配線図問題の終盤、写真のページに来た。選択肢は4枚の写真だ。
そこで手が止まる。4枚とも、どこかで見たことがある気がする。テキストで見た。動画で見た。現場で似たものを見た記憶さえある。それなのに、どれとも決められない。時間だけが減っていく。
不思議なのは、4枚のうち3枚は明らかに正解ではないはずだ、ということだ。それなのに1枚も切れない。「見たことがある」という感覚は、選ぶ役には立っていない。
なぜ、見たことがあるのに選べないのか。そして合格していく受験者は、このページを数秒で通過していく。彼らが写真のどこを見ているのか——読み終えるころには、同じ順序で見られるようになっている。
「見たことがある」が役に立たない理由
写真4枚が並ぶ問題は、4枚に共通するものが多いほど難しくなる。出題側が並べるのは同じ仲間の器具だから、当然そうなる。手動油圧式の工具を4枚並べれば、太いハンドルもシリンダも4枚に写っている。分電盤の中の小さな箱を4枚並べれば、端子ねじも取付レールも4枚に写っている。
そして人の目は、放っておくと共通点のほうを追う。「これも箱だ」「これもハンドルが2本ある」——見れば見るほど、4枚は似てくる。「見たことがある気がする」という感覚は、この共通部分に反応しているだけで、どれが正解かについては何も言っていない。
以下、器具ごとに「他の3つには絶対に無いもの」を1点ずつ言葉にしていく。図記号から写真を選ぶ側の基本——ボックス・遮断器・スイッチ・コンセントの読み方は写真鑑別 — 図記号と実物をつなぐが受け持っている。ここで扱うのは、そこから漏れる器具と材料のほうだ。
盤の中で列を作るもの、脇に1台だけ座るもの
リモコン配線は、壁のスイッチが照明の主回路そのものを切っていない方式だ。壁のスイッチはAC24Vという弱い電気しか扱わず、その信号を受けて主回路を開閉する部品が分電盤の中に入っている。ホテルや事務所のように、たくさんの照明をあちこちから操作したい建物で使われる。
写真に出てくるのは、この方式に必要な3つの器具だ。名前がどれも「リモコン」で始まるので混ざりやすいが、決め手は写真の中の位置と個数にはっきり出る。
リモコンリレーは、リモコンスイッチからのAC24Vの操作信号を受けて、照明などの主回路(AC100V/200V、20A)を開閉する部品だ。回路の数だけ必要になるので、分電盤やリレー制御盤の中に横一列に並べて取り付ける。1個の幅はJIS協約寸法の1コ用=25mmで、隣どうしがぴったり接して列を作る。写真上の決め手は、この「同じ形の小箱がずらりと並んでいる」姿そのものだ。主回路をつなぐ負荷側の端子と、AC24Vの操作端子が別々に出ている。
リモコン変圧器(リモコントランス)は、AC100V/200VをAC24Vに降圧して、リレーの操作回路とリモコンスイッチに電気を送る。盤全体に1台あれば足りるので、並んだリレー群の脇に単独で置かれる。写真上の決め手は「1台だけ」であること。一次側と二次側の端子が分かれていて、二次側は全機種共通でAC24Vだ。
リモコンスイッチは、人が押す操作側になる。壁に付く操作パネルで、扱うのは弱電だけ——主回路の太い電線をつなぐ端子がない。これが分電盤内の2つとの決定的な差になる。複数の回路をまとめて操作するセレクタスイッチの形もある。
同じ「リモコン」でも、リモコンブレーカは仲間ではない。過電流を遮断する機能を持つ遮断器で、リレーとは役割が違う。名前の一致で結びつけないこと。
単位ひとつが身分証になる部品
低圧進相コンデンサは、力率を改善するために負荷と並列に接続する部品だ。JIS C 4901の適用範囲が「商用周波数の交流600V以下の回路」となっているとおり、低圧の動力回路で電動機と並べて使われる。なぜ並列につなぐと力率が直るのかは力率とコンデンサで扱っている。
写真上の決め手は、銘板に静電容量が「μF」で書かれた角形(薄型)の樹脂ケースであることだ。この1点で、混同しやすい相手が両方とも落ちる。変圧器や安定器も角形の箱だが、こちらは鉄の箱で、銘板の単位もμFではない。高圧進相コンデンサはkvar表示で碍子が付く。箱の形を見比べるのではなく、銘板の単位を1つ読む——それだけで決着する。
蛇腹の管と、その両端に付く金物
金属製可とう電線管(商品名としてはプリカチューブと呼ばれる)は、写真の中でいちばん見分けやすい部類だ。管そのものが蛇腹状(らせん状の凹凸)の金属管で、他の電線管と姿がまるで違う。手で曲げられ、曲げた形をそのまま保つ。
この管が選ばれるのは、鋼製電線管では曲げられない箇所だ。とくに振動の影響を受ける電動機への接続が代表例になる。運転中に細かく揺れる機械へ、剛性の高い鋼管を直結すれば、接続部に力が集中してしまう。管の側がしなやかであれば、その揺れを逃がせる。管の種類ごとの使い分け全体は電線管工事の種類で扱っている。
名前が2つあることを知っておく
この管には、覚えておくべき名前の事情がある。1999年4月のJIS改定で1種が廃止され、現行の名称は「金属製可とう電線管」に統一されている。つまり「2種金属製可とう電線管」という呼称は、現行のJISには存在しない。
ところが試験の問題文や過去問では、従来どおり「2種金属製可とう電線管」の表記が使われる。だから受験の場面では両方を同じものとして受け取れるようにしておくのが正しい。新しい呼称しか知らなければ問題文が読めず、古い呼称しか知らなければ製品カタログが読めない——どちらか片方だけでは足りない、という珍しい項目だ。
附属品は「両端が同じか、違うか」で決まる
管の両端に付く金物は名前が長く、どれも「可とう電線管を接続するのに用いる」で説明が始まってしまう。用途の文だけを読み比べても決まらない。写真では、両端を見る。
- カップリング — 可とう管相互をつなぐ。つなぐ相手が同じものどうしなので、両端がまったく同じ形(どちらも可とう管をねじ込む口)の、左右対称の短い筒になる
- コンビネーションカップリング — 可とう管と鋼製電線管をつなぐ。相手が違うので、両端の口の形・仕組みが左右で違う。片側は可とう管をねじ込む口、もう片側は鋼製電線管用(ねじなし管用の止めねじ、またはねじ込み)
- ストレートコネクタ — 可とう管をボックス類のノックアウトにつなぐ。左右で口の形が違う一直線の金物で、片側は可とう管をねじ込む口、反対側は電線管ねじとロックナットでボックスに留める側になる
- 電気機器接続用コネクタ — 可とう管を電気機器(電動機の端子箱など)へ直接つなぐ。機器側のねじ穴にそのままねじ込む形で、ボックス用と違いロックナットが付かない
順序はこうなる。両端が同じ形か違う形かをまず見る。同じならカップリング。違うなら、ロックナットが付いているかを見る——付いていればボックス相手のストレートコネクタ、付いていなくて相手側が鋼製電線管を受ける口ならコンビネーションカップリング、機器のねじ穴にねじ込む形なら電気機器接続用コネクタだ。金属管まわりの附属品全般は電線管の付属品にまとめてある。
点滅器を壁に付けるための、器具ではない材料
「点滅器の取付けに使用する材料」という問われ方をすると、スイッチそのものではなく、それを壁に納めるための土台とふたと枠が答えになる。地味だが、写真で見分ける決め手ははっきりしている。
スイッチボックス(埋込スイッチボックス)は、埋込型のスイッチやコンセントを取り付けるための箱だ。壁の中に埋め込み、そこに取付枠をねじ留めする。写真上の決め手は、1コ用から6コ用へと器具の個数でサイズが並ぶ細長い長方形の箱であること。よく似た箱でも、アウトレットボックスは電線管の分岐点・接続用で正方形や八角形をしており、コンクリートボックスはスラブ配管用だ。
塗代カバーは、スイッチボックスやコンクリートボックスのふたとして使う部品で、JIS C 8340が扱っている。壁に埋めたボックスの開口をふさぎ、配線器具や取付枠を留める面をつくる。写真上の決め手は、四角(または八角)の板の中央に開口があり、その開口の形で用途が決まること。1個用は小判形(縦長の長円)、丸型ボックス用は真円になる。
ブランクカバーは、ボックスに器具やスイッチを取り付けない場合のふただ。決め手は「開口がまったく無い、のっぺりした板」であること。塗代カバーと並べられたとき、穴があるかないかだけを見れば決まる。
埋込取付枠は、埋込連用のスイッチ・コンセントを保持してボックスに固定する枠で、見分けは材質になる。金属枠は亜鉛鋼板製、絶縁枠は樹脂製だ。強度面・価格面から金属取付枠が標準として使われるが、金属製キッチンパネルや、メタルラス張り・ワイヤラス張りの壁のように、漏電したときに事故につながる恐れがある部位では絶縁取付枠を使う。なお多連用の取付枠というものは存在せず、取付枠は1連用のみ。連数を増やすのはプレートの側だ。「3連のスイッチだから3連用の枠」と考えると、そもそも存在しない部品を探すことになる。
三相のコンセントは、2つの軸だけで読む
三相200Vの動力回路に使うコンセントは、単相のコンセントとは読み方の体系が違う。メーカーの極配置図で確認できる原則は、次の2つだ。
- スリットが円弧状(湾曲)なら引掛形、直線なら平刃形
- 弧または直線が4本なら接地極付(接地3P)、3本なら接地極なし(3P)
この2軸を組み合わせると、4通りが過不足なく並ぶ。
形から電流は読めない——平刃形の限界
ここで、覚えておくべき限界がある。平刃形は15A・20A・30A・50Aで極配置図が完全に同一だ。メーカーの極配置図を並べても、スリットの向きも本数も変わらない。つまり平刃形については「形で電流を当てる」問題がそもそも成立しない。判別できるのは、器具面の定格表示か器具の大きさによってだけだ。
これは受験者にとって重要な事実だ。単相のコンセントでは、刃受の形が定格をよく語ってくれる——縦に平行なら100V、横に一直線なら200V、片側がT形やL形なら20A系、といった具合に。その読み方はコンセント類の図記号で扱っているとおりで、実際よく効く。ところが、その感覚のまま三相の平刃形に向かうと、存在しない差を探して時間を溶かすことになる。「形からは読めない」と知っていること自体が、写真識別では答えと同じくらいの価値を持つ。
電流ごとに極配置図が変わるのは、引掛形のほうだ。三相のコンセントで形の違いを探しに行ってよいのは、スリットが円弧を描いているときに限られる。
単相200Vと三相200Vは、口の数と形で分かれる
同じ200Vでも、単相200V用の接地2P(250V)は姿がはっきり違う。接地極が細長いスリットではなく「D形(頭が半円・下が直線)の穴」1つとして下側にあり、電圧極は横長のスリットのみ。差込口は全部で3つになる。対して三相200V用の接地3Pは、4口すべてが細長いスリットだ。
数えるのは口の数、見るのは接地極の形。この2つだけで、単相と三相は取り違えようがなくなる。
握りの色が、そのまま合否になる工具
圧着の工具は、写真識別であると同時に、技能試験の合否条件でもある珍しい道具だ。
リングスリーブ用圧着工具は、握り(グリップ)が黄色。電気技術者試験センターの公式資料は、リングスリーブ用圧着工具について「JIS規格のもので、握り部分の色が黄色のものを使用すれば、圧着マークが刻印されます」としている。そして続けて、「持ち手がオレンジ色(赤色)等で圧着すると数字が刻印されてしまったりし、欠陥となります」と明記している。
つまり色は覚えやすい目印であるだけでなく、判定の条件そのものになっている。赤・オレンジの工具は裸圧着端子・裸圧着スリーブ用で、圧着後に付くのは記号ではなく「1.25」「2」「5.5」といった数字だ。工具メーカーもこの2つをカテゴリとして分けている。技能試験でリングスリーブに数字が刻印された時点で、接続そのものが丁寧でも欠陥と判定される。工具の色分けと工程全体の位置づけは電気工事の工具と検電の基本に、欠陥の判断基準は技能試験の欠陥基準にまとめてある。
スリーブの側から工具へ戻る
工具の色を、スリーブの種類とセットで押さえておくと崩れない。JIS C 2806が定める裸圧着スリーブには、形の違う仲間がある。
E形は終端重合せ用のスリーブで、用途は屋内配線のボックス内接続用。規格上の使用工具は「手動片手式リングスリーブ用工具」——黄色の工具だ。技能試験でリングスリーブと呼んでいるのはこのE形にあたる。
P形は直線重合せ用のスリーブで、用途は機器内配線用および屋内配線用。電線どうしを同方向に重ねて直線状につなぐもので、規格上の使用工具は「裸圧着端子用工具」——赤・オレンジの工具になる。ほかにB形(直線突合せ用)があり、こちらは両側から電線を突き合わせる形式だ。
「終端でまとめるのか、直線に延ばすのか」を先に決めれば、スリーブの形が決まり、工具の色も自動的に決まる。色から入るのではなく、接続の向きから入るのが順序として正しい。
手動油圧式は、本体を見ない
太い電線やケーブルを扱う工具には、手で油圧を起こして力を出す一群がある。手動油圧式圧着器、手動油圧式カッタ、ノックアウトパンチャ、油圧式パイプベンダ。名前は1〜2文字しか違わず、本体・ハンドル・シリンダという共通部分が写真の面積の大半を占める。ここを見比べているかぎり、何も決まらない。
見るのは、先端のヘッドだけだ。
手動油圧式圧着器は、C字またはO字に開いた口の中に、平らな型面(ダイス)が向かい合っている。刃は一切ない。型は差し替え式で、サイズの刻印が入る。裸圧着端子や裸圧着スリーブで太い電線を圧着する工具だ。
手動油圧式カッタは、開口部の中に三日月形(鎌のような湾曲した刃)が1枚あり、相手側はその刃を受けるフック状の顎になっている。太いケーブルやより線、ワイヤロープを切断する。
ノックアウトパンチャは、そもそも挟む口がない。円筒形のラムの中心からボルトが1本まっすぐ立ち、ドーナツ状の押刃と受刃が鋼板を上下から挟む構造だ。分電盤や制御盤の鋼板に、配管用の穴をあける工具になる。
油圧式パイプベンダは、手持ちの2ハンドル工具ですらない。板状の大きなフレームの上に2個のローラーと曲げシューが並び、横向きの油圧シリンダが刺さっている「台」の形をしている。電線管やガス管を曲げる工具だ。
なお、圧縮工具は圧着器と外形が同一で、外形だけでは区別できない。区別できるのは「何を圧着/圧縮するか」の側だけになる——裸圧着端子・裸圧着スリーブが相手なら圧着工具、T形コネクタ・圧縮端子・六角が相手なら圧縮工具だ。外形が同じものについては、外形で決めようとしないことが正解になる。
決め手を1点だけ並べる
ここまでを、写真1枚に対して問う1点だけの形にまとめておく。表の見方は「用途を確かめる」ためではなく、「他の3つには絶対に無いもの」を思い出すためのものだ。
| 機器・材料 | 何に使うか | 写真上の決め手(1点) | 混同しやすい相手 |
|---|---|---|---|
| リモコンリレー | AC24Vの操作信号を受けて主回路(AC100V/200V・20A)を開閉する | 分電盤の中に同じ形の小箱が横一列に並ぶ(1個の幅はJIS協約寸法1コ用=25mm) | リモコン変圧器(並ばず1台だけ)/リモコンスイッチ(壁側)/リモコンブレーカ(過電流遮断機能をもつ) |
| リモコン変圧器 | AC100V/200VをAC24Vに降圧し、操作回路とリモコンスイッチに給電する | 並んだリレー群の脇に1台だけ。一次側・二次側の端子が分かれている | リモコンリレー(複数個が列を作る) |
| リモコンスイッチ | 人が押す操作側。AC24Vの弱電でリレーを動かす | 壁に付く操作パネルで、主回路の太い電線をつなぐ端子がない | 一般の点滅器(主回路を直接切る) |
| 低圧進相コンデンサ | 低圧回路で負荷と並列に接続し、力率を改善する | 銘板の静電容量がμF表示で、角形(薄型)の樹脂ケース | 変圧器・安定器(角形の鉄箱)/高圧進相コンデンサ(kvar表示・碍子付き) |
| 金属製可とう電線管 | 鋼製電線管で曲げられない箇所、とくに振動を受ける電動機への接続 | らせん状の凹凸をもつ蛇腹の金属管 | 合成樹脂製可とう電線管(樹脂で、金属の光沢がない) |
| カップリング(可とう管用) | 可とう電線管どうしをつなぐ | 両端がまったく同じ形の、左右対称の短い筒 | コンビネーションカップリング(左右で仕組みが違う) |
| コンビネーションカップリング | 可とう電線管と鋼製電線管をつなぐ | 両端の口の形・仕組みが左右で違う(片側は可とう管用、もう片側は鋼製電線管用) | ストレートコネクタ(相手がボックス。ロックナットが付く) |
| ストレートコネクタ | 可とう電線管をボックス類のノックアウトにつなぐ | 一直線の金物で、片側に電線管ねじとロックナットが付く | 電気機器接続用コネクタ(ロックナットが付かない) |
| 電気機器接続用コネクタ | 可とう電線管を電動機の端子箱など電気機器へ直接つなぐ | 機器側のねじ穴にそのままねじ込む形で、ロックナットが付かない | ストレートコネクタ(ロックナット付き) |
| スイッチボックス | 埋込型のスイッチ・コンセントを取り付ける土台 | 1コ用〜6コ用と器具の個数でサイズが並ぶ細長い長方形の箱 | アウトレットボックス(正方形・八角形)/コンクリートボックス(スラブ配管用) |
| 塗代カバー | スイッチボックス・コンクリートボックスのふた。器具や取付枠を留める面をつくる | 板の中央に開口があり、開口の形で用途が決まる(1個用は小判形、丸型ボックス用は真円) | ブランクカバー(開口が無い) |
| ブランクカバー | 器具を取り付けないボックスのふた | 開口がまったく無い、のっぺりした板 | 塗代カバー(中央に開口がある) |
| 埋込取付枠 | 埋込連用の器具を保持してボックスに固定する | 材質で見分ける。金属枠=亜鉛鋼板製、絶縁枠=樹脂製 | 連数の違う枠を探すこと自体が誤り(取付枠は1連用のみ) |
| 三相200Vコンセント | 三相の動力回路で機器を接続する | スリットが円弧なら引掛形・直線なら平刃形/4本なら接地3P・3本なら3P | 単相200V接地2P(横長スリット2つ+D形の穴1つで計3口) |
| リングスリーブ用圧着工具 | E形リングスリーブを圧着する | 握りが黄色。圧着マーク(記号)が刻印される | 裸圧着端子用工具(赤・オレンジ。数字が刻印され、技能試験では欠陥) |
| 手動油圧式圧着器 | 裸圧着端子・裸圧着スリーブで太い電線を圧着する | 開口部に平らな型面が向かい合い、刃が一切ない | 圧縮工具(外形が同一。相手が何かで区別する) |
| 手動油圧式カッタ | 太いケーブル・より線・ワイヤロープを切断する | 開口部に三日月形の刃が1枚。相手側はフック状の顎 | 手動油圧式圧着器(刃がない) |
| ノックアウトパンチャ | 分電盤・制御盤の鋼板に配管用の穴をあける | 挟む口がなく、中心にボルトが1本立つ | 手動油圧式カッタ・圧着器(どちらも挟む口をもつ) |
| 油圧式パイプベンダ | 電線管・ガス管を曲げる | 板状フレームに2個のローラーと曲げシューが並ぶ「台」の形 | 手持ちの2ハンドル工具(そもそも持ち方が違う) |
名前を当てる問題は、機能ではなく「形」で答える
写真鑑別には2種類ある。用途を問うものと、名称そのものを問うものだ。 後者は機能を知っていても答えられないことがある。形の特徴を言葉で持っておく必要がある。
裸圧着端子 — 丸い輪と、筒
裸圧着端子は、片側が丸い輪(リング)、反対側が筒状になった金属部品だ。 絶縁被覆が無く、金属がむき出しなのが「裸」の由来になっている。
- 輪の側 … ネジで機器の端子に留める。輪の穴の径で呼び名が決まる
- 筒の側 … 電線を差し込み、圧着工具で潰して固定する
呼び名は「R2-4」のような形で、電線の断面積と、ネジ穴の径を並べたものだ。 形が「丸(Ring)」だからRが付く。先が開いた又状(Y形)のものは別で、こちらはY端子と呼ぶ。
ネオン変圧器 — 危険表示と、太い碍子
ネオン変圧器は、ネオン管を光らせるために電圧を大きく上げる機器だ。 写真での決め手は高圧を扱う機器特有の外観にある。
- 本体に「危険」の表示が付く
- 二次側(高圧側)に碍子状の端子が突き出す
- 二次側の配線はらせん状の高圧線(ネオン電線)でつながれる
| 機器 | それにしか無いもの |
|---|---|
| 裸圧着端子 | 片側が丸い輪、反対が筒。被覆が無い |
| ネオン変圧器 | 危険表示+碍子状の二次端子 |
| 進相コンデンサ | 箱形で、放電のための表示と端子が上面に並ぶ |
| 変圧器(小容量) | 一次・二次で端子の数と大きさが違う |
機能の説明(何をする機器か)は、名称を当てる問題では手がかりにならない。 機能を知っていても、写真の中でそれを指させないと点にならない。 形を先に、機能を後に——鑑別問題ではこの順序になる。
分電盤のふたの内側に、この章の半分が並んでいる
決め手を覚える一番の近道は、実物を1回見ることだ。事務所や店舗の分電盤を開けたことがあるなら、そこに何が並んでいたかを思い出してほしい。細長い遮断器の列とは別に、25mm幅の小さな箱が横一列に詰まっている盤がある。あれがリモコンリレーで、列の脇に1台だけ座っている小さな箱がリモコン変圧器だ。写真識別で問われているものが、そのまま壁の中に並んでいる。
今日試せることが1つある。屋外の壁や機械室で、電動機に向かって伸びている配管を探してみるといい。途中まで鋼管で来て、機械の手前だけが銀色の蛇腹に変わっている箇所が見つかるはずだ。剛性の高い管を運転中の機械に直結しない、という判断がそこに形として残っている。境目には必ず、鋼製電線管と可とう管をつなぐ部品が入っている——両端の口が違う金物、コンビネーションカップリングだ。名前を知っていると、配管が「どこで判断が切り替わったか」の記録として読めるようになる。
そして、この見分けは資材を頼む場面でそのまま効く。「可とう管をボックスにつなぐやつ」では電話は通じない。ストレートコネクタなのかコンビネーションカップリングなのか、22なのか28なのか——部材の名前を言えることは、その人が現場の構造を理解しているかどうかの、いちばん短い証明になる。逆に名前が出てこないと、届いた部品が付かず、その日の工程が止まる。写真識別の問題が繰り返し出題されているのは、それが現場で起きる失敗そのものだからだ。
覚える意味は、もう一段先にもある。器具はこれからも新しくなる。リモコン配線の考え方はそのままスマート照明や制御盤の思想につながっていくし、EV充電設備や太陽光の連系工事では、三相の動力回路とその接続器具を読む力が前提として要る。そのとき頼りになるのは、器具の外形の記憶ではなく、「この器具にしか無い1点はどこか」と問う癖のほうだ。銘板の単位、両端の口の形、握りの色——決め手を言葉にして持っておくやり方自体が、新しい器具が出るたびに使い回せる道具になる。
冒頭の4枚の写真。どれも見たことがある気がするのに1枚も切れなかったのは、目がどこを追っていたからなのか。そして合格していく受験者は、何を見て数秒で通過しているのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。