冒頭の場面・会話は、内容の理解を助けるための例示です。特定の現場・企業・案件を指すものではありません。
40.52.8.230.0000、40.31.9.012.0000、40.61.9.024.0000——ファインダーの型番は、ピリオドで五つに区切られている。数字だけがずらりと並ぶので、最初は暗号のように見える。だが実際に公式データシートを開くと、この五段の区切りにはひとつずつ名前が付いていて、しかもその名前は英語版のデータシートに図解入りでそのまま載っている。読み方さえ分かれば、型番は暗号ではなく仕様書そのものになる。
そう思って読み進めると、途中で妙なことに気づく。40.31という同じ型式が、ある場所では「12A」、別の場所では「10A」と書かれている。誤記かと思って公式データシートを見直すと、誤記ではなかった。型番の外側——実装方法という、型番には表れない条件が、電流の上限を変えていたのだ。
五段ブロックの骨格——シリーズ・端子ピッチ&極数・コイル種別・コイル電圧・オプション
ファインダー公式の「40 SERIES」データシート(S40EN.pdf、版表示VIII-2026)5ページ、Ordering informationには、型番の構成が図解されている。40.52.8.230.0000という例を使い、各ブロックにはこう名前が振られている。
まず「40」がシリーズ番号。これは動かない。続く「.52」の2桁は、実は1桁ずつ意味が違う。前半の「5」が端子ピッチ区分(3=3.5mmピン間隔、5=5mmピン間隔、6=5mmピン間隔の別系統)、後半の「2」が極数(1=1極、2=2極)だ。三つ目のブロック「.8」がコイル種別(6=バイスタブル形、7=感度形DC0.5W、8=AC(50/60Hz)、9=標準形DC0.65W)、四つ目「.230」がコイル電圧そのもの。そして最後の4桁「.0000」が、接点材質(A)・接点回路(B)・オプション(C)・特殊仕様(D)という、さらに4つの下位項目に分かれている。
一つの型番の中に、実質7つの独立した選択項目が畳み込まれている計算になる。これを知らずに型番だけを眺めても、どこからどこまでが何を表しているのか見当がつかない。
端子ピッチ区分と極数が組んで、見慣れた「31」「52」「61」になる
データシートのOrdering informationを見ると、端子ピッチ区分の説明はどれも素っ気ない。「3=PCB/Plug-in・3.5mmピン間隔」「5=PCB/Plug-in・5mmピン間隔」「6=PCB/Plug-in・5mmピン間隔」——3種類あるはずなのに、5と6の説明文はどちらも「5mmピン間隔」で、文字面だけでは違いが分からない。
ここで極数の桁と組み合わせてみる。1極なら「1」、2極なら「2」。端子ピッチ区分の桁とこの極数の桁を並べると、40.31(3+1)・40.51(5+1)・40.52(5+2)・40.61(6+1)・40.62(6+2)という、製品ラインで見慣れた五つの型式番号が組み上がる。データシート冒頭の製品概要ページには、この五つそれぞれの写真と仕様が個別に載っている。40.31と40.51は1CO(1極)・定格12A、40.52は2CO(2極)・定格8A、40.61は1CO(1極)・定格16A、40.62は2CO(2極)・定格10A。
ここで気づく。端子ピッチ区分が「3」であろうと「5」であろうと、40.31と40.51の電流定格はまったく同じ12A/1COだ。違うのは、はんだ付け用のピン間隔が3.5mmか5.0mmかという、実装方法だけ。つまり「3」と「5」の差は電気的な性能の差ではなく、基板レイアウトに合わせた足の間隔の選択肢に過ぎない。一方で「6」は違う。40.61は同じ1極でも定格16A、40.62は2極で10Aと、3・5系列より一回り電流容量が大きい設計になっている。同じ「5mmピン間隔」という説明文が、片や標準品、片や大電流品という、別クラスの製品を指している——ここは型番の文字面だけを追っていると見落としやすい。
コイル種別とコイル電圧——「c接点」の呼び方とデータシートの「CO」
三つ目のブロックのコイル種別は、8(AC)と9(標準形DC)が主力で、7(感度形DC・0.5W)はより低い消費電力でコイルを駆動できるタイプ、6(バイスタブル)は一度励磁すれば通電を切っても接点状態を保持し続ける自己保持タイプだ。データシートのCoil specificationを見ると、バイスタブル形だけHolding voltage(保持電圧)とMust drop-out voltage(復帰電圧)の欄が「—」になっている。保持に電力がいらない構造だから、そもそも保持電圧という概念が存在しない。
四つ目のブロックのコイル電圧は文字どおりの電圧値で、AC系は6-12-24-48-60-110-120-230-240V、DC系は5V刻みを軸に5-6-7-9-12-14-18-21-24-28-36-48-60-90-110-125Vという細かい刻みが用意されている(40.31/51/52/61の場合。データシート3ページCoil specificationより)。
もう一つ、日本の流通現場で使われる「1c接点」「2c接点」という呼び方についても触れておきたい。データシートのContact specificationでは、この接点構成を「1 CO (SPDT)」「2 CO (DPDT)」と表記している。COはChange-Overの略で、切替接点のことだ。1COが日本語の1c接点、2COが2c接点に当たる。極数の桁がそのまま接点構成の桁数と一致するのは、40系がこの単純な対応関係を保っているからで、リレーの型式によっては極数と接点数が必ずしも一致しないシリーズもあるので、他シリーズへそのまま当てはめないほうがいい。
8つの実在型式を分解する
ここまでの規則を、松本電業で扱う40系の主要型式に当てはめてみる。
| 型番 | 端子ピッチ+極数 | コイル種別 | コイル電圧 | 分解結果 |
|---|---|---|---|---|
| 40.52.8.230.0000 | 52(5mm+2極) | 8(AC) | 230 | AC230V・2CO(2c接点)・定格8A |
| 40.52.9.012.0000 | 52(5mm+2極) | 9(標準DC) | 012 | DC12V標準形・2CO・定格8A |
| 40.52.9.024.0000 | 52(5mm+2極) | 9(標準DC) | 024 | DC24V標準形・2CO・定格8A |
| 40.31.8.230.0000 | 31(3.5mm+1極) | 8(AC) | 230 | AC230V・1CO(1c接点)・定格12A(ソケット実装時10A) |
| 40.52.7.024.0000 | 52(5mm+2極) | 7(感度DC0.5W) | 024 | DC24V感度形・2CO・定格8A |
| 40.61.9.024.0000 | 61(5mm系+1極) | 9(標準DC) | 024 | DC24V標準形・1CO・定格16A |
| 40.61.9.012.0000 | 61(5mm系+1極) | 9(標準DC) | 012 | DC12V標準形・1CO・定格16A |
| 40.31.9.012.0000 | 31(3.5mm+1極) | 9(標準DC) | 012 | DC12V標準形・1CO・定格12A(ソケット実装時10A) |
8つとも、末尾のブロックは「0000」で揃っている。データシートの凡例に沿えば、A(接点材質)=0、B(接点回路)=0(CO=切替接点)、C(オプション)=0、D(特殊仕様)=0=標準品ということになる。ここまでは、どの型式も素直に規則へ収まる。
現場で間違えやすい点——「12A」は基板直付けの数字であって、ソケット経由の数字ではない
40.31.8.230.0000をカタログの数字だけで見ると「定格12A」と読める。ところがデータシート3ページのContact specification表には、脚注として「Mounted on sockets ≤ 10 A」と小さく添えられている。ソケット(95系)を介して実装する場合は、電流の上限が10Aに下がるという意味だ。
型番そのものは変わらない。変わるのは実装方法だけだ。基板に直接はんだ付けするなら12A、ソケットを挟むなら10A——この差は型番のどのブロックにも現れない。実際、ファインダー自身のWeb製品カタログで「40.31.9.012.0000」を引くと、接点定格は「1 pole, 10 A」と表示される。データシートの表が12Aを主とし脚注で10Aを断っているのに対し、Web側は10Aのほうを採っているわけで、同じメーカーの一次資料でも見る場所によって数字が変わる。松本電業で扱ってきたファインダー40系の資料でも「40.31.8.230.0000=AC230V、10A、1c接点」という表記を採用しているのは、実務上ソケット実装が前提になるケースが多いためで、直付け前提のカタログ値である12Aとは矛盾していない。見積りや選定の際に、この型番を「12Aリレー」として扱うか「10Aリレー」として扱うかは、実装方法を確認したうえで決めたほうがいい。
適合表だけでは説明がつかない実在品もある
もう一つ、正直に書いておきたい引っかかりがある。データシート5ページのSelecting features and options表——先ほどの末尾4桁の組み合わせを規定する適合表——を厳密に読むと、40.61(標準形DCコイル)に許される接点材質コード(A)は「1(AgNi)」または「4(AgSnO2)」のみで、「0」は選択肢に載っていない。
ところが、同じファインダーの公式製品カタログをたどると、「40.61.9.024.0000」「40.61.9.012.0000」という末尾0000の型番が製品ページとして存在し、しかも接点材質は「AgNi」と表示されている。適合表を型番の絶対的な正解として当てはめるなら、この2つの型番は本来あり得ないはずだ。しかもこれは他社のカタログとの食い違いではなく、同一メーカーのデータシートとWebカタログの間で扱いが揃っていない、という話になる。データシートの版が更新される過程で表記の対象範囲が変わった可能性が考えられるが、どちらが現行の正解なのかを一次資料だけで断定することはできなかった。型番の桁の意味が分かることと、その組み合わせが完全に規則どおりに発行されていることは、別の話として扱ったほうが安全だ。特殊な接点材質やオプションを指定して発注する場合は、型番の見た目だけで判断せず、発注時に一度仕様を確認することをおすすめする。
ファインダー40系リレーの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、40系リレーの型番分解から、95系ソケット(ファインダー公式サイトが40/41/43系リレー用と位置づけるソケットシリーズ)との組み合わせ照合、コイル電圧・接点容量の実装条件の確認までのご相談を見積フォームで受け付けている。ソケット実装時の電流条件や、末尾4桁の特殊仕様コードの解釈で迷う場合も、現物の型番や用途を伝えてもらえれば照合できる。
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