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機械工学等 ・ 14 / 19

鉄筋コンクリート造 — 鉄筋とコンクリートの分担と、梁に穴をあける約束

読み終えると、こうなる

機械室の梁にスリーブを入れる図を見て、「この孔は、資料の約束(孔径・間隔・位置)に収まるか」を、自分で確かめられるようになる

  • コンクリートが主に圧縮、鉄筋が主に引張を受け持つ理由を引張強度(圧縮強度の約1/10以下)で、組合せを支える主な性質を付着・線膨張係数・強アルカリ性で、説明できる
  • ラーメン構造(柱と梁を剛接合)、梁の主筋(材軸方向)とあばら筋、単筋梁と複筋梁を、図に描き分けて説明できる
  • 梁せいと管の外径から、スリーブの径が梁せいの1/3以下に収まるかと、2つの孔の中心間隔の下限(両孔径の平均の3倍)を計算できる
  • 梁貫通孔の位置(原則として柱面から1.5D以内を避ける。基礎梁と壁付帯範囲は除く。梁中央部の下端からD/3は不可)と、床・壁に配管を埋めるときの約束を、資料の言葉で言える
考えてみよう

前のトピックの終わりに、問いを1つ残した。電線管やスリーブをコンクリートに埋め込むと、打設のあとは、壊さなければ手が届かない場所になる。では、管や配線を中に抱えるその鉄筋コンクリートは、鉄筋とコンクリートがどう役割を分けて、建物を支えているのか。

たとえば、機械室の天井下で、梁(柱と柱をつなぐ横の部材)を横切って配管を通したい。施工図には、スリーブ(コンクリートに前もって入れておく、管を通す筒)を描く。ここで2つの疑問が出る。

  1. 鉄筋とコンクリートは、そもそも何をどう分担しているのか
  2. 梁には、どこに、どの大きさ、どの間隔まで穴をあけてよいのか

数字を丸暗記しても、初見の問いには崩れる。梁の断面に鉄筋がどう入っているかを思い浮かべながら、数字の意味を読んでいこう。

まず一言で

鉄筋コンクリート(RC)造は、コンクリートが主に圧縮を、鉄筋が主に引張を受け持つ複合材料でできた構造だ。配管が貫く梁・床・壁には、孔の大きさ・間隔・位置や、配管の置き方の約束がある。

  • 材料:コンクリートの引張強度は圧縮強度の約1/10以下なので、引張を受ける所には鉄筋を入れる。付着が強く、線膨張係数がほぼ等しく、コンクリートが強アルカリ性で鉄筋を守る。この3つが、組合せを支える主な性質だ
  • 骨組:ラーメン構造は、柱と梁を剛接合した骨組だ。耐震壁は釣合い良く配置する
  • 梁の鉄筋:主筋は材軸方向。構造耐力上主要な梁は、主筋を引張側と圧縮側の両方に入れた複筋梁にする(施行令78条)
  • 梁の貫通孔:RC造では、孔径は梁せい(梁の高さ。令は「はりの丈」と書く)の1/3以下、並べるときの中心間隔は両孔径の平均の3倍以上(官庁営繕部の資料)

この回の「基礎」は、基本の意味だ。建物を地盤に載せる基礎構造は扱わない。許容応力度計算や耐震計算、防火区画の貫通部の処理、配管そのものの施工も、この回では扱わない。

仕組み① — コンクリートに、なぜ鉄筋を入れるのか

コンクリートは圧縮に強く、引張に弱い。引張強度は圧縮強度の約1/10以下しかなく、鉄筋コンクリート構造計算規準(日本建築学会。以下RC規準)は、コンクリートの引張応力度を無視して設計する(村上聖の公開講義資料 1.3)。

両端を支えた梁(単純梁)が中央でたわむと、下側が引き伸ばされる。鉄筋のない梁は、最大曲げの場所に曲げひび割れが1本入り、それが広がって真っ二つに折れる。引張側に、梁の長さ方向(材軸方向)の鉄筋を入れると、鉄筋が引張を受け持ち、ひび割れは分散して入りながら、耐えられる荷重が増えていく。

ここで1つ目の「なぜ?」。鉄筋とコンクリートは、別々の材料だ。なぜ一体で働けるのか。同じ資料は、成り立つ基本として付着と線膨張係数を、コンクリートの役目として防錆(強アルカリ性)を挙げる。

性質中身働き
付着鉄筋に対するコンクリートの付着強度が大きい一体として力を受け持つ
線膨張係数両者がほぼ等しい(約1×10⁻⁵/℃)温度が変わっても同じように伸び縮みする
アルカリ性コンクリートが強アルカリ性内部の鉄筋の防錆被覆になる
付着と線膨張係数は資料の「力学的複合」、アルカリ性は「機能的複合」。法令の条文ではない

線膨張係数の効き目を、数字で見よう。たとえば、長さ10mの部材が30℃変化すると、約1×10⁻⁵/℃の材料は何mm伸びるか。長さの変化は、線膨張係数×温度変化×長さだ。

ΔL=1×10−5×30×10=3×10−3 m=3 mm\Delta L = 1\times10^{-5} \times 30 \times 10 = 3\times10^{-3}\ \text{m} = 3\ \text{mm}

鉄筋もコンクリートも、同じ約3mm伸びる。伸びがそろうので、鉄筋による拘束でコンクリートに生じる応力は、一般に無視できる(宮澤伸吾、コンクリート工学)。ただし「ほぼ等しい」は、どの骨材でも成り立つ話ではない。同じ記事は、石灰石骨材を使うなどでコンクリートの熱膨張係数が小さくなると、温度ひずみが鉄筋に拘束されて、温度ひび割れの原因になると書く。上の式は標準的なもので、出典の資料にはなく、筆者が当てはめた。

やってみよう①:鉄筋の伸びが、コンクリートの2倍だったら

仮に、鉄筋の線膨張係数がコンクリートの2倍だったとする。長さ10mの部材が30℃変化すると、コンクリートは3mm、鉄筋は6mm伸びる。差の3mmは、付着で一体になった鉄筋とコンクリートの間に、互いに拘束し合う力を生む。仮定の話だが、これが「ほぼ等しい」が基本に挙がる理由だと、筆者は読む。

3つ目の性質、アルカリ性は、鉄筋を覆う厚さがあって初めて働く。この厚さを、かぶり厚さという。施行令79条は、最小値を次のように定める。

  • 耐力壁以外の壁又は床:2cm以上
  • 耐力壁、柱又ははり:3cm以上
  • 直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分:4cm以上
  • 基礎(布基礎の立上り部分を除く):捨コンクリートの部分を除いて6cm以上

同条第2項は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防ぎ、かつ、鉄筋とコンクリートを有効に付着させて、第1項と同等以上の耐久性と強度を持つものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材と、大臣の認定を受けた部材には、第1項を適用しないと書く。ここから、かぶり厚さの役目は、腐食を防ぎ、付着を保つことだと読める(当サイトの読み)。標準仕様書(建築工事編)は、貫通孔に接する鉄筋のかぶり厚さも、同仕様書の最小かぶり厚さ(5.3.5(1))以上とする(5.3.5(6))。

これで、RC造を支える主な性質を、3つの言葉(付着、線膨張係数、アルカリ性)で言える。

仕組み② — 骨組の形と、耐震壁の置き方

管が貫くのは、建物のどの部分か。施行令1条三号は、構造耐力上主要な部分を、基礎、壁、柱、床版、屋根版、横架材(はり、けたその他)などで、建築物の自重、積載荷重、風圧、地震その他の震動又は衝撃などを支えるもの、と定める。梁、柱、床版、壁は、ここに入る。

その設計の大原則が、令36条の3だ。第1項は、用途や規模などに応じて、柱、はり、床、壁等を有効に配置して、建築物全体が、自重、積載荷重、風圧、地震その他の震動及び衝撃などに対して、一様に構造耐力上安全であるようにすべきものとする。第2項は、構造耐力上主要な部分を、水平力に耐えるように、釣合い良く配置すべきものとする。

ラーメン構造は、剛接合された柱・梁のフレームと、床・屋根のスラブで構成される。通常は耐震壁がバランスよく配置される(村上聖の資料 1.4)。壁式構造は、耐力壁とスラブの面材で構成され、壁が多い低層の住宅に使われる。

ラーメン構造の柱と梁は、剛接合だ。剛接合は、つながった柱と梁の角度が変わらず、曲げを伝える接合。ピン接合は、蝶番のように回転でき、曲げを伝えない接合を指す(標準的な説明。確認した資料に定義はない)。選択肢が「ピン接合」と書いていたら、取り違えを疑う。

壁の言葉にも注意が要る。令の条文は「耐力壁」と書き、試験の記述や村上聖の資料は、ラーメン構造の中の壁を「耐震壁」と呼ぶ。両者の厳密な区別は、確認できた資料からは言い切れない。

令78条の2第1項は、耐力壁を次のような構造としなければならないと定める(抜粋。ほかに接合部と、壁式構造の耐力壁の規定がある)。

  • 厚さは12cm以上
  • 開口部周囲に、径12mm以上の補強筋を配置する
  • 径9mm以上の鉄筋を、縦横に30cm以下の間隔で配置する。鉄筋を2段に入れる複配筋では45cm以下。平家建てでは、35cm以下(複配筋では50cm以下)とすることができる

壁に管を通すスリーブの孔が、令78条の2の「開口部」に当たるかは、条文からは言えない。標準仕様書(機械設備工事編)は、スリーブについて「開口補強」の語を使い、特記がなければ、柱及び梁以外の箇所で、開口補強が不要であり、かつ、スリーブ径が200mm以下の部分は、紙製仮枠を使ってよいとする(2.2.27(2)(イ))。柱及び梁以外の箇所について、開口補強が要るかどうかの判断基準は、確認した資料には書かれていない。

これで、ラーメン構造と耐震壁を、令36条の3の考え方と結びつけて説明できる。

仕組み③ — 梁の中の鉄筋

梁の断面を開くと、2種類の鉄筋が入っている。

  • 主筋:曲げに抵抗するため、材軸方向に入れる鉄筋。引張側に通すものを引張鉄筋、圧縮側に通すものを圧縮鉄筋という
  • あばら筋:せん断力に抵抗する鉄筋(せん断補強筋)。材軸に直交する方向に、主筋を囲む閉じた形に入れる(スターラップともいう)

せん断力を受ける場所では、中立軸の位置で最大のせん断応力度が生じ、それによる引張の力がコンクリートの引張強度に達すると、材軸に斜め45度のひび割れが入る。あばら筋は、そのひび割れをまたいで引張を受け持つ(村上聖の資料 1.3、3.3)。

梁の断面 — 単筋梁と複筋梁 主筋(材軸方向) あばら筋(主筋を囲む輪) 上(圧縮側) 上(圧縮側) 単筋梁 複筋梁 下(引張側)だけに主筋 下と上の両方に主筋 梁の断面(自作の概念図。梁の中央が下にたわむ場合で、上が圧縮側、下が引張側。力の向きが入れ替わると、引張側と圧縮側も入れ替わる)

引張側だけに主筋を入れた梁が単筋梁、圧縮側にも主筋を入れた梁が複筋梁だ。この2つの呼び名の定義文は、村上聖の資料にない。同資料の複筋の規定(1.3。圧縮側にも材軸方向の鉄筋を配置する)と、複筋比の語から、標準的な意味に従って書いた。令和8年度の問題A No.14 にも、同じ意味の記述がある。

2つ目の「なぜ?」。曲げで圧縮を受ける側は、コンクリートが受け持てるのに、なぜ圧縮側にも鉄筋を入れるのか。同じ資料は、圧縮側のコンクリートが圧壊すると、脆性的(急に壊れる)な破壊を示すため、圧縮側にも材軸方向に鉄筋を配置すると、RC規準が規定していると書く。構造設計では、脆性的なせん断破壊よりも、延性的な曲げ降伏破壊が先に起きるように、主筋とせん断補強筋の量を決める。

令78条は、構造耐力上主要な部分であるはりを、複筋ばりとし、あばら筋を、はりの丈の4分の3(臥梁は30cm)以下の間隔で配置しなければならないと定める。

やってみよう②:複筋梁の絵を、思い出して描く

梁の断面を、鉛筆で描いてみよう。長方形の中に、閉じた輪を描き、輪の中の下側と上側に、主筋の丸を入れる。輪があばら筋だ。

主筋は紙面の手前へ向かって通り(材軸方向)、あばら筋は、その主筋をぐるりと囲む(材軸に直交)。

これで、梁の断面を描き、主筋・あばら筋・単筋・複筋を言い分けられる。

数と条文で追う — 梁に穴をあける

梁貫通孔の約束は、施行令の条文ではない。国土交通省官庁営繕部整備課の「建築構造設計基準の資料」(令和3年改定)が、書いている。官庁施設の営繕のための基準で、民間の建築を直接拘束する法令ではない。ただし、令和8年度の問いは、この資料の数字と合っている。資料は、RC造の構造計算を、法令及び解説書によるほか、RC規準等を参考に行うと書く(6.1)。

項目RC造の梁鉄骨造の梁
孔径の上限梁せいの1/3以下梁せいの1/2以下
中心間隔の下限両孔径の平均の3倍以上両孔径の平均値の2倍以上
資料の箇所6.2.28.2.3
官庁営繕部の資料。RC造(6.2.2)には「貫通孔が円形でない場合は、外接円とする」とある。8.2.3には外接円の記述がない

RC造の6.2.2は、位置と補強についても書く。

  • 柱面の近く:ヒンジ領域を考慮し、原則として、柱面から1.5D(Dは梁せい)離れた範囲内に設けてはならない。せん断スパン比(構造計算で使う指標)に応じて、これより短いヒンジ領域を設定できるが、その場合も1.0D以上とする。基礎梁及び壁付帯範囲(後者の定義は、確認した資料にない)は、ヒンジ領域が明確でないため、特段の規定は設けないこととしている
  • 上下の位置:梁せいの中央付近が望ましい。梁中央部の下端については、梁下端からD/3の範囲に設けてはならない
  • 大きなせん断力を受ける所:境界梁等には、原則として設けない。やむを得ず設ける場合は、補強設計を行う
  • 補強:孔径が一般部のあばら筋のピッチより大きいときは、原則として、孔の上下に縦筋を設ける。補強は、RC規準を参考に、原則として、有孔梁のせん断強度が無開口の場合以上になるように設計する(メカニズム時の応力が明確な場合は、その応力を適切に割り増して補強設計を行ってもよい)。既製の補強品は、第三者機関の評定や技術証明等を取得したものを使う
梁貫通孔の約束(RC造の梁の側面図) D 孔径 φ ≦ D/3 避ける 避ける 1.5D 1.5D 中心間隔 中心間隔 ≧ 両孔径の平均 × 3 梁下端から D/3 の範囲(点線の部分)も不可 D:梁せい。網掛けは柱面から 1.5D の範囲 1.5Dは原則の距離。基礎梁・壁付帯範囲は除く 梁貫通孔の約束(自作の概念図。官庁営繕部の「建築構造設計基準の資料」6.2.2にもとづく。寸法比は説明用で、実際の梁とは異なる)

3つ目の「なぜ?」。なぜ、こうした約束が置かれているのか。資料は、柱面近くを避ける理由を「ヒンジ領域を考慮し」と書くだけで、ほかの数字の理由は書いていない。ヒンジ領域の定義も、確認した資料にはない。一般には、地震で大きな曲げを受け、鉄筋が降伏して曲がりやすくなる範囲を指す(筆者の説明)。

ここからは当サイトの読みだ。梁の上下には主筋が通り、曲げの応力は上下の縁で大きく、中ほどで小さい。孔を中央付近に置くのは、主筋を切らず、曲げ抵抗への影響を小さくするためと考えられる。孔が大きい、近すぎる、端に寄るといった配置は、あばら筋を切り、せん断力を受け持つ断面を減らす。数字は、その欠け方に歯止めをかけるものと読める。

例題 — 梁せい600mmに、管を2本通す

仮に、梁せい D=600mm のRC造の梁に、外径(保温厚さを含む)が130mmと100mmの管を、並べて通すとする。

  1. スリーブの径:標準仕様書(機械設備工事編)2.2.27(1)は、原則として、管の外径(保温されるものは保温厚さを含む)より40mm程度大きいものとする。ここでは40mmとおく。130+40=170mm、100+40=140mm。
  2. 孔径の上限:D/3=600÷3=200mm。170mmも140mmも、200mm以下で収まる。
  3. 中心間隔の下限:両孔径の平均は(170+140)÷2=155mm。その3倍で、155×3=465mm以上離す。
  4. 位置:柱面から1.5D=1.5×600=900mm以内は、基礎梁と壁付帯範囲を除き、原則として避ける。上下は、梁せいの中央(下端から300mm)に孔の中心を置くと、径170mmの孔の下縁は下端から300-85=215mmで、D/3=200mmの範囲に入らない。

もし管の外径が180mmなら、スリーブの径は220mmで、上限の200mmを20mm超える。構造設計の側に照会し、経路や梁の寸法を相談する、と考えるのが安全側だ(当サイトの考え方)。

なお、建築工事編6.8.2(9)(ア)は、スリーブを取り外さない場合の貫通孔の径を、スリーブの内径寸法とする。機械設備工事編のスリーブの「径」が内径か外径かは、2.2.27に書かれていない。例題は、孔径を管の外径+40mmとおいた(当サイトの置き方)。

やってみよう③:梁せい450mmで、通せる管はどこまでか

梁せい450mmのRC造の梁に、スリーブを入れる。スリーブの径は管の外径(保温厚さを含む)+40mm、孔径はスリーブの径に等しいとする。通せる管の外径(保温厚さを含む)の最大値は?

孔径の上限は 450÷3=150mm。スリーブの径が150mm以下なら、管の外径は 150-40=110mm以下。

RC造は「1/3 と 3倍」、鉄骨造は「1/2 と 2倍」。分母と倍数が、構造ごとに同じ数になる。同じ官庁営繕部の資料に両方が載っているので、設問の構造種別を先に確かめる。

これで、梁せいと管の外径から、スリーブが収まるかと、並べる間隔の下限を、数字で出せる。

現場とつなぐ — スリーブと、床・壁に埋める配管

スリーブの段取り。標準仕様書は、建築物内の配管では、工事の進捗に伴って、吊り金物・支持金物等の取付けとスリーブの埋込みを、遅滞なく行うと定める(機械設備工事編 2.4.1(2))。建築工事編は、配管、ボックス、埋込み金物等を、構造耐力上及び耐久性上支障のない位置に配置し、コンクリートの打込み時に移動しないよう堅固に取り付けると定める(6.8.3(3))。

スリーブの材料と紙製仮枠。スリーブの材料は、鋼管(配管用炭素鋼鋼管の白管)、硬質ポリ塩化ビニル管(VU)、溶融亜鉛めっき鋼板、つば付き鋼管から、特記によって選ぶ(建築工事編 表6.8.1)。紙製の仮枠を使ってよい箇所は、前に見たとおり、特記がなければ、柱及び梁以外の一部に限られる。梁が対象外の理由は、条文には書かれていない。紙製仮枠を使った部分は、配管施工前に必ず取り外し、配管施工後にモルタル、ロックウール等で充塡する(機械設備工事編 2.4.1(3))。

梁の貫通部の配管。都市ガス設備の配管の規定は、梁等の貫通部に接合部を設けないと定める(機械設備工事編 第6編 2.2.3.1(10))。

壁や床版に管を埋めるとき。官庁営繕部の資料6.2.3は、次のように書く。

  • 壁に配管等が埋め込まれるときは、設備設計者と設計段階で協議し、配管径を細くする等の措置を講じる。その部分は、壁厚を厚くし、複配筋とすることが望ましい
  • 床版で、埋め込まれる電気設備の配管等が集中するときは、床版を厚くするか、配筋量を増やして補強する。配管等は、原則として、打ち増し部分に設置する場合を除き、複配筋の間に設置する
  • 屋根床版には、原則として配管等を埋め込まない。埋め込むときは、床版の厚さを厚くするか、配筋量を増やす

床版の項の書き出しは「埋め込まれる電気設備の配管等」で、水や空調の配管に同じ扱いが及ぶかは、資料からは言えない。

複配筋は、壁や床の鉄筋を、厚さ方向に2段に配置することをいう(標準的な説明。確認した資料に定義はない)。配管を2段の鉄筋の間に置く理由は、資料に書かれていない。配管が鉄筋の配置を乱しにくいから、と読める(当サイトの読み)。

電材との接点。コンクリートに埋め込まれる電線管(PF管・CD管など)は、打設後に点検できなくなる。前のトピック「低圧屋内配線の施設場所と工事の種類」の、点検できない隠ぺい場所だ。サイトのガイド「コンクリート埋設PF管のつぶれ対策」は、読み物の補足で、この回の記述の根拠ではない。

これで、スリーブと埋設配管の約束が、鉄筋の分担に結びつく。

試験での出方とワナ

令和8年度の第一次検定(問題A)の No.13・14 が、この鉄筋コンクリート造の出題だ。No.1〜14は全員が解く必須問題で、2問とも、4つの記述から「適当でないもの」を1つ選ぶ形だった。No.13はRC造全般(耐震壁の配置、鉄筋とコンクリートの性質、骨組の形式、構造体の安全性)、No.14は梁(主筋の向き、貫通孔の間隔と径の上限、梁の呼び名)が並んだ。どの記述も、このトピックの内容を手がかりに判定できる。受検の手引は、機械工学等の検定基準に「建築学」を含めている。

解き方は3段だ。

  1. 主題を決める:材料の性質か、骨組か、梁の鉄筋か、貫通孔か
  2. 数字と語を、取り違え先と並べる:「1/3」には「1/2」、「3倍」には「2倍」、「剛接合」には「ピン接合」、「単筋」には「複筋」
  3. 記述を1つずつ判定する:「適当でないもの」を選ぶので、正しい記述は3つある。3つが確認できれば、残りが答えになる

冒頭の問いの答え合わせ

1. 鉄筋とコンクリートは、何をどう分担しているのか。

  • コンクリートが主に圧縮を、鉄筋が主に引張を受け持つ。コンクリートの引張強度は圧縮強度の約1/10以下で、引張側に鉄筋を入れる
  • 一体で働く基本は、付着が強いことと、線膨張係数がほぼ等しいこと。強アルカリ性のコンクリートが、鉄筋を錆から守る
  • 梁は、主筋(材軸方向)が曲げを、あばら筋(材軸に直交)がせん断を受け持つ。構造耐力上主要な梁は、引張側と圧縮側の両方に主筋を入れた複筋ばりにする

2. 梁には、どこに、どの大きさ、どの間隔まで穴をあけてよいのか。

  • 官庁営繕部の資料では、RC造の梁の孔径は梁せいの1/3以下、並べるときの中心間隔は両孔径の平均の3倍以上
  • 位置は、原則として柱面から1.5D以内を避け(基礎梁等を除く)、上下は梁せいの中央付近が望ましい。梁中央部の下端からD/3の範囲は不可
  • 梁せい600mmなら、孔径は200mm以下。管の外径(保温厚さを含む)に40mmを足したスリーブの径が、これに収まるかを確かめる

できるようになったこと。コンクリートと鉄筋の分担を、3つの性質と梁の断面で説明できる。ラーメン構造と耐震壁、単筋梁と複筋梁を言い分けられる。梁せいと管の外径から、スリーブの収まりと孔の間隔を計算で出せる。答え合わせは、理解度チェックの問6〜9(貫通孔)と問2・5(梁の鉄筋)で。

次の問い

梁を貫いた管の中を、水が流れていく。給水管の太さは、蛇口の数をすべて足して決めるのだろうか。建物の中の蛇口は、全部が同時に開くわけではない。では、管の太さと水の量は、何を根拠に決めるのか。次のトピックで、給水方式と流量の考え方(同時使用率、器具給水負荷単位)を追う。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. ラーメン構造の柱と梁の接合を、ピン接合と取り違える

    なぜ引っかかる「骨組」という言葉から、部材を組んだだけの接合を連想し、接合の種類(剛接合かピン接合か)まで確かめずに読んでしまう

    見破り方ラーメン構造は、剛接合された柱・梁のフレームで構成される。選択肢に「ピン接合」があれば、取り違えを疑う。接合の種類を述べた記述は、その一語に線を引く

  2. 梁貫通孔の「1/3以下」「3倍以上」を、鉄骨造の梁の「1/2以下」「2倍以上」と取り違える

    なぜ引っかかる同じ官庁営繕部の資料に、RC造(6.2.2)と鉄骨造(8.2.3)の値が載っており、数字だけを覚えると、どちらの構造の値かが入れ替わる

    見破り方RC造は「孔径は梁せいの1/3以下、中心間隔は平均の3倍以上」で、分母と倍数が同じ3。鉄骨造は2と2。設問の構造種別を先に確かめる

  3. 複筋梁と単筋梁の呼び名、主筋とあばら筋の向きを取り違える

    なぜ引っかかる「複」と「単」を鉄筋の本数と読んだり、主筋とあばら筋の役目を入れ替えたりしてしまう。壁や床の「複配筋」という別の言葉も混ざりやすい

    見破り方引張側だけに主筋を入れるのが単筋梁、圧縮側にも入れるのが複筋梁。主筋は材軸方向、あばら筋は材軸に直交して主筋を囲む。「複配筋」は壁・床の鉄筋の入れ方で、梁の呼び名ではない

  4. 耐震壁を、片側に寄せてよいと考える

    なぜ引っかかる耐震壁が地震に有効という点だけを覚え、配置の考え方まで確かめずに読んでしまう

    見破り方施行令36条の3第2項は、構造耐力上主要な部分を、水平力に耐えるように釣合い良く配置すべきものと定める。「釣合い良く」の語があるかを見る。偏らせる配置は合わない

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用5問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. コンクリートの引張強度は圧縮強度の約1/10以下で、RC規準はコンクリートの引張応力度を無視して設計する。引張を受ける部分は鉄筋が受け持つ。鉄筋コンクリートが構造材として成立する基本は、付着強度が大きいことと、熱膨張係数がほぼ等しい(約1×10⁻⁵/℃)こと。さらに、コンクリートは強アルカリ性で、内部の鉄筋の防錆被覆になる(村上聖の公開講義資料)
  2. ラーメン構造は、剛接合された柱・梁のフレームと床・屋根スラブで構成され、通常は耐震壁がバランスよく配置される。施行令36条の3は、構造耐力上主要な部分を、建築物に作用する水平力に耐えるように釣合い良く配置すべきものと定める
  3. 梁の主筋は曲げに抵抗するため材軸方向に配置し、あばら筋は材軸に直交して主筋を囲む。引張側だけに主筋を入れた梁が単筋梁、圧縮側にも入れた梁が複筋梁。施行令78条は、構造耐力上主要な部分であるはりを複筋ばりとし、あばら筋をはりの丈の4分の3以下の間隔で配置するよう定める
  4. 国土交通省官庁営繕部の「建築構造設計基準の資料」は、RC造の梁貫通孔の径を梁せいの1/3以下、貫通孔の中心間隔を両孔径の平均の3倍以上とし、原則として柱面から1.5D(せん断スパン比に応じて短くしても1.0D)の範囲には設けない(基礎梁と壁付帯範囲は特段の規定なし)。同じ資料の鉄骨造の梁の値(1/2以下、2倍以上)とは別
  5. スリーブの径は、原則として、管の外径(保温厚さを含む)より40mm程度大きなもの。紙製仮枠を使ってよいのは、特記がなければ、柱及び梁以外で、開口補強が不要かつ径200mm以下の箇所(標準仕様書 機械設備工事編 2.2.27)。床版に埋め込まれる電気設備の配管等は、原則として、打ち増し部分を除き複配筋の間に置く(官庁営繕部の資料 6.2.3)
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