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電材基礎配線器具安全対策

分岐回路のコンセント数は何個まで?内線規程の考え方とタコ足配線との違い

読了目安: 11分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

延長コードにテーブルタップをつなぎ、そこへさらに別のテーブルタップを差し込んで、コンセントの数を8個、10個と増やしていく。飲食店のバックヤードや繁忙期のオフィスの足元では、珍しくない光景だ。ある日、そこへ炊飯器・電気ケトル・保温器を同時に挿し込んだ瞬間、ブレーカーが落ちた。店長は首をひねる。「コンセントはまだ余っていたのに、なぜ落ちるんだ」。

テナントの内装工事でも、似た戸惑いは起きる。「このフロアにコンセントをあと5個増やしたい」という依頼を受けた工事担当者が、既存の分岐回路の図面を前に答えに詰まる場面だ。増やせるかどうかを決めているのは、実は「コンセントの空き」ではなく、その回路に今どれだけの電流が流れているか、という数字である。

この「コンセントの数」と「回路が引き受けられる負荷」を混同したまま増設や配線変更を進めると、ブレーカーが落ちるだけでは済まず、最悪の場合は発火事故につながる。本記事では分岐回路の基礎から、コンセント個数に関する規程上の目安、タコ足配線がなぜ危険なのかという仕組み、現場で正しく容量を増やす方法までを整理する。

この記事でわかること

  • 分岐回路とは何か(幹線・分電盤・ブレーカーとの関係)
  • 分岐回路の種類とコンセント個数に関する規程上の目安
  • タコ足配線とトラッキング火災の関係
  • 「個数」ではなく「合計電流」で考えるべき理由
  • 分岐回路を正しく増やす方法と、オフィス・工場での実務判断

分岐回路とは何か——幹線から分かれ、ブレーカーで守られる末端の配線

電力会社からの引込線は、分電盤の主幹ブレーカーを経たあと、複数の分岐ブレーカーへと枝分かれする。この1本の分岐ブレーカーから先、コンセントや照明までをつなぐ配線のまとまりを分岐回路と呼ぶ。1つの分岐ブレーカーが1つの分岐回路を保護する、という単位で捉えておくと以降の話が読みやすい。

配電盤・分電盤・制御盤という盤そのものの違いは配電盤・分電盤・制御盤の違いと選び方で扱った。今回の主役はその内側、分電盤から枝分かれした先の配線であり、ブレーカーの容量選定そのものはブレーカーの種類と選び方で詳しく整理している。本記事が扱うのは一段先、「その分岐回路にコンセントをいくつ・どれだけの負荷でぶら下げてよいか」という配線設計側のルールだ。

分岐回路の種類とコンセント個数の目安

分岐回路は保護するブレーカーの定格ごとに種類が分かれており、電気設備の技術基準の解釈第149条は、それぞれの分岐回路について電線の太さと、接続できるコンセントの定格電流の範囲を対応づけている。

分岐回路の種類電線の太さ(軟銅線)接続できるコンセントの定格電流
15A分岐回路直径1.6mm以上15A以下
20A配線用遮断器分岐回路直径1.6mm以上20A以下
20A分岐回路(ヒューズ)直径2.0mm以上20A専用(低い定格のプラグが差し込めない構造)
30A分岐回路直径2.6mm以上20A以上30A以下
40A分岐回路断面積8mm²以上30A以上40A以下
50A分岐回路断面積14mm²以上40A以上50A以下

この表が定めているのは、あくまで「コンセント自体の定格電流」と「回路を保護するブレーカーの定格」の組み合わせルールであり、コンセントを何個まで設置してよいかという個数そのものを直接規定したものではない。ここが誤解されやすい。

内線規程では、代表的な組み合わせについて設計時の目安となる個数が紹介されている。たとえば「20A配線用遮断器分岐回路に15Aコンセントを設ける場合は10個以下」というのが、その代表例として資格試験の解説などでもよく取り上げられる数字だ。内線規程そのものは非公開の有償規格であり、条文の全文をここで示すことはできないが、この種の個数は同時に使用する機器の想定負荷から逆算された目安であって、絶対的な上限を法令が個数で縛っているわけではない。実際の現場での可否は、電気工事士が既存回路の負荷状況を踏まえて判断する。

「同時に使う機器の合計電流」が本質——個数ではなく負荷で考える

ここまでの話を整理すると、ひとつの発見に行き着く。コンセントの数が多いこと自体は、直接の危険要因ではない。危険なのは、その回路につながる機器の合計電流が、ブレーカーの定格を超えることだ。

たとえば20A配線用遮断器分岐回路(100V)であれば、計算上は2,000VA(20A×100V)まで通せるが、実務では定格の8割程度、1,600VA前後を連続使用の目安とすることが多い。この回路にコンセントが10個あっても、そのうち数個にノートPCの電源アダプタやスマートフォンの充電器のような小電流の機器しか挿さっていなければ、合計はまったく問題にならない。逆にコンセントが3個しかなくても、そこに電気ケトル(1,200W前後)と電気ヒーター(1,000W前後)を同時に挿せば、それだけで容量の大半を使い切ってしまう。

つまり「個数」は、あくまで同時使用される負荷の総量を見積もるための、ひとつの代理指標にすぎない。冒頭の店長が抱いた違和感——「コンセントは余っていたのに、なぜ落ちるんだ」——への答えはここにある。見るべきなのは差込口の空き数ではなく、そこに今つながっている機器の合計消費電力(W)を電圧(V)で割った電流(A)の値だ。

タコ足配線がなぜ危険か——トラッキング火災という盲点

タコ足配線とは、テーブルタップを何段にも重ねて接続したり、1つのタップに複数の機器を無計画に挿し込んだりする使い方を指す。危険とされる理由は大きく2つに分かれる。

ひとつは、単純な過電流だ。総務省消防庁が住宅火災の実態調査でまとめた事例には、「3口のテーブルタップに電気ファンヒーターと電気あんかを接続して電源を入れたところ、テーブルタップの使用許容を超えたことによりコード部分から出火」「テーブルタップにオイルヒーターとホットカーペットを接続し、同時使用したところ、テーブルタップの許容電流を超える過負荷状態となったため、テーブルタップ部分から出火」といった記録がある。いずれも差込口の数そのものより、同時に使った機器の合計電力がタップの許容量を超えたことが直接の原因になっている。

もうひとつが、トラッキング現象だ。製品評価技術基盤機構(NITE)の解説によれば、コンセントとプラグの隙間にほこりが溜まり、そこに湿気を吸うと、微小な放電が繰り返されて絶縁物が炭化し、やがて出火に至る。差し込みっぱなしで掃除をしないコンセントほどリスクが高い、という点が過電流とは別の危険因子だ。実際、同調査ではテーブルタップやプラグからの出火原因のうち、清掃不足や異物の混入といった「維持管理不適」が過電流などの「使用方法不適」よりも多くを占めていた(調査対象は札幌市・東京消防庁・大阪市・神戸市の4消防本部管内の事例であり、全国一律の統計ではない点には留意したい)。

東京消防庁も「電気器具からの火災を防ごう」という呼びかけの中で、タコ足配線をしないこと、コンセントの定期的な清掃、コードを束ねたまま使用しないことを明確に注意喚起している。個数を減らすことよりも、合計負荷を許容量以下に保つことと、接続部を清潔に保つことのほうが、実際の火災原因への対策としては直接効いてくる。

分岐回路を正しく増やす方法——新設回路の増設

コンセントが足りないという状況への本来の解決策は、既存の分岐回路にテーブルタップで差込口だけを増やすことではなく、新しい分岐回路そのものを増設することだ。

具体的な手順は次の通りになる。

  1. 分電盤の予備スペースを確認する——分電盤には、あらかじめ将来の増設に備えて空きの取付スペース(スペースブレーカー用の余地)が用意されていることが多い。ここに新しい分岐ブレーカーを増設できるかをまず確認する。
  2. 主幹容量・契約容量に余裕があるかを確認する——分岐回路を1本増やすということは、建物全体で使える電力の総量にも影響する。主幹ブレーカーの定格と契約容量(アンペア契約)に余裕があるかどうかを、既存回路の実負荷とあわせて確認する。
  3. 電気工事士に新設を依頼する——壁や天井裏の配線に新たな分岐回路を通し、コンセントを増設する工事は、電気工事士法により有資格者でなければ行えない。テーブルタップの範囲内で差込口を増やすのとはまったく別の作業になる。

分電盤に空きスペースがない場合や、老朽化が進んでいる場合は、分電盤本体の更新・増設という、もう一段大きな話に発展することもある。盤自体の更新タイミングの目安は配電盤・分電盤・制御盤の違いと選び方にまとめている。

オフィス・工場での実務判断——増設の可否をどう見極めるか

テナント工事や工場設備の更新でコンセント増設の相談を受けたとき、現場で確認すべき項目を整理しておく。

  1. 既存回路の実負荷をクランプメーターで実測する——図面上の想定負荷と、実際に流れている電流はしばしば食い違う。増設前に必ず実測しておく。
  2. 用途別に回路を分ける——複合機・電気ケトル・電子レンジのような大電流機器は、他のOA機器と共用の回路に混在させず、専用回路に分けるのが安全側の設計になる。
  3. 将来の増設余地を見込む——テナントの什器配置は変わっていくため、現状ぎりぎりの設計ではなく、多少の余裕を持たせた回路計画にしておくと後々のやり直しを避けられる。
  4. 「何をどれだけ使うか」を先に聞く——コンセントの個数だけを先に決めてしまうと、後から大型機器が持ち込まれたときに対応できない。使用機器の種類と台数を先に確認してから回路設計に入るのが実務上の順序だ。

配線器具そのものの規格・選び方についてはパナソニック配線器具・分電盤完全ガイドも参考にしてほしい。

分岐回路の新設・増設は、既存の建物の電気設備全体とのバランスを見て判断する専門性の高い作業だ。増設の可否に迷う場合は、電気工事士や専門業者へ確認することをおすすめする。

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よくある質問

分岐回路には最大何個までコンセントを設置できますか?

個数そのものを一律に定めた法令上の上限があるわけではありません。分岐回路の種類(配線用遮断器の定格)ごとに接続できるコンセントの定格電流の範囲は電気設備の技術基準の解釈第149条で決まっており、内線規程では代表的な組み合わせについて目安となる個数(例として、20A配線用遮断器分岐回路に15Aコンセントを設ける場合は10個以下といった参考値)が資格試験の解説等でも紹介されています。ただし実際に何個まで安全に使えるかは同時に使用する機器の合計電流によって変わるため、最終判断は電気工事士に確認することをおすすめします。

タコ足配線とは具体的に何がダメなのですか?

テーブルタップを何段にも重ねて差し込むこと自体よりも、タップやコンセントの許容電流を超える機器を同時に接続すること、清掃不足でほこりが溜まったまま使い続けることによるトラッキング現象、この2つが実際の出火原因として報告されています(総務省消防庁の実態調査)。数を増やすことそのものではなく、その先で起きる過電流とトラッキングのリスクが本質です。

1つのコンセントに何Wまで機器をつないでよいですか?

一般的な100V・15A定格のコンセントであれば1500W程度が上限の目安です。ただし複数の機器を同じ分岐回路(同じブレーカー)に接続している場合は、コンセント単体の定格ではなく、その回路のブレーカー容量(多くは15Aまたは20A)を基準に、接続する全機器の合計消費電力で判断する必要があります。

オフィスやテナントでコンセントを増設したいときはどうすればよいですか?

まず分電盤に予備の分岐ブレーカー(空きスペース)があるか、契約容量・主幹容量に余裕があるかを確認します。空きがあれば新しい分岐回路を1本増設するのが基本的な解決策で、既存の回路にテーブルタップで負荷だけ増やすのは避けるべきです。空きがない場合は分電盤自体の増設・更新が必要になることもあるため、早めに電気工事店へ相談することをおすすめします。

コンセントの増設工事は自分でやってもよいですか?

壁や天井裏の配線に手を加えてコンセントを新設・移設する工事は、電気工事士法により有資格者(電気工事士)でなければ行えません。テーブルタップの範囲内で機器の差込口を増やす程度と、壁付けコンセントの増設・分岐回路の新設とはまったく別の話です。後者は必ず専門業者に依頼してください。

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参考文献・出典

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

分岐回路の遮断器・電線・コンセント定格の組み合わせと、コンセントの個数制限は学科試験の頻出論点です。現場で増設可否を判断する考え方が、そのまま試験の得点力にもつながります。

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