三相4線式では、各相の電流表示が同じでも中性線の電流がゼロとは限りません。 非線形負荷が作る高調波を含むと、基本波の負荷バランスだけでは発熱を判断できなくなります。
基本波と第3次高調波を分けて考える
基本波が対称にバランスした三相では、その電流の和はゼロです。一方、各相で同じ形の非線形負荷電流が流れる条件では、第3次高調波などの零相成分は中性線で加算されます。Schneider Electricの技術ガイドも、中性線電流とケーブル選定に第3次高調波を織り込んだ例を示しています。Schneider Electric Electrical Installation Guide: Sizing the neutral conductor。
説明用の計算例: 各相に同位相の第3次高調波成分がそれぞれ10Aあれば、中性線のその成分は10+10+10=30Aです。これは第3次成分だけの例であり、各相の総実効値が10Aという設定ではありません。実際の中性線には負荷不平衡や他の高調波成分も影響します。
「中性線は最大で相電流の√3倍」といった一つの倍率を、すべての負荷に適用することはできません。また、三相3線式のインバータ負荷と、中性線を持つ相・中性線間の単相負荷を同じ回路として扱わないでください。
発熱が見つかったときに揃える記録
| 記録 | 確認したいこと |
|---|---|
| 単線結線図・電源方式 | 本当に三相4線式か、どの負荷が中性線へ接続されているか |
| 各相と中性線の実効値 | 同じ運転条件・時刻で比較できるか |
| 高調波スペクトル | 第3次など、どの成分が大きいか |
| 温度と場所 | 導体全体か、端子などの局所だけか |
| 導体・端子・布設条件 | 設計時の許容電流、周囲温度、接続状態と整合するか |
非正弦波の電流を調べる際は、対象波形と周波数範囲に対応する真の実効値測定が必要です。真の実効値対応だけでは、高調波成分を個別表示できるとは限りません。測定器の仕様を分けて確認します。Fluke True measurements of non-linear loads require a true-rms measurement tool。
盤内測定は、設備の電気主任技術者・保安担当者の計画のもと、適切な資格・教育を受けた作業者が行います。変色や異臭などがある設備を、測定のために無理に運転し続けないでください。
対策は原因と設計条件で選ぶ
高調波電流が大きい場合は、負荷側の改善、中性線を含む導体・端子の容量、複数導体の発熱を考慮した設計を確認します。接続部の局所発熱なら、接続状態や部材の劣化も調査対象です。太い線への交換だけで接続不良まで解決したとは判断しません。
電源の高調波対策用装置と、一般的な高周波ノイズフィルタは目的・性能が異なります。対策機器は測定結果とメーカーの適用条件から選定し、中性線の並列化や切り離しを現場合わせで行わないでください。
対策後は、同じ負荷条件で電流と温度を再測定し、採用した設計条件と結果を記録します。型番・数量・希望到着日が分かるものから、見積を依頼することができます。取扱可否・価格・納期・支払条件は回答で確認してください。
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