 電線の絶縁被覆をむく | 口の内側に電線サイズごとの半円の溝が段違いに並ぶ |
見分けの軸は「ケーブルに触れて動くのはどこか」だ。ジャッキはドラムを持ち上げる(ケーブルそのものには触らない)。ローラはケーブルの下で転がる。ベンダは管を相手にする。ストリッパは電線1本を相手にする。相手が違うのだから、写真に写る大きさもまるで違う——ジャッキとローラは両手で運ぶ据え置きの道具、ベンダとストリッパは手に持つ工具だ。
電動機の中身を、写真の位置関係で言えるようにする
三相誘導電動機を切断した写真に矢印が引かれ、「この部分の名称はどれか」と問われることがある。原理(すべり・回転磁界)は知っていても、どこに何があるかを言葉にしていないと答えられない。
外側から順に見ていく。
- 外枠(フレーム) — 外周のひだ(放熱フィン)が並ぶ筒。銘板が貼られている
- 固定子(ステータ)巻線 — フレームのすぐ内側、円筒の内壁に沿って並ぶコイル。電源につながっているのはこちらで、回転磁界を作る
- 回転子(ロータ) — その内側にある円柱。かご形なら鉄心に導体バーが埋め込まれ、両端が短絡環でつながる。電源とはつながっていない
- 回転軸(シャフト) — 回転子の中心を貫き、片側が外へ突き出して負荷につながる
- ブラケット — 両端の蓋。中心に軸受(ベアリング)を抱え、回転軸を支える
ブラケットという語は聞き慣れないかもしれないが、役割は単純で「軸受を保持する両端の蓋」だ。電動機の故障で最も多いのが軸受の劣化で、点検で異音・異常振動を聴くのは、このブラケットの中で何が起きているかを外から推し量るためだ。分解整備の話になると必ず出てくる語なので、位置と役割をここで結びつけておきたい。
低圧側の写真も、決め手を言葉にしておく
高圧機器の鑑別は「ブッシングの本数」「付属物の有無」で仕分けられた。第一種の写真問題には低圧の制御機器・配線器具・工具も混じるので、こちらも決め手を言葉にしておきたい。
電磁開閉器 — 上下2段のどちらを指しているか
電磁開閉器(MS)は、電磁接触器(MC)とサーマルリレー(THR)を組み合わせた1つの部品だ。写真に矢印が引かれ「矢印の部分の名称は」と問われるので、上下どちらに何があるかを押さえておく。
- 上のブロック=電磁接触器(MC)。前面に開閉状態の窓や補助接点が並び、上下に主回路の端子が出る
- 下のブロック=サーマルリレー(THR)。電流整定のダイヤルと、赤いリセットボタンが付いているのが決め手
コンセント — 125V用と250V用は、傍記と定格表示で決める
「200Vの回路に使用できないものはどれか」という問い方で出る。125V用と250V用は刃受の並びが変えてあって互いに挿さらないのだが、その並びを写真の印象から言い当てにいくと外す。決め手は、図記号の傍記と器具面の定格表示のほうだ。
確定させるのは図記号の傍記だ——20A以上なら定格電流を、250V以上なら定格電圧を傍記する決まりなので、傍記があればそれが答えになる。写真側では器具面の定格表示(125V/250V、15A/20A)が読み取れることがあり、読めればそれで裏づける。形の印象ではなく、書いてある数字で決める。
刃受の形が変えてあるのは、電圧の違う器具を物理的に挿し間違えられないようにするためで、 125V用と250V用は互いに挿さらない。これは事実だが、「どちらがどの形か」を形の印象で 言い当てようとすると、20A形・接地極付・引掛形といった派生形で必ず崩れる。 コンセントの図記号と刃受で詳しく扱っている。
張線器(シメラー)と呼び線挿入器
工具の写真で紛れやすい2つも、外観を言葉にしておく。
- 張線器(シメラー) — 架空線を引っ張って張力をかける工具。ワイヤロープまたはチェーンと、ラチェット式のレバーが組み合わさった形。少しずつ締め上げられるよう、レバーを何度も往復させる構造になっている
- 呼び線挿入器(通線器) — 電線管に電線を通すための工具。細く長い樹脂やスチールの線が、円形のリールに巻かれている。線の先端に電線を結んで引き込む
リールに巻かれた細長い線=呼び線挿入器、レバーとロープ=張線器。 どちらも「引く」道具だが、一方は張力をかける道具、もう一方は通す道具だ。
始動器の図記号 — Y と Δ の文字を探す
動力制御盤から電動機までの心線数を問う設問では、盤の中に描かれた始動器の種類が出発点になる。単線結線図では始動器を四角の枠で表し、その中や傍らに始動方式を示す文字を書く。Y と Δ(あるいは「Y-Δ」)の文字が見えたら、スターデルタ始動器だ。
そこまで読めれば、あとはスターデルタ始動の配線の話に接続する。スターデルタは電動機の巻線の両端6端子すべてを盤側へ引き込む必要があるので、制御盤から電動機までは6本(+接地線)になる。全電圧始動(じか入れ)なら3本(+接地線)で済む。図記号を1つ読めるかどうかで、心線数が3本違う。
動作を見る目が、現場の資材を言葉にする力に変わる
がいしの向き、断面の形、刃の深さ調整——これらはすべて「その部材が何をするために、どう作られているか」という動作の結果として外観に表れている。今日試せることとして、送電線や配電線を見上げる機会があれば、がいしが垂直に吊り下がっているか、水平に連なっているかを観察してみるといい。
この見方が身につくと、資材を頼む場面でも「がいしが欲しい」ではなく「引留柱に使う耐張がいしが欲しい」と、部材の名前と役割をセットで言えるようになる。それは、その人が現場の構造を理解しているかどうかの、いちばん短い証明になる。
太陽光発電所の幹線や、大型施設の高圧引込工事でも、バスダクトやKIP、専用の端末処理工具は変わらず使われ続ける。動作から外観を読み解く習慣は、こうした新しい現場でも同じように役立つ。
冒頭の疑問、電柱の円盤形がいしがなぜ向きによって役割が違うのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。