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法規 ・ 3 / 13

主任技術者・監理技術者と専任 — 現場に置く人を決める3つの線

読み終えると、こうなる

現場に置く技術者の話を聞いたとき、「主任か監理か」「専任か」を、請け負った工事・下請契約の総額・請負代金と施設の3つの線に分け、そのうえで特例は使えるかを考えられるようになる

  • 下請契約の総額と請負代金の額から、主任技術者を置くのか監理技術者に代えるのか、専任が必要かを判定できる
  • 専任の金額(4,500万円、建築一式工事は9,000万円)の推移を基準時点つきで言い、監理技術者を置く線(下請契約の総額)と区別できる
  • 兼務の特例(ICTの利用、監理技術者補佐、密接な関係のある工事、営業所技術者等)を、対象と現場数の上限で仕分けできる
  • 資格者証の有効期間と講習の期限を別に数え、講習の最終有効日を日付で書ける
考えてみよう

たとえば、ある設備会社に、頼りになるベテランが1人いる。いま受けている工事は2つ。国の庁舎の空調設備工事と、民間の事務所ビルの空調設備工事だ。会社としては、このベテランに両方の技術者を任せたい。

1人で2つの現場の技術者を兼ねてよいのか。それとも、現場ごとに別の人を置くのか。答えは、金額と施設の種類、それに使える特例で決まる。読み終えるころには、この場面を条文の言葉で判定できるようになっている。

まず一言で

  • 建設業者は、請け負った工事の現場に主任技術者を置く(建設業法26条1項)
  • 発注者から直接請け負った特定建設業者が、下請に出す額の総額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になるときは、主任技術者に代えて監理技術者を置く(同条2項)
  • 重要な工事(施行令27条の施設)で請負代金が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上なら、その技術者は専任(同条3項)
  • 専任には特例がある。使えるのは、条件を満たしたときだけ
  • 専任の監理技術者は、資格者証と講習が必要(同条5項)

金額は、令和7年2月1日の改正後の値(現行条文、2026年11月4日確認)。この改正で、監理技術者の線も専任の線も引き上げられた。許可の種類と請負契約は、別のトピックで扱う。

置く人を決める3つの線

現場に置く技術者は、3つの別々の問いで決まる。専任の例外となる兼務の特例は、そのあとの節で扱う。

現場に置く技術者を決める3つの線 ① 建設工事を請け負った → 主任技術者を置く(26条1項) ② 元請の特定建設業者で、下請契約の 総額が5,000万円以上(建築工事業は8,000万円) → 主任に代えて監理技術者(26条2項) ③ 令27条の施設で、請負代金が 4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円) → ①②で置いた人が専任(26条3項) 3つの線の自作の概念図(建設業法26条、施行令2条・27条。令和7年2月1日の改正後の金額)。①②は誰を置くか、③はその人を専任にするか

①と②は、「どちらの名前の技術者か」を決める。③は、置いた人が「専任か」を決める。ここが混ざりやすい。

線測るもの金額(現行)
監理技術者に代える下請契約の請負代金の額(総額)5,000万円以上(建築工事業は8,000万円)
専任にする工事一件の請負代金の額と、施設の種類4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円)
8,000万円と9,000万円は、条文ごとに「建築」の指し方が違う(令2条は建築工事業の許可、令27条は建築一式工事。施工体制台帳の令7条の4も建築一式工事)

なぜ、線が2本あるのか

条文は、理由を書いていない。26条3項の文言は、専任を「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事」に求める。つまり③が見るのは、施設の性格と工事の大きさだ。国土交通省の運用マニュアル(通達。本稿で読んだのは令和7年1月28日最終改正の版で、その後の改正は確認できていない)も、26条3項は、そうした重要な工事でより適正な施工を確保する趣旨で設けられている、と書く。これに対して②は、下請に出す総額、つまり下請に任せる規模を見る。見ているものが違うので、線も別々になる、というのが当サイトの読みだ。

技術者は何をするのか

主任技術者と監理技術者は、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理と、施工に従事する者の技術上の指導監督を行う(26条の4第1項)。現場の従事者は、その指導に従わなければならない(同条2項)。

請負契約の履行を確保するために置かれる請負者の代理人、現場代理人は別の役で、約款のトピックで扱う(設計図書と約款)。技術者の氏名が施工体系図に載ることは、施工体制台帳と施工体系図で扱った。

26条の3には、特定専門工事(型枠・鉄筋で、下請契約の総額が4,500万円未満など)で、一定の条件のもと下請に主任技術者を置かなくてよい例外もある。特定専門工事は型枠の組立てと鉄筋の工事に限られ(施行令31条)、管工事の技術者の話とは遠いので、ここでは扱わない。

これで、金額から、置く技術者の名前と専任かどうかを別々に言える。

誰がなれるのか — 資格の道筋

区分根拠主な道筋
主任技術者7条2号イ・ロ・ハ学科+実務(高校卒5年、大学卒3年)、実務10年、大臣認定
監理技術者26条2項、15条2号イ・ロ・ハイ 技術検定等の試験・免許(大臣が定めるもの)、ロ 主任の要件+指導監督的な実務2年、ハ 大臣認定
指定建設業の監理技術者26条2項かっこ書きイ又はハだけ。ロは使えない
管工事の学科は規則1条で、土木工学・建築学・機械工学・都市工学・衛生工学

管工事は、指定建設業に入る(施行令5条の2。土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7つ)。指定建設業は、建設業法15条2号が「施工技術の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める」建設業とする。その監理技術者は、実務経験のロの道が使えず、試験・免許(イ)か大臣認定(ハ)に限られる。なぜロを外したのかは、条文が書いていない。

施工管理技術検定は、一級が「監理技術者として必要な知識及び能力」、二級が「主任技術者として必要な知識及び能力」を判定する検定だ(施行令37条3項・4項)。第一次検定に合格すると技士補、第二次検定に合格すると技士を称する(施行令40条)。法15条2号イは、法27条1項の技術検定その他の法令の規定による試験で国土交通大臣が定めるものの合格者、又は大臣が定める免許の取得者とする。どの試験・免許を大臣が定めているかの原文は取得していない。

一級技士補には、もう一つの道がある。運用マニュアルは、監理技術者補佐(のちの節)になり得る者として、主任技術者の資格を有する者のうち一級の第一次検定に合格した者(一級施工管理技士補)と、監理技術者の資格を有する者を挙げる。受検の手引も、第一次検定の検定基準(施工管理法)に「監理技術者補佐として」の語を置き、第二次検定の実務経験として認める従事内容に「監理技術者補佐」を含める。

運用マニュアルは、雇用関係にも触れる。技術者は、所属する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要で、在籍出向者や派遣社員については直接的な雇用関係にあるとはいえない、とする(二-四(2))。ただし、営業譲渡・会社分割、持株会社化などの企業集団(企業集団内の出向社員を含む)、官公需適格組合の場合について、直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱いの特例を通達で定めている、とも書く(同(4)。通達の本文は取得しておらず、題名だけ確認した)。公共工事では、元請の専任の主任技術者・監理技術者や補佐などは、入札申込みの日(指名競争や随意契約では別の日)以前に3か月以上の雇用関係が必要、とも書く。緊急の必要がある場合などの例外もある。

やってみよう①:置く人を3つの線で判定する

次の3つは、どれも仮の場面だ。先に自分で、「主任か監理か」「専任か」を答えてから開いてほしい(特定建設業者で、元請とする。消費税は考えない)。

(a) 民間の事務所ビルの空調設備工事。請負代金1億2,000万円、下請契約の総額5,200万円。 (b) 民間のホテルの給排水設備工事。請負代金3,800万円、下請はなし。 (c) 国が注文者の庁舎の空調改修。請負代金6,000万円、下請契約の総額3,000万円。

答え。

(a) 総額5,200万円で5,000万円以上なので監理技術者。事務所は列挙された施設で、請負代金は4,500万円以上なので専任。 (b) 総額が0で主任技術者。ホテルは列挙された施設だが、3,800万円は4,500万円未満なので専任ではない。 (c) 総額3,000万円で5,000万円未満なので主任技術者。国が注文者の施設で、6,000万円は4,500万円以上なので専任。

(c)のように、監理技術者でなくても専任になる。資格者証と講習(26条5項)は、専任の「監理技術者」の話なので、(c)には及ばない。

専任の金額 — 基準時点で変わってきた

専任の対象は、施行令27条1項が決める。次のいずれかの建設工事で、工事一件の請負代金の額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上のものだ。

  • 国又は地方公共団体が注文者である施設又は工作物の工事
  • 施行令15条1号・3号の施設(鉄道、道路、橋、上水道、下水道、電気事業用施設、ガス事業用施設など)の工事
  • 学校、病院、事務所、ホテル、共同住宅、工場、倉庫など、27条1項3号が列挙した施設の工事

列挙は、施行令27条と施行令15条の条文で閉じている。条文にない施設は、金額が大きくても専任の対象にならない。運用マニュアルは、事務所などと戸建て住宅を兼ねた併用住宅について、一定の条件を満たせば戸建て住宅と同様とみなして専任配置を求めない、と示す。全文は施行令27条を見てほしい。

金額は、改正のたびに動いてきた。

専任を要する請負代金の額(令27条1項)

令和4年10月1日版(令和5年1月1日の改正前) 一式以外 3,500万円 建築一式 7,000万円

令和5年1月1日〜令和7年1月31日 一式以外 4,000万円 建築一式 8,000万円

令和7年2月1日〜(現行) 一式以外 4,500万円 建築一式 9,000万円 専任の金額の推移(自作の図。施行令27条の各時点の版を、e-Gov APIで確認。棒の長さは金額に比例。「一式以外」は建築一式工事以外)

4,500万円は、現行では専任の線(請負代金)の金額だが、令和7年2月1日の改正前は監理技術者の線(下請契約の総額)の金額だった。専任の線の改正前は4,000万円。両方とも令和7年2月1日に引き上がり、改正前の値は同じではない。設問に「令和7年2月1日の改正前」とあれば、どちらの線の話かを先に確かめる。

専任とは何か

26条3項は「専任」の意味を書いていない。運用マニュアルは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、勤務中は常時継続的に当該工事現場の職務にのみ従事することと説明する。同時に、専任の趣旨を踏まえれば、必ずしも当該工事現場への常駐までは必要としない、とも書く。打ち合わせや書類作成、研修、休暇などの合理的な理由で、短期間(1〜2日程度)現場を離れるときは、適切な施工ができる体制があれば差し支えない、とする。それを超える期間、終日離れる日が週の稼働日の半数以上の場合、周期的に離れる場合も、その体制を確保し、元請の主任技術者・監理技術者・補佐は発注者、下請の主任技術者は元請又は下請の了解を得れば差し支えない、とする(現地での対応が必要な場合を除く)。

元請が専任で置く期間は、契約工期が基本だが、マニュアルは、発注者との間で書面により明確にしたうえで、専任を要しない期間を認める。たとえば、請負契約の締結後から現場施工に着手するまで、工事用地等の確保が未了、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により工事を全面的に一時中止している間、検査が終わって事務手続と後片付けなどが残る期間だ。下請の主任技術者は、下請工事が実際に施工されている期間が専任の期間になる、とも書く。

専任の例外と兼務の特例 — 兼務できる場合

26条3項ただし書は、専任の例外を2つ置く(運用マニュアルは、これを「専任特例」と呼ぶ)。ほかに、兼務の扱いとして、施行令27条2項(密接な関係のある工事)と、3項ただし書とは別の特例である26条の5(営業所技術者等)がある。ICTは情報通信技術のことだ。

特例対象主な条件
ICTの利用(3項1号)主任・監理の両方1億円未満(建築一式2億円未満)、移動時間、連絡員、通信機器
補佐を置く(3項2号)監理技術者だけ各現場に専任の監理技術者補佐
密接な関係(令27条2項)主任技術者密接な関係の工事を、同一の建設業者が同一又は近接した場所で施工、原則2件程度(マニュアルの目安)
営業所技術者等(26条の5)主任(特定営業所技術者は監理も)その営業所の契約、1億円未満、現場数1
3項1号と2号は、現場数が政令の数(2)を超えると使えない(4項、令30条)

1号(ICT)は、請負代金が政令の金額未満(施行令28条で1億円、建築一式工事は2億円)で、省令の要件を満たす工事だ。省令(施行規則17条の2・17条の3)は、現場間の移動時間がおおむね2時間以内であること、下請契約が三次までであること、技術者との連絡のための者(連絡員)を置くこと、施工体制をICTで確認する措置、人員の配置を示す計画書、映像と音声の機器などを求める。

2号(補佐)は、監理技術者の職務を補佐する者を現場ごとに専任で置くとき、監理技術者が専任でなくてよいとする。補佐の者の要件は、施行令29条が大臣の定めに委ねる(告示の原文は取得していない)。運用マニュアルは、1号を使う現場と2号を使う現場を、同一の者が兼務することはできない、と書く。

密接な関係のある工事は、施行令27条2項が「同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を管理することができる」と書く。運用マニュアルは、専任の監理技術者には適用されないとし、当面の運用として、対象の工作物に一体性・連続性があるか施工にあたり相互に調整を要する工事で、現場の間隔が10km程度の近接した場所、という目安を示す。一の主任技術者が管理できる工事の数は、専任が必要な工事を含む場合、原則2件程度とする。

営業所技術者等は、営業所に置く技術者が、その営業所で契約した工事の主任技術者(特定営業所技術者は監理技術者)の職務を兼ねる特例だ(26条の5)。金額は施行令33条で1億円未満(建築一式工事は2億円未満)、兼ねる現場の数は施行令34条で1。マニュアルは、3項ただし書による専任特例(1号・2号)を活用する場合との併用はできない、とする。営業所技術者の要件は、別のトピックで扱う。

やってみよう②:冒頭の2現場、1人で兼ねられるか

冒頭の仮の場面に、数字を足す。国の庁舎の空調工事は請負代金6,000万円、民間の事務所ビルの空調工事は請負代金5,000万円で、会社は同じ。

どちらも列挙された施設で、4,500万円以上なので、どちらも専任が要る。ベテラン1人で兼ねるには特例が要る。

  • 密接な関係が認められなければ、施行令27条2項は使えない。マニュアルは、発注者が別々でも密接な関係があり得るとするが、国の庁舎と民間の事務所ビルが、一体性・連続性や相互調整の必要といった目安に当てはまるかは、現場ごとに見る。この規定は専任の監理技術者には適用されない(マニュアル)ので、事務所ビル側の下請契約の総額が5,000万円以上で監理技術者を置くなら、この道は使えない
  • ICTの特例は、両方が1億円未満で、移動時間がおおむね2時間以内などの要件を満たせば、使える可能性がある。連絡員の配置などの準備が要る
  • 事務所ビルのほうの下請契約の総額が5,000万円以上なら、置く人は監理技術者になる。2号は監理技術者の特例で、主任技術者は対象にならない(マニュアル)。2号を使うなら、各現場に監理技術者補佐が要る
  • 営業所技術者等の特例(26条の5)は、兼ねる現場の数が1以下であることが要件(マニュアル)なので、この2現場を兼ねる道にはならない

どれを使うかは、要件を一つずつ確かめて決める。答えは「特例の要件を満たせば兼ねられる。満たさなければ現場ごとに別の人」だ。

資格者証と講習 — 5年と5年

専任の監理技術者(専任の特例の場合を含む)は、監理技術者資格者証の交付を受けている者で、登録を受けた講習を受講した者から選ぶ(26条5項)。選ばれた監理技術者は、発注者から請求があったとき、資格者証を提示する(同条6項)。運用マニュアルは、職務に従事しているときは資格者証を常時携帯している必要がある、とも書く。また、資格者証は、所定の資格の有無、専任で従事しているか、雇用関係などを確認するために活用されている、と書く。

数える5年は、2つある。

  • 資格者証の有効期間は5年で、申請により更新する(27条の18第4項・5項)
  • 講習は、選任の期間中のいずれの日も、受講した日の属する年の翌年から起算(数え始めること)して5年を経過しない者でなければならない(施行規則17条の21)

講習の数え方は、日付ではなく暦年だ。令和6年のどの日に受けても、起算は令和7年1月1日で、令和11年12月31日まで有効になる。

なお、特定営業所技術者が監理技術者の職務を兼ねる場合にも、資格者証の交付と26条5項の講習の受講が課される(26条の5第3項)。起算を定める規則17条の21の主語は「法第二十六条第五項の規定により選任されている監理技術者」で、この場合の数え方までは条文から確かめていない。

やってみよう③:講習の最終有効日を数える

令和7年5月に監理技術者講習を受けた。選任の期間中、この講習が有効な最終の日はいつか。

受講した年(令和7年)の翌年、令和8年1月1日から起算して5年を経過しない日までなので、令和12年12月31日。令和7年のどの日に受けても、同じ日になる。

守らないとどうなるか

主任技術者又は監理技術者を置かなかったときは、100万円以下の罰金に処される(52条1号)。主任技術者又は監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当で、変更が公益上必要と認められるときは、国土交通大臣又は都道府県知事が、建設業者に必要な指示をすることができる場合のひとつになる(28条1項5号)。

現場とつなぐ — 電気と盤の周り

電設資材の仕事に近い話が3つある。

工場製作のみの期間は、元請の専任を要しない。 運用マニュアルは、橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電盤等の電機品等の工場製作を含む工事で、工場製作のみが行われている期間は、元請の専任を要しない期間のひとつに挙げる。ただし、発注者と建設業者の間で、その期間が設計図書や打合せ記録などの書面で明確になっていることが必要だ。専任が要らなくても、工場製作の過程は主任技術者又は監理技術者が管理する必要がある。同一工場内で他の同種工事の製作と一元的に管理できる場合は、同一の技術者が一括して管理できる、ともマニュアルは書く。

管工事に付随する他の工事。 建設業者が、許可を受けた建設業に係る工事の附帯工事(軽微な工事を除く)を施工するときは、その工事の技術者(7条2号イ・ロ・ハの者)を置いて自ら施工するか、その工事の許可を受けた建設業者に施工させる(26条の2第2項)。管工事の現場では、たとえば電気の配線を伴う場合に、この条文を思い出す。電気工事業も指定建設業だ(施行令5条の2)。附帯工事に当たるかどうかの判断は、本稿では扱わない。

同じ「主任技術者」でも別の制度。 電気事業法43条の主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、事業用電気工作物を設置する者が選任する。建設業法の主任技術者は、工事現場の施工の技術上の管理をつかさどる。名前は似ているが、法律も役割も別だ。

これで、現場の技術者の話と、保安の主任技術者の話を、混ぜずに聞き分けられる。

試験での出方とワナ

令和8年度の第一次検定の問題A・Bには、この主題を主題とする設問は見当たらなかった。ただし、受検の手引は、第一次検定の基準に「監理技術者補佐として」の語を置き、法規の基準は、建設工事の施工の管理に必要な法令の一般的な知識としている。数字と対象を問う形で出ても対応できるよう、次の4つを押さえる。

  • 線の取り違え。 専任の線(4,500万円。請負代金と施設)と、監理技術者の線(5,000万円。下請契約の総額)。改正前の値(4,000万円、4,500万円)が選択肢に出ることもある。出題の有無は確認できていない。
  • 特例の対象。 密接な関係は主任技術者、補佐は監理技術者、ICTは両方で、1億円未満(建築一式工事は2億円未満)
  • 資格者証と講習の主語。 専任の監理技術者(専任の特例の者を含む)。5年と5年は別の制度
  • 指定建設業。 管工事は実務経験だけでは監理技術者になれない

冒頭の問いの答え合わせ

国の庁舎の空調工事と、民間の事務所ビルの空調工事を、ベテラン1人で兼ねられるか。

  • 両方が列挙された施設で、請負代金が4,500万円以上なら、どちらも専任
  • 兼ねるには、特例が要る。使える道は、密接な関係のある工事(主任技術者の場合)、ICTの特例、監理技術者なら補佐を置く特例などで、いずれも要件を満たしたときに使える
  • 満たさなければ、現場ごとに別の人を置く

理解度チェックの問1・2(金額)と問7(現場数)、問8(日付)で、数字を確かめてみよう。

次の問い

監理技術者を置く線は、「特定建設業者」であることが前提だった。特定建設業と一般建設業は何が違うのか。許可がないと、どんな工事を請け負えるのか。許可の種類と請負契約は、別のトピックで扱う。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 専任の線(4,500万円)と監理技術者を置く線(5,000万円)を、同じ物差しで考える

    なぜ引っかかるどちらも金額が近く、「4,500万円以上は専任」「5,000万円以上は監理技術者」と数字だけで覚えると、何の金額なのかを見落とす

    見破り方監理技術者の線は「下請契約の請負代金の額(総額)」(26条2項)、専任の線は「工事一件の請負代金の額」と施設の種類(施行令27条)。設問の金額が、下請に出す額か、その工事の請負代金かを先に確かめる。令和7年2月1日の改正前の値(4,000万円、4,500万円)が選択肢に出ることもある

  2. 兼務の特例の対象を取り違える

    なぜ引っかかる「兼務できる特例」を一つにまとめて覚えると、密接な関係のある工事の特例(主任技術者)、補佐を置く特例(監理技術者)、ICTの特例(主任・監理の両方)の対象が混ざる

    見破り方令27条2項は「同一の専任の主任技術者」と書く。3項2号は監理技術者の特例で、補佐を専任で置く。3項1号は金額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)の工事に限る。対象と数(2現場まで)で仕分ける

  3. 資格者証と講習を、すべての監理技術者の条件だと考える

    なぜ引っかかる「監理技術者には資格者証と講習」と覚えやすいが、26条5項の主語は、専任の者でなければならない監理技術者(専任の特例の監理技術者を含む)。専任を要しない工事の監理技術者は、この項の主語に入らない

    見破り方26条5項の主語を確かめる。資格者証の5年と講習の5年は別の制度で、起算も違う

  4. 管工事でも実務経験だけで監理技術者になれると考える

    なぜ引っかかる主任技術者は実務経験10年などの道があるため、監理技術者にも同じ道があると思いやすい

    見破り方管工事は指定建設業(施行令5条の2)。26条2項のかっこ書きで、監理技術者は15条2号のイ又はハに限られる。ロ(指導監督的な実務経験)は選択肢にあっても外す

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用5問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 建設業者は、請け負った工事の現場に主任技術者を置く(建設業法26条1項)。発注者から直接請け負った特定建設業者は、下請契約の総額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になるとき、主任技術者に代えて監理技術者を置く(同条2項、施行令2条)
  2. 公共性のある施設又は多数の者が利用する施設に関する重要な工事で政令が定めるものは、主任技術者又は監理技術者を専任とする(26条3項)。施行令27条は、列挙した施設の工事で請負代金の額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上のものとする。令和7年2月1日の改正前は4,000万円(建築一式工事は8,000万円)だった
  3. 兼務の特例には、ICTを利用する場合(3項1号)、監理技術者補佐を専任で置く場合(3項2号)、密接な関係のある工事(施行令27条2項)などがある。1号・2号で兼務できる現場の数は2(4項、施行令30条)。1号は請負代金が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)の工事に限る
  4. 専任の監理技術者(専任の特例の場合を含む)は、監理技術者資格者証の交付を受け、講習を受講した者から選ぶ(26条5項)。資格者証の有効期間は5年(27条の18第4項)。講習は、受講した日の属する年の翌年から起算して5年を経過しない者でなければならない(施行規則17条の21)
  5. 管工事は指定建設業で、監理技術者の資格は15条2号のイ(試験・免許)かハ(大臣認定)に限られ、ロ(実務経験)は使えない。一級の技術検定は監理技術者、二級は主任技術者として必要な知識・能力を判定する(施行令37条)
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