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高圧受電設備保護機器電材基礎

富士電機の高圧限流ヒューズ(HHヒューズ)の型式はどう読むのか|『HF337E』から『HF338E』へ、1桁の差が胴回りをφ48mmからφ77mmへ変える境目

読了目安: 10分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

キュービクル内の変圧器バンクに刺さっているヒューズの銘板を見て、担当者が少し戸惑う。「HF337E/3/10」。同じ盤の別のバンクには「HF338E/3/30」。337と338、たった1桁しか違わない。しかも定格電流はどちらも同じEシリーズで、電圧記号も「3」で揃っている。だとすれば、この1桁は単なる製造ロットの違いか、それとも古い型と新しい型の差だろうか。

そう考えたくなるが、富士電機機器制御株式会社が公開しているHHヒューズカタログ(SCF/E/JC/JBシリーズ、資料番号EH711m)を確認すると、答えはどちらでもない。337と338は新旧の区別ではなく、電流帯によって本体の太さそのものが変わる境目を示す記号だった。

4つの基本形式は「単独で守れるか、相手任せか」で分かれる

富士電機の高圧限流ヒューズは、カタログの表紙にもある通り正式には「HHヒューズ」と呼ばれ、SCF・E・JC・JBという4つのシリーズに分類されている。カタログ冒頭の「特長・用途・シリーズ構成」表は、この4つを次のように位置づけている。

SCF形とE形(一部を除く)は「全領域遮断形」。最小溶断電流から定格遮断電流まで、すべての電流域を単独で遮断できるヒューズで、ヒューズ単独の使用や、引外し装置のない開閉器との組合せが可能とされる。SCF形は7.2kV専用で一般負荷用、E形は3.6kVと7.2kVの両方があり変圧器用・電動機用・コンデンサ用として使われる。

これに対しJC形とJB形は、性格がまったく違う。JC形は「高圧気中負荷開閉器(LBS)」との組合せ専用、JB形は「高圧真空電磁接触器(HN)」との組合せ専用と明記されている。カタログの「全領域遮断の必要性」の項目には、バックアップヒューズを引外し装置のない開閉器と組み合わせて単独使用した場合、小過電流領域で遮断不能となり爆発事故を起こすおそれがある、という趣旨の警告まで載っている。同じ「限流ヒューズ」という括りの中に、単独で守り切る設計思想のヒューズと、相手側の開閉器に守ってもらうことを前提にしたヒューズが同居している。まずこの4分類を押さえておかないと、次に見る型式の分解が意味を持たない。

型式は「基本形式+定格電圧+定格電流」の3段で組まれる

カタログの「ご注文指定事項(形式)」の項目には、型式の組み方が図解されている。SCF・Eシリーズのヒューズリンクは、基本形式(SCFシリーズなら「SCF」、Eシリーズなら「HF337E」または「HF338E」)、定格電圧(3.6kV=3、7.2kV=6)、定格電流(G定格、5A〜400Aの実数)という3段の組み合わせで、たとえば「HF337E/3/5」であれば、Eシリーズの基本形式HF337E・電圧3.6kV・電流5Aという意味になる。

JC・JBシリーズも骨格は同じで、基本形式(JCまたはJB)、定格電圧(3.6kV=3、7.2kV=6。JCは3.6/7.2kV共通で「6」表記)、定格電流(JBはM定格)を並べる。「JB-3/50」なら基本形式JB・電圧3.6kV・電流20Aに相当する「50」というM定格を表す、といった具合だ。ここまでは、他の富士電機製品の型式と同じような素直な桁組みに見える。

ところが、SCF・Eシリーズの「基本形式」の欄をよく見ると、選べる記号が単純な固定枠ではないことに気づく。SCFシリーズの基本形式は「SCF」の1つだけなのに、Eシリーズの基本形式は「HF337E」と「HF338E」の2つに分かれている。しかもカタログのご注文指定事項のページには、この2つがどちらの電流帯に対応するかまでは書かれていない。それを知るには、もう一段先の「全機種一覧表」を見に行く必要がある。

HF337EとHF338E、境目は3.6kVでも7.2kVでも同じ「10Aと20Aの間」

全機種一覧表を電流の昇順に追っていくと、境目が浮かび上がる。3.6kV品は、5AがHF337E/3/5、10AがHF337E/3/10、そして20AからはHF338E/3/20、30A・40A・50A・75A・100A・150A・200A・400Aまで、すべてHF338E/3の系列になる。7.2kV品も同じ並びで、5AのHF337E/6/5、10AのHF337E/6/10までがHF337E、20A以降のHF338E/6/20からがHF338Eだ。

電圧が違えば境目もずれるだろう、と思っていたら、そうではなかった。3.6kVでも7.2kVでも、境目は判で押したように「10Aと20Aの間」に来る。定格電流という連続した数直線の途中に、基本形式そのものが切り替わる不連続点が、電圧に関係なく同じ位置で挟み込まれている。

驚くのはここからだ。外形寸法図のページで、HF337E/3/5・HF337E/3/10の行と、HF338E/3/20〜HF338/3/100の行を並べて見ると、全長(L max)は262mmと266mmでほとんど変わらない。ところが胴部の外径は、HF337E側がφ48mm、HF338E側がφ77mmと記載されている。48から77、比率にしておよそ1.6倍。337から338への1桁の変化は、単なる型番の連番ではなく、ヒューズ本体の胴回りをまるごと太くする境目を表していた。「10A用と20A用でそこまで胴体を変える必要があるのだろうか」という疑問がわくが、限流ヒューズは短絡電流をヒューズエレメントの溶断で瞬時に断ち切る部品であり、扱う電流容量が上がれば内部エレメントの断面積も、それを収める磁器筒の太さも比例して大きくせざるを得ない。337と338という数字の差は、その物理的な必然を型式の1桁に折り畳んだ結果、というのがカタログの数値から読み取れる姿だ。

なぜJC形だけは電流が上がっても寸法を変えないのか

ここでもう一つ、対照的な事実に気づく。JC・JBシリーズの特長欄には「5〜75Aまで定格同一寸法」「3/6kVの共用化」と明記されている。実際に外形寸法図を確認すると、JC-6/5からJC-6/75までは胴部外径φ40mm・全長200mmで完全に統一されており、電流が5Aから75Aまで15倍に変わっても、外見上は見分けがつかない。例外はJC-6/100で、ここだけ胴部外径がφ50mmに広がる。それでも全長は200mmのまま動かない。

同じ「限流ヒューズの胴を電流に応じて太くする」という物理的な要請を受けながら、E形は337から338へ型式ごと切り替え、JC形は寸法をできる限り据え置く。なぜここまで設計思想が分かれるのか。カタログはその理由までは説明していないので、ここからは仕様表から読み取れる範囲の推測として書く。

JC形は「高圧気中負荷開閉器(LBS)」に組み込んで使うバックアップ専用品だ。開閉器側には、ヒューズを固定するホルダという受け皿がある。もしJC形が電流帯ごとに全長や取付部の寸法を変えていたら、LBS本体の側もヒューズホルダを電流帯ごとに設計し分けなければならなくなる。5Aから75Aまで、ときには100Aまで寸法を統一しておけば、LBS本体は1種類のホルダ形状のまま、挿すヒューズだけを差し替えて電流帯に対応できる。実際、富士電機のLBS(ストライカ引外し式限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器)の型式には、組み合わせるヒューズの上限電流を示す桁はあっても、ヒューズの物理サイズを示す桁は現れない。JC形が寸法を守っているからこそ、LBS本体側は型式をシンプルに保てる、という関係が透けて見える。

一方のE形は、単独で全領域を遮断する「主役」の部品だ。組み合わせる開閉器の都合に縛られる理由がないぶん、電流容量が要求する物理的な太さをそのまま型式に反映させている。相手に合わせて寸法を我慢する部品と、自分の性能をそのまま体格に出す部品。同じ限流ヒューズという製品群の中に、正反対の設計哲学が並んでいる、と見ることができる。

発注前に確認しておきたいこと

型式の桁数字が持つ意味を取り違えると、現場でどう跳ね返るか。

一つめは、更新工事でE形ヒューズを手配するときの境目の見落としだ。既設が10A(HF337E)から20A(HF338E)へ容量を上げる更新であれば、型式の先頭3桁も337から338へ変わる。定格電流の数字だけを見て「HF337E/3/20」のような、カタログ上に存在しない型式を書いてしまう発注ミスは、この境目を知らなければ起こり得る。

二つめは、SCF・E形とJC・JB形を取り違えないことだ。前者は単独でも全領域を遮断できるが、後者は開閉器・接触器との組合せを前提にしたバックアップ専用品であり、単独使用を想定していない。既設のLBSやHNに使われているヒューズを、型式の見た目だけで安易に別シリーズへ差し替えると、小電流域での保護が抜け落ちる可能性がある。

三つめは、旧型からの更新だ。カタログの「旧タイプ品のスペアについて」には、旧C・DシリーズとEシリーズは外形寸法・電気的特性を「一部電流値」「一部遮断電流値」を除いて同一としている、という記載がある。この「一部を除く」という留保がある以上、銘板の旧型式をそのままE形に読み替えるのではなく、遮断容量(MVA)まで含めて個別に照合する必要がある。

型式の1桁・1文字を読み違えたまま発注書を切ると、届いたヒューズが物理的にホルダへ収まらない、あるいは想定していた保護特性と違う、という形で現場に返ってくる。銘板の型式と用途を照合したうえで、不明点があれば発注前に確認しておきたい。見積もり依頼をする →

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