単線結線図の隅に、小さな文字がいくつも書き添えられている。E_Aという下付き文字、E14という数字、K・L・k・lというアルファベット。図記号そのものより、この小さな文字のほうが見落とされやすい。
だが配点は、この小さな文字にこそ集中している。避雷器の接地に書かれた記号を読み違えれば、まったく別の種別の接地工事を答えてしまう。CTの端子の向きを逆に読めば、電力量計の指示そのものが変わって見えてしまう。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この小さな文字たちが何を伝えているかを、1つずつ言い当てられるようになっている。
接地記号E_A〜E_D — 下付き文字が接地の種別を教える
単線結線図の接地線には、たいてい「E」に下付きの文字(A・B・C・D)を添えた記号が付く。これは接地工事の種類と抵抗値で見たA種・B種・C種・D種接地工事を、そのまま図面上に示す傍記だ。
避雷器の接地はE_A(A種)だが、その接地線の太さの表記(E14)は、種別の根拠(電技解釈第37条)と、太さの根拠(高圧受電設備規程)という別々の出典が2階建てになっている。この詳しい内訳は避雷器(LA)で扱ったとおりで、電技解釈が求めているのは「A種接地工事であること」までで、14mm²という具体的な数値そのものは条文には登場しない。同じように、キャブタイヤケーブルの遮へい等で見かけるE8のような細い表記も、実務上の目安として使われている数値であり、条文の数値だとは限らない。傍記の数字を見たら、「これは条文の要求か、実務の目安か」を分けて考える癖をつけておきたい。
CTの端子記号 K・L・k・l — 大文字と小文字、そして向き
VT・CTの基本的な図記号は計器と変成器の記号で扱ったが、実際の結線図にはさらに細かい端子記号が付く。CTの一次端子には大文字のK・L、二次端子には小文字のk・lが使われる。
電流はKからL、kからlへと同じ向きに流れるように結線するのが日本の標準(減極性)で、K・Lが電源側・負荷側を示す。ここでもしkとlを逆に結線してしまうと、電流の大きさだけを見る電流計は問題なく動作し続ける。だが、電力量計・無効電力計・力率計のように電流と電圧の位相関係を利用する計器は、極性を間違えたことで誤った値を示す。
開閉器の記号の先端を、組み合わせで読む
開閉する機器の記号で見たとおり、開閉器の記号は共通の接点記号に、横棒(断路機能)・丸(負荷開閉機能)・×(遮断機能)という印を足し算する設計になっている。この足し算の発想は、初めて見る組み合わせの記号にもそのまま応用できる。
たとえば、単線結線図の中で「横棒+丸」の印を持つ開閉器の可動接点が、通常の斜め線ではなくヒューズと同じ細長い形で描かれていたら——それは横棒(断路)と丸(負荷開閉)の機能に、ヒューズによる短絡保護の機能が重なった記号だと、その場で分解して読める。名前を知らない組み合わせに出会っても、「先端の印」と「可動接点の形」を1つずつ確認すれば、機能を後から組み立てられる。
その機器がどの継電器と連動しているかを、線でたどる
配線図問題の中でも特に間違えやすいのが、「この遮断器はどの継電器と連動しているか」という問いだ。単線結線図を辿る手順で見たとおり、高圧母線からはVT側・CT側という2本の脇道が分かれ、CT側は電流計・ASだけでなく、OCRやGR・DGRといった保護の実行にまでつながっている。この脇道を、実際にどう辿ればよいかを手順として整理する。
手順は4段階だ。① どのCT・ZCTが検出しているかを確認する。② そのCT・ZCTの線が、どの継電器(OCR・GR・DGR)につながっているかをたどる。③ その継電器の出力が、どのTC(引外しコイル)につながっているかをたどる。④ そのTCが、どのCB(遮断器)を引き外すかを確認する。
小さな文字を追えるようになると、図面の解像度が上がる
E_Aという2文字、K・Lという2文字、これらは単線結線図の中では小さく目立たない存在だ。だが、この小さな文字を読み飛ばさずに追えるようになると、同じ図面から読み取れる情報量が一段階増える。今日試せることとして、電気設備の単線結線図を見る機会があれば、接地記号の下付き文字と、CTの端子記号を意識して探してみるといい。
こうした細部の表記が省略されずに図面に残り続けているのは、現場での結線ミス(k・lの逆結線、接地種別の取り違え)が、計器の誤指示や保護の不作動という具体的な事故につながってきたからだ。小さな文字1つが、事故の再発防止のために生き残っている。
キュービクルの保守・改修や、太陽光発電の高圧連系設備の設計に関わる仕事では、こうした細部の表記を正確に読み、線を1本ずつたどって連動関係を確認する作業が、日常的に求められる。
冒頭の疑問、単線結線図の小さな文字たちが何を伝えていたのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。