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配線図 ・ 11 / 13

単線結線図の細部表記 — 接地記号・CT端子・連動の読み方

読み終えると、こうなる

単線結線図の隅に小さく書かれたE_AやK・Lという文字を、飾りではなく機器の身元を示す情報として読み取れるようになる

  • 接地記号E_A〜E_Dを見て、その接地がどの種別の工事で、どんな機器を対象にしているかを言い当てられる
  • CTの端子記号K・L・k・lの向きを逆に配線すると何が起きるかを、電力量計と電流計の違いから判断できる
  • 開閉器の記号の先端(横棒・丸・×)の組み合わせから、初見の機器でも機能を分解して読める
  • 遮断器がどの継電器と連動しているかを、図中の線を実際にたどって確認する手順を組み立てられる
考えてみよう

単線結線図の隅に、小さな文字がいくつも書き添えられている。E_Aという下付き文字、E14という数字、K・L・k・lというアルファベット。図記号そのものより、この小さな文字のほうが見落とされやすい。

だが配点は、この小さな文字にこそ集中している。避雷器の接地に書かれた記号を読み違えれば、まったく別の種別の接地工事を答えてしまう。CTの端子の向きを逆に読めば、電力量計の指示そのものが変わって見えてしまう。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この小さな文字たちが何を伝えているかを、1つずつ言い当てられるようになっている。

接地記号E_A〜E_D — 下付き文字が接地の種別を教える

単線結線図の接地線には、たいてい「E」に下付きの文字(A・B・C・D)を添えた記号が付く。これは接地工事の種類と抵抗値で見たA種・B種・C種・D種接地工事を、そのまま図面上に示す傍記だ。

接地記号と対象機器の対応 E_A 避雷器・高圧機器の外箱 E_B 変圧器の低圧側中性点 E_C 300V超の低圧機器 E_D 300V以下の低圧機器 図の形はどれも同じ接地記号。違いは下付き文字だけ A種10Ω以下・B種は150/Ig等の計算値・C種10Ω以下・D種100Ω以下 接地記号の形はどれも共通で、下付き文字が種別を、種別が対象機器と抵抗値を決める(自作の概念図)
接地記号は、形そのものはどれも同じ(縦線に横線を数本添えた記号)で、**違いは下付きの1文字だけ**だ。この1文字を読み飛ばすと、「とにかく接地されている」という情報しか得られない。だが下付き文字を読めば、その接地が対象とする機器(避雷器か、変圧器の中性点か、低圧機器かどうか)まで芋づる式に分かる。1文字が、機器の種類・電圧区分・抵抗値という3つの情報を同時に運んでいる。

避雷器の接地はE_A(A種)だが、その接地線の太さの表記(E14)は、種別の根拠(電技解釈第37条)と、太さの根拠(高圧受電設備規程)という別々の出典が2階建てになっている。この詳しい内訳は避雷器(LA)で扱ったとおりで、電技解釈が求めているのは「A種接地工事であること」までで、14mm²という具体的な数値そのものは条文には登場しない。同じように、キャブタイヤケーブルの遮へい等で見かけるE8のような細い表記も、実務上の目安として使われている数値であり、条文の数値だとは限らない。傍記の数字を見たら、「これは条文の要求か、実務の目安か」を分けて考える癖をつけておきたい。

CTの端子記号 K・L・k・l — 大文字と小文字、そして向き

VT・CTの基本的な図記号は計器と変成器の記号で扱ったが、実際の結線図にはさらに細かい端子記号が付く。CTの一次端子には大文字のK・L、二次端子には小文字のk・lが使われる。

CTの端子記号 ― K・L(一次)とk・l(二次) K(電源側) L(負荷側) k l K→L と k→l が同じ向き(減極性) 一次のK→Lと、二次のk→lが同じ向きになるよう結線するのが日本の標準(自作の概念図)

電流はKからL、kからlへと同じ向きに流れるように結線するのが日本の標準(減極性)で、K・Lが電源側・負荷側を示す。ここでもしkとlを逆に結線してしまうと、電流の大きさだけを見る電流計は問題なく動作し続ける。だが、電力量計・無効電力計・力率計のように電流と電圧の位相関係を利用する計器は、極性を間違えたことで誤った値を示す。

「電流計が正常に動いているから配線は正しい」という確認だけでは、**k・lの逆結線という重大な間違いを見逃してしまう。** 電流の大きさしか見ない機器は極性の影響を受けにくいが、位相まで利用する機器(電力量計・無効電力計・力率計)は極性に敏感だ。CTの結線を確認するときは、電流計だけでなく、位相を使う計器の指示まで見て初めて、正しく結線されているかどうかが分かる。

開閉器の記号の先端を、組み合わせで読む

開閉する機器の記号で見たとおり、開閉器の記号は共通の接点記号に、横棒(断路機能)・丸(負荷開閉機能)・×(遮断機能)という印を足し算する設計になっている。この足し算の発想は、初めて見る組み合わせの記号にもそのまま応用できる。

たとえば、単線結線図の中で「横棒+丸」の印を持つ開閉器の可動接点が、通常の斜め線ではなくヒューズと同じ細長い形で描かれていたら——それは横棒(断路)と丸(負荷開閉)の機能に、ヒューズによる短絡保護の機能が重なった記号だと、その場で分解して読める。名前を知らない組み合わせに出会っても、「先端の印」と「可動接点の形」を1つずつ確認すれば、機能を後から組み立てられる。

その機器がどの継電器と連動しているかを、線でたどる

配線図問題の中でも特に間違えやすいのが、「この遮断器はどの継電器と連動しているか」という問いだ。単線結線図を辿る手順で見たとおり、高圧母線からはVT側・CT側という2本の脇道が分かれ、CT側は電流計・ASだけでなく、OCRやGR・DGRといった保護の実行にまでつながっている。この脇道を、実際にどう辿ればよいかを手順として整理する。

連動を読む手順 ― 距離ではなく線をたどる ① CT・ZCT ② 継電器(OCR/GR) ③ TC(引外しコイル) ④ CB(遮断器)本体 近くにある別のCB 線でつながっていなければ無関係 連動関係は①→②→③→④と実際の線をたどって確認する。図上で近くにあるだけの機器(右)とは区別する(自作の概念図)

手順は4段階だ。 どのCT・ZCTが検出しているかを確認する。 そのCT・ZCTの線が、どの継電器(OCR・GR・DGR)につながっているかをたどる。 その継電器の出力が、どのTC(引外しコイル)につながっているかをたどる。 そのTCが、どのCB(遮断器)を引き外すかを確認する。

連動関係を、**図上の距離**で判断してはいけない。単線結線図は紙面のスペースの都合で、関連する機器が離れて描かれることも、無関係な機器がたまたま近くに描かれることもある。連動を保証するのは位置ではなく、**実際に引かれている線**だけだ。線を1本ずつたどるという地道な確認が、思い込みによる誤答を防ぐ唯一の方法になる。

小さな文字を追えるようになると、図面の解像度が上がる

E_Aという2文字、K・Lという2文字、これらは単線結線図の中では小さく目立たない存在だ。だが、この小さな文字を読み飛ばさずに追えるようになると、同じ図面から読み取れる情報量が一段階増える。今日試せることとして、電気設備の単線結線図を見る機会があれば、接地記号の下付き文字と、CTの端子記号を意識して探してみるといい。

こうした細部の表記が省略されずに図面に残り続けているのは、現場での結線ミス(k・lの逆結線、接地種別の取り違え)が、計器の誤指示や保護の不作動という具体的な事故につながってきたからだ。小さな文字1つが、事故の再発防止のために生き残っている。

キュービクルの保守・改修や、太陽光発電の高圧連系設備の設計に関わる仕事では、こうした細部の表記を正確に読み、線を1本ずつたどって連動関係を確認する作業が、日常的に求められる。

冒頭の疑問、単線結線図の小さな文字たちが何を伝えていたのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 接地記号E_A〜E_Dを、単なる『アースの印』として深く考えずに読み飛ばさせる

    なぜ引っかかる接地記号はどれも同じような形(縦線に横線数本)で描かれるため、下付き文字の違いを見落として『とにかく接地されている』としか読まなくなりやすい

    見破り方下付き文字(A・B・C・D)を必ず確認し、その接地がどの種別の工事かを機器の種類から逆算する。避雷器や高圧機器の外箱ならE_A、変圧器の低圧側中性点ならE_Bと、機器と種別をセットで確認する

  2. CTのk・lを逆に結線しても、電流計が正常に動いているのだから問題ないと誤答させる

    なぜ引っかかる電流計だけを見ていると、k・lを逆にしても指示値が変わらないため、異常に気づけない

    見破り方CTのk・lの結線を確認する際は、電流計だけでなく電力量計・無効電力計・力率計の指示まで確認する。電流の大きさだけを見る機器は影響を受けにくいが、電流と電圧の位相関係を利用する機器は、極性を間違えると正しい値を示さないと理解する

  3. 開閉器の記号の先端の印を、機器ごとに新しい記号として1つずつ丸暗記させようとする

    なぜ引っかかるPF付きLBSのように複数の機能が重なった記号が出てくると、見たことのない組み合わせだと感じて丸ごと新しい記号として覚え直そうとしてしまう

    見破り方先端の印は横棒(断路)・丸(負荷開閉)・×(遮断)の3種類の足し算でしかないと割り切る。初めて見る組み合わせでも、共通の接点記号に印を1つずつ当てはめて機能を分解すれば、新しい記号として覚え直す必要はない

  4. 図の上で位置が近い遮断器と継電器を、名前や配置の近さだけで『連動している』と決めつけさせる

    なぜ引っかかる単線結線図では関連する機器が近くに描かれることが多いため、位置が近いというだけで連動関係を推測してしまいやすい

    見破り方連動関係は、位置の近さではなく実際に引かれている線(CT・ZCTから継電器へ、継電器からTCへ)をたどって確認する。図上で離れて描かれていても線でつながっていれば連動しており、近くにあっても線でつながっていなければ無関係だと判断する

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 接地記号E_A・E_B・E_C・E_Dは、それぞれA種・B種・C種・D種接地工事を示す傍記。避雷器や高圧機器の金属製外箱はE_A、変圧器の低圧側中性点はE_B、300V超の低圧機器はE_C、300V以下の低圧機器はE_Dが対象になる
  2. 接地線の太さの傍記(避雷器のE14など)は、A種というべき『種別』こそ電技解釈の要求だが、14mm²という『太さ』は電技解釈の条文には無く、高圧受電設備規程による実務上の数値
  3. CTの端子記号は一次側がK・L(大文字)、二次側がk・l(小文字)で、電流はKからL、kからlへ同じ向きに流れるよう結線する『減極性』が日本の標準。k・lを逆に結線すると電流計は動作し続けるが、電力量計・無効電力計・力率計は誤った値を示す
  4. 開閉器の記号は、共通の接点記号に横棒(断路)・丸(負荷開閉)・×(遮断)という印を足し算する設計。この組み合わせを読めれば、PF付きLBSのような複合的な記号も機能ごとに分解できる
  5. ある遮断器がどの継電器と連動しているかは、名前の近さや図上の距離では判断できない。CT・ZCTから継電器、継電器からTC(引外しコイル)へと実際に線をたどって確認する
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