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法規 ・ 4 / 13

建設業の許可と請負契約 — 誰が請け負え、契約に何を書くのか

読み終えると、こうなる

工事の話を持ちかけられたとき、「この金額・この立場で許可は要るか」「契約に何を書き、何が禁じられているか」を、条文の言葉で自分に問えるようになる

  • 一件の工事の請負代金に、分割した契約の合計(正当な理由に基づく分割を除く)と、注文者が提供する材料の市場価格を加えて、許可が要らない軽微な建設工事かどうかを判定できる
  • 営業所のある都道府県の数と、発注者から直接請け負う工事の下請代金の総額(5,000万円以上)から、大臣許可か知事許可か、一般建設業か特定建設業かを仕分けできる
  • 契約書面に書く事項と、契約の変更も書面にすること、禁じられる契約(原価に満たない請負代金、契約後に地位を不当に利用した資材・機械器具やその購入先の指定、一括下請負)を、誰が誰に対して禁じられるかとあわせて説明できる
  • 許可の有効期間(5年)、許可換え、欠格要件の5年、営業所技術者を、場面ごとに取り違えずに答えられる
考えてみよう

仮に、あなたの会社が管工事を1件、請負代金400万円で請け負おうとしている。注文者は、市場価格150万円ほどの配管材料を自分で用意して支給するという。この仕事は、許可なしで請け負えるのか。

もう1つ。受注したあとで人手が足りなくなり、その工事を丸ごと別の会社に出したくなった。これはできるのか。契約書には、何を書かなければならないのか。

まず一言で

建設業法は、誰が請け負えるか(許可)と、どう契約するか(請負契約)の2つを定めている。

  • 許可は、政令の「軽微な建設工事」だけを請け負う者を除いて必要になる。管工事は、工事一件の請負代金が500万円に満たなければ軽微。ただし判定に使う額は、契約書の額そのままではない
  • 許可の種類を分ける線は2本ある。営業所のある都道府県の数で大臣か知事か、発注者から直接請け負う工事の下請代金の総額が5,000万円以上かで一般か特定かが決まる
  • 許可は5年ごとに更新する。欠格要件に当たらないこと(8条)と、営業所ごとに営業所技術者(営業所に置く技術者)を置くこと(7条)が、許可を受ける条件になる
  • 請負契約は、締結時に所定の事項を書面に記載して署名又は記名押印し、相互に交付する。変更するときも書面にする。原価に満たない請負代金、契約後に地位を不当に利用した購入先の指定、一括下請負などには禁止の線がある

条文は、令和8年11月4日に e-Gov で取得した現行の版による。

金額と文言は改正で動く。特定建設業の線(下請代金の総額)は、令和7年2月1日の改正で、4,500万円(建築工事業は7,000万円)から5,000万円(8,000万円)に変わった。軽微な工事の500万円・1,500万円は、令和6年12月13日の版と現行の版で同じだった。令和7年12月12日施行の版で、19条の3第2項(請け負う側の原価割れ禁止)と19条の5第2項(請け負う側の著しく短い工期の禁止)が加わり、20条(見積り)が全面的に書き換わった。古い問題集や資料の数字・文言は、基準時点を確かめてから使う。

この主題の位置 — 令和8年度の出題との関係

令和8年度の第一次検定(問題A・B)を調べた範囲では、許可の区分や契約書面の記載事項を主題にした設問は見つからなかった。建設業法を問うた設問は、問題Bの施工体系図(No.15。特定建設業者が作る書類)と元請負人の義務(No.16)で、公共工事標準請負契約約款は問題AのNo.43だ。受検の手引は、法規の検定基準を「建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する一般的な知識」としている。ここで扱う許可と請負契約は、「元請負人」「特定建設業者」「下請契約」といった言葉がどこで決まるのかという、土台にあたる。

隣のトピックとの分担は次のとおり。

許可の三つの線と、業種

許可の三つの線(管工事業の場合) 線1 許可は要るか 一件の請負代金が500万円に満たない (分割は合算、提供材料は加算。 正当な理由に基づく分割は除く)なら不要 線2 大臣か知事か 営業所が二以上の都道府県 → 国土交通大臣 一つの都道府県だけ → その都道府県の知事 線3 一般か特定か 発注者から直接請け負う一件の工事で、 下請代金の総額が5,000万円以上 → 特定 5,000万円に満たない → 一般 許可の三つの線(自作の概念図。建設業法3条1項、施行令1条の2・2条、令和8年11月時点。建築一式工事は1,500万円、建築工事業は8,000万円で別の線)

線1 許可は要るのか — 軽微な建設工事

建設業を営もうとする者は許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は除かれる(3条1項ただし書)。軽微でない工事を請け負う営業なら、許可が要る。施行令1条の2が定める軽微な建設工事は、次の2つだ。

  • 工事一件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事
  • 建築一式工事のうち、延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事

管工事は建築一式工事ではないので、500万円の線を使う。「満たない」なので、ちょうど500万円は軽微ではない。

判定に使う額には、数え方の決まりが2つある(同条2項・3項)。

  • 分割: 同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額で判定する。ただし、正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りでない
  • 注文者が提供する材料: 注文者が材料を提供する場合は、その市場価格、又は市場価格及び運送賃を、請負代金の額に加えた額で判定する
やってみよう ①:許可は要る?(現行法、消費税は考えない)

(a) 請負代金450万円の管工事を1件。他の工事は請け負わない。 → 500万円に満たないので軽微。許可は要らない。

(b) 管工事1件の完成を、正当な理由なく、請負代金220万円ずつの3契約に分けて請け負う。 → 合計額で判定する。220 × 3 = 660万円で、500万円以上。許可が要る。

(c) 冒頭の場面。請負代金400万円の管工事で、注文者が市場価格150万円の配管材料を提供する。 → 400 + 150 = 550万円で、500万円以上。許可が要る。

(d) 請負代金1,200万円の建築一式工事を1件(木造住宅ではない)。 → 建築一式工事は1,500万円に満たなければ軽微。許可は要らない。

線2 大臣か知事か — 営業所のある都道府県の数

許可をする者は、営業所の置き方で決まる(3条1項)。

  • 二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合 → 国土交通大臣
  • 一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業しようとする場合 → その営業所の所在地を管轄する都道府県知事

「営業所」は、本店、支店、又は政令で定めるこれに準ずるものをいい、政令(施行令1条)は、準ずるものを「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とする。区分に使われるのは営業所の置き方で、工事の施工場所は出てこない。

線3 一般か特定か — 決め手は「下請代金の総額」

許可は、一般建設業と特定建設業に分かれる(3条1項1号・2号)。特定建設業が必要になるのは、次の3つがそろうときだ。

  1. 発注者から直接請け負う工事であること
  2. 一件の工事ごとに見ること
  3. その工事の全部又は一部を、下請代金の額(二以上あるときは総額)が政令の金額以上となる下請契約を締結して施工しようとすること

政令(施行令2条)の金額は5,000万円。ただし、建築工事業では8,000万円。

下請として受けた工事をさらに下請に出す場合は、2号の条件(発注者から直接請け負う)に当たらない。

特定建設業の許可を受けた者でなければ、発注者から直接請け負った工事を施工するための下請契約で、この基準以上になるものを締結してはならない(16条)。許可なしの営業(3条1項違反)も、この16条違反も、違反行為をした者は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」で、併科もある(47条1項1号・2号・2項)。法人の代表者や従業者が業務に関して違反したときは、法人にも1億円以下の罰金刑がある(53条1号)。同じ業種で一般建設業の許可を持つ者が特定建設業の許可を受けたときは、その業種の一般建設業の許可は効力を失う(3条6項)。

同じ「8,000万円」でも別物が2つある。(1) 建築工事業で特定が必要になる、下請代金の総額の線(施行令2条)。(2) 特定建設業の許可の基準で、財産的基礎の判断に使う、発注者との請負契約の請負代金の額(15条3号、施行令5条の4)。前者は下請に出す額、後者は発注者から請け負う額。

下請契約とは、建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で、その建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいう(2条4項)。資材を納めるだけの売買が請負契約に当たらないとすれば、下請代金の総額には数えないことになる(条文の定義からの、当サイトの整理。国土交通省の資料では確かめていない)。

やってみよう ②:一般で足りる?特定が要る?(管工事業、現行の金額)

(a) 発注者から直接、請負代金1億5,000万円の管工事を請け負い、下請には出さない。 → 下請代金の総額は0円。一般建設業の許可で足りる。

(b) 請負代金1億円の管工事を直接請け負い、下請契約を2件(3,100万円と1,800万円)結ぶ。 → 3,100 + 1,800 = 4,900万円で、5,000万円に満たない。一般で足りる。

(c) (b)に、100万円の下請契約をもう1件足す。 → 4,900 + 100 = 5,000万円。「以上」なので、特定が要る。

これで、「大きな工事だから特定」という思い込みを外せる。

線の外にもう1つ — 許可は業種ごと

許可は、建設工事の種類ごとに、別表第一の下欄の業種に分けて与えられる(3条2項)。別表第一は29の業種を挙げる。管工事業の許可を持っていても、それは電気工事業の許可ではない。ただし、建設業者は、許可を受けた建設業に係る工事を請け負う場合、その工事に附帯する他の建設業に係る工事も請け負える(4条)。

許可を持ち続ける — 5年、許可換え、欠格要件、営業所技術者

有効期間と許可換え

許可は5年ごとに更新を受けなければ、期間の経過によって効力を失う(3条3項)。更新の申請をしたのに、満了の日までに処分がされないときは、処分がされるまで従前の許可がなお効力を有する(同条4項)。その場合に更新がされたときは、更新後の有効期間は、従前の満了の日の翌日から数える(同条5項)。

営業所の置き方が変わって、許可をした行政庁の区分と合わなくなったとき、新たに許可を受けると従前の許可は効力を失う。これが許可換えで、9条1項は次の3つの場合を挙げる(営業の承継によって3つ目に当たる場合を除くかっこ書がある)。

  • 大臣許可の者が、一の都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなったとき
  • 知事許可の者が、その都道府県内の営業所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に営業所を設置することとなったとき
  • 知事許可の者が、二以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなったとき

欠格要件(8条)

許可を受けようとする者が8条1項の各号に当たると、許可はされない(更新のときは、問われる号が限られる)。号は14あり、主なものは次のとおり。

  • 許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(2号。29条1項7号又は8号による取消し)
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は受けることがなくなった日から5年を経過しない者(7号)
  • この法律、政令で定める法令の規定(施行令3条の2)、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(一部の規定を除く)などに違反して、又は一定の罪を犯して、罰金の刑に処せられ、同じく5年を経過しない者(8号)
  • 暴力団員、又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(9号)

法人の場合は、役員等や、政令で定める使用人(施行令3条は支配人と、支店・営業所の代表者)のうちに、1号から4号まで、6号から10号までのいずれかに当たる者がいても許可されない(12号。取消しなどの前から役員等だった者を除くかっこ書がある)。「拘禁刑」は、令和7年6月1日の版からの文言で、令和6年12月13日の版では「禁錮」だった。

営業所技術者(7条2号、15条2号)

許可の基準(7条)は4つある。経営業務の管理を適正に行う能力、営業所ごとの営業所技術者、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと、財産的基礎又は金銭的信用。このうち経営業務の管理の基準と営業所技術者の基準を満たさなくなると、許可は取り消される(29条1項1号)。

営業所技術者は、建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者で、営業所ごとに専任の者として置く。置く場所は営業所で、工事現場に置く主任技術者・監理技術者とは別の制度だ。ただし、条件つきで現場の技術者の職務を兼ねる特例が26条の5にある(主任技術者・監理技術者と専任で扱った)。一般建設業(7条2号)と特定建設業(15条2号)では、なれる者が違う。

一般(7条2号)特定(15条2号)
イ指定学科+卒業後の実務(高校5年・大学等3年以上)大臣が定める試験の合格者・免許を受けた者
ロ実務経験10年以上一般のイ〜ハの者+指導監督的な実務2年以上
ハ大臣が認定した者大臣が認定した者
特定のロの実務は、発注者から直接請け負った、請負代金4,500万円以上の工事での実務(施行令5条の3。この4,500万円は現行値で、下請代金の旧い線とは別)

管工事業は、土木工事業・建築工事業・電気工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業と並ぶ指定建設業(施工技術の総合性などを考慮して政令で定める建設業)の1つだ(施行令5条の2)。指定建設業で特定建設業の許可を受けるには、営業所の専任の者が、イ(大臣が定める試験の合格者・免許を受けた者)か、ハ(大臣の認定を受けた者)でなければならない(15条2号ただし書)。10年の実務経験を積んだだけでは、イにもハにも当たらない。

受検する資格との関係も確かめておく。特定の側では、告示(昭和63年建設省告示第1317号)の管工事業の欄に、「検定種目を1級の管工事施工管理とするもの」がある(確認した写しは平成14年最終改正の版で、その後の改正は確認していない)。一般の側では、施行規則7条の3の管工事業の欄の第一号が、「管工事施工管理に係る一級又は二級の第二次検定に合格した者」を、7条2号ハの認定を受ける者として挙げる。第一次検定の合格だけでは、この号には当たらない。

請負契約 — 書面に残し、禁じられた形にしない

契約の原則と書面(18条・19条)

建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実に履行しなければならない(18条)。そのうえで19条1項は、契約の締結に際して、次の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして、相互に交付することを求める。

  • 中身と代金: 工事内容、請負代金の額
  • 時期: 工事着手の時期と完成の時期、工事を施工しない日又は時間帯(定めをするとき)
  • お金の流れ: 前金払・出来形部分に対する支払の時期と方法(定めをするとき)、工事完成後の支払の時期と方法
  • 検査と引渡し: 検査の時期と方法、引渡しの時期
  • 事情が変わったとき: 設計変更や中止、天災などの不可抗力、価格等の変動があった場合の、工期・請負代金の変更や損害の負担と、その額の算定方法
  • 責任と紛争: 第三者に損害を与えたときの賠償金の負担、不適合を担保する責任(定めをするとき)、遅延利息・違約金、紛争の解決方法
  • 資材: 注文者が資材を提供し、又は機械を貸与するときは、その内容と方法

1項は16号までで、最後は「その他国土交通省令で定める事項」だ。省令で定める事項の中身は確認していない。19条に、軽微な工事を除くという書きぶりは見当たらない。

契約の内容で1項に掲げる事項に当たるものを変更するときも、変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付する(2項)。相手方の承諾を得れば、情報通信の技術を利用する方法で国土交通省令の定めるものを講じることもでき、その場合は書面の措置を講じたものとみなされる(3項)。

検査・引渡し・支払の「時期」が契約書面の事項であることと、元請負人が下請負人に負う20日・1か月などの期限は、別の話だ。期限は元請負人の義務で扱った。

見積り(20条)

以下は令和7年12月12日施行の版による。それ以前の20条には、材料費等の額を著しく下回らせない規定(現行の2項)がなかった。現行の20条は、施行日(令和7年12月12日)以後に材料費等記載見積書を交付する場合に適用される(改正法の附則)。

建設業者は、請負契約の締結に際して、材料費、労務費、適正な施工に不可欠な経費(法定福利費など。施行規則13条の12)などの内訳を書いた見積書を作成するよう努めなければならない(1項)。その材料費等の額は、通常必要と認められる額を著しく下回ってはならず(2項)、注文者から請求があれば契約の成立までに交付する(4項)。注文者側にも、19条1項の事項(2号を除く)をできる限り具体的に提示し、見積りに必要な期間を設ける義務がある。見積期間は、予定価格が500万円未満は1日以上、500万円以上5,000万円未満は10日以上、5,000万円以上は15日以上だ。やむを得ない事情があれば、後ろの2つは5日以内に限り短縮できる(3項、施行令5条の9第1項)。ただし国が入札で競争に付する場合は、予算決算及び会計令74条の期間を見積期間とみなす(同条2項)。

禁じられている契約の形

条禁じられる者禁じられること
19条の3第1項注文者地位を不当に利用した、原価割れの請負代金
19条の3第2項請け負う建設業者正当な理由のない、原価割れの請負代金
19条の4注文者契約後、地位を不当に利用して資材・機械器具や購入先を指定し、買わせて利益を害すること
19条の5第1・2項注文者・建設業者著しく短い工期の契約
原価は「通常必要と認められる原価」。著しく短い工期は「通常必要と認められる期間に比して著しく短い」工期。19条の3第2項と19条の5第2項は令和7年12月12日施行の版で加わり、施行日前に締結した契約には適用されない(改正法の附則)

元請負人は、下請契約では注文者でもある(2条5項)。24条の5が、元請負人の違反の例として19条の3第1項と19条の4を挙げているので、この2つの「注文者」には元請負人も入る。19条の3第2項の正当な理由は、施行規則13条の11に3つ挙がる。自らが保有する低廉な資材を用いられること、先端的な技術などで工事原価の低減が図られていること、緊急の必要その他のやむを得ない事情があることだ。

一括下請負の禁止(22条)

  • 建設業者は、請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない(1項)
  • 建設業を営む者は、建設業者が請け負った建設工事を、一括して請け負ってはならない(2項)。出す側も受ける側も禁じられる
  • 例外として、多数の者が利用する施設・工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の工事では、元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、1項・2項は適用されない(3項)。政令が定めるのは「共同住宅を新築する建設工事」(施行令6条の4)。この工事は、承諾があっても一括下請負は認められない
  • 発注者は、元請負人の承諾を得て、情報通信の技術を利用する方法で国土交通省令で定めるものにより承諾の通知ができ、書面による承諾をしたものとみなされる(4項)

条文が禁じるのは「一括して」で、工事の一部を下請に出すこと自体ではない(下請契約は2条4項が前提にしている)。違反は、許可行政庁の指示と、1年以内の営業停止の対象になる(28条1項4号・3項)。どこからが「一括」かの具体的な判断基準は国土交通省の通知などにあるが、原文を取得していないので扱わない。このトピックは建設業法だけを扱い、公共工事の別の法律の規律は扱わない。

現場とつなぐ — 資材は、どの線に関わるか

  • 注文者が材料を提供する: 軽微な工事かどうかの判定で、市場価格が加算される(施行令1条の2第3項)。条文の語は「材料」だけで、空調機やポンプのような機器の支給がこれに含まれるかは、条文からは言えない。契約書面には、提供する資材や貸与する機械の内容と方法を書く(19条1項10号)
  • 契約のあとに購入先を指定される: 注文者が、契約の締結後に、地位を不当に利用して資材・機械器具やその購入先を指定して買わせ、請負人の利益を害することは禁じられる(19条の4)。
  • 資材を売るのか、完成を請け負うのか: 資材を納めるだけの売買は、請負契約に当たらないと読める。一方、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、委託その他いかなる名義でも請負契約とみなされる(24条)。中身がどちらかで、条文の扱いが変わりうる(当サイトの読み)

試験での出方とワナ

取り違えやすいのは次の4つだ。

  • 特定の線は請負代金ではなく下請代金の総額
  • 軽微な工事の判定は、分割の合計(正当な理由のある分割を除く)と提供材料の市場価格を入れた額
  • 禁止規定は、誰が(注文者か請け負う側か)、いつ(契約の締結後か)まで読む
  • 一括下請負は、承諾で外せない共同住宅の新築がある

冒頭の問いの答え合わせ

  • 400 + 150 = 550万円で判定する。500万円以上なので軽微ではなく、許可が要る。
  • 工事を丸ごと別の会社に出すのは一括下請負で、原則として禁じられる(22条1項)。受ける側も禁じられる(2項)。発注者のあらかじめの書面による承諾で適用が外れる工事もあるが、共同住宅の新築は承諾があっても外れない。一部を下請に出すこと自体は、禁じられていない。
  • 契約書には、工事内容、請負代金の額、工期など19条1項の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付する。内容を変更するときも書面にする。

答え合わせは、理解度チェックの問1・問2(軽微な工事)、問4・問5(一般と特定)、問10(契約の変更)、問12(一括下請負)でしてみよう。

次の問い

営業所に置く営業所技術者は、条件つきで現場の主任技術者などの職務を兼ねられる(26条の5)。許可の基準で見た営業所の技術者と、現場の技術者の特例は、どの条件で重なるのか。営業所と現場の両方から確かめてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 特定建設業の許可が要るかどうかを、請負代金の大きさで判定する

    なぜ引っかかる「大きな工事は特定」という連想がはたらく。また、特定の許可の基準には請負代金の額の8,000万円(財産的基礎)が出てくるため、別の金額が混ざる

    見破り方3条1項2号の主語は「下請代金の額(総額)」で、発注者から直接請け負う一件の工事ごとに見る。設問の金額が、下請に出す額なのか発注者から請け負う額なのかを先に分ける。ちょうど5,000万円は「以上」なので特定に当たる

  2. 軽微な工事の判定に、契約書に書かれた請負代金の額だけを使う

    なぜ引っかかる「500万円に満たない」という数字だけが頭に残り、令1条の2の第2項(分割)と第3項(注文者が提供する材料)の数え方を落とす

    見破り方契約を分割していないか(正当な理由がなければ合計額)、注文者が材料を提供していないか(市場価格を加える)を確かめる。ちょうど500万円は「満たない」に当たらず、軽微ではない

  3. 禁止規定の「誰が」「いつ」を取り違える

    なぜ引っかかる原価割れの請負代金、著しく短い工期、資材の購入先の指定は似た話に見えるが、条ごとに禁じられる者と時点が違う

    見破り方19条の3第1項は注文者、同条2項は請け負う建設業者、19条の4は注文者で、「請負契約の締結後」に「地位を不当に利用して」行うもの。19条の5は注文者と建設業者の両方。令和7年12月12日施行より前の資料は、19条の3第2項・19条の5第2項の追加と20条の全面改正の前の姿で書かれている

  4. 発注者の承諾があれば、一括下請負はどの工事でもできると思い込む

    なぜ引っかかる22条3項の「承諾があれば適用しない」が先に頭に入り、承諾が使えない工事の除外を落とす

    見破り方3項は「政令で定めるもの以外」の工事に限って、承諾で適用を外す。政令(令6条の4)が定めるのは共同住宅を新築する建設工事。1項(出す側)と2項(受ける側)の両方が禁止の対象になる

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用4問・ひっかけ5問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 建設業を営もうとする者は許可を受けなければならない。ただし、政令の軽微な建設工事(工事一件の請負代金の額が500万円〈建築一式工事は1,500万円〉に満たない工事など)のみを請け負う者は除かれる。判定の額は、分割した契約は(正当な理由に基づく分割を除き)合計額、注文者が材料を提供するときはその市場価格(又は市場価格及び運送賃)を加えた額(3条1項、令1条の2)
  2. 許可は、二以上の都道府県に営業所を設けるときは国土交通大臣、一の都道府県のみに営業所を設けるときはその都道府県知事が行う。一般か特定かは、発注者から直接請け負う一件の工事の下請代金の額(二以上あるときは総額)が政令の金額(5,000万円、建築工事業は8,000万円。令和7年2月1日の改正後)以上になるかで決まり、請負代金の額では決まらない(3条1項、令2条)
  3. 許可は5年ごとに更新を受けなければ効力を失う。8条の欠格要件(拘禁刑以上の刑の執行を終わって5年を経過しない者など)に当たると許可されず、営業所ごとの営業所技術者を置くことも許可の基準になる(3条3項、7条、8条)
  4. 管工事業は指定建設業で、特定建設業の許可の営業所ごとに専任で置く者(特定営業所技術者)は、国土交通大臣が定める試験の合格者・免許を受けた者か、大臣が認定した者でなければならない(15条2号ただし書、令5条の2)
  5. 請負契約の当事者は、契約の締結に際して、工事内容、請負代金の額、工期など19条1項の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付する。変更も書面で行う(19条1項・2項)
  6. 注文者は、地位を不当に利用して原価に満たない請負代金で契約してはならず(19条の3第1項)、請負契約の締結後に、地位を不当に利用して、資材・機械器具やその購入先を指定して購入させ、請負人の利益を害してもならない(19条の4)。請け負う建設業者も、正当な理由なく原価に満たない請負代金で契約してはならない(19条の3第2項。令和7年12月12日施行の版にある)
  7. 請け負った工事を一括して他人に請け負わせること、一括して請け負うことは禁じられる。発注者のあらかじめの書面による承諾で適用が外れる工事もあるが、共同住宅を新築する建設工事は承諾があっても認められない(22条、令6条の4)
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